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更新日:2024年7月31日

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20.P事件(令和5年(不)第38号事件)命令要旨

1 事件の概要

本件は、組合が組合員に関する解雇、未払い賃金等を協議事項とする団体交渉を申し入れたところ、会社が応じなかったことが不当労働行為であるとして申し立てられた事件である。

2 判断要旨

(1)会社が団交に応じなかったことに関する正当な理由の有無について検討する。

ア 会社は、団交拒否の理由として、本件組合員は、既に会社と雇用関係はなく、会社とは無関係の人物であると主張する。

しかしながら、労働組合法第7条第2号の「雇用する労働者」とは、現に使用者との間で雇用関係にある者に限られるのではなく、組合員が退職し又は解雇・雇止めとなった場合であっても、雇用関係のあった当時の労働問題や雇用契約の効力等に関する団交を申し入れた場合には、同条の「雇用する労働者」に当たると解すべきである。

組合が申し入れた団交事項は、本件組合員が会社と雇用関係にあった当時の労働条件や懲戒解雇撤回等の雇用契約の効力に関する事項であることから、本件組合員は、労働組合法第7条第2号の「雇用する労働者」に当たるといえ、また、同団交事項は、義務的団交事項に当たる。

したがって、上記の会社主張は、団交を拒否する正当な理由に該当しない。

イ 次に、会社は、組合員らが訴訟を提起し判決が出れば支払うべき金員を支払う意向であるため団交には応じないとし、当事件の審査の過程においても、団交の実施については、労働委員会での判断ではなく、裁判所での判断を希望するとした。

しかしながら、このような会社の主張は、労働組合法が定める不当労働行為救済制度を無視したものであり、団交を拒否する正当な理由に該当しないことは明らかである。

(2)以上のとおりであるから、団交申入れについて、会社が団交に応じないことは、正当な理由のない団交拒否であり、かかる会社の対応は、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為である。

3 命令内容

(1)団交応諾

(2)誓約文の手交

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