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更新日:2024年10月25日

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2.N事件(令和4年(不)第57号事件)命令要旨

1 事件の概要

学校法人が、組合の団体交渉申入れに対して、労働協約締結時になされた労使の約束に基づく組合の要求について、組合の提案を全く検討もせず、拒絶するのみ等の不誠実な対応を行ったこと、が不当労働行為であるとして申し立てられた事件である。

2 判断要旨

(1)本件事務折衝に係る申立てが申立期間を徒過しているかについて

同一の交渉事項に係る交渉が複数回にわたって行われていたとしても、組合が不当労働行為と主張する3回の本件事務折衝における学校法人の対応は、いずれも本件事務折衝の期日の都度一個の行為として完結しているから、その後の協議と一連のものとして継続する行為に当たらない。よって、本件事務折衝が事務折衝であるか団交であるかを判断するまでもなく、組合の本件事務折衝に係る申立てについては、いずれも労働組合法第27条第2項に定める除斥期間を徒過していることから却下する。

(2)本件事務折衝後の協議における学校法人の対応が、不誠実団交に当たるかについて

ア 本件事務折衝後の協議が団交に当たるかについて

同協議は、組合側から代表者である執行委員長が、また学校法人側から代表者である理事長に加えて、交渉委員とみられる理事1名及び総務部長がそれぞれ出席して、希望退職した組合員の復職という組合員の労働条件についての実質的な協議が行われたことが認められるのであるから、労働組合法第7条第2号にいう団交に当たる。

イ 団交における学校法人の対応について

(ア)学校法人が、労働協約締結に際しての約束を守らず、最初から最後まで、組合員を復職させず、復職の検討もしないという門前払いの態度をとったとの組合主張について

学校法人は、組合員らの復職に応じられない理由として、(a)定員割れで収入が1億円足りないこと、(b)組合提案の担当可能科目については雇用してまでの需要がなく専任教員を配置する余裕がないこと、(c)別件地位確認等訴訟の原告教員らの復職が学校法人の積極的な意思によるものではないことを具体的に説明した上で、復職の代替案として金銭解決を提案しているのであって、団交における学校法人のこうした説明を行い、対案の提案をしている対応が不誠実団交に当たる行為であったとはいえない。

(イ)学校法人が、組合員らを復職させない理由として、当初は「財政上の理由」を挙げながら、後で科目専門性と担当可能科目という新たな理由を持ち出し、さらには学部の教員定員及び学部の意向を加えてきたとの組合主張について

学校法人は、復職についての具体的協議が始まった本件事務折衝の当初から、組合員らを復職させない理由として、財政上の問題のほかに科目専門性の問題も挙げており、後付けで新たな理由を持ち出したものとはいえない。また、担当可能科目の問題についても、特任教員という形もあり得るという組合の新たな提案を受けて、学校法人が検討し、回答したものであるといえる。さらに、その後の事務折衝において学部の教員定員や意向の問題に触れたのは、事務折衝に先立って組合から新たに担当可能科目リストの提出があったことを受けて、復職の可否について新たに検討した上で回答したものであるといえる。そして、学校法人は、本件事務折衝後の団交において、それまでの協議を踏まえて、改めて、組合員を復職させない理由について事務折衝と同じ説明をしているのであって、こうした学校法人の対応が、不誠実団交に当たるとはいえない。

ウ 結論

以上のとおりであるから、本件事務折衝後の団交における学校法人の対応は不誠実団交に当たるとはいえず、組合の申立ては、棄却する。

3 命令内容

(1)事務折衝に係る申立ての却下

(2)その他の申立ての棄却

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