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更新日:2024年5月24日

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3.T事件(令和2年(不)第20号事件)命令要旨

  1. 事件の概要
    本件は、(1)会社が、組合との間で交わした協定書に基づき締結された、組合員が雇用されている申立外A社との運送委託契約を打ち切ったこと、(2)その結果、申立外A社は組合員を整理解雇する通知を行い、このような状況を受け、組合が会社に団体交渉を申し入れたところ、会社がこれに応じなかったこと、がそれぞれ不当労働行為であるとして申し立てられた事件である。
  2. 判断要旨
    • (1)会社が、組合員Bら12名の労働組合法上の使用者に当たるかについて
      • ア 組合員Bら12名は、申立外A社と雇用関係があり、会社とは労働契約を締結しておらず、会社と組合員Bら12名との間に直接の雇用関係がないことは当事者間に争いがないが、労働組合法第7条の使用者とは、労働契約関係のある者には限られないのであって、労働者の基本的な労働条件等について、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にある場合には、その限りにおいて、同法上の使用者に当たるから、直接の雇用関係がないからといって、直ちに、労働組合法上の使用者性が否定されるとはいえないので、具体的にみる。
      • イ 会社は、組合員Bら12名について、少なくとも、その採用や就労実態及び解雇への関与からみても、現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位になかったと判断される。
      • ウ 次に、組合が根拠として主張する、協定書と運送委託契約の締結についてみる。
        組合と会社との間には、少なくとも会社のC工場における営業の開始以降、一定のやり取りがあり、また、その後締結された組合と会社との間の協定書において、会社における申立外A社の大型車輌7台の固定と車庫の貸与等について合意があったといえる。
        しかしながら、協定書における、組合と会社との事前協議に関する合意は、その文言からすると「今後運賃に関する諸問題や変更」と記載されるにとどまり、協定書が「輸送運賃の見直しについて」締結された協定書であることからみても、輸送運賃を超えて、会社と申立外A社が締結する運送委託契約そのものの更新や終了についてまで規定されたものとみることはできず、その他に「今後運賃に関する諸問題や変更」に、協定書の後に締結される運送委託契約の打切りまで含まれていたと認めるに足る事実の疎明もない。
        また、運送委託契約については、会社と申立外A社との間で、協定書に基づき、会社のC工場で製造される生コンクリートの輸送に関し協議した結果締結されたもので、組合は立会人として一定関与していたものの、同契約の規定の中に、具体的に組合に関して定めた条項はないことからすると、組合はあくまで契約成立における立会人にすぎず、その終了については、契約の当事者である会社と申立外A社との間で決定するものであるといえる。
        以上のことから、協定書や運送委託契約の締結及びその経緯を根拠に、会社が、組合員Bら12名の労働組合法上の使用者に当たるとはいえない。
      • エ 上記イ、ウ判断より、会社が組合員Bら12名の雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあるといえず、会社は、組合員Bら12名の労働組合法上の使用者に当たるとはいえない。
    • (2)会社が、申立外A社との運送委託契約を終了したことについて
      会社が組合員Bら12名の労働組合法上の使用者に当たるとはいえないことは、前記(1)判断のとおりであるから、この点に係る組合の申立ては、その余を判断するまでもなく、棄却する。
    • (3)団交申入れに対する会社の対応について
      会社が組合員Bら12名の労働組合法上の使用者に当たるとはいえないことは、前記(1)判断のとおりであるから、この点に係る組合の申立ては、その余を判断するまでもなく、棄却する。
  3. 命令内容
    本件申立ての棄却
    ※なお、本件命令に対して、組合は中央労働委員会に再審査を申し立てた。

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