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更新日:2024年5月24日

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1.W事件(令和2年(不)第46号事件)命令要旨

  1. 事件の概要
    本件は、会社が団体交渉において、団交を終了する旨発言し、その後、団交に応じないことが不当労働行為であるとして申し立てられた事件である。
  2. 判断要旨
    • (1)組合は、当該組合員の雇用関係の終了やそれに付随する事項について団交を申し入れており、このことが義務的団交事項に当たることは明らかである。また、組合は、当該組合員の雇用契約終了の理由や判断根拠についての具体的な説明を求めたといえ、これに対し、会社は、(ア)研修中の居眠り、(イ)歓迎会での言葉使い、(ウ)経営方針発表会の日の経緯等について、時系列に沿って説明し、続いて、組合が、会社が挙げた事象について質問し、会社が回答して、団交が進行したことが認められる。
    • (2)会社は、組合が問題解決につながるとは思えない詳細な事実確認や追及だけでなく、紛争解決や問題点の検証において関係ないであろう内容や過去のできごと・発言の意図等に執拗にこだわったり、一方的に質問を続けたり、議論しても仕方がないであろう主観的な疑問に執着した旨主張する。
      しかし、組合の質問は、概ね、雇用契約の終了の理由の説明において会社が挙げた各行為について、問題の程度、行為に至る具体的な事情、その行為を会社がどのような手段で把握したかを明らかにしようとするものというのが相当であって、団交における組合の質問には、同趣旨の内容の反復や、一見しただけでは雇用契約の終了理由に直結するとはいい難いものも含まれてはいるものの、引き延ばしを企図した不適切なものとはいえず、会社には、当該組合員との雇用契約を終了させた理由について、具体的な説明を行う義務があるというべきである。
    • (3)また、会社は、第2回団交の終盤において、会社からの質問、確認事項に回答するよう求めたが、これに応じない組合の対応に問題がある旨主張するところ、会社は、以前から、組合に対し、当該組合員の労働基準監督署への申請等の結果について回答を求めていたことは明らかである。
      そこで、第2回団交の終盤の経緯をみると、組合は、雇用契約の終了の理由として会社が挙げた行為について、質問を続け、労使間の事実認識の相違点を明らかにして協議を続けようとしていたのに対し、会社は、労基署への申請等の結果やそれについての組合の判断について回答を求め、組合が応じないことを理由に団交を打ち切ったというのが相当である。
      しかし、会社は、当該組合員の労基署への申請の結果等とは無関係に、会社として同組合員との雇用契約の終了を決定したことは明らかであるのだから、当該組合員の労基署への申請等の結果について組合が回答しないとしても、会社は、未だ当該組合員との雇用契約の終了についての団交に応じるべき義務があるというべきである。したがって、組合がかかる会社からの質問に回答しないことを、団交打切りの正当な理由ということはできない。
    • (4)以上のとおりであるから、組合が、当該組合員の雇用契約の終了についての協議の継続を求めているにもかかわらず、会社は、正当な理由なく、第2回団交において団交を終了する旨発言し、その後、団交に応じなかったと判断され、かかる行為は、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為である。
  3. 命令内容
    • (1)誠実団交応諾
    • (2)誓約文の手交

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