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更新日:2024年5月24日

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12.R事件(令和2年(不)第3号事件)命令要旨

  1. 事件の概要
    本件は、会社が、組合員に対するパワーハラスメントに係る組合からの団体交渉申入れについて、2度は団交に応じたものの、同議題についての3度目の団交申入れに対して団交に応じなかったこと、が不当労働行為であるとして申し立てられた事件である。
  2. 判断要旨
    • (1)本件団交申入れの要求事項は、A従業員のB組合員に対するパワハラ等について会社に対処を求めるものであったとみることができ、組合の申入事項は、組合員の労働環境改善という労働条件に関する事項であって、また、使用者の処分可能な事項であるから、義務的団交事項であるといえる。
    • (2)協議が尽くされているとはいえない状況で、会社が、組合の主張について、会社が望む資料の開示等が組合から行われておらず真否の確認ができていないとして、本件団交申入れ時点で団交が空転すると判断したことは、会社の一方的な判断であったといわざるを得ない。
    • (3)団交は、その制度の趣旨からみて、労働組合と使用者が労働条件その他の待遇又は労使関係上のルールについて合意を達成することを主たる目的として交渉を行うものであり、労働審判が係属中であっても労使双方が自主的に団交において問題を解決することは可能であるから、労働審判手続の申立てをしていることが団交を行うことを妨げるものではなく、労働審判を申し立てていることは団交を拒否する正当な理由とはなり得ない。
    • (4)組合の請求する救済内容が、団交応諾ではなく「謝罪文の手交及び再発防止の誓約」である以上、本件申立て以後の団交応諾をもって被救済利益が消滅したということはできない。
    • (5)以上のとおりであるから、本件団交申入れに対する会社の対応は、正当な理由のない団交拒否であり、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為である。
  3. 命令内容
    誓約文の手交

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