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更新日:2024年5月24日

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7.Z事件(令和5年(不)第17号事件)決定要旨

1 事件の概要

本件は、組合が、被申立人に対し、組合員1名の雇用保険への遡及加入を議題とする団体交渉申入れを行ったところ、被申立人がこれに応じなかったことが不当労働行為であるとして申し立てられた事件である。

2 判断要旨

  • (1)不当労働行為救済命令の名宛人とされる使用者は、特段の事情のない限り、法律上独立した権利義務の帰属主体であることを要すると解すべきところ、被申立人である大使館は、A国(A国政府)の一行政機関にすぎないため、法律上独立した権利義務の帰属主体と認めることはできない。
    したがって、本件申立ては、却下する。
  • (2)なお、組合員の使用者は、A国(A国政府)であると考えられるため、念のため、国家としてのA国(A国政府)を被申立人として本件申立てが行われた場合について、検討する。
    一般に、国際法上、国家には、いわゆる主権免除の原則が認められる。ただし、民事裁判権については、対外国民事裁判権法において、裁判手続について免除の例外が定められており、労働契約については、「外国等は、当該外国等と個人との間の労働契約であって、日本国内において労務の全部又は一部が提供され、又は提供されるべきものに関する裁判手続について、裁判権から免除されない」と規定されている。
    しかし、不当労働行為救済命令等は、労働組合法に基づいて発せられる行政機関による行政処分であり、上記労働契約に関する民事裁判に該当するものではない。
    また、対外国民事裁判権法において、勾引及び過料に関する民事訴訟法その他の法令の規定が適用されないこととされているところ、労働委員会が発する救済命令の全部又は一部が確定判決によって支持された場合について、違反者には刑罰が科せられることからすれば、労働委員会が発する救済命令が免除の例外に該当するとは解されない。
    以上のことからすると、当委員会が外国国家に対して不当労働行為救済命令等を発する権限を有するものとは考えられない。したがって、仮に国家としてのA国が被申立人であったとしても、上記の判断に変わりはない。

3 決定内容

本件申立ての却下

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