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11.O事件(令和4年(不)第43号事件)決定要旨
1 事件の概要
本件は、組合の組合員らの雇止めの撤回及び雇用継続等を要求事項とする団体交渉申入れに対する被申立人の対応が不当労働行為であるとして、申し立てられた事件である。
2 判断要旨
- (1)本件団交申入書に記載された組合員は、臨時的任用職員、会計年度任用職員及び令和2年の地方公務員法改正前に任用されていた看護師組合員であったことが認められる。
- (2)臨時的任用職員及び会計年度任用職員は、いずれも一般職の地方公務員であって、地方公務員法第58条が一般職の地方公務員について労働組合法の適用除外を明確に定めている以上、不当労働行為救済制度が適用されるということはできない。
また、団交拒否事件において、当該団交の対象者に適用される法規は、団交を拒否した使用者との労使関係を基礎として判断するのであって、仮に、組合員が民間事業所で勤務している時間帯があったとしても、被申立人との労使関係においては、勤務場所や時間帯に関わりなく地方公務員法が適用されるのであり、任用期間内であっても勤務時間外には労働組合法が適用されるとの組合の主張は前提を欠き、採用できない。 - (3)看護師組合員に係る組合の要求は、雇用されるべき地位にあったとして看護師組合員の雇止めの撤回・雇用の継続を要求したものとみることができる。
しかしながら、令和2年の地方公務員法改正後は、非常勤講師や非常勤看護師は一般職の会計年度任用職員として任用されることになっていたことが認められるのであるから、本件団交申入れの時点においては、看護師組合員に係る組合の要求は、地方公務員法が適用される組合員の問題についての要求とみるのが相当であり、労働組合法適用者の問題について団交を申し入れたものとみることはできない。 - (4)以上のとおり、本件団交申入書の「講師組合員に対して雇止めの撤回・雇用の継続を行うこと」との要求事項への対応に係る申立ては、労働組合法適用者の問題に関するものとはいえないのであるから、本件において組合の申立人適格を認めることはできず、本件申立ては却下する。
3 決定内容
本件申立ての却下
なお、本件決定に対して、組合は中央労働委員会に再審査を申し立てた。