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在日本大韓民国民団大阪府本部 要望書
要望受理日 | 令和5年12月19日(火曜日) |
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団体名 | 在日本大韓民国民団大阪府本部 |
取りまとめ担当課 | 教育庁 人権教育企画課 |
表題 | 在日本大韓民国民団大阪府本部 要望書 |
要望書
2023年度
在日韓国人の民族教育、国際理解教育の推進を求める要望書
貴教育委員会が、人権尊重の教育を柱に「在日韓国・朝鮮人問題に関する指導の指針」(以下「指導の指針」)などをもとに、在日韓国人の民族教育、国際理解教育推進に積極的に取り組んでおられることに対し敬意を表します。
また、貴委員会が研修用参考資料「ヘイトスピーチの問題を考えるために」(以下「ヘイトスピーチ研修資料」)や「人権教育リーフレット」、そして、教材・プログラム集「人権教育COMPASS増補版」を作成されたことは高く評価されるところです。
今年の春、韓日間の歴史的な懸案事項について、大きな進展が見られたことにより、韓日首脳による、シャトル外交が再開され韓日関係が劇的に関係修復されました。しかし、今年10月に大阪市内の小学校において、深刻なヘイトスピーチ事件が発生するなど、一部に外国人に対する排外的な言動により在日外国人教員や在日外国人児童・生徒、外国にルーツのある児童・生徒の人権侵害、民族差別が増長している事が懸念されています。
また、2017年度から県費負担教職員の給与負担等が指定都市へ移譲された事により、大阪府の人権教育・民族教育の財産ともいえる常勤民族講師に関わる制度の後退が危惧されています。
貴委員会がこれまでの取り組み、および、歴史的な経緯および1991年日韓外相覚書を踏まえた上で、民族教育・国際理解教育を一層推進してください。そして、外国籍の子ども達が本名を使って安心して学校に通い、また、外国にルーツのある子ども達が民族名を使って安心して民族学級に参加することができるようにしてください。そのために、多民族・多文化共生教育を大阪府内の学校に定着させるよう、次の通り要望いたします。
要望事項
【1】「指導の指針」「人権教育推進プラン」の具現化
1.市町村教育委員会が策定した「方針/指針」について
(1)貴委員会の「指導の指針」に示された本名指導の趣旨に沿った内容に改訂するよう、市町村教育委員会を指導してください。
(2)「方針/指針」の内容が教員・保護者に周知、実践されるよう、市町村教育委員会を指導してください。
2.人権侵害であるヘイトスピーチに対して、在日外国人に対する偏見や民族差別事象を根絶するための施策を実施してください。
(1)「ヘイトスピーチ研修資料」の活用状況を教えてください。
(2)同研修資料などを活用して教職員人権教育研修を積極的に実施するよう、各市町村教育委員会および府立高校に指導してください。
(3)ヘイトスピーチの被害を受けた子ども達と保護者に対して心のケアなどの対策と再発防止策がどのように実施されているのかを教えてください。
3.在日外国人が安心して本名を使用できる環境を醸成するために、各市町村教育委員会に、以下のことがらを実施するよう指導してください。
(1)小学校入学時からの指導の体系化と、中学・高校への進学時の連携強化
(2)指導要録や卒業証書授与台帳など公簿類への本名および母国語読みのふりがな記載の徹底と、卒業証書への本名記載の徹底
(3)指導資料『本名指導の手引き』を用いた校内人権研修の実施と、「在日外国人教育のための資料集(DVD)」の有効活用
4.大阪府在日外国人教育研究協議会(府外教)などと連携して、市町村の多民族・多文化共生教育の取り組みを充実させてください。
(1)単位市外教を設立し、府外教に加盟するよう市町村教育委員会を指導・助言してください。
(2)単位市外教などが主催する地域の取組みや研修会が実施・継続されるよう各委員会を指導・支援してください。
5.韓国にルーツを持つ日本国籍および重国籍の子どもの実態を把握し、民族教育を推進するように指導してください。
6.大阪府内の韓国系インターナショナルスクールである白頭学院建国幼・小・中・高等学校、大阪金剛インターナショナル小・中・高等学校への学校案内を韓国籍児童・生徒が在籍する学校で活用してください。
【2】教育公務員
1.外国籍教員の採用時の資格を「教諭(指導専任)」から本来の「教諭」に戻し、管理職任用試験の受験資格を認めてください。
2.外国籍教員の採用、本名使用について
(1)外国籍教員を積極的に採用し、本名使用を徹底するよう指導してください。
(2)採用後は、外国籍教員の状況を把握して、安心して働ける職場環境をつくり、学校・PTAで外国人教育研修を行うよう指導してください。
(3)通称名使用の外国籍教員、期限付き講師が本名を使用するよう指導してください。
【3】高等学校
1.18歳選挙権施行に伴って行われている「政治的教養を育む教育」の授業において、外国籍生徒の問題がどのように指導されているか具体例を教えてください。
2.府立高校において在日外国人が安心して本名を使用できる環境を醸成するために、以下のことがらを実施するよう管理職・教職員を指導してください。
(1)合格説明会・入学時の本名指導
(2)指導要録や卒業証書授与台帳など公簿類への本名および母国語よみのふりがな記載の徹底と、卒業証書への本名記載の徹底
(3)指導資料『本名指導の手引き』などを用いた校内教職員人権研修や校内研修の実施
3.合格説明会や入学式時に外国籍生徒・保護者向けに「教育相談コーナー」を設けて、地方公務員・教員などの国籍条項が撤廃されていることや民族系奨学金制度について説明し、入学後も継続して説明するよう指導してください。
4.「在日外国人生徒の進路追跡調査」を継続し、企業の在日外国人に対する偏見や就職差別を根絶してください。
5.外国籍生徒や外国にルーツのある生徒が民族教育を受け、また、国際理解教育を推進するため、府立高校に「韓国語」を開設するよう指導してください。
【4】民族学級
1.歴史的な経緯および1991年日韓外相覚書を踏まえて、民族学級に関わる府費常勤民族講師の身分保障および制度を教育公務員と同等待遇となるように、改善してください。また、民族学級維持のため、後任講師配置を支援してください。
2.府内民族学級設置市(政令指定都市含む)と連携して、これまで培ってきた民族学級の取り組みを継承してください。
3.民族学級へのヘイトスピーチ事件が再発しないように、防止策を徹底するとともに、被害を受けた子ども達と保護者に対して心のケアなどの対策を確立してください。