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部落解放同盟大阪府連合会 議事要旨
団体名 | 部落解放同盟大阪府連合会 |
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応接日時 | 令和5年8月2日(水曜日) |
応接場所 | 国民会館12階 武藤記念ホール |
参加者 |
団体側
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府側
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議事要旨 | 大阪府の挨拶、団体側の挨拶に続いて、団体から要望項目について説明が行われ、本府から下記のとおり回答を行った。 |
回答骨子
【1】「部落差別解消推進法」の具体化と部落差別解消・人権行政の推進に関して
(要望項目)
- (1)「大阪府インターネット上の誹謗中傷や差別等の人権侵害のない社会づくり条例(以下「ネット上の差別等防止条例」という。)」の具体化等に関して
- 1)ネット・SNS上における「大阪府内の被差別部落の所在地情報」問題に関して、法務省見解(依命通知)をふまえ、あらためて府内各自治体との協力を得ながら「ネット上の差別等防止条例」に基づいてどのような対策を講じられるのか、大阪府としての考え方と方向性を明らかにされたい。
- 2)近年、インターネット・SNS上では、外国人のみならず、障がいのある者や生活保護受給者、野宿生活者などに対する「ヘイト行為」が頻発している。こうした「不当な一般化」により社会的・経済的マイノリティ等に対する誹謗中傷、偏見・差別をあおるネット上の差別行為等を抑止するための方策を検討されたい。
(回答)
大阪府では、いわゆる同和地区の所在地などの情報をインターネット上に流布させるような悪質な人権侵害情報については、人権擁護機関である法務局やプロバイダに対して、市町村と連携し、削除要請を行うとともに、このような情報の削除が進むよう、市町村への助言や研修等を実施しているところです。
昨年度開催した「大阪府インターネット上の人権侵害の解消に関する有識者会議」の意見を踏まえ、削除要請の範囲の拡充、発信者への助言及び説示の実施に向け、どのような情報が不当な差別的言動等に該当するかなど様々な課題について研究を進め、検討を行っているところです。
削除要請や説示及び助言に関する基本的な考え方については、その対象となる情報などを「大阪府人権施策推進審議会」において、審議いただきたいと考えています。
なお、これらの取組みを実施するにあたり、その根拠を明確にするため、条例の一部改正手続を進めてまいります。
(回答部局課名)
府民文化部 人権局 人権擁護課
(要望項目)
- (1)「大阪府インターネット上の誹謗中傷や差別等の人権侵害のない社会づくり条例(以下「ネット上の差別等防止条例」という。)」の具体化等に関して
- 3)「大阪府インターネット上の人権侵害の解消に関する有識者会議」とりまとめで示された提言等をふまえ、大阪府としての「ネット上の差別等防止条例」に基づく基本方針及び具体的な実施計画を策定されたい。
(回答)
大阪府では、府民が被害者にも加害者にもならないよう、インターネット上の人権侵害の解消に向けた施策を総合的に進めてきたところです。
今年度においては、有識者会議の意見を踏まえ、より実効性のある施策に向けて取り組みを進めているところです。
具体的には、新たな専門相談窓口の設置や、ターゲティング広告などの教育・啓発活動を推進していくほか、削除要請の範囲の拡充、行為者への説示及び助言の実施についても様々な課題について研究を進め、検討を行っているところです。
今後とも、条例に基づき取組みを進め、インターネット上の人権侵害の解消をめざします。
(回答部局課名)
府民文化部 人権局 人権擁護課
(要望項目)
- (2)「大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例(以下「規制条例」という。)」に関連して、下記の諸点について見解等を示されたい。
- 1)大阪府内の事業者が土地の取引等に関わって他県にある被差別部落の所在地情報を調べる行為に加えて、「被差別部落の所在地情報」を「尋ねる」「問い合わせる」「第三者に依頼する」等といった行為を抑止するために、規制条例第3条3項の努力義務を禁止規定へと改正を検討されたい。
(回答)
「大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例」第3条第3項では、府民の責務として、いわゆる同和地区があるかないかについて調査又は調査の依頼をしないように努めるよう定めており、府民一人ひとりが自らの課題として取り組むことをねらいとして努力義務としています。
府民がこうした地区について「尋ねる」などの行為については、条例の趣旨に反することになり、そうした場合は、当該行為者に対し、啓発を行っているところです。
今後とも、こうした啓発を行うとともに、広く府民に対し条例の周知を図ることにより、未然防止に努めてまいります。
(回答部局課名)
府民文化部 人権局 人権擁護課
(要望項目)
- (2)「大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例(以下「規制条例」という。)」に関連して、下記の諸点について見解等を示されたい。
- 2)「規制条例」に基づいて「差別につながる調査をしない・させない・許さない」と自主的・主体的に取り組んでいる一般社団法人大阪府調査業協会が果たすべき役割等について、あらためて大阪府としての基本見解を示されたい。同協会の会員拡大へ、関係機関と連携をとって積極的に働きかけられたい。
(回答)
大阪府調査業協会は、協会の会員に条例の遵守事項を遵守させるための規約の設定及び府への届出を行っている唯一の事業者団体であり、調査業の適正な運営と健全な発展及び不当な調査等の防止など、重要な役割を担っておられると認識しています。
現在、大阪府調査業協会に委託して、条例啓発業務や相談業務のほか会員だけではなく、広く府内すべての探偵業者を対象とした研修会を行っているところであり、今後とも、同協会の協力を得て、条例の適正かつ円滑な推進を図ってまいります。
(回答部局課名)
府民文化部 人権局 人権擁護課
(要望項目)
- (3)生成AIの普及に伴う人権リスクなど、高度情報・デジタル社会における「部落差別」解消にむけた取り組み強化に関わって、大阪府としての基本的な考え方と方針を明らかにされたい。
(回答)
ChatGPTの使用など生成AIの活用は、生産性の向上や業務の効率化、コスト削減などについて有効だと考えますが、その利用については、人権侵害につながらないよう配慮が必要です。
いわゆる同和地区の所在地を調べる行為は、「大阪府部落差別事象に係る調査等の規制等に関する条例」に規定する目的に反するおそれがあります。
さらに、生成AIにより入手した同和地区の所在地とされる情報をインターネット上に公開する行為は、人権侵害を助長・誘発するものであり許されません。そのため、こうした行為が行われた場合には、法務局やプロバイダに削除を要請してまいります。
(回答部局課名)
府民文化部 人権局 人権擁護課
(要望項目)
- (4)部落差別の解消、部落問題の解決のための施策の推進にあたっての基礎資料とするために、被差別部落の実態把握(生活実態、意識実態、差別事象)、当該自治体と連携をとった隣保館活動を通じた実態把握の実施を検討されたい。
(回答)
国においては、地方公共団体等や法務省の人権擁護機関が持っている事例を収集する方法により、部落差別の実態に係る調査(6条調査)が実施されました。
大阪府としても、国の調査結果を参考にするほか、差別事象の集約や人権相談事例の収集等により、部落差別の把握に努めてまいります。
隣保館では、地域住民からの日常生活上の困難な課題についての相談に応じるとともに、課題解決に向けて行政や社会福祉施設等の関係機関との連携に取り組まれています。
このような隣保館の活動は人権課題の解決や地域福祉の向上に大変重要であると認識しています。
引き続き、隣保館での相談事業を通じた、地域住民が抱える課題や相談傾向、支援事例等の把握に努めてまいります。
(回答部局課名)
府民文化部 人権局 人権擁護課
(太字部について回答)
福祉部 地域福祉推進室 地域福祉課
【2】「SNS調査(裏アカウント調査含む)」問題と公正な採用選考のあり方に関わって。下記の諸点について見解等を明らかにされたい。
(要望項目)
- (1)今日的な公正な採用選考・採用調査のあり方を検討する基礎資料とするため、求職者(新規学卒者及び一般求職者)を対象に「本人同意の手続き」に関する実態把握、あわせて経済団体等と連携をとって「採用調査の実態(SNS調査含む)」を把握されたい。
(回答)
SNS調査問題については、先の政策懇談会を踏まえ、本年6月に、学生の就職相談の要であるキャリアセンター担当者からなる「大阪府内大学等就職問題連絡協議会総会」において、「SNS調査問題に関する啓発・要請担当校」を新たに設置したところです。
また、総会後の研修会において、本人同意の手続きをはじめとしたSNS調査の問題点や課題について理解を深めていただくため、「公正採用選考とSNS(裏アカウント調査)」をテーマとする研修を実施するとともに、個別事象の把握等に向けて、アンケートを実施しました。
アンケートの結果、回答のあった42校中、40校が「SNS調査について学生から話を聞いたことがない」との回答でしたが、「相談を受けたことがある」と回答した大学が2校ありました。
今回、該当の2校は無記名であったため、詳細までは把握できませんでしたが、引き続き、新設した啓発・要請担当校と相談しながら、個別事象の把握について検討してまいります。
「採用調査の実態(SNS調査含む)」の把握については、大阪府や大阪労働局にこれまで求職者からの相談は寄せられていませんが、今後の相談状況も踏まえ、公正採用選考に共に取り組む国や経済団体等とも相談しながら、引き続き議論してまいります。
なお、国に対して、SNS調査の問題解消に向け、実態把握の実施をはじめ、個人情報の収集や第三者提供の同意のあり方等を定めたガイドラインの作成及び職業安定法や指針で禁止事項を定めること、求職者や学生への啓発を実施することを直接要望してきたところです。
SNS調査については、主に大学生の採用選考において問題化したものと認識していますが、高校生でも同様の事象が起こる可能性があります。同様の事象が生起したことを把握した際や「本人同意の手続き」が行われたことが発覚した際には、教育庁へ報告することを府立学校の教職員に対して周知したところです。
(回答部局課名)
商工労働部 雇用推進室 労働環境課
(太字部について回答)
教育庁 教育振興室 高等学校課
(要望項目)
- (2)「公正採用・雇用促進会議」のもとに「SNS調査」問題にかかわる研究会(仮称)を設置し「公正な採用選考・採用調査の在り方」に関して検討・論議を図られたい。
(回答)
SNS調査については、「公正採用・雇用促進会議」で、すでに意見交換をはじめており、今月開催する本会議においても議論する予定です。
研究会の設置については、SNS調査の問題点や検討すべき課題を整理したうえで、本会議の委員の意見も伺いながら検討してまいります。
(回答部局課名)
商工労働部 雇用推進室 労働環境課
(要望項目)
【3】戸籍等の不正取得に関わって、被害を受けた者に通知等の対応を行う「住民票の写し等の不正取得に係る被取得者への通知実施要領(仮称)」を、府内全自治体で策定するよう、大阪府として積極的に働きかけられたい。
(回答)
2021(令和3)年の栃木県の行政書士による住民票の写し等の不正請求事件を受けて、市長会・町村長会も参画した被害告知(本人告知)等に関する検討ワーキンググループを設置し、「被害告知に関する基本的な考え方」を取りまとめる予定です。
基本的な考え方の取りまとめの前に、市町村説明会を開催したところ、市町村より実施要領(ひな型)の策定を求める意見があり、現在「住民票の写し等の不正取得に係る被取得者への被害告知に関する実施要領(仮称)」を検討中です。
実施要領(ひな型)では、個人情報保護の観点から、裁判等で刑罰が確定する前であっても、懲戒処分等により不正と判断できるものを幅広く被害告知の対象とすることを検討しています。
早急に、この実施要領(ひな型)をワーキンググループでとりまとめ、今後、不正請求を抑止していくためにも、府内の全市町村でこの実施要領が策定されるよう働きかけてまいります。
(回答部局課名)
総務部 市町村局 行政課
府民文化部 人権局 人権擁護課
【4】「困難な問題を抱える女性への支援のための施策に関する法律(以下「困難女性支援法」という。)」の具体化に関して
(要望項目)
- (1)2023年度の国の予算を活用した困難女性への適切な支援の実施について、大阪府の取り組みの進捗状況を明らかにされたい。
(回答)
「困難女性支援法」第8条第1項において都道府県は基本計画を策定することとされております。また、令和5年3月には「困難女性支援法」第7条に基づく困難な問題を抱える女性への支援に関する基本的な方針(以下「国基本方針」という)が示されました。大阪府としましては、令和6年4月の法施行に向け、困難女性支援法および国基本方針に基づき、令和5年度中に基本計画を策定の上、様々な困難を抱えた女性への支援に関する取組みを進めてまいります。
(回答部局課名)
福祉部 子ども家庭局 家庭支援課
(要望項目)
- (2)困難女性の実態把握に関してどのような内容で実施したのか。困難女性の定義の明確化など「基本計画」にどのように反映されようとされるのか明らかにされたい。
(回答)
大阪府の基本計画については、「困難女性支援法」及び国の基本方針に基づき策定するものであるところ、「困難女性支援法」第2条では、支援の対象となる困難な問題を抱える女性について、「性的な被害、家庭の状況、地域社会との関係性その他の様々な事情により日常生活又は社会生活を円滑に営む上で困難な問題を抱える女性(そのおそれのある女性を含む。)」と規定されています。また「国基本方針」の「第2 困難な問題を抱える女性への支援のための施策の内容に関する事項 1.法における施策の対象者及び基本理念」において、困難女性の定義に関し、「法が定義する状況に当てはまる女性であれば年齢、障害の有無、国籍等を問わず、性的搾取により従前から婦人保護事業の対象となってきた者を含め、必要に応じて法による支援の対象者となる。」と記載されています。
基本計画の策定においては、有識者等による困難女性への支援に関する会議を設置し、「困難女性支援法」及び「国基本方針」に記載された困難女性の定義や基本理念をもとに、現行の「おおさか男女共同参画プラン(2021-2025)」の内容も踏まえつつ、ニーズの把握や支援体制、必要とされる支援の量や質の確保などについて検討してまいります。
(回答部局課名)
福祉部 子ども家庭局 家庭支援課
(要望項目)
- (3)女性の生活自立を支援する民間団体・機関等を対象に「困難女性支援法」に基づく支援等の活動に関する意向調査(仮称)を検討されたい。あわせて、民間支援団体から出された要望を具体化するため、民間支援団体との共同事業を実施されたい。
(回答)
「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律に基づく都道府県基本計画策定に向けた民間団体アンケート調査」を令和5年6月7日から同年7月5日までの期間において実施いたしました。今後、アンケート結果を踏まえ、困難女性への支援に関する会議において、民間支援団体との協働の在り方について検討してまいります。
(回答部局課名)
福祉部 子ども家庭局 家庭支援課
(要望項目)
- (4)各市町村に対して「基本計画(市町村計画)」を定めるよう働きかけられたい。
(回答)
「困難女性支援法」第8条 第3項において、市町村は国基本方針に即し、かつ府基本計画を勘案して、市町村基本計画を定めるよう努めるとされています。地域の実情に応じた困難女性への支援が一層推進されるよう、市町村に対し基本計画の策定を働きかけてまいります。
(回答部局課名)
福祉部 子ども家庭局 家庭支援課
(要望項目)
- (5)コロナ禍によって確実にDVが増加している現状をふまえ、「大阪府配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する基本計画(2022-2026)」について、これまでの取り組み状況と成果・課題を明らかにされたい。
(回答)
「大阪府配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する基本計画(2022-2026)」につきましては、現在、計画初年度である、令和4年(2022年)度における庁内各部局の取組実施状況の取りまとめ作業を進めているところです。取りまとめ作業が完了次第、大阪府ホームページにて公表を予定しています。
引き続き、関係部局と連携を図りながら、DVを防止するとともに、暴力の被害者が適切な保護や支援を受け、自立し安心して暮らすことのできる社会の実現と、計画に基づく諸施策の推進を通じて、人権尊重に対する意識が浸透した男女共同参画社会の実現に取り組んでまいります。
(回答部局課名)
府民文化部 男女参画・府民協働課
【5】第5期大阪府地域福祉支援計画の改定にあたり、下記の諸点について見解等を示されたい。
(要望項目)
- (1)現行計画「第4期大阪府地域福祉支援計画(中間見直し版)」に記載されている内容からの改定にあたり、下記の点を補強されたい。
- 1)部落差別の解消と部落問題の解決の視点を位置づけるため「第一章 地域福祉の理念 3.地域福祉とは」等において「被差別部落出身者」とあらためて明記されたい。
(回答)
第5期大阪府地域福祉支援計画の改定にあたり、現在、大阪府地域福祉推進審議会地域福祉支援計画推進分科会(以下「分科会」といいます。)で、市町村の地域福祉の推進に向けた必要な支援を広域的な観点から、審議いただいているところです。
地域福祉を推進していく上で、同和問題など社会的差別解消の視点は不可欠なものであると認識しており、分科会の審議を踏まえつつ、ご要望につきまして検討してまいります。
(回答部局課名)
福祉部 地域福祉推進室 地域福祉課
(要望項目)
- (1)現行計画「第4期大阪府地域福祉支援計画(中間見直し版)」に記載されている内容からの改定にあたり、下記の点を補強されたい。
- 2)「同章 4.地域福祉推進の原則」の「(1)人権の尊重と住民主体の福祉活動」において、今日、様々な人権問題が存在していること、こうした人権問題解決の取り組みも「地域生活課題」として位置づけて取り組むことが重要である旨についてあらためて強調されたい。
(回答)
現行の地域福祉支援計画において、「地域生活課題」は、福祉に関する課題のみならず、保健医療、住まい、就労及び教育、孤立、人権などに関する課題としており、次期計画におきましても、この認識のもと、人権問題を含む「地域生活課題」の解決に市町村がより一層、取り組めるよう検討してまいります。
(回答部局課名)
福祉部 地域福祉推進室 地域福祉課
(要望項目)
- (2)「重層的な包括支援体制の整備」に関わって、日常生活圏域等で「孤立や孤独」「貧困」等を解消しようと取り組まれる地域福祉活動と、重層的支援体制整備事業を活用し「参加支援」「地域づくり支援」など社会的に包摂する取り組みが連動することが重要と考えるが、大阪府としての基本的な考え方を明らかにされたい。
(回答)
「孤立や孤独」「貧困」等の地域生活課題の解決に向けて、日常生活圏域等で取り組まれております地域福祉活動が、重層的支援体制整備事業における「参加支援」「地域づくり支援」と連動することで、住民に身近な圏域と市町村域の双方のセーフティネットが充実されていくものと認識しています。
(回答部局課名)
福祉部 地域福祉推進室 地域福祉課
(要望項目)
- (3)子どもが日常的に家族の介護や世話を担う「ヤングケアラー」に関して、大阪府教育庁が府立高校の全生徒を対象に実施した調査で10人に1人、そのうち約4割が「ほぼ毎日」との結果が明らかとなった。全府立高校にSSWの配置を検討されたい。常態化し「当たり前」として自覚なくヤングケアラー状態におかれている子どもも存在する。「ヤングケアラー」とはどのような支援等を必要とする子どもなのか(基準)、早期発見や予防的支援など、ヤングケアラー問題に対する具体的な方針等について、改訂計画に反映されたい。
(回答)
令和4年度に実施した大阪府教育庁独自の調査の結果、ほぼ全校にヤングケアラーが在籍しているという実態が明らかになったことから、その支援にかかる取組みの充実は課題であると認識しております。
そのため、家族の世話等で悩み等を抱えている全ての生徒に対応ができるよう、今年度は高等支援学校5校、府立中学校2校及び府立高校103校にSSWを配置したところです。
また、府立学校向けSSW定期相談会の開催や、SSW未配置校へのSSWSVの定期巡回、深刻な事案や緊急的な事案に対してSSWSVを活用することにより、すべての府立学校が相談したいときに専門家に相談できる体制を構築しています。
今後ヤングケアラーの把握を進めていく中、全ての生徒に必要な支援を届けていくためには、より一層、教育と福祉との連携を強めていくことが重要であると認識しています。
福祉行政との連携については、昨年度より、福祉部が事務局として主催する部局横断的な「ヤングケアラー支援関係課長会議」に出席し府立高校におけるヤングケアラーの実態調査の結果や今後の取組みの方向性について情報共有等を行っています。
ヤングケアラーについては、第4期大阪府地域福祉支援計画の中間見直しにおいて、新たに位置付けたところであり、引き続き取組むべき重要な課題として認識しています。
大阪府としては、「ヤングケアラー支援推進指針」を令和4(2022)年3月に策定し、福祉や教育の関係機関が連携しながら早期に発見し適切な支援策につなげていくこととしております。
このことから、ヤングケアラーに気づき、世帯が必要とする様々なニーズを把握して支援につなげるため、本年3月に国から示された「ヤングケアラー気づきツール」や「アセスメントツール」を活用した研修を市町村担当職員やSSWなどを対象に実施しているほか、支援事例集を作成するなど様々な取組みを進めており、引き続き取組んでまいります。
(回答部局課名)
教育庁 教育振興室 高等学校課
(太字部について回答)
福祉部 地域福祉推進室 地域福祉課
福祉部 子ども家庭局 子ども青少年課
(要望項目)
- (4)隣保館等を核に人権問題解決の取り組みを地域生活課題の一つとして地域福祉活動から、社会参加支援や地域づくりなど「重層的な包括支援体制の取り組み」へとつなげていくため、当該自治体の協力を得ながら「隣保館相談・支援を通じた実態把握(仮称)」を検討されたい(一部再掲)。
(回答)
隣保館は、地域福祉の向上や人権尊重のコミュニティづくりの拠点として、相談事業等を通じて、日常生活上の困難な課題等の把握や解決に不断に努められており、重層的支援体制整備事業の実施にあたり重要な役割を果たす機関であると認識しています。
大阪府としましては、重層的支援体制整備事業の推進にあたって、市町村に対し、社会参加支援や地域づくりの参考となりますよう、隣保館等のこれまでの取組みを把握し、次期計画への反映を検討してまいります。
(回答部局課名)
福祉部 地域福祉推進室 地域福祉課
【6】すべての人が、人間の尊厳と人権を尊重し、国籍、民族等の違いを認めあい、ともに暮らすことのできる共生社会の実現―「改正大阪府在日外国人施策に関する指針(以下「指針」という。)」の具体化に関連して
(要望項目)
- (1)2021年に在日コリアンの男性(特別永住者)が銀行口座の開設申し込みの際に、特別永住者証明書や在留カード(外国人登録証)の提示を求められたことに対し「外国人差別だ」として、今年3月、日本弁護士連合会に人権救済申立書を提出した。「指針」をふまえて、大阪銀行協会などの関係団体に働きかけるなど、当事者本人の尊厳を確保した社会活動・生活関連の手続き等のあり方・ルールの共有化を図られたい。
(回答)
大阪府では、平成14(2002)年に策定し、本年3月に改正した「大阪府在日外国人施策に関する指針」に基づき、在日外国人施策を総合的に推進しているところです。
このたびの、特別永住者の方が人権救済の申し立てをされた事案については、国の所管業務であり、府としては、この事案の今後の状況を注視してまいります。
(回答部局課名)
府民文化部 人権局 人権擁護課
(要望項目)
- (2)国内に住所を持つ外国人宿泊者に対し「本人確認のため」と在留カードの提示やコピーを求められるケースが多くみられる。「Expo2025大阪・関西万博」を控え、「指針」に示された目標を具体化していくため、香川県の事例を参考に、大阪府としても毅然とした姿勢を表明し、府内の全宿泊業者に周知を徹底されたい。
(回答)
旅館業法及び同法施行規則等により、営業者は宿泊者名簿を備え、宿泊者の氏名、住所、職業に加え、「日本国内に住所を有しない外国人」の場合は、国籍及び旅券番号を記載し、旅券の提示を求め、写しを保管することが必要ですが、日本国内に住所を有する外国人は旅券番号の記載や旅券の呈示等は不要となっています。
大阪府のホ-ムページにおいて、宿泊者名簿の記載徹底を周知していますが、日本国内に住所を有する外国人の場合は、旅券番号の記載や旅券の呈示等が不要であることを明記し、併せて周知しているところです。
今後ともホームページや宿泊者名簿に関するチラシを活用し、周知してまいります。
(回答部局課名)
健康医療部 生活衛生室 環境衛生課
(要望項目)
【7】地域雇用対策の強化に関わって。物価上昇等により、年金だけでは生活が苦しい人たち、とくに後期高齢者の人たちが増えてきている。就労を軸とした生活自立を支える意味でも「地域就労支援センター」および「シルバー人材センター」の役割はますます重要である。「業務の切り出し」等による軽作業業務の雇用創出などの地域雇用対策の強化、シルバー人材センター関係者に対する部落問題研修・人権研修の充実・強化を積極的に働きかけられたい。
(回答)
地域就労支援センターでは、住民に身近な場所にあるという特性を活かし、高齢者をはじめ、就職困難者から就職に関して幅広い相談を受けており、必要に応じ地域の専門機関からなる市町村個別ケース検討会議を開き対応しています。センターでの対応が困難な場合は適切な支援機関へ誘導することとしており、職場体験などの支援を行う「就職困難者に対する就労支援事業」を紹介するなど、一人ひとりの状況に応じた支援に努めているところです。
また、大阪府内にはシルバー人材センターが43箇所あり、各センターの活動を支援する大阪府シルバー人材センター協議会が設けられています。大阪府では、大阪府シルバー人材センター協議会を通じ、各センターの「業務の切り出し」を含めた就業の場の開拓・確保等や、職員を対象とした各種研修を支援するなど、地域における高齢者の就業機会の拡大を支援しているところです。
各センターにおける関係者に対する人権研修等については、大阪府シルバー人材センター協議会を通じて充実・強化が図られるよう働きかけてまいります。
(回答部局課名)
商工労働部 雇用推進室 就業促進課
【8】統一自治体選挙を機に「大阪府の高校授業料完全無償化」の制度化にむけた論議が行われている。「経済的理由により進学を断念せざるを得ない生徒を生み出さない」観点から、公立・私立の学校間で、あるいは進学希望校が制限されるなど、不公平とならないよう十分配慮されたい。
(回答)
本府では高校進学段階において家庭の経済的事情にかかわらず自由に学校選択できる機会を保障するため、高校等の授業料無償化制度を実施しています。
本年5月、「大阪の全ての子どもたちが、所得や世帯の子どもの人数に関係なく、自らの可能性を追求できる社会の実現や、子育て世帯の教育費負担を軽減し子育てしやすいまち・大阪の実現に向けて、高校等授業料の完全無償化をめざす」とする制度拡充の基本的方向性(素案)を策定したところです。
本年8月中の制度成案化を予定しており、私立高校等の意見も伺いながら、制度内容を検討してまいります。
府立高校においては、各校の募集人員について、地域ごとに高校や中学校等の意見を聞きながら検討することとしており、最終的に公立高校と私立高校との募集人員をあわせて、府内公立中学校の進学予定者のすべてが受け入れられるように設定しています。
また、大阪府学校教育審議会に「府立高校改革の具体的な方向性とそれを踏まえた入学者選抜制度のあり方について」を諮問したところです。中学生や保護者のニーズに一層応えていけるよう府立高校のあり方について、審議会での審議を踏まえながら、今後、研究してまいります。
(回答部局課名)
教育庁 教育振興室 高校教育改革課
教育庁 教育振興室 高等学校課
教育庁 私学課
【9】リバティおおさかが所蔵する人権関係資料の積極活用に関して
(要望項目)
2022年8月、リバティおおさかから公立大学法人大阪に対し、収蔵資料の寄贈について提案がなされ、条件が整えば資料を受け入れ、保存・展示・活用する旨の大学からの回答をふまえ2023年3月、財団と大学で合意に達した。現在、資料の保存・展示・活用策について、大学と財団による協議が進められているが、2024年度には結論が得られるよう、検討を加速させる必要がある。大阪府においても、その実現に向け、大阪公立大学の共同設置者として、大阪市と連携し、積極的に支援を行われたい。
(回答)
現在、大学、財団の実務者で構成する「リバティおおさか資料移管協議会」を設置し、資料の目録化の方法や保存に必要な施設規模、設備等、受入れにあたっての具体的な協議を進めています。
府としても、収蔵資料を大学で活用することは、次世代を担う若者への人権問題についての意識を高めるとともに、大学の教育・研究機能の一層の強化・向上につながると認識しており、引き続き、大阪市とも連携しながら、2024年度には結論が得られるよう、しっかり支援してまいります。
(回答部局課名)
府民文化部 府民文化総務課