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障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議 要望書(1)
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要望受理日 | 令和5年6月19日(月曜日) |
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団体名 | 障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議 |
取りまとめ担当課 | 府民文化部 府政情報室 広報広聴課 |
表題 | 要求書 |
要望書
要求書
2023年6月17日
大阪府知事 吉村 洋文 殿
障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議(障大連)
貴職におかれましては、障害者の自立と社会参加の推進に日々尽力しておられることと存じます。
私達、「障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議」(障大連)は、1980年に府下の障害者団体、親の会、労働組合、民主団体が集まり結成され、障害者自身の立ち上がりを基礎に、すべての障害者の自立と完全参加をめざし活動を進めてまいりました。
2020年から始まった新型コロナ禍は今年で4年目に入り、この間、全国で3千数百万人もの多数の人が感染し、大阪府内の死者は全国の1割超に及ぶ全国最多の状況となっています。障害福祉の各現場でも多数の障害者・従事者が感染し、中には容体が急変して亡くなられた方もいます。あちこちで何十人もの大規模クラスターが発生し、連日連夜の容体観察や支援体制の組み替えなど、どの団体も非常に困難で大変な状況をくぐり抜けてきました。今年5月8日からは感染症法での位置づけが2類相当から5類に移行されたことによって、従来の感染対策や仕組みが軒並み廃止・縮小されていますが、ウイルスがなくなった訳でも感染力が低下した訳でもなく、障害福祉現場では引き続き感染防護に十分注意しながら、日々の暮らしを支え続けていかなければなりません。感染が完全に収束するまでの間、行政として福祉や医療の現場をしっかりと支え続けていくために、必要な対策やかかり増し経費への補助等は継続していただきたいと思います。
また障害者は元々基礎疾患があったり心肺機能が弱い人も多く、容体の急変、重篤化するケースも多くありましたが、医療機関の逼迫により入院させてもらえない状態にたびたび陥りました。5月以降の医療提供体制では「外来対応医療機関で受診、入院は原則、医療機関間による調整」とされていますが、感染の拡大時においても果たして速やかな入院が可能であるか大いに不安です。感染が収束するまでは、医療機関間で調整が難しい場合には、保健所や移行期入院フォローアップセンターで調整する仕組みの継続が必要です。またコロナ禍においては、医療機関も大変だったとは思いますが、障害者が入院した場合、院内での支援者の付き添いが一切認められなかったこともあって、不適切な対応や虐待事例が相次ぎました。そのような事態を決して引き起こすことのないよう、今後は支援者の付き添いを認め、障害の理解を更に深めるよう医療機関に働きかけていただきたいと思います。
国では今年、来年度からの障害福祉サービス等の報酬改定に向けて、報酬改定検討チームが立ち上げられ団体ヒアリングを皮切りに検討が始まりました。特に2021年から始まった総合支援法の見直し議論では、「グループホームの再編問題」が大きな課題となり、いよいよ来年度からの省令改定に向けて新類型として通過型グループホームを導入するか否かや、個別ヘルパー利用の存続を巡る議論が進められることになります。個々の障害者にとっての「住まい」であるグループホームに、訓練施設のような「通過型」の類型を設ければ、グループホームのあり方そのものを変貌させてしまう危険性があるため、導入すべきではありません。また、グループホームでの個別ヘルパー利用については、2006年の自立支援法施行時に一旦打ち切られて大変な状況に陥り、2007年度からすぐに再開されたものの、その後ずっと3年ごとの経過措置扱いとされてきました。今回の省令改定では必ず「従来水準を維持したまま恒久化」されるよう、国に対して強く働きかけていかなければなりません。
またグループホームを巡っては近年、営利目的の事業所の参入が急増してきたことを背景に、全国的には20人以上の大規模グループホームが急激に増えています。大阪府では2010年に定めた「グループホームは10人まで」とする指定方針により、10人超えのホームの新設は何とか食い止めてきましたが、それでもこの間、1法人が法人名を変えて2から3棟併設・合築する事例など、狡猾に指定方針をすり抜ける例も現れてきたことから、複数法人による併設・合築事例も含めて、事業所指定時のチェックを更に強化していかなければなりません。
昨年の障害者権利条約の対日審査では「脱施設化」が厳しく勧告されていますが、厚労省は脱施設化の方向にカジを切ろうとはせず、大阪府でも今なお「何十年もの長期入所、一生施設の状態」が続いています。私達はここ数年来、入所施設での長期入所状態を解消し、地域の緊急ケースの一時的な受入れを進めることも想定して、今後、施設を「通過型・循環型」にしていくことを提起し、今年3月に府が作成した施設のあり方の提言「地域における障がい者等への支援体制について」では、今後、入所施設に3つの機能(集中支援機能、生活支援機能、緊急時生活支援機能)を設けて、施設入所を有期限化し、地域の緊急ケースの一時受入れを進める方向性がようやく示されました。しかし、今年検討されている府の第7期障害福祉計画の地域移行・施設入所者削減の数値目標は国が示した目標よりも低く、府が本気で地域移行を進めていくつもりか強い疑問を抱かざるを得ません。
重度化・高齢化の課題については、各地域で8050問題や生活困難事例がますます増えており、地域生活支援拠点機能の強化や重度障害者等の受け皿、相談支援事業の基盤強化などが待ったなしの課題となっています。特に相談支援については指定事業所がなかなか増えず、相談員1人事業所も多い中、大阪はセルフプラン率が全国で最多の状況にあり、今後の地域移行の推進、拠点機能の強化に向けて一層の基盤強化策が求められています。また高齢化の課題では介護保険との併給時のトラブルが更に相次いでおり、単位数の関係で入浴もさせてもらえないなど虐待とも言える問題も発生しています。
障害者への差別・虐待事例については、府の差別解消条例が2021年度から改正され、国に先んじて「事業所における合理的配慮」が義務化されましたが、民間・公営住宅での入居差別や、保育所・幼稚園での利用拒否等の差別事案が発生しており、それぞれの業種において「どんな場面で差別が起きやすいか、どんな合理的配慮を実施すべきか」ということを更に具体的に啓発し、差別を未然に防いでいかなければなりません。また平穏に暮らしてきたグループホームがマンション住民から退居を求められた裁判では、昨年1月に退居判決が下され、今年も控訴審で反論し続けているところですが、一方でグループホームや障害者の地域生活について、一層の社会的な啓発活動が必要と言えます。
旧優生保護法による強制不妊手術の問題では、一時金支給法施行から4年余り経過しましたが、一時金認定者は大阪府では被害者全体のたった2%に過ぎず、一時金請求期限が来年4月23日に迫る中、国に法改定を働きかけることと併せて、一人でも多く被害者を掘り起こし救済につなげるよう、今年、更に大々的な周知啓発活動や医療機関・福祉施設への再調査を実施するなど、あらゆる手立てを講じていかなければなりません。また障害者権利条約では、インクルーシブ教育を更に推進し分離教育を終わらせるよう強く勧告されていますが、府では新たに支援学校が増設されようとしており、交通課題でもコロナ禍も影響して無人駅が更に広がるなど、バリアフリー化に逆行した状況となっています。「権利に関わる問題」としてこうした動きにしっかりと歯止めをかけていかなければなりません。
大阪府では今年第7期障がい福祉計画の策定ならびに第5次大阪府障がい者計画(令和3年度から令和8年度)の中間見直しに向けた議論が進められる予定です。第5次計画では、障害者が存在を脅かされることなく、差別を受けたり嫌な経験をすることなく、誇りと尊厳を持って社会を構成する一員として、当たり前に生きていける地域を育んでいくために、施策横断的な共通課題として「地域を育む」という章が新たに設けられました。権利条約で強調されている「脱施設化」の推進に向けて、施設のあり方の提言内容の具体的な展開、重度化・高齢化にも対応しうる強固な地域基盤づくりに向けて、「地域を育む」の章でより具体的な施策や仕組みを明確に打ち出していくことが必要です。
以上の認識に立ち、以下各課題について要求いたします。
障害者施策全般に関する要求項目
- 来年度からの障害福祉サービスの省令・報酬改定全般について
国で今年検討される2024年度からの省令・報酬の改定について、重度化・高齢化の進展を理由に重度障害者の支援の合理化・効率化ならびに中軽度者の報酬単価の切り下げを決して行わないよう、国に強く働きかけること。また収支差率だけで儲けがあるかどうかを一律に判断し報酬単価を決定することのないよう、各事業所での利用者の障害程度や支援の必要性、生活の質と必要となる支援体制等と合わせて、きめ細かく分析して検討するよう求めること。 - 団体応接の持ち方について
大阪府と我々の団体応接は過去30年以上に渡って、障がい福祉室からは各課長が出席してきたが、一昨年度から何の説明もなく一方的に課長が全員欠席するようになった。障がい福祉室は、課長補佐が一番制度に精通していることを理由に課長の出席を拒否しているが、課長が出席してはならないとする理由にはなっておらず、また何よりも各課長が真摯に当事者の生の声を直接聞くところから課題を検討しようとしない姿勢は、障害福祉行政として重大な問題があると考える。
各課長は施策の実施責任の立場にあり、障害当事者の声を直接聞くところから制度・政策を検討する姿勢を決して放棄することのないよう、今年度以降、必ず課長が出席するよう改めること。 - 新型コロナウイルス感染への対応について(主に保健所、入院調整、かかり増し経費の課題)
5月8日からの5類感染症への移行に伴い、従来の感染対策や仕組みが軒並み廃止・縮小されているが、ウイルスがなくなった訳でも感染力が低下した訳でもないことから、感染が完全に収束するまでの間は、必要な対策や仕組みを継続すること。
特に、障害福祉現場では密集した空間で、密な接触を伴う介護・支援が多く、障害特性上マスク着用できない人もおられることから、一気に感染拡大しやすいこと、また障害者が感染した場合、容体の急変により重篤化・死亡するケースがあったことをふまえ、今後も引き続き「速やかなPCR検査」や「各保健所、府入院フォローアップセンターによる入院調整」を継続すること。
各障害福祉現場では引き続き消毒、換気、マスク等の感染防護の継続、ならびに感染した障害者への支援に対しては危険手当、宿泊費等の保障が必要となるため、かかり増し経費への助成である「サービス継続支援事業」は感染完全収束までの間、継続するよう国に強く働きかけるとともに、府内全市町村で実施継続されるようにすること。 - 大阪府立福祉情報コミュニケーションセンターについて
福祉3センター等の統合移転により設置された府立福祉情報コミュニケーションセンターについて、駐車場(4台分)では決定的に足りないことは最初からわかりきっていたことであり、設計段階から問題を訴えてきたところであるが、未だに何ら改善がなされていない。現状では最大で10台程度も詰め込むため、出庫のたびに持ち主を探して車を移動してもらわなければならず、特に管理者のいない18時以降は不都合が生じている。
「障害者差別解消法における環境整備」の一環として、府の責任において隣接する府有施設用地の共同利用や府が近隣の民間駐車場を借り上げることも含めて直ちに現状を改善すること。
介護に関する要求項目
今年5月から新型コロナ感染症が2類相当から5類へと位置づけが変更されたことに伴い、医療をはじめ障害福祉サービスにおいても、これまでの支援策が軒並み縮小・廃止されました。しかし、感染者は未だ相当数発生しており、障害者や同居家族、職員が感染した場合、常時欠かすことのできない介護の現場では、支給時間数の不足やヘルパーの確保等大きな負担となるため、公的なバックアップを継続することが必要です。また、この間、障害者が感染あるいは別の疾患で入院した時に、慣れたスタッフによる支援や介助が受けられず、院内で適切なコミュニケーションが取れずに、虐待とも言える不適切対応や事故が数多く発生しました。外部からの院内感染を防ぎながらも、院内で必要な支援が受けられるようにするとともに、病院スタッフへの障害の理解等に関する啓発が必要です。
また夜間支援の問題では、2021年に厚労省から「手待時間も労働時間であり支給決定すべき」と通知されましたが、府内市町村では手待時間は対象とされず、直接的な身体介護を行った時間だけ支給決定している所が多くあり、国への国庫負担基準の見直し要求と併せて、市町村に対して法令順守の徹底を求めていかなければなりません。またこの間の重度化・高齢化の進展や、重度障害、行動障害での地域移行等の取組が進む中、重度訪問介護の利用ニーズが高まっており、支給決定時間数等、未だに大きく残る市町村格差を是正していくことがますます求められています。
この間、国が制度化した「雇用と福祉の連携による就業支援」や「大学修学支援」については、実施市は極めて少なく、実施されている市町村でも不当な制限や過重な利用料を課していたりします。また、通学の支援や移動支援でも大きな市町村格差が残されており、府内どこに住んでいても必要なサービスを必要なだけ利用できるよう、市町村に対する府の毅然とした働きかけが求められます。
また介護保険との併給については、国から「一律に介護保険を優先するのでなく個々の状況により適切に判断。介護保険で不足する場合は障害福祉サービスを支給すること」と何度も通知されているにも関わらず、不当に制限する市町村が多く残っています。特に盲ろう者など介護保険での対応が困難な場合は決してサービス利用を失うことのないよう、積極的に障害福祉サービスを継続すべきです。
以上の認識に立ち、以下要求します。
- コロナ感染対策について(主に介護での課題)
コロナの感染者発生により通所先が閉所・通所制限を行った場合あるいは単身障害者や同居家族が感染した場合、今後も支給決定時間の緊急の上乗せ等を行うよう市町村に要請しておくこと。
また単身の障害者が感染し入院を希望する場合や、容体の急変の危険性がある場合は、各保健所や入院フォローアップセンターが速やかに入院調整を行うよう周知徹底しておくこと。 - 障害者の入院時の問題
- (1)この間のコロナ禍では入院時の障害者への付き添いが拒否され、院内でご飯への錠剤ふりかけや骨折・窒息、トーキングエイドの取上げなど虐待とも言える不適切対応が相次いだことから、全病院に対して院内での重度訪問介護や入院時コミュニケーションサポートの利用を勧奨するとともに、不適切な対応を決して行わないよう、障害の理解を進める啓発資料を作成・配布し、医療スタッフに対して障害者とのコミュニケーションや介護方法についての研修も進めること。
- (2)入院時の重度訪問介護の利用について、国に対して区分4以上を対象とするよう求めるとともに、府内全市町村に対して入院時サポート制度を実施するよう強く働きかけること。
- 通勤・勤務・通学の保障について
- (1)「雇用と福祉の連携による障害者就業支援」について、利用を希望する障害者が速やかに利用できるよう、早急に制度実施するよう全市町村に働きかけること。また実施市によっては「勤務先と介護事業所が同一法人である場合は利用できない」「働いて過重なお金を負担させられる」等の問題が生じていることから、当該市に早急に是正するよう強く働きかけること。
更には雇用と福祉にまたがる制度であるため、介助内容によって仕分けが必要となるなど事務が煩雑であり、国に対して重度訪問介護等、個別給付一本で利用できるよう見直しを求めること。 - (2)大学修学支援について、入学時からスムーズに利用するために、全市町村に対して早急な制度実施を働きかけるとともに、府市の障害福祉と教育部局が連携して、高校在学中の早い段階から利用予定者を把握し、本人への制度周知や大学側での事前準備について周知啓発を進めること。
- (3)小中高の障害児の通学支援について市町村格差が大きいため、障害と教育部局が連携して教育の通学支援事業や福祉の移動支援の活用等により、全市町村で通学を支える制度を設けること。
- (1)「雇用と福祉の連携による障害者就業支援」について、利用を希望する障害者が速やかに利用できるよう、早急に制度実施するよう全市町村に働きかけること。また実施市によっては「勤務先と介護事業所が同一法人である場合は利用できない」「働いて過重なお金を負担させられる」等の問題が生じていることから、当該市に早急に是正するよう強く働きかけること。
- 長時間介護の支給決定時間数の問題
- (1)国が労基法令に基づいて示した夜間支援Q&A「労働時間として取り扱わなければならない手待時間も報酬の対象とすべき」に従い、府内市町村に対して、泊まり介護でコールに対応するために待機している手待時間の時間数も、必ず支給決定するよう強く働きかけること。
なお、現行の重度訪問介護の国庫補助基準には、泊まり介護での手待時間が加味されていないため、各市町村で確実に上乗せできるよう、来年度からの改定に向けて、現行基準とは別に「夜間介護における基準額」を新たに設けるよう、国に厳しく要求すること。 - (2)重度障害、強度行動障害、医療的ケア、重度心身障害のケースに対して、どの市町村でも適切に支給決定されるよう、市町村に具体例を示して強く働きかけること。とりわけ強度行動障害のある人等については、個別対応や見守り等で必要な時間数を保障するよう働きかけること。
- (1)国が労基法令に基づいて示した夜間支援Q&A「労働時間として取り扱わなければならない手待時間も報酬の対象とすべき」に従い、府内市町村に対して、泊まり介護でコールに対応するために待機している手待時間の時間数も、必ず支給決定するよう強く働きかけること。
- 介護保険との併給問題
- (1)介護保険の併給に際して、各市町村で不当な条件づけや障害福祉サービス利用についての制限等の問題が相次いでいることから、国の通知等をふまえ、府市の介護保険と障害福祉担当とで、「介護保険併給によってサービスの引き下がりや、通所先の変更を強制される等の不都合を生じてはならないこと」を確実に共有し、トラブルを回避するよう市町村に周知徹底しておくこと。
併給トラブルの未然防止に向け、介護保険と障害福祉担当、介護事業所、相談支援・ケアマネ事業所が、両制度の違いや適切なケアプラン作成まで確実に理解できるよう研修を強化すること。 - (2)盲ろうや強度行動障害、医療的ケア等の障害状況・障害特性によって、ケアマネ・介護保険事業所での対応が困難である場合は、サービスが利用できなくなることを回避するために、引き続き障害福祉サービスで対応可能であることを、市町村に対して周知徹底すること。
- (1)介護保険の併給に際して、各市町村で不当な条件づけや障害福祉サービス利用についての制限等の問題が相次いでいることから、国の通知等をふまえ、府市の介護保険と障害福祉担当とで、「介護保険併給によってサービスの引き下がりや、通所先の変更を強制される等の不都合を生じてはならないこと」を確実に共有し、トラブルを回避するよう市町村に周知徹底しておくこと。
- 移動支援の利用制限の見直し
次期報酬改訂に向けて国に対して個別給付化を強く求めるとともに、未だに市町村格差のある下記課題について、府として文書で「利用の必要性」を示し、市町村に早急な是正を働きかけること
「宿泊旅行でのホテル内介護」「日中活動前後の利用(三角形ルールの適用や通院等介助の併用)」
「電動車いす利用者の利用」「重度化・高齢化にも対応した二人介護」「自転車での併走」
「グループホーム入居者の月3回以上の通院での利用」「入所施設での移動支援利用の拡充」 - 盲ろう者の通訳・介助、高齢化課題への対応について
- (1)次期報酬改定に向けて、引き続き国に対して通訳・介助制度の個別給付化を求め、日中活動も含め場面を問わず利用できる長時間の通介制度や高齢化対応での二人派遣の実施を求めること。
国が二人派遣を認めるまでの間、府では通介制度での二人派遣の利用拡大や、少なくとも通介と同行援護や重度訪問介護等の併用による二人介助を積極的に進め、事故を防止すること。 - (2)通介制度を利用する盲ろう者は60才以上が既に80%近くに達しているなど、急速に高齢化が進んでおり、つまずき・転倒等も多く発生していることから、改めて全利用者への状況調査を実施し事故を未然に防ぐこと。また介護保険との併給では長期に渡り入浴させてもらえなかった事例や、コミュニケーションの関係で盲ろう者の介助に入ってくれる事業所が少ないことなどが課題となっている。盲ろう者の介助に入る事業所を確保するために簡単なコミュニケーション方法や適切なケアプランの作成について、友の会とも連携して事業所への啓発研修を実施すること。
- (1)次期報酬改定に向けて、引き続き国に対して通訳・介助制度の個別給付化を求め、日中活動も含め場面を問わず利用できる長時間の通介制度や高齢化対応での二人派遣の実施を求めること。
グループホーム等に関する要求項目
障害者権利条約にもとづく国連の総括所見では、施設収容を廃止するため、予算配分を入所施設から地域社会で他の人と対等に自立して生活するための手配と支援に振り向けることが示されました。しかし国内では、1989年にグループホームが制度化されて30年以上が経過し、数字の上では施設入所者を上回っていますが、新規ホームの7割を営利法人が占め、大規模ホームや日中支援型が急増し、「グループホームの施設化」に歯止めがかからない事態となっています。厚労省も、「近年、障害福祉サービスの実績や経験があまりない事業者の参入が多く見受けられ、障害特性や障害程度を踏まえた支援が適切に提供されないといった支援の質の低下が懸念される」と、指摘しています。
昨年10月の臨時国会において総合支援法が改正され、グループホームの定義に、一人暮らしへの移行や移行後の定着の支援が盛り込まれましたが、多くの反対の声を背景に、「福祉からの卒業として一人暮らし等への過度な誘導につながらないよう、新たなグループホームの類型の創設については丁寧に検討し、本人の意思を尊重して個別に必要な支援が適切に提供されるようにすること」との決議が附帯されました。通過支援は個人単位で、当事者のニーズにそって取り組まれるべきもので、通過支援に特化したグループホームの創設に、私たちは反対です。
大阪でもこの数年、レトルトの食事、入浴回数の制限など、地域のくらしとは程遠いグループホームの実態が明らかになっています。また、募集における重度者排除、入居後も支援がたくさん必要とわかると追い出される、安易に事業を廃止する、と言ったことさえまかり通っています。グループホーム追い出し裁判や、あいつぐコンフリクト問題も、このようなグループホームの施設化と不可分です。また、ひとつの土地や建物において複数法人で申請する事例や、複数法人を偽装して申請する事例など、大阪の指定方針の「悪質なすり抜け」が後を絶ちません。また昨年は、箕面市が大規模グループホームのニーズを聞くアンケートを実施、行政が大規模化を誘導しかねない問題まで起こりました。グループホームの大規模化=施設化に歯止めをかけ、障害者権利条約に見合う大阪の脱施設の基盤づくりをすすめるため、第5次大阪府障がい者計画が掲げる地域生活支援・地域移行の推進への大阪府下全域の課題として、「指定方針」を堅持し、地域の小規模なグループホームを拡充する具体的な方策を強化すべきです。
以上の認識に立ち、以下要求します。
- 2024年の報酬改定にむけた国への要望について
- (1)国に対し、一人暮らし支援に特化した通過型創設には、障害当事者やグループホーム事業者から、たくさんの強い反対の声があることをしっかり伝えること。また、「一人暮らし等への過度な誘導」や、通過型への構造的誘導にもつながりかねない拙速な新類型創設を行なわないよう、国と充分な協議を行うこと。
- (2)通過型創設によってグループホームを訓練の場とするのでなく、一人暮らし支援のための地域の多様なしくみづくりや、グループホームのサテライト型の年限撤廃などを求めること。また、ていねいな入退居支援を行なえるよう、地域移行特別加算の在宅からの入居支援への拡充や、自立生活支援加算の拡充をすすめること。
- (3)グループホームにおける個別ヘルパー利用が廃止されることのないよう、16大都道府県などと連携し、恒久化ならびに、充分な支給決定が行われるよう、国に強く求めること。
- (4)感染症対策とも関連する日中支援加算・入院時支援加算の初日からの算定を行なうこと。
- (5)グループホームの大規模化・効率化やくらしの質の低下の流れに歯止めをかけ、小規模なグループホームを広げるため、日中支援型を含めて、10人1ユニットを超える新規開設を禁止する設備基準に変更するよう、国に強く求めること。
- (6)国連の勧告にもとづいて、入所施設の解体にむけた目標設定とグループホームのあり方の検討を行なうよう強く求めること。また、現行でも、8人以上は大規模減算の対象となっていることをふまえ、グループホームの定員を7人以下、最終的には4から5人まで、とするなど、段階的にでも引き下げるよう、法令整備の検討を求めること。
- 第5次大阪府障がい者計画の推進と、大阪府のグループホームに関する具体策について
- (1)グループホームの大規模・効率化に歯止めをかけ、くらしの質を確保する具体策の検討にむけて、大阪府内(政令市・中核市含む)の大規模ホーム(複数法人名での意図的な合築などを含む)や、日中支援型の箇所数や協議会による検証も元に、支援の質等運営実態を明らかにすること。
- (2)日中支援型の大阪府のチェックリストの大阪府下全域の普及状況を明らかにすること。また、入所施設が看板掛け替えで日中支援型に移行しないように徹底・共有すること。
- (3)1ホームの定員を短期入所を含めて10人以下、日中事業所・高齢グループホームとの併設禁止を原則とする「指定方針」について、複数法人や複数法人の偽装による申請などのこの間の「悪質なすり抜け」の実態もふまえて、府内全市町村とその趣旨について改めて共有し徹底すること。
- (4)地域のあたりまえのくらしとして支援すべきこと(食事・入浴・外出など)と、やってはいけないこと(募集時点での重度者排除・門限など)を明確化し、事業者研修を行うこと。
- (5)グループホームの運営実態を把握しより良い運営を確保するため、事業所の指定や運営における事業所への指導について、府市が連携をとれる仕組みをつくること。
- (6)区分が低く認定される傾向の精神障害者グループホームの安定運営や拡充のための方策の検討にむけて、現行ホームの実態調査やヒヤリングを行なうこと。
- (7)政令・中核市を含む自治体と連携し、府下全域の個別のヘルパー併用の実態(人数・利用時間等)を明らかにすること。また個々の入居者に必要・充分な支給決定が行われるようにすること。
- (8)年限付きでない「サテライト型」あるいは、「グループホーム圏」として「ひとり住戸」を認めるなど、多様な物件確保や支援形態をすすめること。
- グループホームにおける感染症対策をすすめるための具体策の構築について
- (1)クラスター防止のため、感染発生時の検査キット・防護衣・衛生用品などの支給や助言のしくみを、府下全域で改めて確立すること。
- (2)洗面台の増設や換気対策のための改修などに活用できる助成金を、府下全域で創設すること。
- (3)今後の感染症の大流行に備え、「分ける場」や「ケア付き療養」などの府下全域をカバーする方策を確立すること。
- グループホームの物件確保策、コンフリクトへの対策について
- (1)グループホームにおける重度障害者の支援の拡充のため、令和5年度に実施されている「大阪府重度障がい者グループホーム等整備事業費補助金」を、継続・恒久化すること。
- (2)空き家活用による営利目的のグループホームや大規模化が進む実態もふまえ、公営住宅利用の拡充とともに、借り上げ型公営住宅によるグループホーム活用や、「隣接住戸2戸1化改修」などのグループホーム仕様など府独自のモデル事業を進め、国にも提言すること。
- (3)入居者の障害支援区分の変更や入居者の変更による消防法上の6項ハからロへの変更にあたっては、必要充分な移行期間を検討すること。また即時の違反公表の対象としないこと。
- (4)グループホーム追い出し裁判に見られる消防法令・住宅法令の影響やコンフリクト問題を含む物件確保状況に関する実態を調査し、これらも元に入居拒否につながらない対策について具体的な検討を行なうこと。また府障がい者計画の策定と連動し、実態調査を定期的に実施すること。
- (5)あいつぐコンフリクト問題をふまえ、大阪府の啓発チラシなどを活用し、UR、家主・宅建業者・管理会社・保証業者、地域や公営住宅自治会等への啓発をすすめること。
- (6)大阪府営住宅、および政令市を含む大阪府下市営・町営住宅の建て替え計画、ならびに該当住宅におけるグループホームの利用状況、および対応状況を明らかにすること。
- (7)公営住宅利用グループホームが建替えに際し新築への入居から排除されることのないよう、「目的外使用」の見直しを国に要望するとともに、個別事例において適切な対応を図ること。