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更新日:2020年2月20日

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令和2年(2020年)2月18日 知事記者会見内容

記者会見項目 ※この会見で使用した資料についてはこちら

  • 令和2年度当初予算案
  • 質疑応答

職員

ただいまから知事の記者会見を始めさせていただきます。
最初に知事からお願いいたします。

令和2年度当初予算案について

知事

私から、令和2年度、新年度の当初予算案についてご報告をいたします。
まず、令和2年度の当初予算案を一言でまとめたらどういうものなの、どういうことをめざしているのということですが、この三つを大切にしていきたいと、この三つをいわゆる指針としていきたいと思います。
一つは「大阪の成長」。これは、大都市・大阪として果たすべき役割をしっかり果たしていくということです。もう一つは「命を守る」というところ。これは、今回のコロナウイルスもそうですけども、未知のウイルス対策であったり災害対応、こういったところに力を入れていきたいと思います。「大阪の成長」と「命を守る」ということ、そして、次世代への投資です。これは、僕も大阪市長時代からも進めてきましたが、もちろん広域行政体の首長だという意識は置いた上で、人材、次世代への投資、特に大阪が持続的に成長していくためには、これから少子高齢化になっていく上で、やはり子どもの世代、次世代に積極的に投資をしていきたいという思いです。「大阪の成長」と「命を守る」と、そして「子どもへの投資」と、この三つを大きな柱、軸にした予算編成をいたしました。
具体的な中身についてです。
まず、府政運営の基本方針についてですけども、令和2年度は2025年、そしてその先の将来を見据えて、世界の中で躍動して成長をし続ける大阪の実現に向けた取り組みを加速させていく年だと思っています。
昨年のG20大阪サミットの成功、それから百舌鳥古市古墳群の世界遺産登録等々、世界の中で大阪の存在感というのが向上する中で、さらに2025年の大阪・関西万博に向けて次のステージへと移る、そのターニングポイントだと思っています。
あわせて、健康危機事象、それから自然災害に屈しない安全で安心な大阪をつくり上げていくと。成長の土台である安全・安心にも力を入れていきたいと思います。
また、その成長で得られた果実を次の世代、子どもたちにしっかり投資をして、そしてまた、その子どもたちが成長し、大阪を支えていく、大阪を伸ばしていくという循環をつくっていきたいと思います。
また、制度面においては、成長する大阪を実現するためにも、府・市の二重行政はやめにして一体にする大阪都構想、これはずっと言ってきているところですけども、その取り組みを加速させていきます。
当初予算案についてですが、まず、大枠です。
令和2年度の当初予算案については、財政規律を堅持しつつ、「大阪の成長」と府民の安全・安心に重点を置くと。そして、一般会計の予算規模については、社会保障の充実などによりまして、前年度の当初比384億円程度の増の2兆6,368億円となっています。
引き続いて、一般歳出の総額ですけども、これは約2兆円になります。目的別のシェアは、教育費と福祉費、そして健康医療費で約5割超を占めるという予算です。このあたりはずっと予算の傾向としては変わっていないところではありますが、そういう中身です。
それから、府税収入の動向ですけども、実質税収については、前年の当初と比べ、わずかに減少する見込みです。ただ、今回の新型コロナの感染症の、サプライチェーンであったり、あるいはインバウンド消費への影響というのが確実に懸念されてくると思います。税収の動向については引き続き注視する必要があると考えています。
引き続いて、地方交付税及び臨財債についてですけども、臨財債についてはピークの平成22年から半減していますものの、本来は地方交付税としてキャッシュで交付されるべき額に対して、依然として4割近くの発行を余儀なくされているというような状況ですが、全体としては減っていっているという状況です。臨財債自体も減っていっていますが、ただ、臨財債の割合は非常に多いという状況です。
歳入の内訳ですけども、実質の一般財源については、実質税収がわずかに減少する影響がありまして、微減という見込みです。府税が約半分という状況になっています。
また、歳出の内訳ですけども、人件費、社会保障関係費、公債費といった義務的な経費、そして税関連歳出が全体の約7割を占めているという状況であり、財政としては硬直化が進んでいるという状況だと思います。特に高齢化に伴う社会保障の関連費、後期高齢者医療費、介護給付費などの増加に加えて、幼児教育の無償化の影響もありまして、ここについては社会保障関連費が大幅に増加して、令和2年度は約350億円の増加の見込みです。
府債の動向についてですが、残高は6.1兆円程度で、前年度と比べて減少しています。臨財債を含めても、前年度よりは減少していますが、交付税の代替措置である臨財債を除けば、平成19年からは一貫して減少しているという状況です。令和2年度は約2.8兆円になるという見込みです。臨財債の部分もありますけども、府債については確実に減らしていきたいと思います。
減債基金の復元についてです。減債基金については、ご承知のとおり、5,200億円の減債基金の大穴をあけていたというのが大阪府の財政でした。それは平成13年から19年までこれをやっていたということです。この大穴を埋めようということで、橋下府政から大きく改革をして穴埋めをしていっているという最中です。現在、減債基金について令和2年度で、今年度の予算ですけども、264億円の復元をめざします。復元の予算を立てました。264億円の復元をして、そして、これをやれば累計で4,149億円の復元が行われるということになります。そうすると、残りは約1,000億円となります。引き続き計画的な復元を行いまして、令和6年度まで復元の完了をめざします。今回の僕の任期が令和5年かな、なので、ここでほぼほぼ終了しますが、何とか橋下府政、松井府政、吉村府政でこのままの予算を組めていけば、大穴をあけた5,200億円は何とか穴埋めが終了するという状況かと思います。こういった財政運営はしないようにしていかないといけないと思います。これを言い出したら1時間ぐらいしゃべりそうになるので、ちょっとここで終わっておきます。
財政調整基金の状況ですけども、令和元年度の残高の見込みですが、平成30年度の決算剰余金の積み立て、それから年度を通じた収支改善がありまして、1,564億円というふうになりました。もともと取り崩しを予定していましたが、取り崩すことなく、逆に積み立てるという状況になっています。一方で、令和2年度の当初予算案におきましては521億円を取り崩すと、そのまま決算もそのとおりになれば、残高は1,000億円になるという状況です。
次に、粗い試算についてです。
中長期の財政の見通しですけども、令和2年度の税収の見込みが前回試算よりも大幅に減少したこと、特に税収の見込みについてはかなり厳しく見ているという状況です。それが一つ大きくこの粗い試算に反映しているという状況です。
もう一つは、人勧に伴う給与改定。これは100億円の改善をせよという人勧がありましたから、いろいろこれをやった結果、これもずっと年間50億円続きますから、そこの給与改定の部分であったり、あるいは、府大、市大の新キャンパスを整備するということの歳出も今回組み込みました。
その結果、前回試算に比べて200億円程度、それぞれ収支不足が拡大しているという状況です。特に、支出もそうですけども、税の減収が見込まれるというところ、海外の景気の悪化ということが見込まれています。特に、冒頭申し上げました今回の新型コロナは中国を直撃していますから、中国経済と関係が深い関西経済にもやはりこれは直撃するだろうというふうに思っていますので、やはりこの税収については厳しく見ていく必要があるというふうに思います。
今年度の予算、収支、粗い試算についてはこのとおりでありますが、引き続き財政規律というのはしっかり堅持しながら予算立てというのをしてまいりたいと思います。
引き続いてです。令和2年の政策の方向性ですけども、ここに大きくまとめていますが、「いのちを守り、成長を支える危機対応力の強化」、それで、「万博を契機とした成長・内外の課題解決をめざす取組みの推進」、そして、「国内外の人々を引きつける都市魅力の向上」「未来を担う子どもたちが輝ける環境の充実」「誰もが安心して暮らし、活躍できる環境の充実」、ここを五つの柱にしています。
「命を守る」、危機対応の強化というのを政策として上位に位置づけるとともに、万博を契機とした都市の成長、内外の課題解決をめざす取り組みの推進に重点的に取り組んでいきます。
まず、一つ目の「命を守る」というところですが、ご承知のとおり、新型コロナの影響が世界中に広がっていると。日本国内でも当然広がってきている。あわせて、台風であったり自然災害というのも各地で発生していると。そういった新型感染症に対する危機事象への対応力の強化と防災・減災の対応、災害対応力の強化の取り組みを進めて、成長の基盤である安全・安心ということを確保していきたいと思います。
次です。まず、健康危機事象への対応力の強化ということについては、来るべき万博、そして未来に向けた感染症の対策の強化が必要です。大阪府全域における感染症対策の能力を高めるために、アウトブレイクが発生した場合の対策支援チームを設置していきます。あわせて、企業やインバウンド、外国人労働者への対策についても強化します。
また、輸入感染症対策として、地域の医療機関が患者発生時に適切に対応できるように研修を実施するとともに、関空を擁する泉佐野保健所に患者搬送車などを整備します。
新型コロナ感染症で大きく経営の影響を受けている府内の中小企業者、個人事業者に対して、府独自の融資制度を創設いたしました。インバウンドの減少をはじめ、新型コロナの影響によって売り上げが減少している製造業等々あると思いますが、府内の中小企業者、あるいは個人事業者を支援していきます。融資限度額は1者当たり2億円、融資枠は令和元年度から2年度で500億円の枠をとっています。これがそうですね。こういうふうに新しい保健所機能の強化とか、そういったのを含めて新規施策を含めているということです。
引き続いて、将来の自然災害に備えた防災・減災対策についてです。
森林防災・減災については、森林環境税の財源を活用いたしまして、治山ダムの整備、危険木の除去、森林整備などの減災対策を行っていきます。ここですね。土砂崩れを防止するということです。土砂崩れ、土石流を防止して府民の「命を守る」というところに力を入れていきます。対象は5年間で56カ所ですので、そのうち令和2年度は19カ所で事業を着手する予定です。
それ以外にも、三大水門の更新、これは安治川、尻無川、木津川の三大水門ですが、今回の台風21号、昨年、一昨年か、台風21号で非常に見えない活躍をしたこの三大水門ですが、それであったり、阪神なんば線の橋梁、これは僕も大阪市長時代からもやっているやつですけど、こういった治水、津波対策、防潮堤の液状化対策、これについては、橋下さん時代からずっと10年計画でやっている。こういった治水、津波対策というのも力を入れて取り組んでいきます。
次に、耐震対策についてです。
広域の緊急交通路については、これは災害時に応急活動するために緊急車両が通る道路ですけども、これは緊急車両も当然そうですが、帰宅者も安全に通行できるようにということで、この広域の緊急交通路について安全を確保することが重要、そのための沿道のブロック塀の耐震化を進めていきます。対象となるブロック塀の所有者に対しまして、耐震の診断であったり、ブロック塀の除去や新設のための費用を補助いたします。
引き続いてです。自助・共助・公助の適切な連携による災害対応力の強化についてです。
万博を見据えて、最先端の技術を活用して災害の対応力の強化を図っていきます。ドローンなんかによって被害状況の把握をしたり、AIやIoTを使って被害予測なんかについても検討を進めていきます。
また、市町村が災害発生時に他の自治体から人的支援や物資などを効率的に受け入れるための計画策定というのを促進するため、手引書やひな形を作成していきたいというふうに思います。
引き続いてです。万博を契機とした取り組みの推進です。
2025年の大阪・関西万博に向けて、万博の成功の準備はもちろんですが、このSDGs先進都市をめざしていくその取り組み、それから、僕自身が力を入れているスマートシティ化、イノベーションの促進、グローバル競争力の強化を進めていきます。万博を見据えてこういった取り組みを着実に進めて、成長する大阪と、「世界一ワクワクする都市・大阪」、これをめざしていきます。
万博成功のための準備の加速については、万博開催に向けた取り組みを着実に進めていきたいと思います。万博の準備についてです。
博覧会協会に対して会場建設費を補助するとともに、パビリオン等地元の出展について、府民の皆さんの意見を聞きながら検討を進めていきます。
令和2年度の予定ですけども、春ぐらいにはロゴマークが決まると。そして、6月のBIE総会で申請書を承認いただくと。そして、秋ごろには協会によって基本計画が策定されるという予定で進めています。
また、今年の10月から始まるドバイの博覧会において、その参加招聘活動、2025年の万博への参加の招聘活動やプロモーション活動をしていきたいと思います。また、府民の皆さんや企業の皆さんからの寄附で2,025本の桜を植樹する「万博の桜2025」も進めていきます。
次に、万博を見据えた災害・危機事象対策として、都市緑化を活用した猛暑対策を進めます。
森林環境税の財源を活用して、多くの人が暑くても待たざるを得ないバス停であったりタクシー乗り場がある駅前広場、炎天下になっている状況ですけど、そこで緑、植栽であったり微細ミスト、遮断性の日よけ、保水性のブロックなど、そういった対策を行う事業者に補助を行っていきます。
補助金額は、バス停やタクシー乗り場がある駅前広場等では上限1,500万円で、これは全額の補助です。駅のプラットフォーム等においては、上限は同じく1,500万円で、補助割合については2分の1ということです。令和2年度から5年度までの4年間で約150から200カ所、さらに、万博までに150から200カ所、かなり多くのエリアのいわゆる駅前広場、大阪府内の駅前広場等について緑化、ミスト化というのをしていきたいと思います。真夏においては熱で搬送される、あれ、何や。ど忘れした。

職員

熱中症。

知事

熱中症。熱中症なんかも非常に危険ですし、これは市長時代ですけど、すごい酷暑で、救急車で運ばれるのが過去最高を記録したというのも目の当たりにしてやっていましたが、そういった対策にもなるかと思います。
次ですが、万博を見据えたおもてなし力の強化として、バリアフリーのまちづくりを進めていきます。
鉄道の駅については、これまでも全ての人が鉄道に乗降できるようにバリアフリールートを1ルート確保する取り組みを進めてきたところですけども、さらに、大阪の環状線内の駅を中心にしまして、乗りかえルートのバリアフリー化などを進めるために、エレベーター設置を行う事業者に対して補助をしていきます。
また、ホテルや旅館については、福祉のまちづくり条例の改正をして、今議会に提案予定ですが、その新設の場合、一般客室のバリアフリー化とその情報の公表を義務化します。また、既設建物については努力義務になりますが、大阪府がバリアフリーの状況の現地調査を行うということで、その結果に基づく事業者によるバリアフリー情報の公表を推進していきます。
次に、SDGsの先進都市をめざす取り組みについてです。
大阪府では、ゴール3の健康と福祉、それを重点ゴール1としまして、ゴール11、持続可能都市というのを重点ゴール2と位置づけました。また、重点ゴール1に関連するものとして、ゴール1、4、12ということで、貧困と教育と持続可能な生産と消費というのを位置づけています。SDGsの先進都市に向け、これらの重点ゴールに関連する取り組みを強化していきたいと思います。
次に、具体的な事業についてです。
府民の皆さんの健康づくりに対する意識の向上と実践を実現するために、電子マネーが当たるとかインセンティブのある「おおさか健活マイレージ アスマイル」、これは僕も登録しましたが、「アスマイル」を展開しまして、健診の受診であったりウォーキングといった健康活動を支援していきます。
続いて、受動喫煙防止対策について、モデル事業として屋外分煙所の必要経費の一部を補助します。これは、松井知事時代に全国一厳しい受動喫煙防止の条例も定めたところです。東京と大阪が非常に前に進んでいるところだと思っていますが、それに関するものです。
それから、防犯灯・防犯カメラの設置や電気設備の整備など、分煙所本体の整備費用以外の必要経費の半額を補助していきます。府の補助上限は1カ所当たり100万円です。これは屋外分煙所についてです。令和6年度までの5年間で20から30カ所程度の整備をめざしています。令和2年度は5カ所で整備予定にしています。
また、依存症対策、ギャンブル依存症対策を含む依存症対策ですが、依存症の本人及び家族に対する普及啓発、相談・支援体制、治療体制、切れ目のない回復支援体制の強化を図っていきます。あわせて、相談・支援の拠点と治療・研究の拠点を連携した府独自の支援体制を新たに構築します。これはシンガポールのNAMSのようなものを大阪府でもつくるということです。また、依存症対策の強化として、ギャンブル依存に関する府内の実態調査を実施いたします。
続いて、風疹、結核、エイズ等の感染症対策についてですが、まず、風疹対策としまして、妊娠を希望する女性、そしてその配偶者を対象に無料で抗体検査を実施します。あわせて、予防接種費用を助成する市町村にも補助していきます。それから、結核患者が規則的に服用できるように、服薬の確認の仕組みを薬局内で新たに実施します。エイズについては、現在、ブロック拠点病院、それから中核拠点病院に集中している患者の定期受診を地域の医療機関でもできるように、患者支援のノウハウ、最新の治療薬に関する研修等を実施していきます。
そして、その下ですけど、府職員の働き方改革の取り組みですが、府職員の意識を変えて、時間外勤務を縮減して集中して仕事をしていく、そして、クオリティー・オブ・ライフを充実していくという目的で導入をいたします。職員の端末、パソコンですけども、これを残業申請がない限り一斉にシャットダウンしていきます。
次です。プラスチック対策についてですが、昨年のG20大阪サミットで、海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2050年度までにゼロをめざすという「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が採択をされました。その実現に寄与するため、これは世界の首脳で共有されたわけですけど、開催地大阪としてもこのビジョンの実現に寄与するための対策を進めていきたいと思います。
環境・エネルギー技術シーズ調査として脱炭素、それから海洋プラスチックごみ対策に関する環境技術、環境課題を調査して、調査結果を踏まえて、環境汚染最先端の技術の実用化を促進していきます。
また、石油由来原料を使わないバイオプラスチック製品の研究開発を行う府内中小企業に対して費用の一部を補助していきます。
次に、人権をめぐる課題としまして、昨年、人権3条例を改正、制定をいたしました。性的指向や性自認の多様性が尊重される社会、ヘイトスピーチなど特定の外国人等を排斥するような不当な差別的言動が解消される社会の実現をめざします。
その他の取り組みとしまして、性的マイノリティーの人々への誤解、偏見、差別をなくすために、啓発イベント、それからシネマ広告を行うとともに、先月スタートさせましたパートナーシップ宣誓証明制度の交付を行っていきます。
また、若い世代をターゲットにしまして、適切なインターネット利用を促すことを目的に、大学と連携してシンポジウムも行っていきます。
動物愛護基金についても、譲渡機会の拡大等を図っていきます。これはアニマルポリスも実施しているというところです。
次に、最先端技術の活用によるスマートシティ化の推進についてです。
スケジュールとしましては三つのフェーズに分けまして、まずは2021年までの第1フェーズとして、行政サービスのデジタル化など、すぐにできることからスマートシティ化をめざしていきます。すぐにといってもこれは結構大変な作業なんですけど、まず、自分たち行政サービスのところから先に始めていくと。第2フェーズとしまして、2023年、実証実験を通じて先行事例を蓄積していきます。2025年の第3フェーズでは、その実証実験から社会実装ということに高めていきます。その上で、都市全体の利便性の向上を図っていきたいと思います。大阪・関西万博においては、最先端技術のデモンストレーションを行って、スマートシティの確立ということを実践していきたいと思います。
次です。スマートシティ化の促進の具体的な取り組みとして、府庁内のICT環境をめざしていきます。
府庁内の情報基盤のあり方を検討するとともに、ペーパーレス会議用のタブレット100台、それから遠隔会議システムを導入します。
キャッシュレスについては、現在、本庁の本館、別館、咲洲の手数料納付の窓口では現金納付しか受け付けてないですけども、POSレジシステムを改修して、電子マネーやクレジットカード、LINE Payでも納付ができるように変えていきます。
次です。府内でスマートシティの先進的な取り組みを行う市町村をサポートするために、市町村に対して補助金を交付します。
そして、府立学校のスマートスクールの取り組みも進めていきます。補正予算も活用しながら、全府立学校177校において高速大容量通信に対応した校内LANの環境の整備をしていきます。そして、ICT環境を有効に活用して、令和2年度にはグローバル人材の育成、日本語指導、不登校生徒への支援と障がいのある子どもの就労支援のこの四つの教育課題について、4校1拠点でモデル事業を実施していきます。モデル事業の成果を踏まえまして、府立学校においてICTを活用した全ての子どもの学びを支援していきたいと思います。
次に、健康・医療をはじめとしましたさまざまな産業分野でのイノベーションの促進、グローバル競争力の強化に関する産業基盤の充実についてです。
まず、健康・医療関連の世界的クラスターの形成としては、現在、未来医療国際拠点の形成を進めています。これは中之島でやっていますが、そこで再生医療の実用化、産業化を促進するために、細胞・組織の管理に必要なビジネスモデルを検討していきたいと思います。
そして、北大阪健康医療都市、いわゆる健都ですけども、ここでは健都内外をつなぐコーディネート機能の構築に向けた検討を行っていきます。
また、令和2年度に予定されている、国が進める国際バイオコミュニティ圏の選定を獲得することをめざしています。その獲得と将来的な国際バイオコミュニティ圏の実現に向けて、必要となる取り組み内容を実施していきます。
次に、スタートアップ・エコシステムの構築についてです。
来月予定の国のグローバル拠点の選定に向けて、京阪神で連携し、提案を行ったところです。大阪のスタートアップ・エコシステムのグローバル化を促進する取り組みを実施していきます。多くのスタートアップが活躍する環境を整備するために、国の支援も最大活用しながら、海外のトップアクセラレーターを大阪に誘致して、そして、府内のスタートアップに対しての個別指導を行うとともに、大阪の魅力を世界に発信するということで、大阪・関西万博を機に、スタートアップのエコシステムの拠点形成をさらに進めていきます。
万博開催やIR誘致といった大阪の特性を踏まえまして、府内中小企業の深刻な人手不足に対応するためには、外国人の人材の受け入れ促進というのが重要になってきます。このため、外国人材と中小企業を円滑にマッチングする効果的なプラットフォームの構築に向けて、大阪の産業動向を踏まえた外国人材の受け入れや中小企業の人手不足の状況、人材ニーズを調査します。
あわせて、外国人材の受け入れと共生社会づくりというのを進めていくために、国、市町村、経済団体、民間団体の連携のもとで、オール大阪による地域協議会を設置します。
次に、三つ目の柱ですけども、国内外の人々を引きつける都市魅力の向上についてです。
昨年、G20大阪サミットの成功と百舌鳥古市古墳群の世界遺産登録、それから、ラグビーワールドカップの開催、世の中での存在感が高まっているというふうに思います。このタイミングを逃さず、IRの実現、そして、都市魅力・都市空間の創造を通じて国内外の人々を引きつける大阪の実現に向かっていきたいと思います。
まず、IRについてです。
事業予定者の選定手続を進めるとともに、それにあわせまして、国への申請に必要となります区域整備計画を作成していきます。また、多くの方々にIR誘致に向けてご理解いただくため、セミナーや公聴会も開催をしていきます。あわせて、ギャンブル依存症対策の具体化も検討していきたいと思います。
次に、世界に存在感を示す都市魅力・都市空間の創造についてです。
グランドデザインの推進としまして、具体的なまちづくりについて検討します。
大阪城の東部地区においては、大阪府立大学、市立大学が統合して開学する新大学の都市のメインキャンパスが令和7年度を目途に設置予定です。また、スマートシティの実験フィールドとして例示されるなど、新しい動きが出てきているところです。
こういった動きを踏まえまして、大阪市と連携をして、地区全体のまちづくりの実現に向けた方向を検討していきます。
夢洲での万博開催、IR誘致の動き、堺臨海エリア、泉州沿岸部、関西国際空港といった地域資源を最大限に活用して、大阪府域のベイエリアの活性化を図るために大阪市、堺市と連携して、ベイエリアの将来像、整備の方向性をとりまとめていきます。
新大阪については、リニア中央新幹線が入り、そして、北陸新幹線が結節するという、将来的に見ても、現在もそうですが、将来的に見てもさらに広域交通の一大ハブ拠点になるというふうに認識をしています。その地域において、大阪市と連携をして国内外にプロモーションを行い、民間における都市開発の機運醸成を図るとともに、都市機能の具体化に向けた検討を行っていきます。
うめきたにつきましては、2期のまちづくりを推進するために、土地区画整理事業、それから、公園整備事業を行う大阪市に補助を行います。
次です。道路・鉄道ネットワークの整備についてです。
大阪モノレールの延伸についてですが、令和2年度に現地工事に着手します。現在、営業しています門真市駅から、瓜生堂駅まで延伸する。門真から瓜生堂まで延伸するという予定になっていまして、これによりまして、新たに4路線の鉄道と結節することになります。モノレール全体では10路線と結果、結節することになりまして、利便性が高まります。開業目標は、令和11年です。
淀川左岸線の延伸部、なにわ筋線についても、大阪市と協力しながら着実に事業を進めていきます。
次に、観光・文化・スポーツ施策の充実についてです。
万博記念公園の駅前周辺地区におきまして、大規模アリーナを中核とした大阪・関西を代表する新たなスポーツ・文化づくりの拠点をめざしていきます。
現在、事業者の公募を行っていまして、今年の5月から6月ごろに最優秀の提案者を決定するという予定にしています。
公選で選ばれた事業者とともに、国際的なスポーツ大会あるいはコンサート、そういったものが開催できる、そういった機能を持つ、固定の観客席数が1万人を超えるものですが、そういったものを持つ世界最先端の機能を有するアリーナ、それから、ホテル等の周辺施設を整備することにしています。アリーナ等の主要施設については、2025年の大阪・関西万博までの開業をめざしています。
次に、子どもたちへの投資についてです。
まず、いじめ、虐待、教育格差の問題といったさまざまな子どもたちを取り巻く環境というのは課題が大きい状況です。
子どもの健やかな成長を支えるセーフティーネットの充実と、全ての子どもたちが平等にチャレンジできる、可能性を追求できるというその環境を少しでも整えていきたいというふうに思います。
未来を担う子どもたちが頑張れる社会というのをぜひつくっていきたいと思います。
そのセーフティーネットの充実についてですが、まず、里親支援の取り組みについてですが、里親支援の機関の整備を進めるとともに、児童養護施設等が里親支援を実施する場合に、里親の新規登録等の実績に応じた加算の仕組み等を新たに実施いたします。
児童虐待対応の充実、強化について、大阪児童虐待防止推進会議での議論を踏まえまして、令和2年度にSNS、LINEを活用した相談窓口を試行的に設置します。1カ月試行的に設置します。そして、運用に当たっての課題、検討課題をした上で、令和3年度の本格運用をめざしていきます。
また、子ども家庭センターと警察とのダブルチェックによる児童虐待の見逃し防止と支援の充実を図るため、独自回線により警察と児童虐待通告事案について、全件共有をしていきます。
次に、いじめ対応についてです。
いじめを含むさまざまな悩みを抱える児童・生徒に対する相談対応を充実するために、SNS、これも同じくSNSですとかLINEを使った相談窓口を、令和2年度は相談日数などを拡充して通年で実施をしていきます。
また、いじめ、虐待等への、いじめ、それから、虐待等への迅速かつ適切な対応、それから、未然防止に向けて、スクールカウンセラーであったりスクールロイヤーなどで構成する緊急支援体制を構築するとともに、課題の大きい学校に対してスクールソーシャルワーカーサポーターなどの支援人材を配備していきます。
SNSに起因した青少年の被害を、犯罪被害を防止するために、SNS等で特定のワード、例えば援助交際、パパ活等の検索をしたり、書き込んだりした場合に、警告の画像を当該者の閲覧しているSNS等に発信するターゲティング啓発なども実施していきます。
子育て支援については市町村の役割が大きいということから、基本的に子育ての分野は選挙で選ばれた市町村長がいますので、僕はその市町村長がまずやるべきだというふうに思っていますが、その市町村長の役割は非常に大きいです。
その上で、新子育て支援金、新子育て支援交付金の優先枠配分を拡充し府から提示するモデルメニューを実施する市町村の取り組みを支援していきます。具体的には、これまでの既存メニューであります障がいのある子どもへの支援、子どもの貧困に加えまして、不妊治療への助成、男性の家事育児への参画、家庭教育支援、子育て中の外国人サポート等のメニューを拡充していきます。
次に、全ての子どもがチャレンジして、可能性を追求していける教育環境の充実についてです。
まず、授業料の無償化についてです。大阪の高校生が親の経済状況、それから、家庭の個別事情、そういったもので進学を諦めることがないように、チャレンジできるように、子育て世帯への支援としまして、国制度の上に府独自の制度を加えまして、大阪府大、市大の授業料を令和2年度の入学生から支援をしていきます。年収目安として590万円未満の世帯については無償化です。590万円から910万円未満の世帯については、世帯年収、それから、子どもの数に応じて負担を軽減していきます。大学院生については、そもそも国制度の対象外ですが、府ではこの制度の中に入れて、府独自の無償化というのを実施していきます。府大、市大の教育費の無償化というのが、今回の予算の中でも非常に大きなポイントだというふうに思っています。
また、私立高校の無償化については、引き続き、これも先行的に大阪で実施してきたことですけども、国制度も追いついてきまして、これも引き続き実施をしていきます。
次に、障がいのある子どもへの通学の支援についてですが、医療的ケアが必要なために通学バスを利用できない、そういった場合に、保護者の方が送迎をされたり、あるいは自宅の訪問教育を実施しているところです。
保護者の負担の軽減であったり、学習環境の提供というのが課題になっています。学校で学びたいという重度の障がいのある子どもたちの声に十分応えられていないという状況を改善したいと思います。
そこで介護タクシーなどの車両に看護師等が同乗しまして、医療行為を行い、通学を支援します。府立支援学校5校5人でモデル実施をしていましたが、令和2年度は希望する府立学校に通う児童・生徒全177名に完全実施をしていきたいと思います。
新大学の設置については、公立大学法人が実施する新大学の学舎の整備及び改修に必要となる基本設計と費用を大阪市とともに協力しながら進めていきます。
学力の向上に向けてですが、小学生、5年生、6年生を対象にしました新学力テストを令和3年度から実施するために、その準備に令和2年度から着手いたします。学力で得た子どもたちの経年的なデータというのを小5の段階からカルテとして作成して、それを中学校に引き継ぐということで、中1ギャップを防いで指導の効果を向上させて、その後の子どもたちの学習にも生かしていきたいというふうに思います。
引き続いてです。五つ目の柱ですが、誰もが安心して暮らし、活躍できる環境の充実です。
女性や高齢者、障がいのある方、外国人など、誰ひとり取り残されず、安心して生きていける環境を整備するということで、進めていきたいと思います。
総合的な安全対策、福祉医療のさらなる充実に向けた体制整備等々の取り組みを進めていきます。
まず、総合的な安全対策の推進ですけども、昨年、交番の襲撃事件がありました。これを踏まえまして、令和2年度中に整備が必要な全交番に外側のカメラを実施、整備します。内側のカメラがあるわけですが、外側のカメラも整備していきます。
また、若年層をはじめとする多くの府民に対して、犯罪の発生情報をより効果的に提供するために、防犯アプリを構築します。
次に、心身ともに健康で暮らせる福祉と医療の充実についてですが、不足が見込まれます介護人材、福祉人材を確保するために、来年度から新たに介護サービス事業における介護ソフト、タブレット端末のICT導入費を助成します。
また、介護職員の賃金改善につながる介護職員の処遇改善加算の取得を促進するための専門的な相談員を介護サービス事業所に派遣して、個別の指導・助言を行っていきます。
次に、障がい者の方への支援としまして、福祉3センターを統合しまして、障がい者の相談支援、意思疎通支援、手話言語習得機会確保などの支援を行う拠点の施設であります福祉情報コミュニケーションセンターを森ノ宮に整備し、令和2年6月から運営を開始します。
自殺防止策については、40歳未満の死因の1位が自殺であることから、若年者向けの施策を充実します。SNSを活用した相談体制を整備することで、若者の自殺防止に努めていきたいと思います。
次に、多様な人材の活躍につながる取り組みの強化についてです。
重度障がい者の方への就業中の支援についてです。現行の制度においては、自営業、経営者の就業支援等は法的な支援がありません。こちらの被用者のほうは雇用主による合理的な配慮とか国による助成がありますが、いわゆるフリーランスの方、自営業者、経営者については何ら法的な支援がないというたてつけになっています。常時介護を必要とする重度障がい者の方の日常生活に係る支援を就業中に行うことで、働く意思と能力を持ちながら働くことができない方に対する就業の機会を拡大していきたいと思います。障がい者の方の社会参加を促進します。
具体的には、まずは現状において国における助成金等による支援を受けられない、この個人事業主に対して支援を行っていきます。在宅就労、職場就労、通勤というところを支援していきます。令和2年度は大阪市、堺市で試行実施をします。
また、障がい者の雇用状況を改善するため、新たに特定中小事業主に対して戸別訪問を行って、雇用推進計画の作成、取り組み内容の支援を行います。
次に、外国人材の受け入れ促進・共生社会づくりですが、新たな在留資格であります特定技能等の人材の円滑な受け入れ、そして共生社会づくりをめざしていきます。外国人材に対する生活支援として、大阪府国際交流財団に補助を行います。そして、医療体制の整備については医療機関へ支援するため、医療通訳コールセンターであったり、トラブル相談窓口を設置します。住宅の確保については、家賃債務保証を支援していきます。そして円滑な入居につなげます。日本語指導については、小中学校に専門スタッフを配置するとともに、地域の体制づくりに向けて市町村を支援していきます。
最後に、いわゆる大阪都構想の実現に向けてです。大阪都構想については、広域の司令塔を大阪府に一本化していく、市と府も場合によっては一本化していくと。都市インフラの整備、大阪の戦略というのをスピード感を持って進めていける、そういった地盤をつくっていく、まさにそういった制度ですが、これを進めていきたいと思います。住民の皆さんに都構想の意味や効果をご理解いただいてご判断いただけるように、今年の秋から冬にめざしている住民投票における広報活動を展開していきたいと思います。
また、府・市の取り組みとして、国際競争力があり利用者ニーズに見合った港を実現するために、大阪府と大阪市、これまで別々に管理していた港湾管理の一元化の取り組みを進めます。令和2年10月1日に大阪港湾局を共同設置し、事務方の一体化を図ります。
少し早口になりましたが、皆さんも事前にこの内容はご存じだということで、少し早口に説明しました。府民・市民の皆さんにはまた議会も通じながら、じっくりと議論もしながらご説明をしていきたいと思います。詳細についてはホームページにもアップするので、そこでまた関連のところをご覧いただきたいと思います。
僕からは以上です。

質疑応答

職員

それでは、ご質問をお受けいたします。
最初に、幹事社の読売テレビさんからお願いいたします。

令和2年度当初予算案編成関連について

記者

幹事社の読売テレビ、上村です。
吉村知事としては初の予算編成になりますが、今回力を入れた事業やこだわった点があれば、理由とあわせて教えていただけますでしょうか。

知事

基本的に松井府政を継承するというのをしながらやっていくというのがまず一つの大きな大方針です。成長の基盤である安全・安心に尽くしていくと。万博、IRの誘致、「大阪の成長」に向けた取り組みを進めていく。これは僕も大阪市長時代に広域行政で府・市一体の戦略を進めてきましたから、府知事となった今でもいわゆる松井府政を継承するというのをベースにしています。
その上で、特にこれは僕自身の政治家としての思いでもありますけども、次世代への投資というのに力を入れていきたいということでやってきました。大阪を成長させる、大都市にすると、そして次世代への投資を図っていくと、バトンタッチしていくというのが僕が政治家をやっている大きな目的でもありますので、それに見合った予算をしているということなんです。

記者

あと、吉村知事はこれまで基礎自治体の予算編成を行っていらっしゃったと思うんですが、その経験を生かして、今回、松井知事時代と違いをつけたところはどのようなところでしょうか。

知事

特に教育分野については、これは基礎自治体、市町村が中心になってやっていく部分だと思っています。大阪府としてはフォローアップをしていくのが原則だろうと思っています。市長時代に、ここについては力を入れてきたところです。
知事という広域行政の長の立場に立ちましたから、「大阪の成長」を図る、これは当然ですけど、大阪全体の成長を図るというのは当然ですが、いわゆる高校、あるいは大学という分野において、いわゆる高等教育の分野において、知事の権限で実行する部分において、子どもたちへの投資というのを重視した予算にしています。府大、市大の授業料の無償化もそうですし、府立学校のスマートスクール化というか、そういったことも進めていくということです。あとは障がいがあって、学校で学びたいと思う、そういった生徒、生徒というか、子どもたちも学校で学べるようにと、そういった環境を整えていくというところに力を入れたというところです。
それから、やはり府庁のスマートシティ化というのは進めていきたいと思います。大阪市長になったときに、橋下市長からバトンタッチを受けたときにも、橋下市長からICT化は全然できなかったからという、そういう話もあって、大阪市長になって、組織再編して、ICT戦略室というのをつくりました。かなりICT、大阪市は進んできたと思います。まだまだ不十分と言われるかもしれませんが、ホームページ一つをとっても昔は何かよく、全然わからないなみたいなところがありましたが、今ではユーザーの視点に立ったICT戦略というのが、市民の視点に立ったICT戦略を進めていけるようになった、それは組織をつくって実行してきたからだと思ってます。
大阪府においても、まだまだこの分野は不十分だったので、今回、組織再編をして、ここに力を入れて取り組んでいきたいと思います。特に2025年万博をめざすわけなので、大阪府庁内がいつまでも古いままだと、これはなかなか前に進まないですから、そういったところに力を入れた予算編成をしたというところです。大きな大枠としては松井府政を継承した上で、そういった部分で未来への投資というところについて、僕自身のこだわりを入れたということかなと思います。

記者

幹事社からは以上です。

新型コロナウイルスの影響関連について

記者

朝日新聞、吉川です。
中長期の見通しも含めてなんですけども、今拡大しているコロナウイルスの感染の影響で、幾ら幾らとかというのは難しいと思うんですけど、どんな分野で今後どういう影響が出るという懸念があれば教えてください。

知事

いや、これは大きな影響は出てくるだろうというふうに思います。よく言われるのはインバウンドです。インバウンドの影響が出るのは当然だと思いますが、それだけじゃなくて、やはりもともと関西企業というのは中国との関係性が非常に強いという企業が多いです。それは製造業であったり中小企業、部品、加工、さまざま、関連があるところが多い。中国自身がコロナウイルスでまちが閉鎖されて、経済活動が低下するということになれば、それにつられて中国との経済的な影響が強い関西経済も影響を受けるというのは必須だろうというふうに思っています。その意味で全体消費、インバウンド消費だけでなくて、製造業も含めた影響、中小企業への関西経済への影響というのは今年、もっとも注視して見なきゃいけないところだろうと思っています。
その結果、どういうことが起きるかというと、府との関係でいうと、税収が大きく減少してくる可能性があると。特に消費税も増税、昨年の年末にしましたから、そもそも消費税の増税で、企業の設備投資であったり個人消費というのは低下する傾向にありますから、それに加えて今回のコロナウイルスなので、そういう意味では税収、景気面において、やはり注視していかなきゃいけないと。税収だけじゃなくて景気が低下すると、今は人手不足の状況ですから、失業者が極端に増えるというよりは、むしろ人手不足の状況にはなっていると思います。けど、一時的な、企業が倒産すればその時点で失業になるわけですから、次の職場があるとしても、なので、そういったさまざま経済の影響というのは出てくるだろうと。それを防ぐために今回、緊急融資策なんかも立てているところですし、国もさまざまな経済対策というのを打って出るということですから、その影響をできるだけ、ダメージを抑えていくということが重要だろうと思います。
ここはちょっと、コロナウイルス自体が今後どうなるか見通せないところもあるので、ちょっと注視が必要だろうと思います。日本でも、国内でも今、広がりを見せつつあると。そして中国では非常に大きな影響を受けていると。確実に経済には影響してくるだろうというふうには思っています。

インバウンド関連予算について

記者

続けてちょっと、分野別にコメント形式でいただけたらと思うんですけども、万博とIR誘致を見込んでインバウンドの方が増えるだろうということで、感染症対策と、あとギャンブル依存症対策も強化されていると思うんですが、改めてで恐縮ですが、こちらの意図と、狙いというか、改めてお伺いしていいですか。

知事

今回、コロナウイルスが発生していますが、これはさっき言ったように、短期的に見れば、さっきの落ち込みは出てくると思いますが、長期のトレンドでいけば、これは大阪、関西の魅力がある企業があるという中で、やはり国際化というのはこれからもさらに進んでいくというふうに思います。大きなトレンドとしては、やはり国際的に、国際的な活動をする企業がどんどん、人、企業であったり、人というのが交流する、そういうまちに、大阪はなっていくと。そしてそれが経済の力にもなっていくということになるだろうと思います。なので、特に2025年とか、特にこれは2025年万博を見据えたときもそうですし、統合型リゾート(IR)を今、誘致していますが、それを実現したときもそう、うめきたが実現したときもそう、都市としての魅力がこれからさらに高まりますので、多くの海外の投資であったり人というのが流入してくると思います。
そんな中で、やはり「命を守る」ということを考えたときに、健康危機事象に対応できるというのが重要だと思っています。今回のコロナのような新型感染症に対する対応力を組織として強化していくということが、都市としての強さを、府民の命と都市としての強さを実現することに重要だと思うので、今回そこについては重視した予算を、予算編成をしたということです。

ギャンブル依存症対策関連について

記者

もしよろしければ、細かくて恐縮なんですが、ギャンブル依存症の重要性も改めてですが、簡単に。

知事

ギャンブル依存症については、これは統合型リゾート(IR)を誘致する段で、この間ずっと言ってきましたが、既に今、パチンコやパチスロでも多くのギャンブル依存症がある中で、これまで対策が不十分だったと思います。今回、IRを誘致するというのが、これがいいきっかけになって、これを契機に依存症対策に正面から取り組んでいきたいと思います。これは大阪府だけじゃなくて、国も取り組んでいくというふうに思います。今まで放置された分野について正面から取り組むというのは、僕は大きくプラスだと思っています。まず全体数を減らしていきたいと思います、依存症の。
そのためにまず、じゃあそもそも大阪府に全体数でどのぐらいいるのという、府独自の調査を詳細に、まず実行します。その上で、じゃあこのぐらいの依存症の方がいらっしゃるんであれば、これに対する対策をどうするのかという戦略を立てていきます。当然ですけども、並行して具体的にどういうことをすべきかというのは、これまでIR誘致の際にも出しているところです。国を超えた府独自の対応であったり、事業者に求める24時間365日の対応であったり、今、取り組んでいます。特に今回の中で大きな目玉としては、シンガポールのNAMSのようなもの、これは僕自身も行きましたが、ああいった総合的な依存症対策の機関を大阪府に設けることが重要だろうと思っています。そういったものを個々の依存症対策の強化として組み込んで、ギャンブルだけじゃなくてアルコール、薬物も含めてですけど、依存症の方を少しでも減らしていくと。きちんと対応できる仕組みをつくっていくと。体制をつくっていくということを実施したいと思います。

大学の無償化関連について

記者

すいません、最後に、大学の無償化の件なんですけども、これも改めてで恐縮なんですが、私立大学も含めた広く薄くではなくて、今回はあくまで府市大に手厚く傾斜配分しているということの意図について教えてください。

知事

まず府大、市大というのは、大阪府・市が設置してる公立大学です。現状でもそれぞれ100億円ずつ投入している、200億円投入していると。設備も全部大阪府・市が出していると。大阪府が、いわゆる所有者である大学、府・市が所有者である大学という前提が必要です。私大や国立大学から見たらちょっと不平等なんじゃないのと思われるかもしれませんが、現状でも私大や国立大学に大阪府が何か補助をしているというのはないです。それぞれがやっているという中で、もう既に大阪府・市が支えている大学が、この大阪公立大学です。市大・府大。その市大・府大、もちろんそれはそういう意味で設置者ですから、中期目標も含めて大きな方向性も府・市で決めていくということになります。大阪のこれからの成長を支えるための大学として、府大、市大というのは、森ノ宮のキャンパスも新たに整備しますし、ぜひそういった役割を果たしてもらいたいと思います。
そうした役割を果たす大学で学びたいと思う、府内の高校生をサポートしていく。経済的に厳しくて、なかなか大学には行けないねという高校生も、いや、自分には選択肢があるんだと思ってもらえるような環境を整えていきたいと思います。また、それは高校生だけじゃなくて、小学生、中学生でも、この制度を整備することで、小学生、中学生ぐらいになったら、自分の家庭がどういう経済力かな、ほかと比べてどうかな、自分は大学に行けるかな、この経済やったら厳しいんじゃないのかなと、家に遠慮して、やっぱり大学やめておこうかなと。子どもが親の顔を見るということもあると思いますが、子どもが親の顔を見なくても大学で学べるという機会を、僕はぜひ保障していきたいと思います。そういった選択肢が今、ないですから、じゃあそれを大阪だけでもつくっていこうよと、この府大、市大でつくっていこうよというのが僕の考え方です。全国的に、僕は本来こういったことが、国が中心になって全ての大学で適用されるべきだと思いますが、まだまだ国がそこまで来てないという状況だというふうに思います。
大阪府は私大とか国立大学に援助するようなそういう関係でもないし、それができる状況でもないけども、さっき言ったとおり先行して、この大阪府大・市大では実証していきたいと思います。
それから、もちろんこれは全員が入れるわけではないということにはなりますが、大事なことは全員がそこを狙う、チャンスする機会があるということが重要だと思っています、大阪府の子どもたちがね。なので、受験機会は平等に与えられているわけで、全員入学というのはこれは無理ですけども、そういった意味で選抜というのはありますが、ただ、そこでも勉強を頑張ったらお金がなくても行けるやんかというふうに思ってもらえる環境を僕はつくっていきたいと思います。それが最終的には大阪にも返ってくると思うし、そういった人材というのは将来、大阪とか日本を支える人材になってくれると僕は信じてやっています。

新型コロナウイルスの対応関連について

記者

共同通信の高津です。
すいません、予算外のことになってしまうんですが、先ほど、対策本部会議でのイベントの原則中止についてのご発言についてちょっと確認をしたいんですけれども、部局のほうに確認をしたら、今、部局でどんなイベントがあるのかを集約して、健康医療部と詰めた後に知事、副知事に上げて、中止を決定するということをおっしゃっていて、今日、先ほどの知事の発言というのは、原則中止というのは方向性であって、府として今どんなイベントを中止したと決定したわけではないという理解でよろしいんでしょうか。

知事

どういったイベントがあるかというのは一覧表で、僕もこれ、把握はしていますので、そういった報告がある、皆さんのところに資料まで行ってないかもしれないけども、僕のところには、手元にあるという前提で、先ほどの会議で議論をして判断しました。なので、原則、向こう1カ月間、大阪府が主催するイベント、集会は中止もしくは延期です。これは決定です。
ただ、その例外事項として、例えば試験の更新のためにどうしてもこの研修会はやらなきゃいけないねとか、そういう例外事項については、会議の場でも言いましたけど、知事、副知事、特別職が最後、許可した場合にはオーケーにするということにしています。だから、今から何か一個一個、取捨選択するのではなくて、これは中止、延期というのは決定事項です。

記者

先ほど、府民文化部と医療健康部両方に確認したところ、会議の中でおっしゃっていた万博のイベントについても中止を決定したわけではないということを部局のほうがおっしゃっているんですが、ちょっとそのあたりの整合性といいますか、これは中止ということ、決定ということでいいんでしょうか。

知事

共催事項については、会議の中でも言いましたけど、その共催者とともに協議をして決定するというふうにしています。だから、万博のは大阪府だけの主催のイベントじゃないと思いますから、あれは大阪市も入っているし、博覧会協会も入っていますから。大阪市、博覧会協会と協議をして決定するということになると思います。だから、大阪府単独の主催のもの、共催のもの、会議でも言いましたけど、それから民間とか、大阪府がタッチしていないもの、この三つに分ける必要があるだろうと。1番、前者についてはこれは決定。
ただ、共催のものについても、僕がこういう発信、決定をしたわけですから、そこは大阪市、博覧会協会と、真摯な、中止、延期に向けた協議を大阪府としてはしていきます。

記者

中止するイベントの一覧というのは、明日あたりに発表というようなタイムスケジュール感でいいんでしょうか。

知事

それは早々に発表するということになると思います。

記者

わかりました、ありがとうございます。

感染症対策関連について

記者

朝日放送の中村と申します。
すいません、万博や未来に向けての感染症対策についてなんですが、大安研に疫学専門チームを設置する、この狙いをちょっと教えていただけますでしょうか。

知事

大安研については、大阪府の衛生研究所と大阪市の衛生研究所を統合してやりました。まだ施設統合についてはこの先なので、まだ歩き始めたところですけど、府と市を合わせて、西日本で随一となるような能力の高い衛生研究所をつくっていこうというのが大きなテーマです。疫学調査チームというのは、ほかの衛生研究所ではないと思います。東京都にありましたが、そういったものをしっかりと組織立ってつくっていくことで、今回の新型コロナじゃないですけど、もっと毒性の強い、伝播力の強いウイルスだって発生する可能性があるわけですから、そういったときに疫学的に対応できる規模と力と研究力を持った研究所をつくっていきたいと思います。その意味で、まずはこの疫学調査のチームをつくるということです。
今回、大阪府・市のこの大安研について、検査の要領というか能力も高いですから、和歌山で発生した事案について、いわゆる試薬の提供も要請に基づいて行いました。それから、仁坂知事から僕に連絡もありましたけども、和歌山で何とかあの病院の、新型コロナを封じ込めたいと、ついては大量の検査が必要になる。そのときにはぜひ協力してもらいたいという要請が僕にあって、僕もわかりましたという対応をしました。それはやはり、この大阪で府・市合わせた大安研のような、非常に強化された衛生研究所があるからだというふうに思っています。
そういう意味で、大阪の衛生研究所ではありますが、今後の未知のそういうウイルスが出てきたときに、この関西で、まさに中心的な役割として引っ張っていける研究所というのがやっぱり一つ必要で、それは大阪の研究所が役割を果たせるようにやっていきたい。その足がかりとして、まず今回の万博に向けたこういう組織というか、チームをつくっていく予算を立てたということです。

記者

先ほども、ちょっと万博というお言葉が出てきたと思うんですけども、このタイミングでというのは、やはりこれまで以上に外国人の方が大阪に来られるということで、輸入感染症のリスクがあるという意味で予算を組まれたということでよろしいんでしょうか。

知事

まず、2025年の博覧会、これはやはり世界に向けて行うわけですから、世界中の人が、この大阪、関西を訪れられると、万博に来られるということですから、やはり感染症対策についても世界レベルのものを備えたいと、備えるべきだということです。万博の、一過性の事業のために必要というものではなくて、万博の一つの大きな目標にしていますが、いわゆる大阪の国際化、これからますます進んでいくし、その道は望むと望まざるとにかかわらず行くべき道だろうというふうに思っています。鎖国みたいなことをして大阪が成長するわけはないし、人口減少、高齢化の中で、いわゆる海外との結びつきというのはこれからも増えてくるというふうに思います。これは大阪もそうやし、東京もそうやし、大都市はみんなそうなってくると思いますが。
その中で、IRであったり、万博であったり、G20もやりましたけども、国際都市・大阪をめざしていく、多くの海外からの投資であったり、海外の方が大阪で活躍の場を求めてやってくることが期待されるし、そうなってくると感染症対策というのも一段とレベルの高いものを備えておく必要があるという意味で、万博を一つの目標としながらも、長い目で見た、そういった安全基盤というのを充実したいということです。

記者

ありがとうございます。

スマートシティ関連について

記者

日経新聞の皆上です。
スマートシティのことなんですけれども、重点項目として挙げていますけれども、スマートシティは全国的にもいろんな自治体が取り組もうとしていると思うんですが、現状の大阪のスマートシティの取り組みの位置づけと、それを踏まえて今年度予算でいろいろ事業としてやるというのを出していますけれども、どういう予算での意義というか狙いがあるのかというのを教えてください。

知事

まず、大阪の行政としてのスマートシティが進んでいるかというと、僕はまだまだ進んでいないと思います。じゃ、他都市は進んでいるのといえば、別に他都市も進んでいない、行政全般が遅れぎみであるのが、民間は先行しながら行政が遅れているというのがこの分野じゃないのかなというふうに思っています。もちろん一部の市町の首長が一生懸命やっているところはありますけども、大都市として、ほかの都市を見たときに、スマートシティが先行しているというのはなかなかないけども、皆、めざすべき方向性として多くの都市で掲げている項目だろうと思います。
大阪の優位性としては、やはり2025年の博覧会を実施するということが大阪の優位性としてあると思いますし、大阪はもともと経済の基盤がある。民間でも、いわゆる製造業とかもそうですし、さまざまな大企業も含めて、やっぱりその土台、素養というのは十分あると思ってます。なので、行政として、さまざまな規制を緩和して民間が活躍できる場を準備したり、あるいは行政と民間が協力できる場というのをつくっていけば、大阪はスマートシティを進めていく上で非常に有利なエリアだと僕は思ってます。何もないところから始めるんじゃなくて、既に民間の大きな、いろんな最先端技術もあるし、いろんな研究所もある。それがうまくマッチングできてないだけで、行政としてこれに取り組むということをしてマッチングしていけば、大阪自身のスマートシティ化がどんどん進んでいくと思うし、そこで新たな経済も生まれて経済も活性化する、そして新たな技術を使うことで府民の生活の質も上がってくるということをぜひめざしていきたいと思います。
そういう意味で、2025年を目標にしながら、まず大事なのは組織づくり、大阪市ではICT戦略室がありますが、大阪府にはそれがないですから、大阪府でもスマートシティ戦略部という新たな組織をつくることが大事です。組織がなかったら実行できませんから、その組織を今年の4月からつくっていきます。そこで、この1年間いろいろ議論してきたこともあるので、そのとりまとめた素案を実行していく、ここは大阪市と協働しながら実行していく。もちろん、府内市町村でもやる気のある市町村長はいっぱいいますから、手を挙げてもらったところと実行していくということを率先してやっていきたい。目標として、今年度中にスマートシティ戦略案をつくりますから、今年度末までにそれを新たな部で実行するということです。
中身としてどういうことをするのといえば、ここに書いているとおりの1、2、3、4、行政のスマートシティ化、細かいことも書いてますけど、これとか、いわゆる先行事例を収集して府域でどんどん先端的なところを導入していこう、いろいろ試験的にやる気のある市町村のところでどんどんやっていこうと。それから、学校とかそういったところでもスマートシティ化を進めていきましょうと、そういった基盤づくりを今年度は進めていきたいと思います。きちんと目標を持って、じゃ、その目標は何なのといえば、今年度末につくりますが、一つは、2025年度までに、万博までにやることというのをきっちり目標立てて進めていきたいと思います。

記者

今やるのは、やはり万博があるからということ。いろいろ課題として挙げられている少子高齢化ですとかニュータウンの老朽化というものは、以前から問題としては認識があったかと思うんですけれども、今やるというのはなぜなのかというと、やはり万博というのは大きなきっかけになっていらっしゃる。

知事

それは大きなきっかけです。ものすごく大きなきっかけです。万博の場を使って、未来社会の実験場ですから、いろんな規制緩和をしないと実行できないところもたくさんあると思いますから、そういったものを国にも求めていって、万博というのを一つの実験場にしながら、いろんな新たな取り組みができる。例えば空飛ぶクルマとかも、僕はこれ、やるといっていろんな仕組みづくりをやってますけど、そんな中で、万博を目標として、規制緩和してよということをどんどん国にも言っていくし、民間の皆さんも非常に万博を目標としていろんな取り組みを進めていきたいという企業は多いです。もちろんそれは万博で終わりなんじゃなくて、そこからさらに実用化していくわけですけどね。そういう経済性があるから民間の人は手を挙げるわけで、そういったことが、手を挙げてもらえる環境になってきているというのは、やっぱり万博が一つの大きなきっかけになっているだろうなというふうには思います。
もともとの課題があるというのは、これは僕も認識していて、どんどん高齢化が進んでいて少子化も進んできているという中で、税収も減ってきて高齢者の方が増えていく上で、どうやったら府民の皆さんの生活の質をよくできるかと考えたときに、地面を掘って油が出てきたらいいですけど、そういう状況じゃないですから、じゃ、やっぱり新しい技術というのを活用して、民間の力も入れていくことで、税投入をすることなしに、税投入の負担を少なくしながら、府民の皆さんは生活の質がよくなる、便利になる、経済が成長するというのをやっていくのは、やっぱりそれはテクノロジーだろうというふうに思っています。
だから、そのための土台づくりを今のうちから準備しておくべきじゃないかと思います。いろんなニュータウンなんかについても、高齢化が進んできて、そもそも足がないというようなところもたくさん出てきていますから、そういったところもオンデマンドバスとか自動バスとかというのを走らせたら、これは未来の可能性であるわけですから、そういったものは行政だけじゃできませんので、民間とも協力してやっていく。ただ、目標という意味では、じゃ、2025年万博を目標にしてやらせてよということをどんどんやっていく。そういう大きな万博がきっかけになっていることは間違いないと思います。問題自体はもともとあるけども、大きな推進力になっていることは間違いないと思います。

記者

ありがとうございます。

減債基金関連について

記者

読売新聞です。
全体的な話で、減債基金の回復が進む一方で、粗い試算では収支が各年度200億程度悪化と。全体的に知事の大阪府の財政に対する認識をお伺いしたいんですけど、厳しいと見ているのか堅調と見ているのか、財政状況全体に対する知事の認識をお聞かせください。

知事

大阪府は厳しいと思います。まず、やっぱり減債基金の借り入れ、これが強烈に厳しいですね。5,200億円の穴埋めをしなきゃいけない。毎年300億近い穴埋めをする、これは真水で穴埋めせなあかん、現金、キャッシュで穴埋めしなきゃいけないので、これは強烈に重たいと思います。今回、僕、大学無償化というと、すごいお金がかかるんじゃないかと思われるかもしれませんが、あれは経年で、全部そろっても必要な費用は大体30億円で、国でやれと言われている部分を入れて40億円、府費単独でいけば30億円ですけど、これ、300億円ですからね、1年間で。それを水で穴埋めしている、しなきゃいけない状況にあるというのは、厳しい状況だとは思います。
俺、大阪市長時代に聞いたんです。「これ、府は減債基金の借り入れをしているけど、大阪市もかつて、しんどいときがあったでしょう。やらなかったの」と言うと、「さすがにその禁じ手だけはやりませんでした」と市の財政局が言ってましたからね。禁じ手をやったんですよ、大阪府では、太田知事のもとで。でも、それでもこれだけ橋下さんになってから思いっきり穴埋めをし始めて、補助金なんかもカット、カットしながら強烈な穴埋めをしている、今も穴埋めをしている。穴埋めができる限りは、やっぱりある程度の、厳しい財政状況でありますけど、何とか穴埋めをしながら予算組みはできているという状況だろうなと思います。もっと言えば、この穴埋めをしなかったら、これは予算に回せるわけですから、これをまず優先的に穴埋めしても予算組みができているというのが今の状況で、そして、予算の段階では、これは大阪市も一緒ですけど、収支不足があるということのスタートですけど、決算を打ったときは大体ある程度回復してくるというのが行政の予算です。
今回も大阪府の予算も、多分、当初予算では、去年のやつは300億円ぐらい穴埋めして財調基金から取り崩すという予算でしたけど、結果、取り崩すどころか50億円ぐらい埋め戻してますから、そういった意味で予算組はできていると。「大阪の成長」という意味で、税収も増えていますから、大阪府・市の一体の改革が税収を押し上げていっているというところもあると思います。だけども、一方で、やっぱりこういった穴埋めもしなきゃいけないし、予算組みをしたときは収支不足が見える。今回はさらに、いわゆる税収というのがなかなかこれは伸び悩むんじゃないかという厳しい見立てをしてやれば、やっぱり200億円ぐらい当初の予想よりも厳しく見立てているという状況になるので、状況的には財政としては厳しい財政状況の中での予算編成だというふうに思っています。ただ、そこまで悲観するというよりは、大阪の経済の成長、税収の増加ということを考えたら、また穴埋めはしてますから、予算組みはできているというふうには思っています。
今後、やっぱり気をつけなきゃいけないのは、大阪府の事情というよりは、大阪府とは離れたところで大きな経済不況、例えば中国のコロナをきっかけに大きな経済不況が出たときとか、今回は特に消費増税後間もないですから、企業の設備投資とか個人の消費というのは弱っているところですから、そういった意味での税収減というのは一つのリスク要因として見なきゃいけないと思っています。
大阪市と違うところは、主幹税目が大阪市の場合は固定資産税とか、あまり景気に変動しないんですね。大阪府の税目は法人二税ですから、非常に景気に連動しやすい税収です。これは国の法律でそうなっていますけど。そういうのを考えたときに、大阪の事情とは関係なく、外の経済が極端に悪くなったときというのは税収はかくんと落ちてくる。そのときの対策をどう打つのかというのは非常に重要だと思っています。もしそういう状況になれば、予算についてもかなり厳しい予算を組んでいくということになりますが、今はまだその状況ではないだろうとは思っています。借金も確実に減っていっていますしね。減債基金を抜いた借金は確実に減っています。減債基金を入れても減っていっていますから。
でも、財政状況としては、やっぱり大阪府は厳しいだろうなと。大阪市長として再編しましたけど、財政力は大阪市のほうがやっぱりあると思う。借金も1兆6,000億円ぐらい僕と橋下さんで減らしているし、実質公債費比率についても、十何%ぐらいあったやつが、どんどん減らして、今は多分4%とか3%ぐらいになっているから、そういった意味で、大阪府のほうが財政は厳しいと僕は思う。
でも、そんな、これは無理だと悲観するような状況ではないけども、気をつけなきゃいけないのはやっぱり外部の事情。経済がどう動くかというのはちょっと注視しないと。特に今回コロナが発生したのはちょっとリスクとして重く受けとめないといけないなと思っています。中国経済がぐわっと右肩へ下がったときのリスクというのはちょっと考えないといけない。そのときは日本経済全体がしんどくなっていますけど、大阪も、やっぱり関西は中国との結びつきが強いですから、インバウンドとかそれだけじゃなくて。そういった意味では、そういう外部経済の要因で税収が減になるというのは、今回かなり厳しくは見ていますが、ちょっと注視していかなきゃいけないなとは思っています。

府立大、市立大の無償化関連について

記者

日経新聞です。
先ほど大学無償化の話がありましたけれども、大阪府が設置者というのはわかるんですが、私立の大学の団体から、特定の大学だけでなく府民全員に恩恵が行き渡るような制度にするべきという要望が出ていると思うんです。そういう制度をつくることは、府の予算上、現実的でないというお考えでしょうか。

知事

財政的にも現実的じゃないですし、理屈的にもやっぱり現実的ではないだろうなというふうに思っています。
理想としては、私大の要望と僕は方向性は同じだと思っています。やっぱり私大の側から見れば、府立大、市大だけ、こんなん不平等じゃないかというのは、それは私大の運営者から見たらそう思うでしょうし、本来的にはやっぱり私大もこれは無償化すべきだというのは、僕はその方向性は賛成です。すべきだと思います。今回、国の大学無償化があまりにも範囲が狭過ぎて、ほとんど無償化にすらなっていないような状況でしたから、今回、府として、府が設置者である大学をやりましたけど、方向性としては、やっぱり私立大学の皆さんが言うように、制度自体は広がっていくべきだというふうに思います。ぜひそれは国もやってもらいたいと思う。
じゃ、それを府がやるのと言ったら、ちょっと申しわけないけど、そこまでの府の財源は厳しいと思うし、そもそも府は私立大学に何の権限もないですからね。国立大学はましてやですけど、私立大学に対して何の権限も持っていないのが大阪府・市ですから。大阪府・市として権限を持っている、極論を言えばなくすことだってできる大学は公立大学ですから、必要がないと判断すれば、僕らはなくすこともできますから。市大・府大はね。でも、大阪にとって必要だということで、毎年200億円合わせて税金を入れているわけですから、そういう大学に対して、その大学で学びたいという学生のチャンスの窓口をつくると。その窓口が僕は広がってきたらいいなと思います。政治家としては思いますけど、知事としては、そこまで広げるのはちょっと難しいだろうなと思います。政治家としては、本当に憲法を改正してでもやるべきだと思っていますが、今の自民党じゃなかなかできないんじゃないのかなと思います。でも、こういうことをやることによって、これはもっと国全体でやらなきゃいけないんじゃないのという声が上がれば僕はいいなと思いますけど。別にそのためにやっているわけじゃないけど、そういうふうに、まず知事としてできることをやっていこうと。
アメリカでも、ニューヨーク州立大学とニューヨーク市立大学をニューヨーク州知事が無償化したという前例もあります。それがどんどんいろんな州に広がっていっているのが今の現状ですけど。ニューヨーク州知事がニューヨーク州にある全ての私立大学とかを無償化はしていないですから。やっぱりニューヨークの州立、市立を無償化にしている。同じように、やっぱり僕は大阪府知事なので、府大、市大を政策として無償化するというのが知事権限じゃないのかなというふうに思います。

記者

不平等感がある中で、公金をつぎ込むことになると思うんです。公金をつぎ込む以上は、地域に貢献する必要があると思うんですが、今後、府大、市大、新大学がどういう役割を担っていくことが納得を得られることにつながると思われますか。

知事

やっぱり府大、市大がこれからは「大阪の成長」を支える、あるいは府民・市民の皆さんの生活をよくする、そういうことに貢献する大学であるべきだと思っています。だから、新大学の構想でも、いわゆる横文字ですけど、技術インキュベーション機能とか都市シンクタンク機能とかいうのを組み込もうとしてやっているわけです。例えば大阪府で政策立案するときに、シンクタンクとしての大学に問い合わせをして、そこからエビデンスをもらって、大阪府が政策を打つとか、そういう関係が本来あるべき姿だろうというふうに思っています。
じゃ、今そのとおりになっているのといえば、やっぱりどうしても一律的な試験制度の中で偏差値競争に組み込まれて、国立大学の次みたいな言われ方をすることも多いというのは僕はちょっと残念だなと思っています。国立大学の次と言われるんだったら、なくていいと思うんですよ。少子高齢化になって大学数も減ってきている。子どもの数が減ってきているんだったら、大学数も減らしていくのは当然ですから、単に偏差値制度の中に組み込まれるだけであれば、大学の存在意義は僕はないんじゃないのかなと。わざわざ今でも200億円突っ込んでやっている意味はないのかなと。やっぱりそこに意味があるのは、大阪という大都市があって、大阪府全域というこの大都市、あるいは府民・市民の方がいらっしゃって、その皆さんに貢献する大学、「大阪の成長」とか、都市を支える知の拠点といわれるような特徴のある大学を、僕はぜひめざしてもらいたいなと思ってます。

記者

ありがとうございます。あと、すいません、全国でやるべきとの考えだとおっしゃったと思うんですけれども、大学の人材集めというのは自治体間競争でもあると思うんです。ほかの自治体が今後同様に授業料を無償化する、同じような制度を導入することについてはどうお考えでしょうか。

知事

それはどんどんやったらいいと思いますし、できると思いますよ。その大学、その自治体で、その自治体が管轄しない私立大学とか国立大学とか、全部となったらかなり、ほかの施策は全部削って削ってやらないと財源捻出できないと思いますけども、自分たちが管理運営している公立大学の範囲でやるというのは十分できると思います。だって、さっき言ったとおり、大阪府なんか300億円の減債基金の穴埋めを毎年やりながら、それで府大、市大に必要な予算というのは全部入れても30億円ですから、国がやるって決めた8億円、10億円の範囲を除けば、それは、都道府県であれば僕は十分できると思いますよ。それ以外のところにお金を突っ込んでんじゃないですか、それは首長の予算編成方針だと思います。いろんな何ちゃら団体、何ちゃら団体に補助金とかをぼんぼんやってたらそんなことはできないでしょう。でも、実態はそういう予算編成をしているところが多いんじゃないですか。

予算案に対する評価について

記者

毎日新聞の芝村です。
府政の全体のことで、予算編成としては社会保障関係経費が増え続けていたりして、厳しい財政状況というふうにおっしゃっていたんですけれども、知事が、重点で今三つを挙げていただいたんですが、どのぐらい自分の意図を反映できた予算にできたかという、今回の予算の自身の評価をお願いできれば。

知事

いや、ほぼ100%、自分の意思は反映したと思います。もちろん行政ですので、継続性というのがありますので、松井府政を継承して、これまでの大阪府政を継承しながら予算組みをするというのがあるから、その継承をしながら進んでいくという範囲内では、僕自身がやりたいと思ってることについては、予算組みはできたと思います。

記者

すいません、スマートシティなんですけれども、体制として何人規模で、どういうような形にするかというビジョンが、もし今の段階であるものがあれば教えてください。

知事

人数は多分70人から80人ぐらいの組織になると思います。今は、部長について外部公募中です。中身、やることとしてはスマートシティ戦略案というのを今年度末に作成しますから、それをもとに実行していくということになると思います。大阪府庁にいる、それぞれ、総務部もそうですけど、ITに強い、あるいはITの担当をしているメンバーというのを集合して、一つのスマートシティ戦略部というのをつくっていきたいと思います。

農業分野の予算関連について

記者

失礼します。日本農業新聞の本田と申します。
農業分野の予算についてお伺いできればと思うんですけれども、今回、農業についてはどんなテーマで、あるいはまた、どんな狙い等で編成されたのか等、もしあればお伺いできますでしょうか。

知事

農業分野については、台風21号で大きな影響を受けましたので、それに対して支えていくと、いわゆる農業を営んでいく上で、例えばビニールハウスであったり、そういったものが非常に打撃を受けたというのがありましたから、そこを支えていくということ、これは継続して、実行していきたいと思います。
それから大阪産(もん)、G20でも紹介して、非常に評判もよくて、売上げも1.3倍から1.5倍に伸びたというふうにも聞いてます。先日も、その農業の団体の方から要望書というのは受けましたけども、非常に魅力のある農業、生産というのをされてますから、そういったものをどんどんPRしていくということを、海外に対してもPRしていくということを積極的に進めていきたいというふうに思います。
それから研究所でもいろいろ、新たな品種の研究等も進めてますから、大阪府のレベルの高い農業というか、そこを、量という意味ではそんなに多くないかもしれませんが、レベルの高くて特徴のある農産品というのをどんどん世に広めていけるというのはぜひやっていきたいなと思います。

記者

ありがとうございます。

府立学校の整備事業関連について

記者

すいません、読売テレビです。
今回、予算の中に府立学校の長寿命、施設の長寿命化の整備事業があると思うんですけれども、緊急修繕が必要な学校がおよそ3割、学校数にして67校ですかね、ある中で、今回その予算の対象になってる学校は、全てその67校全てというわけにはいかなかったと思うんですが、その理由だったり狙いを教えてください。

知事

全部で57校だと思うんですけども、その57校、いわゆる劣化度調査において、これは長寿命化の修繕が必要だと、緊急的な修繕が必要だという評価をされた学校があります。その学校の中でも、特に緊急を要する建築部位であったり、設備であったり、そういったところについての改修費というのは今回の予算で計上してます。じゃあ、全部計上できているのかっていったらそういう状況ではないですから、令和2年度中に、この新年度中に、当面5年間の改修の計画というのを策定することにしてます。その中で残りの、いわゆる劣化度調査でD判定の学校については、5年間の改修計画の中に組み込んでいきたいというふうに思います。あとは緊急度が高いところから、令和2年においても随時実行していくという予定にしてます。

児童虐待防止関連予算について

記者

エルマガジンの岡田です。
未来を担う子どもたちが輝ける環境の充実についての予算の質問なんですけれども、里親の推進や児童虐待防止の充実と、あと、子ども家庭センターの機能強化と、新たな分野の予算化、計上されたと思うんですが、まず、その狙いについて教えていただけますか。

知事

ここはやはり児童虐待の防止、児童虐待に対する強化ということについて力を入れていきたいと思います。これは大阪の子育て施策の中でも、大阪府の分野として、範囲として、やはり児童虐待というのは大阪府が管轄する範囲でもありますから、ここは子育ての、次の世代を支える投資という意味では僕の中での重点分野です。また、松井市長も、僕と松井市長のダブル選挙において、重大な児童虐待防止というのを、やはり大きな、都構想と、もう一つの大きなテーマとしては重大な児童虐待防止をやりたいというのは、松井市長はいろんな討論会でもおっしゃってたので、やっぱり多くの民意を得ているのもまた事実ですから、この児童虐待防止というのに、大阪市と協力しながら、大阪府と、堺市も新たに永藤市長になりましたから、大阪府、大阪市、堺市、この児童虐待の分野で、まずは児童相談所を持つ、このメンバーが一致協力してやっていくと、その中で3者の会議体も立ち上げて、やっぱり悲惨な児童虐待を少しでもなくすということをやっていきたいと思います。
目黒の女児事件で結愛ちゃんかな、命を落としたときのことが僕の中では児童虐待対策に力を入れる大きな動機になっています。これは大阪市長時代に児童虐待防止の対策会議を立てて、そこで力を入れた分野にしたわけですけど、結愛ちゃんが残したメモ、お父ちゃんに暴力を振るわれてるから助けてくれと、許してくださいと、明日はちゃんとやりますからというような、明日は言うことを聞きますので暴力はやめてくださいというようなああいうメモを見ると、やっぱりこれは僕たちのような予算編成権を持つ行政、いわゆる権力者側こそがここに力を入れる分野だと思って市長時代に取り組んできたと。松井市長もこれについて悲惨な児童虐待をなくしたいというので、選挙で掲げられたわけですから、そういった意味で、僕自身も大阪市長時代から引き続き大阪府の持つ権限をもとに力を入れていきたいということで、さまざまな予算組みをしたということです。
大阪府の場合は市町村との連携というのが非常に重要になってくるので、市町村との連携強化についても中身に入れていますし、SNSとかいろんな相談しやすい環境づくりとか、3者でのさまざまな共通した取り組みとか、警察との連携とか、大阪府は警察も持っていますから、警察にも入ってもらって重大な児童虐待を少しでも減らしていくと。
最後、守られるべき親に守られていない児童からしたら逃げ場所がないわけですから、じゃ、最終最後はやっぱり行政がそこに積極的に介入して支えるという体制は整えていきたいと思います。大人になれば一定程度、皆さんもそうですけど、自己責任で自分の判断はできますけど、仕事も変えようと思ったら変えたりして生きていけるとは思いますけど、子どもの場合は親に頼るしかないわけですから、その親に暴力を振るわれて逃げ場がないというのを守るというのは、これは権力者の仕事だと思います。だからそこに力を入れていきます。

記者

里親のことに関しても、例えば、児童虐待を受けてしまった子どもが優しい里親のもとで成長していくということも念頭に置かれていることなんでしょうか。

知事

里親については非常に大変な仕事だと思います。現場の話を聞いていても里親というのは大変で、里親の育成というのが非常に重要になってくると思います。厚労省は里親の委託率を上げろと言って、それはわかるんだけど、里親の現場が非常に大変な中で増やしていく。大きな方向性としては、里親を増やしていくというのは大事なところなので、今回もそういう里親を増やしていくための里親の支援機関の整備、これをしっかり進めていきたいと。そして、実績に応じて加算の仕組みをつくることで、インセンティブではないですけども、里親支援の取り組みをさらに進めていくと。里親登録者をどんどん増やしていくというのを進めてやっていきたいと思っています。

記者

なかなか里親となるとハードルが高いなというのが府民の皆さんはあると思うんですが、そういった課題はどういうふうに解決されていきますか。

知事

里親は非常にハードルが高くもありますから、今、里親をやってくれている方もたくさんいらっしゃるという状況です。そういった児童虐待を受けた子どもたちを自分で支えるよと言って、動機を持ってくださる方もたくさんいらっしゃいますので、そういった方を支えていく、研修制度もそうだし、こうやって支えていく仕組みというのが重要だろうと思います。そこが今までなかなか十分にケアできてこなかった部分がありますけど、里親支援センターをつくったりしながら、何とか里親のほうを支えていくということに今回の予算も力を入れているということです。
もちろん、里親がどんどん増えてくるということじゃないのもわかるけど、一方で里親をやろうという高い志を持たれている方もたくさんいらっしゃるので、里親になって現実とのギャップ、実際に育てていく上で大変な状況から始まるというようなことも、僕もいろんな話を実際に聞いていますから、大変だとは思いますけど、大変だからこそ里親を支える、実際にギャップが出てきたときにきちんと支えたり、いろんな研修をするということを推進していく、里親を推進していくと。バックアップ、フォロー体制を整えていくということに力を入れてやっていきたいと思います。

記者

もうちょっと前段階にはなるんですが、例えば、命を授かってから妊娠期間中とか、出産に至るまで、また子どもを育てていく間で、やはり親の資質がないとか、子どもは育てられないと早い段階でわかる親もいると思うんですけれども、そういった虐待が発生してしまうかもしれない事案に対して、早い段階で気づいてあげて、例えば養子縁組とかを早期に進めるとか、そういった取り組みというのには何か関心は持たれていますか。

知事

「大阪市版ネウボラ」というのを僕が市長時代に導入しましたから、まず、やっぱり大事なのは赤ちゃんが生まれたときにきちんと支えるというか、顔の見える保健師さんを導入しました。今回、松井市長の予算でもそこを強化すると報道でも出ていましたけど、生まれたときにきちんと、産後鬱とかにも非常になりやすいですから、親のほうが相談できる体制というのは整えていく必要があるし、そこはどちらかというと市町村が中心になってやっていくところだろうなとは思います。
全部が全部大阪府ではできないですけども、生まれたときの母子健康手帳から始まって、保育所であったり、そのあたりは市町村でやっている業務でもあるので、やっぱり市町村との連携を図っていくと。親に対するフォローというのは重要だろうと思います。
とことんリスクが高い家庭の案件というのは大体把握できるというか、ありますから、実の父親ではない交際男性が入ってきて母親のほうがそっちに行くとか、いろんなハイリスク案件というのはある程度把握できているので、そういった親をきちんと対策としてとっていくというのも重要なことだろうとは思います。家庭なんで全部見切るのは難しいんですけど、それでも児相とかが絡んでいる案件、行政が絡んでいる案件についてはしっかり絡んでいくことも大事だし、絡んでいって支えていくというのが重要だと思います。
それは無理だとなったら積極的に介入する、介入して、一時保護して切り離すということも方針として進めていますので、そういった一時保護機能の強化も今回予算に入れていますので、これはちゅうちょなく一時保護しないとまずいというものについては、ちゅうちょなく一時保護をして、一旦親と切り離すということをやっていきます。虐待しているのに切り離されるのを親は嫌がりますから、非常に難しいところなんですけど、そこは積極的にやっていくということです。
大きな目標としては、重大な児童虐待をできるだけ減らしていくと、特に命が奪われるようなもの、重大な後遺症が残るものをできるだけ減らしていく、少しでも減らしていくということが重要ではないかなと思います。そのために、大阪市も大阪府も堺市も力を入れてやっていこうということで、それぞれ予算編成をして、大阪府の予算はこれだということです。

職員

ほかにご質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
では、これで終了させていただきます。ありがとうございました。

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