ここから本文です。
平成31年(2019年)4月8日 就任会見内容
就任会見
職員
ただいまから吉村知事就任記者会見を始めさせていただきます。
最初に、知事からお願いいたします。
知事
昨日の知事選挙におきまして新しく知事に就任いたしました。今日、知事として初登庁いたしました。
今回の選挙においては、それぞれこれまでやってきた大阪府市の改革、そして大阪の成長、そういったものを前に進めていくということが多くの府民の皆さんにご支援をいただいたと思います。あわせて、大阪都構想の再挑戦というのを正面から掲げ、そして、これを大きな争点として、この選挙戦を行いました。そして、多くの府民・市民の皆さんから、松井新市長とともにその都構想の再挑戦を進めていけという大きなお声をいただいたと思います。その声に沿えるように、非常に身の引き締まった思いですけども、これからの大阪府政に邁進をしていきたいと思います。
この間、僕自身は大阪市長として3年4カ月の経験も積んできました。大阪市長においては、市町村の仕事、基礎自治の仕事をしています。それだけではなくて、都道府県と同じ仕事もします。そこでの経験というのが、新しい大阪府知事としての仕事をしていく上で、僕は発揮できると思っています。
あわせて、府知事に就任しまして、橋下・松井改革がこの大阪府政で進めてこられました。その橋下・松井改革の方向性を僕自身も継承して、そして、さらに大阪を成長させていきたいと思います。
翻って考えてみますと、大阪は、まだまだ力が発揮できると思っています。府と市の二重行政をやめて、府市ばらばらなのをやめて、そして一体になることで、大阪というのは、まだどんどん成長すると思っています。これまで進めてきている府市一体の改革、そして、府市でともに進めてきたもの、例えば大阪の2025年の大阪・関西万博もそうです。そして、80日後に行われるG20もそうです。あるいは、うめきたであったり、広域のインフラ、それから港ですね、IR、さまざまな点において、府市一体で進めている改革をさらに進めていきたいと思っています。
今回、都構想の再挑戦を掲げて、大阪の力を発揮できる仕組みをつくっていく、それをこの任期中に必ずなし遂げたいと思っています。大阪が東西2極の1極になるように、東京にもし何かあれば、大阪が日本を引っ張っていくような、そんな力が発揮できる大阪の仕組みづくりをつくっていきたい、そして、それを次の世代にもバトンタッチしていきたいと思います。
大阪府政ですから、大阪市政と大きく異なるところといえば、これは市町村の業務ではありませんので、市町村の皆さんと住民の皆さんに身近なサービスについては話をしながら、そこを深めていく、それをしていきたいと思います。あわせて、市町村ではできないようなもの、つまり、大阪府がやるべきこと、大阪全体の成長を牽引していくということを大阪市とともに協力して進めていきたいと思います。大阪府民の皆さんが、大阪はよくなったね、大阪は成長したねと、この4年間で言っていただけるように実行していきたいと思います。
僕からは以上です。
質疑応答
職員
それでは、ご質問をお受けいたします。
最初に、幹事社の朝日放送さんからお願いいたします。
初登庁の感想について
記者
それでは、幹事社のABCの島田がまず質問させていただきます。
今日初めて知事として府庁に登庁した感想などをお聞かせください。
知事
これまで大阪市長として何度も大阪府庁には訪問しています。それで、知事室にも何度も松井さんと打ち合わせをするために訪問しています。ただ、大阪府知事として、自分自身が知事として登庁したということで、これまで同じところに来ているんですけど、やはり、見える景色は違うなと思いました。大阪全体を成長させていく、大阪の改革を進めていく、それをしっかりとやっていかなきゃいけないんだと、改めてそういう強い気持ちを持ったというところです。
昨日までは選挙戦のことでしたけども、選挙から一夜明けて、気持ちも入れ直して、身を引き締めて頑張っていこうと、そういう思いになっています。
選挙の勝因等について
記者
その選挙ですが、今回のこの勝因、そしてこの結果を受けて、民意を得たとお考えになっていますでしょうか。
知事
これまで松井さんとともに進めてきた改革、一体で進めてきた改革、そして大阪の成長、維新の改革、その大きな方向性について、このままさらに続けていけということのご意思があったんだと思います。それがまず1点目です。
そして、もう1点目は、やはり、大阪都構想の再挑戦というのを掲げて今回の選挙が始まりました。今回の選挙のきっかけも、もともと公明党から約束を反故にされて、そして、そのまま僕も大阪市長の任期を終えることもできましたけれども、それをやれば、3年半前に市民の皆さんに約束したことも実行できない、そのままで任期を過ごすわけにはいかないなという思いで、松井さんとともに今回のダブル選挙に打って出たわけです。つまり、これも大阪都構想が論点になって、今回の首長選挙が始まりました。そして、選挙においても大阪都構想の再挑戦というのを正面から掲げて訴えました。そして、松井さんと僕が選挙で選ばれたという結果になりましたので、これは、その民意を受けとめて、みずからの任期中に必ず都構想の設計書というのをつくり上げて、そして、市民の皆さんに問う、住民投票をするというところは確実に実行していきたいと思います。これが市民・府民の皆さんとの約束事だと思います。
議会との関係について
記者
議会でも維新が過半数を得たということなんですが、今後、議会で、特に自民、公明とどのように向き合っていくおつもりでしょうか。
知事
議会は、僕も市長のときに粘り強く合意形成をしながら物事を進めていきました。特に、議院内閣制ではなくて二元代表制ですかね、議会との議論を深めていくというのは重要だと思っています。
大阪府議会において、維新が過半数を占めましたけれども、自民、公明、それぞれ府民の皆さんの代表として選挙で選ばれてここに、議場に来られているわけですから、やはり自民、公明の皆さんともしっかり議論を深めながら物事を進めていきたいと思います。
ただ、もちろん議論はしっかりと闘わせて、最後は、決定して実行するという政治はやっていきたいと思います。
記者
幹事社からは以上です。
記者
先ほど議会のお話も出て、府議会だと、一応、過半数をとられたんですけども、市会のほうだと過半数には至ってないんですが、それも踏まえて、特に公明党さん、佐藤さんとの距離感については今後どうされるおつもりでしょうか。
知事
やはり都構想の再挑戦を実行していくためには議会の議決が最終的には必要です。大阪市議会において、維新だけで過半数はないわけですから、これは他党の皆さんとの合意形成の努力をしていかなきゃいけない。それは松井市長もそうですし、そして、法定協議会は府市一体でやっていますから、やはり僕自身もそういうスタンスで臨んでいかなきゃいけないだろうと思っています。
公明党との関係ですけども、今回、まさに公明党との約束も反故にされて、それぞれ公明党も、維新も、僕たちも、正面からぶつかり合って選挙をしました。公明党は、都構想は終了させると。そして、松井・吉村両名について、これはふさわしくないということで選挙戦を正面から戦われました。僕たちも自分たちが大阪にとって都構想が必要だということを正面から訴えて、そして、今回の選挙の結果が出ました。この選挙の結果を踏まえた上で、公明党がどう都構想について判断されるのか、何も変わらないのか、あるいは大きく変わってくるのか、公明党さんのスタンスを見極めたいと思います。
記者
まずは維新側から何か語りかけるということではなくて、様子をとりあえず見るということなんですか。
知事
そうです。今回の選挙を踏まえて、もし僕か松井さん、あるいは両名が落選ということになっていれば都構想の議論は終了していたわけです。ただ、そうならなかったわけですから、そのことについて公明党さん自身がどうお考えになるのかというのはしっかりと、やはり示されるべきだと思います。これが選挙前と全く変わらないということであれば今回の選挙の民意はどうなるんですかということになりますから、民意を無視されるということであれば公明党とは戦うということになると思います。
記者
市会では維新は過半数に至らなかったわけで、そういう意味で、ある意味、一つの民意だという言い方をされる議員さんもいらっしゃるんですけども、維新さんとしては、首長選をもって民意を得たというような捉え方。
知事
都構想の再挑戦については僕と松井さんとの両名の当選をもって民意を得たと僕は思っています。つまり、都構想そのものに賛成かどうかはわからないですけども、都構想に再挑戦する、つまり大阪市民の皆さんにもう一度問うところまではやるように、最後は大阪市民が決めるけども、僕はそういうご意思だと思っています。まさにそれを掲げてやったわけですから、そこの民意は尊重されるべきだと僕は思います。
ただ、もちろん僕と松井さんはその政策を掲げてやりました。一方で、市議会はそもそも選挙の仕組みとして、5人当選したり4人当選したりと複数当選する中選挙区制になっていますので、そういった意味では、いろんな政党であったり、あるいはそもそも議員個人が常に地場で活動していたりしているかどうか、そういうことで当落が決まるというような選挙でもあります。これは実際のところ、数千票で大阪市民の代表になるわけですから、人が単に少ないところでは数千票で代表になりますから。ということは、身近なエリアで身近な活動をどんどんしているという議員は選挙には強いということになると思いますので、やはり議員個人の属性というのはより一層、中選挙区制では強くなってくると思います。そういった意味で、大阪市議会で維新は過半数がないから都構想の再挑戦が否定されたということにはならないと思います。そのことは、公明党さんも選挙の仕組みをよくご存じですから、わかっていると思います。
記者
もう1点だけ。橋下徹前代表が、午前中にテレビ番組で、もし公明が都構想に向けて賛同しなければ、全国の選挙区、公明の選挙区6区に全てに立てると、準備はできている、エース級を全て並べるんだというような発言があったんですけれども、それに対して受けとめとご自身のお考えはいかがでしょうか。
知事
僕自身も同じ考え方です。関西の6選挙区において、今回の選挙においては、まさに公明党さんも、僕と松井さんは首を取るということで正面から戦われました。現に、僕自身も選挙活動をさまざまなところでやっている中で、やはり最も選挙活動を一生懸命されているのは公明党だろうなというのは実感しました。よく市民・府民の皆さんから、何回も公明党さんが来て、危ないからちゃんと頑張りなさいというのはよく声を聞きました。だから、かなり公明党も本気を入れて今回の選挙に臨まれたんだと思います。そして、僕や松井さんが落選するということを目指してされてきたわけです。その上で、今回の選挙の結果を得て、そして、都構想の再挑戦を掲げているわけですから、その民意が全く無視されるのであれば、僕は、国会議員も含めて、つまり関西6選挙区も含めて、維新を立てない理由はないと思います。ただ、これは、最後は代表の判断事項ですよ。松井さんの判断事項になります。もし公明党のスタンスが変わらないのであれば、僕は強く松井さんにそれは意見具申します。
記者
最後にもう1点だけ。衆院に候補を立てるとなった場合に、どういうふうな中から選べばいいのかということと、その中で、みずから首長をやめて出られる可能性というのがあるのかどうか教えてください。
知事
いや、だから、まずは、公明党さんが今回の選挙を受けた具体的なスタンスというのをまだ表明されているわけではないですから、今の段階でそこの具体的な話までするのは適切ではないと思います。ただ、僕自身は、何度も申し上げているとおり、全くそれが選挙前と変わらないのであれば、それは深く議論するとか、是々非々だとか、慎重かつ丁寧に議論とか、当然そういうことは言うんでしょうけども、じゃあ、本当にきちんと再挑戦に向けて実行されるのかどうかということについて明確なスタンスを出していただきたいなと思います。前回と同じような玉虫色で最後まで終了して終わらせようということが読み取れるような状況であれば、僕は、公明党に衆議院の選挙区においても配慮することなく、配慮する理由もそもそもないですから、全面対決をしていくべきだと思います。
IR関連について
記者
日刊工業新聞の大川と申します。
広域を担う府政で、産業政策をまずどう進めていくのかということと、特にIRについて、2024年度中の開業を目指すということなんですけれども、どのようなスケジュール感で取り組まれていくのか教えてください。
知事
まず、広域の産業政策について、これは、大阪府は研究所も持っていましたし、大阪市も研究所を持っている。この研究所については、今、一体化して進めていますから、それをさらに強化していきたいと思います。
あわせて、中小企業の支援について、大阪府と大阪市が別々にマイドームの運営と、それから産創館の運営をやっていましたが、今回、新たに大阪産業局を4月に立ち上げて、いよいよ民間の方も来ていただいて進めていくということが決まりましたので、大阪府市全体で大阪の成長産業を支えていく仕組みを力を合わせてつくっていこうという方向性で進めていきたいと思います。現に、研究所の試験場のほうについては、その成果もバッテリーなんかでも出始めていますから、これはさらに強化していきたいなと思います。
それから、統合型リゾートのIRについては、選挙期間中も、これはテレビ討論や何らかの討論会でよく議題に上がりました。そのときに、僕自身はIRについては推進派だと、賛成ですということを明言して進めてきました。これは僕が大阪市長時代もそうですから、いわゆる大阪府市で推進局をつくって、そして、もちろんギャンブル依存症とか課題がありますので、そういったことには正面から取り組んで、国にプラスアルファするような大阪モデルの課題について、より厳格に対応するような仕組みというのは独自につくって強化していきたいと思います。その上、夢洲には警察署もつくりたいと思いますし、消防署もつくりたい。これは大阪市のほうですけど、そこは松井市長とともに連携しながら進めていきます。つまり、課題については正面から向き合いながら、IRのプラスの面、ものすごい大きな経済効果もありますし、経済成長にとって非常に重要だと思っていますから、2024年、つまり万博開業の直前までにはIRを対応していきたい、そのスケジュール感で進めていきたいと思います。
選挙結果について
記者
産経新聞、井上です。
昨日の記者会見があったと思うんですけれども、その後にでも、松井代表と今回の選挙結果について何か言葉を交わされたりというのはあったんでしょうか。
知事
いや、昨日の今日ですから、特に今の段階ではないですね。この後テレビで会いますけど、ちょっとその後はないです。12時ぐらいまで一緒にいます。
大都市制度以外の取組みについて
記者
すいません、もう1問なんですけども、都構想以外で取り組みたいことということは、いつもスマートシティなどを言われていますけど、そのあたり、改めてお願いしたいんですが。
知事
万博の成功というのをまずやりたいと思います。2025年の万博が、僕自身も世界中を回って大阪の魅力を伝えて、万博をさせてもらいたいというのを世界の皆さんに訴えて実現できたという思いがありますから。これも大阪府民・市民の皆さん、本当に応援していただいてできた。そして、多くの皆さんが期待をされていると思っていますので、この万博を必ず成功させたいと思います。
万博の成功に大事なのは、2025年がここにあるとしたら、急にここから始まるわけじゃなくて、今がここにあるとしたら、万博に向けてこれをこう、機運も醸成しながら万博のレガシーというのを共有できるように、その後のレガシーだけじゃなくて、万博が始まるまでの期間というのも僕は非常に重要だと思っています。ですので、万博までの間に、特に万博の理念でありますいわゆる最先端の技術を使った、いわゆる生活であったり、命であったり、健康であったり、住みやすくするということを先取りしたものをぜひ進めていきたいと思っています。
そういうものを進めていくために、大阪府庁内で最先端技術を民間と協力しながら進めていけるそういった部署、これは、僕はそういうのを新たに再編していきたいと思っています。僕が市長のときに、市長就任後、大阪市役所のICTのリテラシーがあまりにも低いので、ICT戦略室というのを新たに組織再編しました。大阪府においても、大阪府の行政自体がICTリテラシーはそんなに高くないと思いますから、その大阪の行政サービスをICTを使ってよくする。そして、市民の皆さんの生活も、例えば何度も言ったんですけど、高齢化が進むベッドタウンの団地街において人件費がかからない自動運転のバスを走らせるとか、何かそういった万博に向けた、万博を目指して府民の皆さんが何か感じ取れるようなものを広げていきたいと思っているんです。
介護も非常にこれから重要になってきますけど、一つずつどんどん成果も出てきていますし、そういった最先端の技術を使って府民の皆さんの生活がよくなる。そして、これは万博につながるんだというものを民間と協力しながら進めていける組織、これを府庁の中につくっていきたいと。スマートシティ戦略室というのを、会議体じゃなくて、組織そのものを僕は再編したいと思っています。つまり、そこにはICTリテラシーが高い職員を集めて組織再編していきたい。その詳細についてはこれから、今日始まったばかりですから、それぞれこの府のメンバーと話をしながら進めていきますけど、組織再編はやりたいと思います。結局、口で言うだけじゃ物事は進みませんので、実行するためにはやっぱり組織が必要だなというのは大阪市役所にいたときよくこれは思いましたから、組織論、そう言う以上は組織をつくっていきたいと思います。
服装について
記者
最後、もう1問なんですけれども、選挙期間中は勝負ネクタイの赤いネクタイをよくされていたようだったんですけど、今日は初登庁で、その緑のネクタイというのは維新カラーになるわけですか。
知事
ええ。選挙期間中は、あれは験担ぎで赤いネクタイをしてやっていました。これは前の選挙のとき、選挙に当選したときあのネクタイをつけたので、験担ぎでやっていました。今回、選挙も終わりましたので、この緑は、おっしゃるとおり、維新の改革を進めていこうと、維新カラーという意味でこの緑を選びました。
記者
ありがとうございます。
大都市制度関連について(1)
記者
毎日新聞の津久井です。よろしくお願いします。
先ほどの公明党さんとの関係のお話がございましたが、まずはスタンスを見極めるということですけれども、時間がちょっと経ってしまうとこの選挙の熱が冷めてしまう部分もあるかと思うんですが、知事としては、法定協の再開というのはいつごろまでにすることが適当だという形で捉まえていますでしょうか。
知事
法定協については、僕は議会が揃い次第速やかに開催すべきだと思います。それはできる限り速やかに開催すべきじゃないかなと思います。これは5月で議長とかも変わるのかもしれませんので、その人事がありますから、春のうちにはやっぱり再開すべきじゃないかなとは思うんです、法定協も。
記者
わかりました。
それで、昨日の結果を見ていまして、府議会・市議会で、ちょっと自民と比べて準備が遅れがちかなと見られていたような維新の候補がすごく票を伸ばしていて、ダブル選と同日戦の効果というのが表れているようにも見ましたが、その辺はどう見られていますでしょう。
知事
投票率を上げるというのは、当然、皆さんもそうですし、僕も政治家として重要なことだと思っていますから、投票率が上がるというのはいいことだと思っています。ダブル選によって投票率が上がるのであれば、それはもちろん歓迎すべきことだと思います。それから、もともとこの統一地方選挙というのは、本来、知事、市長、市議、府議が統一でやるのが統一選挙ですから、逆にずれているほうがおかしい。技術的に、それは本来そうあるべきだ。もともと出発点もそうでしたからね。
中馬市長が昭和50年に亡くなったときに、1回それで市長選挙がずれて、そして、それは昭和47年か、2000年に横山ノック知事が辞職されて知事選挙もずれた。でもその前は、知事、市長、府議、市議選挙は同時だったので、本来あるべき姿に戻ったと僕は思っています。そして、それで投票率が昔より上がったのであれば、これはむしろ歓迎すべきことだと思っています。
それから、もちろん選挙そのものがわかりにくいということで、当初はやっぱりご批判もあったと思いますが、ただ、大阪の将来をどうしていくのというところで、僕たちもこの選挙を自分たちのためにやったというよりは、どうしても都構想が行き詰まって、自分たちの残りの8カ月の任期ではできないというのがわかった段階で、漫然とその任期を過ごすのか、あるいはどうしても市民の皆さんに訴えた都構想を実現したいという思いが強いわけですから、それをもう一度問うのとどっちが適当かというので後者を選んだ。それに対して市民・府民の皆さんも都構想に再挑戦すべきではないのというご意思をいただいたということが大きく結果に結びついているのではないかと思います。
だから、つまり、ぶれなかったということです。多少批判はあったとしても、都構想に再挑戦すべきだという方向性についてぶれなかったことは大きかったのではないかと思います。
衆議院議員大阪府第12選挙区補欠選挙について
記者
明日12区の補選がスタートしますが、知事も応援というか、明日入られると聞いていますけれども、今回のダブル選の勝利が与える影響というのはどのようにお考えでしょうか。
知事
それは有権者、ちょっとわからないですね、そこは、これからの選挙なので。ただ、重要な選挙だとは思っています。
記者
12区補選でまた国政ということでテーマ、争点が違ってくると思いますけど。
知事
はい、もちろん。
記者
維新としてはどのようなことを訴えていきたいですか。
知事
候補予定者は藤田候補予定者ですから、藤田候補予定者が国政としてどうしていくのかというのを正面から訴えられるんだろうと思います。
僕自身は、国会議員の地位というのが世襲化している、つまり北川家でぐるぐる回しているというところは極めて違和感を感じますので、そこについてはやっぱりおかしいのではないかというのは訴えたいと思います。
記者
ありがとうございます。
知事
しかも市長もずれたでしょう、市長がずれて、府議が、自民が上がって、そして、公明に応援してもらうために市長が出した選挙じゃないですか、公明に応援をお願いするためにね。ちょっとそこは北川家もやり過ぎなんじゃないのと僕は思います。やり過ぎなんじゃないのというか、ちょっと違うんじゃないの、ちょっと違和感は感じます。
大都市制度関連について(2)
記者
NHKの野神です。
先ほどの法定協のお話ですけども、春のうちに法定協を再開すべきということですけども、それは知事が求めている都構想への公明党のスタンスが公明党から示された上で、それを受けて法定協を再開するということですか。
知事
公明党さんがどう判断されるかですよね、今回の民意を受けて。全く無言で過ごすわけにはやっぱりいかないと思いますから、いずれかの段階で何かご意思は発表されるのじゃないかなと思います。
ただ、法定協の具体的な開催時期については、これは今井会長が判断することですし、5月にはいわゆる人事もありますから、ちょっと僕が特定の時期というのは言うものではないと思いますが、ただ、春か夏前には再開すべきなんじゃないかなと僕は思います。
記者
ちょっと一歩引いた目線で見ると、選挙前と比べて公明党の協力を得なければ住民投票までたどりつけないという状況は選挙前と変わらないわけです、市議会は。それについては、どう受けとめていらっしゃいますか。
知事
これについては、大阪市議会で過半数を得られないという状況ですから、変わっていないというようなご意見かもしれませんが、ただ、法定協のメンバーの構成数、構成員というのは変わってくると思います。それに加えて、やはり今回、僕も松井市長も都構想の再挑戦を掲げて、まさにそれを正面からこれまでの経緯も踏まえた上で選挙をしたわけです。それから、当然、市議会も過半数はいっていないですけれども、議席も大きく伸ばしています。その結果を踏まえて、全く何も変わっていないというスタンスを公明党さんがとられるのかどうかは、見極めたいと思います。
僕は都構想の再挑戦を進めるべきだという大きな意味での民意というのは示されていると思いますから、それを公明党さんが無視するのかどうなのかだと僕は思います。
記者
市議会のことになりますけれども、公明党が都構想へのスタンスを示した上で、維新と公明党がまた交渉する立場になるのか、それとも、あと数議席なわけですから、自民党とか無所属などから維新会派に引き抜くというのもあれですけど、その辺、自民や無所属などとの交渉などというのも考えてはいらっしゃるんでしょうか。
知事
僕の市議会の経験から言うと、なかなか自民党と共産党は大反対ですから、簡単にはいかないんじゃないかなと思いますけどね。公明党ももともとは都構想に反対だけど、住民投票はいいんじゃないかというのは言っていましたので、それが本当かどうか僕もわからなかった、最後はぐちゃぐちゃになりましたけど。そこの話し合いはしていきたいですし、そこは重要なことだと思いますから、公明党さんのスタンスが今回の選挙を受けて変わるというのであれば、それを踏まえて、松井さんも僕も話し合いをするというのは当然あるべき姿じゃないかなと思います。議会と首長との関係においては。それで、議論を深めていくというのが重要なことではないかと思います。ただ、反対ありきだったら議論は深まりませんのでね。
記者
やはりまだ公明党にボールがあるというのは選挙前と変わらない状況ということなんでしょうか。
知事
そうですね。ただ、選挙を踏まえましたから。選挙で市議会・府議会の構成も大きく変わりましたし、そして、僕と松井さんも市民・府民の選挙というプロセスを、選挙を経たわけですから、これを全く無視するというのは、公明党としてそれはないんじゃないのかなと僕は思います。
広域行政の取組みについて
記者
読売新聞の山崎と申します。
政令市長でも一定程度広域行政というのは携わられたと思うんですけど、今度、大阪府知事として府内全域の広域行政をリードしていく立場になられると思うんですが、消防機能だったり、水道だったり、松井さんの中ではなかなか広域化が道半ばだった事業というのが幾つかあると思うんですけど、これらについてどういうふうに取り組まれるのか、お考えをまずお聞かせください。
知事
これは僕も副首都推進本部に入って一緒に議論してきましたから、まさに道半ばの状況ですので、その道を前に進めていくというのを努力していきたいと思います。消防についても水道についても、やっぱり僕は広域化を進めていくべきだと思っていますから、その議論は前に進めたいと思います。
記者
副首都局とか大阪府市ということではなくて、例えば泉州エリアだったり、南河内郡とか、消防なんかであれば、ブロックでの広域化を府としてリードしていかなければいけないということもあると思うんですが、それらについてはいかがですか。
知事
まず、これは、話の順番としては、大阪市が一番中心的な拠点で、非常に規模も大きくしていますから、まず大阪府と大阪市の話がなかなかまとまらないと、市町村の話というのはまとまりにくいだろうというふうに思います。それぞれの市町村も、消防については、「いや、これは基礎自治でやるべきだ。抱えるべきだ」という声もやっぱり多いですからね。そもそも基準財政需要額に至っていないような消防体制であったりだとか、それぞれの自治体の市町村長の判断で進めているところもあって、「これを手放すわけにはいかない」みたいな発想もやっぱり強くあるところはあると思うんです。
水道についてもそうですよ。水道事業があれば、「命の水だ」というふうにおっしゃる方もいらっしゃいますし、それに関連する事業なんていうのはたくさんありますからね。そういった意味で、市町村の皆さんは、これは自分たちでやると考えている方もたくさんいらっしゃると思います。そんな中で、ただ、将来を見据えてどうなのと、情報をどんどん外に出していって、これはやっぱり広域にしたほうが本来そこの市町村の皆さんにもプラスなんじゃないのと、どんどん情報も外に出していって、あるべき姿を求めていくと。小さな視点だけじゃなくて、あるべき姿を求めていきたいと僕は思います。
大都市制度関連について(3)
記者
あと、すみません、また法定協議会の関係なんですけど、以前、市長時代は参議院選挙と同時の住民投票が望ましいとか、年末の段階でそういった日程感を示されたんですけども、今、この選挙結果を踏まえて、ご自身の中で住民投票実施時期はどういったタイミングを念頭に置いていらっしゃいますか。
知事
これは新しく市長・知事選挙で訴えて僕と松井さんが誕生しましたから、この任期中にやるということです。だから、夏の参議院選挙とか、あるいは11月までとかというのにこだわるんじゃなくて、しっかり議論を踏まえて、議論を深めながら、何とか合意形成もしながら、任期中に実現をしたいと思います。
記者
再びという、三度というか、任期中の今後4年間の住民投票実施が見通せなくなったら、再び民意を問うというふうなことを選択肢としてお考えでしょうか。
知事
いや、それは、今回これだけ民意を問うて正面からやりましたので、同じ民意を、もう1回再挑戦するかどうかで問うという状況には僕はならないんじゃないかなと思っていますけどね。というか、そうなってきたら、結局、それは公明党も自民も共産も反対しているということですよね、結果として。すなわち、市民の皆さんに問うことを反対しているわけですから、そうなったら、その合意形成の努力はしていきますけど、そうなった段階で、また同じ市長選挙、知事選挙を何度もするというのは僕はもう違うと思います。そうであれば、もともとどこもやる気がないということなので、先ほどの話に戻ってくるんじゃないですかね。公明党は表では住民投票まで行くというような話もされていますから、それが今回の選挙を踏まえて全くスタンスが変わらなくて、そういう状況が続くのであれば、これは何とか維新でやるためにも公明党に何かゆずるということはする必要はないんじゃないのかなと。僕はそう思います。その中で新たな可能性を見出していくということになると思います。これは先のことなのでちょっとわかりませんけど。少なくとも、今回、選挙が終わったばっかりですから、今回の選挙結果を踏まえて、公明党としてどう判断されるのかご意見を聞いてみたいです。
記者
わかりました。ありがとうございます。
記者
何度もすみません。ちょっと法定協で。府議会の議席が伸びたことは、おそらく法定協委員が1人増えると思うんですけども、これで首長も含めて過半数の委員を握ったことになりまして、これが持つ意味と、一方で、市議会はそのまま過半数を握れていないわけで、進んでいくうちにやっぱり市議会で止まることが予想されるんですが、それの中で委員が1人増えたということの意味をお聞きしたいのと、あともう1点が、いわゆる公明さんがまた是でも非でもないというか、曖昧な表現をされてくる可能性もあると思うんですが、その場合に維新さんとしてはどこが公明さんとしての決断のリミットだと考えるか。要は、法定協で、例えば公明が欠席をして、維新側が賛成でという可能性もあるわけですけども、公明さんに最終判断を求めるとしたら、いつがリミットになるんでしょうか。
知事
それは、将来の状況がどうなるかというのはまだ見通せないですから、様々な要因もあると思うので、ここで明確に言うことはなかなか難しいと思います。ただ、公明党さんがどういうスタンスで臨まれるかというのは法定協をやればわかる話ですので、前のときみたいに、とにかく動議を出してもなしにするとか、話がぐちゃぐちゃになるとか、あるいは、とにかく反対のことだけを大展開して、何とか止めていこうみたいな議論であれば、これはそもそもやる気がないんだろうなというふうには思います。批判、指摘するのは当然必要だと思います。ただ、前に進めるようなスタンスなのかどうなのかというのは、これは議論を進めていくまでわかりませんね。そこはしっかり、まず法定協で議論を前に進めていくというのをやりたいと思います。そして、法定協の会派構成が今回の選挙で変わりますから、そういった意味では、法定協の議論は、前に進むし、深まってくるんじゃないかなと思います。
ただ、いずれにしても、最終的に府市両議会の議決がないと住民投票に諮ることはできませんので、公明党さんとの丁寧な協議というのは重要だとは思います。
記者
左藤さんの悪口を聞きたいわけじゃないんですけども、今回、選挙を見ていると、維新さんが議席を伸ばす一方で、自民さんが府議会・市議会の幹事長が落選されて、非常に支持層が重なっていたところもあるのかなと思っていて、自民と維新で明暗が分かれたように受けとめるんですけども、これはどういった民意が表れているとお感じでしょうか。
知事
ちょっとそこの分析は難しいですけど、ただ、僕は、選挙戦を戦っていて思ったのは、都構想の対案は何ですかというときに、対案はなかったんですね。ですので、将来の大阪をどうするのということについての方向性を自民は僕は示してないと思います。反対するのは簡単ですけども、じゃ、反対の先に何があるのというところが示されてないんじゃないかと僕は思います。
僕らは、それは、都構想は、100点、バラ色ではないかもしれませんけど、今までの府市の二重行政よりは大阪の可能性は追求できると思いますよ、だから、これは最後に市民の皆さんに問うていきましょう、府市の積年の課題の二重行政をなくす手段ですから、それは大阪の成長にもつながるというのが僕らの考え方ですので、最後は市民の皆さんに問うていきましょうと。最後、決めるのは、議員でもなければ首長でもなく、大阪市民・府民の皆さんですから、そこに判断を委ねる、上げていくということは、僕は今回の選挙を踏まえれば当然やるべきだと思います。
それが違うよというのが公明党の考え方なのであれば、考え方は相入れないということになるんでしょうね。
スマートシティ戦略について
記者
すいません、最後に。
お話が出た行政のスマートシティ戦略室なんですけども、これは、決まっていればで結構なんですけど、大体いつごろ組織を立てられて、人数規模だったり、あと、トップは中からなのか外から誰か招くのか、そのあたりの構想を聞かせてください。
知事
これはこれからです。まさにここは選挙で僕も訴えてきたことですし、大阪府庁に今日初登庁しましたから、大阪府の内部の職員がどういう状況なのかというのをきちんと見定めて、それぞれの組織がどういうものなのかというのをきちんと見定めて、その上で、急いで変なことをするよりは適切なものを僕はつくっていきたいと思ってます。
大都市制度関連について(4)
記者
読売新聞の梅本です。
法定協の話に戻るんですけど、法定協の開催のペースに関して、一部、3月は大分強引に開催していって他党の反発を招いたんですけど、今回、選挙を受けて人数が増えたということで、さらにスピードアップというか、同じようなペースで進めていくのか、それとも、公明さんは大都市・税財政と交互開催を望んでいるので、そういう要求をしてきたらそれは交渉の余地があるのか、その辺、ペースに関してはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
知事
大都市・税財政とのクロスは、僕はちょっと違うんじゃないかなと思いますけどね。選挙の前もそこのクロスというのは、ほぼなくなってきていたとは思いますし、必ずリンクさせるものでも僕はないと思います。
ただ、今回、僕と松井さんが選挙をして、自らの任期中に、皆さんにもう1回住民投票で民意を、しっかりと案をつくって問いたいという考え方です。案も、やっぱり反対の皆さんの意見も聞いて、しっかりした案をつくっていきたいと思います。その上で、市民の皆さんへの説明というのもやっぱり十分やっていきたいと思いますから、開催頻度等については、そこは十分時間をかけながら、今井会長の指揮のもとでやったらいいんじゃないかなと思います。
特に何か急ぐ必要は、僕はないんじゃないかなと思ってます。
記者
他党とも話し合って開催頻度等について決めていくと。
知事
それは今井さんが決めることだと思います。
職員
すいません、今回の記者会見でございますか、知事のご予定の関係上、3時で終了させていただきたいと思いますので、ご協力よろしくお願いいたします。
知事
通常、市長の記者会見のときも質問がなくなるまでずってやってたんですけど、今日、ちょっとテレビの予定がもともと入ってたので、今日はちょっと申し訳ないんですけど、この時間でやらせていただきたいと思います。
記者
日経新聞の大澤と申します。
合意形成ということが先ほどから繰り返し仰られているんですけれども、合意形成を図るのは法定協の場になるのかなと思うんですが、これは、前の運営を見ていたり、これから維新の委員が過半数を握るということになると、本当の意味での合意形成というのは、なかなかどういう形なのか難しいところがあると思います。
府民の反対の声は真摯に受けとめる、説明していくという話が先ほどありましたが、本当の意味での合意形成というのはどういう具体的な策を今考えられているか、教えてください。
知事
いや、法定協そのもので法定協の協定書案をつくるというのは、まず一つの合意形成が必要になります。
それから、その案をつくるに当たっては、やはり、反対とされている方が懸念されているようなものの指摘があれば、そこについて、例えば修正を加えたりだとか、そういうのはやっていくべきだと思います。今ここで具体的にどの箇所というわけにはいきませんけども、そういったご意見があれば。そして、これはやっぱり修正すべきじゃないかというのが、僕らもそう思うものであれば、それはやっぱり真摯に議論を進めていって、法定協のできるだけ多くの方が納得できるような、そういった案をつくり上げたいと思います。
もともと、自民、共産は大反対ですから、見てもらったらわかるけど、前の法定協のときも、とにかく僕たち反対ですというスタンスなので、そこの合意は難しいかもわかりませんが、一定、公明党はどういうスタンスになるのか、きちんと見極めたいと思います。
その法定協の合意の先には議会での同意が必要になります。特に市議会のほうは過半数がありませんから、そこは公明党が賛成しないと議会では議決されないことになりますので、法定協自身も、将来の議会の議決というのを踏まえた議論の話し合いの場になるんじゃないかなと僕は思います。
記者
もう一つ、あと1点です。
4年の任期内でやれること、政策を実現することが政治家としての仕事のあり方という話ですが。
知事
そうです。
記者
昨日というか、今日の未明に、公明の佐藤代表に、そうした知事・市長の考えについて、丁寧な議論を尽くすという前提でどういうふうに関係するかというのは言葉を濁されていました。その中で、新たに合意書のようなものを結ぶ必要性というのは感じますか。
知事
いや、それは、僕は今は感じないですけどね。合意書をつくったって反故にされたんですから、特にそれは感じないです。だから、本当の意味でどう判断されるのかというのをきちんと見極めたいと思います。
記者
ありがとうございました。
職員
ほかにご質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、記者会見を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。