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更新日:2024年10月10日

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社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 要望書(2)

(1)(2)※2ページに分割して掲載しています。

要望書

【就労支援】

[12]知的障がいのある人の就労支援について
 障がいのある人が一般就労をした場合、その後の支援者との関わりが途切れたり、福祉サービスを利用することがなくなったりします。結果、就業面および生活面への福祉的支援は、何かあったときのスポット支援になりがちです。
 私たちは就労後も支援者とつながりを続けられること、困った時だけではなく日常的な関わりが大切だと考えています。
 また障害福祉サービスにおいてはA型事業所を始めとする不適切な運営や支援を行う事業者や、雇用率ビジネスといった営利目的企業の跋扈など懸念材料が多く聞かれ、私たちの不安は高まっています。

  1. 就職した後の支援については、6カ月(送り出し機関)⇒3年(定着支援)⇒それ以降(就業・生活支援センター)と、長く働くほどに支援が薄くなっていく実感があります。
    とりわけ就業・生活支援センター事業の過密な業務の状況は今に始まった課題ではありません。就労支援施策や地域の相談体制も含めて、こういった状況に対しての大阪府の見解をお聞かせください。
  2. 当団体には一般就労した後、様々な努力の上長期間勤務を継続している当事者がたくさんいます。その日常的支援の多くを家族が支えてきました。その当事者や家族の意見から、就職をしても支援者とのつながりを続けられ拠り所となれる居場所、コミュニティが必要と考えています。大阪府下に就労者が集まれる居場所を作り、埋もれてしまいがちなニーズに寄り添う施策を検討してください。
  3. 大阪府においてはチャレンジ雇用の取組みなど、知的障がいのある人の直接雇用に早くから取り組んでいただいていることに感謝します。
    ただ、知的障がいのある人の正規雇用は未だ実現していません。大阪府においては条例を通して合理的配慮の提供にも早くから取り組んでいただいており、障がい者雇用のノウハウや、職務の切り出しなど積み重ねておられることと思います。私たち長年の念願であります、知的障がいのある人の正規雇用を、どうか実現してください。
  4. 大阪府においてはこの4月の制度改正により、就労継続支援A型事業所がB型事業所へ転換したというケースが複数あります。
    利用者としては給与が激減し、これまでの生活を継続できない人も出てきます。転換する場合に、利用者に対する丁寧な説明と同意があったか、さらには転職先の紹介や転職に対する支援が適切に行われていたのかが気になるところです。府域の指定指導権者は、このような事案に対してしっかりと確認指導していただける状況になっていますか。
    また、このような事案で収入が減少し家賃支払いに窮した場合など「住居確保給付金」の活用が大阪市ではできるとのことです。この給付金について、大阪府での取り扱いをお聞かせください。

【知的障がいのある人の防災】

[13]災害等における防災について
 今年元日に起きた能登半島地震においても、知的障がいのある人や家族の避難及び避難後の生活は、とても苦しいものとなっています。家に倒壊の危険があっても避難所にはいけない、平時に利用していた福祉サービスがなく家族だけで抱え込んでいるなど、大きな災害が起きるたびに発生する問題は、現在も全く解決されていません。繰り返される災害の中で、なんとか逃げのび助かったとしても、安全な避難ができなかったせいで、関連死や障がいの重篤化が発生しています。これが、障がいのある人と家族の現実です。
 南海トラフ地震は向こう30年以内に発生する確率が70%から80%と言われています。このような迫る危険に、私たちは「誰にも助けてもらえない」とあきらめるしかないのでしょうか?
 災害は1地域だけで発生するものではありません。市町村だけでは無理なことばかりです。いざというとき、知的障がいのある人・家族が安心して避難できる防災の体制を大阪府が構築してくれることを望みます。

  1. 各市町村における個別避難計画の作成状況について、令和4年度の私たちの要望に回答いただいた際「昨年5月の法改正により、市町村の努力義務とされ、優先度の高い避難行動要支援者について、概ね5年程度で計画を作成することになっている。」と聞き、うれしい期待を抱きました。
    また、前年度は「令和5年1月1日時点で、府内43市町村のうち、個別避難計画を1件以上作成している市町村が27、未作成が16、また、府内の個別避難計画の策定済数は、16,317件。」という回答をいただきました。その後の進捗状況はいかがでしょうか?
    また、同時点での大阪府の避難行動要支援者名簿にある人数は49万人ほどですので、その人数だと3%しか作成できていないことになります。
    計画は全員でないのであれば、優先度の高い避難行動要支援者を大阪府は何件あると認識しておられるのか、また優先度とは何を基準とされているのかを教えてください。
  2. 行動障がいを有する知的障がいのある人や医療的ケアが必要な人は、平時より24時間の介護と専門性の高い支援が必要な人たちであり、優先度をあげる必要のある人たちです。その認識を大阪府がお持ちかどうかも確認させてください。
    24時間専門的介護が必要な人たちの防災を考える場合、個別避難計画は障がい等の内訳を把握しておくべきだと思います。前年度「知的障がいのある人の作成件数を教えてほしい」という要望をしましたが、「調査項目にありません。」との回答でした。
    現在は調査されていますか?まだの場合、調査項目を増やしていただくことを要望します。
  3. 知的障がいのある人・家族にとって、最大の心配は避難生活です。一般避難所という地域住民との集団生活は無理だと判断する家族が大変多いです。そこで「福祉避難所」に大いに期待をしているところですが、現状福祉避難所の数はまだまだ少なく、また受入れ対象は障がい者だけでなく高齢者等の要配慮者も含まれることから、知的障がいの特性に合わせた福祉避難所を期待するには程遠い状況です。
    また、指定福祉避難所も、協定している福祉施設も、要配慮者に対する具体的な準備計画ができているか不明です。特に知的障がいに対する合理的配慮への対策は全くなされていないのではないでしょうか。
    さらに、知的障がいのある子の学校である支援学校は指定避難所となっているようですが、中には「在学中の児童・生徒のみ」という限定した対象になっているなど、とても知的障がいのある人・家族には納得できない状態です。
    私たちは、発災直後に無事避難でき命をつなげられたとしても、その後の避難生活で凄烈な苦しみを味わいたくはありません。その必死の願いから以下のことを要望します。
    ・行動障がい等で地域住民と同じ施設での集団生活が不可能な人たちのための福祉避難所を1日も早く設置してください。
    ・知的障がいの府立支援学校は、すべて知的障がいのための福祉避難所にして、在籍児に限定せず、その地域の知的障がいのある人・家族を受け入れてください。
    ・一般避難所のすべてに、知的障がいのある人のカームダウンエリアとなる福祉室などスペースを設置してください。
    ・一般避難所に関係する人・機関等に知的障がいのある人への合理的配慮を啓発してください。
    ・避難行動要支援者としての知的障がいのある人に中には、社会で活躍している人もたくさんいます。そんな方たちが発災時において避難所などで活躍できるような仕組みを構築できないものでしょうか。福祉避難所の指定とともに市町村で展開することを視野に検討してください。
  4. 災害有事に備えて以下の点を国へ強力に働きかけてください。
    ・障がいのある人が有事に避難できる場所をあらかじめ紹介しておくなど、「クライシスプラン」を相談支援事業のサービス等利用計画に盛り込むことを制度化してください。

【知的障がいのあるこども】

[14]知的障がいのあるこどもへの支援について

  1. 児童発達支援センター
    令和6年度から児童発達支援センターの機能強化等による地域支援体制の充実を図るとして、児童発達支援センターは今後、以下の4つの機能を発揮してくれると期待しています。
    (1)幅広い高度な専門性に基づく発達支援・家族支援機能
    (2)地域の障害児通所支援事業所に対するスーパーバイズ・コンサルテーション機能
    (3)地域のインクルージョン推進の中核機能
    (4)地域の発達支援に関する入口としての相談機能
    国の方針は市町村に1カ所以上となっており、第3期大阪府障がい児福祉計画の目標数は43カ所ですが、現在の設置状況をお聞かせください。
    また同計画では「市町村単独での設置が困難な場合には複数市町村が共同で利用体制を構築する」とありますが、今後の見通しを教えてください。
    児童発達支援センターの設置やその運営指導については市町村がなさるかと認識していますが、私たちは大阪府下のどの地域で生まれ育っても、同じ質の高い支援が受けられることが重要と思っています。どうぞ、市町村格差なく、児童発達支援センターの強化が進むようお願いします。
  2. 放課後等デイサービス事業(以下放デイという)について
    大阪府下に事業所がたくさん増えており、知的障がいのあるこどもの保護者にとってなくてはならないものになっていますが、私たちはその支援の質に不安を抱いています。多くの事業所は、こどもたちのために日々奮闘してくれていますが、中には個々の発達の理解や支援スキルが不足している事業所も散見し、利用している保護者からは不安の声が届いています。
    令和4年度大阪府内における障がい者虐待の対応状況では、放デイ事業所は虐待認定された数が多く、全事業にかかる被虐待児者の障害種別では知的障害児者が77.6%を占めることから、放デイでの虐待認定の被害者がおおむね知的障害児であることが予測されます。また、虐待の発生要因で最も多いのが「教育・知識・介護技術等に関する問題」です。
    障がい児通所事業も令和6年度から5領域(「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」)を掲げた「総合的な支援の推進」を含めた個別支援計画を明確にした上でサービス提供がされるそうですが、私たち保護者にはその意味がよくわかりません。こども時代、良い支援と良い環境の中で育つことは、その後の自立や人生そのものにかかわる大切なことです。大阪府は放課後等デイサービスの質の向上について、どのように考えておられるのかを教えてください。
  3. 移動支援の利用について
    放デイが普及し送迎が行われ、知的障がいのあるこどもの移動支援利用の件数が減っているという印象をもっています。放デイ事業、生活介護事業延長支援が整備され、また保護者の労働などから家族のニーズは預かりが先行してしまいがちと危惧しています。集団では落ち着かない特性のある人や、自立支援や社会参加という意味合いでの移動支援事業の活用について、大阪府の見解をお聞かせください。
  4. 知的障がいのあるこどもの相談支援について
    障がい児通所サービスを利用するこどもが増えていますが、増えている理由として、保護者の預かりニーズに合わせ、土曜、日曜、祝日を開所する事業所や、要対協のケースでは、家庭での時間を減らす意味等で利用を促す、また通園している幼稚園、保育所やこども園が児童発達支援を勧めるなどがあります。
    また通所サービスは、幼児期から小学1・2年生くらいまでを利用すると、学童や塾などに適応できるようになり、児童発達支援や放デイが不要になる場合もあれば、こどもが友人と過ごしたいなど通い渋るケースもありますが、保護者は「やめる必要はない、保険的に受給者証をもっておき、保護者の都合で放デイ事業所に所属しておこう」と通いつづけるケースも出ています。
    このようなときに、こどもの発達・成長のためのプランニングをするのが計画相談です。現状は保護者のセルフプランが多いので、せめて「保護者がサービスプランを作るときの支援」をする機関があれば良いと思いますが、これを放デイに任せたら、サービスだけの対応になりがちであり、インクルーシブから乖離してしまいます。
    児童期の悩みはサービスでは解決できないものや、インフォーマルな支援がふさわしいケースも多いのです。しかし、今は「障がい児であればデイサービスや計画相談」というムードになり、こどもたちのインクルーシブな生活を奪っています。
    第5次大阪府障がい者計画を見ると「具体的な取組(1)早期療育を受ける(2)療育支援の充実、障がい児とその保護者に対する相談支援の充実」として「大阪府子ども家庭センターにおける障がい児相談支援を引き続き実施するとともに、関係機関に対して障がい福祉サービス等に関する情報提供を積極的に行い、連携強化を図ります」とありますが、相談したいことは『早期療育』の時期のみではなく、年齢があがるごとに悩む内容も変化します。さらに、保護者の実感として、それらの悩みを子ども家庭センターへ相談するイメージはありません。
    真に保護者が求める相談支援は、もっと身近で、寄り添いと励ましのあるものであり、変わりゆく子育ての悩みに伴走してくれるものです。
    私たちが必要とする相談支援の仕組みが、大阪府おいて構築されることを要望します。
  5. 福祉、教育、家庭の連携について
    令和6年4月25日付、子ども家庭庁、文部科学省、厚生労働省の3省庁から『地域における教育と福祉の一層の連携等の推進について』という通知が出ました。この通知には「障害や発達の特性を早期に発見・把握し、適切な支援・サービスにつなげていくとともに、乳幼児期・学童期・思春期の支援から一般就労や障がい者施策への円滑な接続・移行に向けた準備を、保健、医療、福祉、保育、教育、労働など関係者の連携の下で早い段階から行っていく」とあります。これは私たち保護者が長年願っていることです。
    これまで私たち保護者は常に、場面やステージが変わるたびに、我が子に関する説明を何度も求められ、さらに情報共有や引継ぎも支援者や先生同士では十分には行ってもらえず、保護者がしなくてはいけないというしんどさを抱えてきました。今でも、保護者の実感としては、通知にあるような連携にはほど遠いと感じています。
    上記の通知は通所サービス事業所への加算の説明がとても多く詳細がわかりません。大阪府の中での連携が重要と思われるので、この通知を受けて大阪府としてはどのような取り組みをされるのかを教えてください。
    また「平成30年度通知」以降、埼玉県入間市や沖縄市でトライアングルプロジェクトが先駆的に進んでいますが、大阪府内では同様の取組みが行われているかを教えてください。
  6. 知的障がいのあるこどもの家族支援について
    私たちは、この要望書の[1]知的障がいのある人への虐待防止についての1や[4]知的障がいのある人の家族支援についての1や[9]強度行動障がい状態にある人への支援についての3で、こども期の家族支援について要望をさせていただいています。
    ペアレントメンターについては、第5次障がい者計画の具体的な取組の発達障がいの分野で「家族支援の充実」として記載されています。私たち知的障がいのあるこどもの保護者も同様の支援が必要と考えています。
    また家族に必要な支援とは、前述4の相談支援でもありますが、それと同時に、知的障がいのあるこどもを育てる上で必要な情報と学びや相談ができる場(家族支援、教育や福祉の情報、権利擁護など)が必要です。
    知的障がいのあるこどもの保護者にも、こども期から家族を支援する体制を構築していただくため、以下のことを要望します。
    ・知的障がいのあるこどもの保護者には、その特性に応じた子育ての知識や、支援教育や障がい福祉の情報が必要です。しかし、自ら動かないとそれを手に入れることができません。特に権利擁護意識の向上は、養護者虐待の多い知的障がい分野では必須です。また行動障がいのリスクがある子の家族は、標準的支援を学ぶことで将来の行動障がいの軽減にもつながりますが、これも保護者自らが動く必要があり、支援やサービス情報は届いていません。
     大阪府として、知的障がいのあるこどもの保護者が必要な情報を得て学べる場を作ってください。
    ・知的障がいのあるこどもの多くは1歳半頃に障がいが発見されます。保護者はまだ幼い我が子の障がいを受容するだけでも非常に苦しみますので、障がいを発見直後からの寄り添い支援は必要です。また、前述したように、年齢が上がるごとに変わる悩みに寄り添い、ともに考えるような相談対応も必要です。
     [4]家族支援の4で記載しましたが、私たちはこの『寄り添い支援』に最も適しているのがピアサポートだと思っています。ペアレントメンターへの要望も含め、知的障がいのある子の保護者に、同じ立場の保護者が相談対応する施策を大阪府として実現してください。

【教育】

[15]知的障がいの支援学校について

  1. 障がいの程度等が幅広くなっていることについて
    知的障がいの支援学校の在籍数は、増加が止まりません。また人数が増えているだけでなく、比較的軽度のこどもたちが小学部から多数入学することもあり、障がいの程度や状態の幅が広くなっています。重度の保護者からは「軽度の子に合わせた授業内容が多く、うちの子はついていけない」「視覚的支援をしてもらえず、こどもがつらい思いをしている」という声が届いています。また、合理的配慮として依頼した個別的な支援を、学部が変わると引き継いでもらえず、こどもが混乱したという訴えもありました。
    保護者は、支援学校こそ専門的指導をしていただけると信じて、入学を決心しています。支援学校の先生にはその信頼に応える教育をお願いするとともに、障がいの程度や状態が幅広くなっているのであればなおのこと、一人ひとりに合った指導や支援を大切にしていただくようにお願いします。
  2. 先生同士のつながりについて
    前年度「支援学校においては、障がい児教育に専門性の高い教育力を持つ先生をそろえてください」と要望したのに対し、「教育庁において年3回程度、リーディングスタッフを対象に実践協議会を実施し、各校の支援体制や企画等の情報交換を行っています」との回答をいただきました。つまり、1つの支援学校ではなく、横のつながりで教育力のアップをされているのだと理解しています。
    ただ、私たちはそれが『リーディングスタッフ』という限られた先生だけで行われ、校内全体に伝わっていないのではないかという不安をもっています。前年度の回答では「各校においては、校長・准校長のリーダーシップのもと、日々の教育内容を蓄積・共有する等、専門性を向上させています」とのことでしたが、それは具体的にどの方法でされているのでしょうか?私たち保護者にわかるように説明してください。
    以下、保護者から届いた声です。
    ・良い先生もいますが、支援の仕方や生徒への対応について、障がい理解に乏しい先生もいます。
    ・年度替わりに、次の先生へ伝えてほしいと依頼したことが、伝わっていませんでした。
    ・「この声かけはやめてほしい」と伝えたことが、担任しか知らず、同じ学年の先生から不適切なかかわりをされて、こどもがしんどくなってしまいました。
  3. 支援学校の施設について
    学校により差があると思いますが、行動障がいのある子や興奮の強い子が多く在籍しているのにカームダウンスペースがない、あるいは数が少ない学校があるようです。カームダウンが必要なのに適切な場がないなどの理由で、先生に押さえつけられた、自傷行為が出て怪我をしたという事例も出ています。
    カームダウンスペースの設置状況はどうなっているか教えてください。
    また、校内にガラスを使用している場所があることを不安に思う保護者がいます。各支援学校のガラスの使用状況についても教えてください。
  4. 支援学校の設置などについて
    大阪府では、知的障がい支援学校新校整備事業を進めていただいており、支援学校の教室不足の解消、文部科学省の「特別支援学校設置基準」に適合していない学校がなくなることを目指していただいていることに感謝します。
    知的障がいのあるこどもたちは環境要因にとても影響を受けるこどもたちです。また学校に多く在籍している、行動に課題のあるこどもにとって、ハード面が整うことはとても重要です。1日も早く、こどもたちの成長につながる、良い教育環境になることを願い、以下を要望します。
    ・前年度の回答にあった出来島支援学校の状況はいかがでしょうか?私たち保護者が気になる通学区域も合わせ、今後のスケジュールなどを教えてください。
     また、ほかの地域についても計画されていることを教えてください。
    ・通学区域について、地域により様々な保護者の意見が出ています。例えば、西浦支援学校については校区が複数の市にまたがっており、そのため自主通学を諦めざるを得ない子がいます。また生野支援学校の校区にある入所施設のこどもたちは西浦支援学校に通学となり、自主通学を練習できなかったとのことです。通学はこどもたちの自立に向けた貴重な練習の機会です。通学区域はその練習ができることを前提に検討してください。
    ・守口支援学校では、門真市在住の高等部だけが、寝屋川支援学校の区域とされ、上記と等しく自主通学のハードルが高くなっています。また、保護者同士のつながりも高等部で分断され希薄になっています。通学の問題のみならず、就労体験などにも影響を受けていると聞いています。学校規模に応じて在籍者数をカウントし、通学区域を度々変更される地域のこども達は不利益を受けています。生活地域に応じた規模の支援学校整備に取り組んでください。
    ・スクールバス通学において、公共交通機関を利用して通学するのは難しいが、スクールバスの停留所(以下、「バス停」)から自宅までであれば、単独で通うことができるこどもに対して、バス停までの単独通学を認めている支援学校もあれば、認めていない支援学校もあります。地域の小学校や中学校には、単独で通えていたこどもたちもおり、保護者の方もバス停まで単独で通えるように練習したいと言う声も聞きますので、府立支援学校においても、地域の学校までの単独通学と同様に、個々に合わせた対応をお願いします。
    ・令和4年度(令和5年3月卒業)の中学校および支援学級卒業生の進路結果の報告では、知的障がいと自閉症・情緒障がいの半数が全日制の高等学校に進学しています。進学によって環境が変わることにより不登校や不適応が出現する生徒もいるかと思われますので、不登校や不適応に対応する府立高等学校「学びの多様化学校」を早期に実現させてください。
  5. 強度行動障がい状態にあるこどもの支援について
    強度行動障がいについては、令和4年度に厚生労働省にて『強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会』による報告書がまとめられ、そこにある方針を元に各地域で福祉現場の中核的支援人材などの人材育成が開始されようとしています。
    その報告書の「こども期からの予防的支援・教育との連携」という項目で、「3歳児健診までに睡眠の問題、多動性、こだわりが非常に強いこどもが一定数おり、小学校時代(10歳以降)に強度行動障がいの諸症状が悪化し、思春期でかなり顕著になっていくというパターンがみられた。」とあります。これは私たち保護者の肌感覚と一致しています。
    さらに報告書では「幼児期・学童期・思春期の支援にあたっては、福祉と教育が、知的障がい、自閉スペクトラム症等の発達障害の特性に応じて、共通の理解に基づき一貫した支援を連携して行うこと、また、障がい特性のアセスメントや環境の調整に取り組むなどの行動上の課題を誘発させない支援を提供していくことが必要である。」とあります。これらの一端を担うのに大切な役割を果たすのは、知的障がいの支援学校の先生方です。
    学齢期に適切な環境整備と支援があれば、行動障がいを激しくこじらせることを予防でき、それが将来の施設や病院で隔離されることのない、自分らしい地域生活の力となります。何より、行動障がいゆえ支援が困難という理由で適切なサービス提供をしてもらえず、家族だけで介護を抱え込み、その結果、保護者が激しく疲弊し家庭崩壊につながってしまうケースや、介護の苦しさから虐待をしてしまうケースなど、現在大阪府で散見する悲しい事例は、支援学校の専門的支援があれば、減少させられるのです。学齢期の保護者だけでなく、成人した保護者からも、強い願いを込めて、以下を要望します。
    ・強度行動障がいへの支援は実態把握が重要です。教育庁では、大阪府立支援学校に強度行動障がい状態のこどもが何名在籍しているかを把握されていると思うので、その人数を小学部、中学部、高等部別に教えてください。
    ・前年度に要望しました強度行動障がい状態にあるこどもの支援について、教育庁の回答では「令和3年度より『教育と福祉の連携事業』で支援学校を対象に学識者によるコンサルテーションや、施設見学会等の取組みを行っている」とのことでした。福祉部の回答では「支援学校教員に行動障がい支援に対する理解を深めるための研修や、いぶき見学会を行うと共に、令和3年度から支援学校へ、支援手法を学ぶためのコンサルテーションを実施している」とのことでした。
    そこで、令和3年度から5年度の支援学校教員対象の研修やいぶき見学会に参加された先生の数、その所属先学校の数、コンサルテーションが実施された支援学校名を教えてください。
    ・令和5年度から強度行動障がい支援者養成研修の受講対象者に支援学校の教員も入りましたが、積極的に受講いただけていますでしょうか?その人数を教えてください。
    ・上記の支援学校対象の研修やいぶき見学会、コンサルテーション、強度行動障がい支援者養成研修の受講は、どのような実践につながっているかを教えてください。
  6. 支援学校と福祉との連携について
    支援学校は地域にある小中学校よりも福祉との連携が進んでおり、毎日の放デイ事業所への引継ぎやサービス担当者会議などのカンファレンス参加に協力していただいていることに感謝しています。ただ残念なことに支援学校により違いがあるようです。
    例えば、放デイの下校迎えに対し柔軟に対応する学校もあれば、迎えの時間を短く制限し厳しいルールを設けている学校もあります。また、放デイがスクールバス降車場所に迎えにいくことができる学校もあれば、必ず保護者でなければならない学校などもあると聞いています。
    さらに、引継ぎの際に当日の児童の様子を伝えてくれる学校もあれば、全く会話のない学校、学校の連絡帳を放デイは見てはいけないという学校などもあります。放デイ事業所から「事業所に到着後、元気がなかったり荒れていたりしても、学校で何かあったのか、給食はちゃんと食べられたのかなどが確認できない」という声もあがっています。
    カンファレンスも学校によって放デイや相談支援との会議を手厚く引き受けてくれるところもあると聞きますが、個人情報保護の意識が強くあり閉鎖的な学校も多くあります。
    今一度、教育庁として、すべての支援学校に、放デイや相談支援事業所等の福祉サービスとの連携を積極的に推進することを伝えていただき、学校間格差がないようにしてください。

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