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部落解放大阪府民共闘会議、同教育部会 要望書(1)
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要望書受理日 |
令和6年11月6日(水曜日) |
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団体名 | 部落解放大阪府民共闘会議、同教育部会 |
取りまとめ担当課 |
教育庁 人権教育企画課 |
表題 | 部落解放大阪府民共闘会議/2024 教育要求書 |
要望書
2024年11月6日
大阪府知事 吉村 洋文 様
大阪府教育委員会教育長 水野 達朗 様
部落解放大阪府民共闘会議 議長
同教育部会 代表
部落解放大阪府民共闘会議/教育要求書
平素の教育行政へのご尽力に、敬意を表します。
私たちは、部落差別をはじめとする一切の差別をなくし、「平和と人権の街」「世界に開かれた街」大阪を担う次世代を育む教育の果たすべき役割は極めて大きなものであると確信し、日々努力しています。特に、さまざまな理由によって困難な状況に追い込まれている子どもたちの教育保障を求めています。そのため、日本国憲法や国際人権規約・子どもの権利条約・女性差別撤廃条約の諸理念、さらには「地方分権」の精神に基づき、教育諸条件の整備・拡充に努力されることを強く要求します。
2024年は、子どもの権利条約を日本が批准して30年の節目の年です。しかし、不登校の子どもの数、いじめの認知件数などは増加を続けており、子どもをめぐる貧困、虐待、自死など、人権に関わる問題は深刻さを増しています。子どもの人権が保障されていない状況を深刻に受け止め、子どもたちの「生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利」をふまえた対応が求められます。大阪府は、早急に学校をはじめ地域等で子どもの権利条約を周知し、その理念の実現にむけた施策を実行すべきです。また、子どもたちが安心・安全にすごせる学校・学級づくりをすすめることも欠かせません。「こども大綱」をもとにした「大阪府こども計画」を策定するとともに、教育の機会均等と子どものゆたかな学びの実現のため、教育と福祉が連動した総合的な施策の充実など、子どもを権利の主体者としたとりくみの推進を強く求めます。
日本政府は国連子どもの権利委員会から、過度に競争的なシステムを含むストレスの多い学校環境から子どもを解放するための措置を強化するよう勧告されています。学校現場からは、全国学力・学習状況調査や自治体独自テスト、スポーツテストの実施が子どもに過度な負担を強いているとの声が毎年あがっています。事前対策や数値向上だけを目的にした方策につながるとともに、教育課程の編成にも影響を及ぼし、子どもたちの学びに多大な問題が生じています。能力やできるできないにとらわれず、一人ひとりの「ゆたかな学び」が保障されなければなりません。すべての子どもたちに「ゆたかな学び」を保障する公教育の方向性がこれまで以上に問われています。子どもの負担軽減にむけた抜本的見直しをおこない、学力保障および多様な学びの保障を基本にしたとりくみの推進を求めます。
水平社の運動がはじまり100年以上が経過しました。2016年制定の「部落差別解消推進法」では、部落差別の解消は国および地方公共団体の責任であり、積極的に施策を推進していくことを謳っています。しかし、部落差別をはじめとする人権侵害は後を絶ちません。すべての人が、部落差別の実相を学び、部落差別の解消のみならず、あらゆる差別や社会問題を解決しようとする意識をもたなければなりません。とりわけ、SNSや動画サイトなどにおける部落差別をはじめとする人権侵害は後を絶たず、ネットにおける同和・人権課題の事例は増加しています。「大阪府インターネット上の誹謗中傷や差別等の人権侵害のない社会づくり条例」の改正内容の周知と実効性ある施策を求めるとともに、子どもたちが差別の被害者、加害者、傍観者にならないよう、具体的とりくみを求めます。
あらためて、これまで私たちがとりくんできた「平和・人権・環境・共生」の解放教育実践の重要性を再確認し、学校間・地域連携のとりくみをすべての学校・校区へと拡げるとともに、新規採用教職員や経験年数の少ない教職員に、大阪の「人権教育」を継承していくことが重要です。
私たちは、これまで以上に人権教育・解放教育を推進する立場から、引き続き、部落解放大阪府民共闘会議教育部会の活動を強めます。大阪府・大阪府教育庁が、これまでの同和教育施策を後退させることなく、一層の現場支援をおこなうことを強く要請し、以下の諸要求について誠実な回答をおこなうことを求めます。
0.基本要求
1.【基本姿勢】同和教育・人権教育について大阪府教育庁としての基本姿勢を明らかにすること。あわせて、02年度大阪府教育委員会通知「同和問題の早期解決に向けて」の趣旨を改めて周知徹底すること。
2.【推進計画・推進プラン】「大阪府人権施策推進基本方針」と、これに伴い改定された「大阪府人権教育推進計画」、大阪府教育庁の「人権教育基本方針」および「大阪府人権教育推進プラン」等にもとづき、あらゆる差別をなくすための施策、啓発をおこなうこと。
3.【人的配置】大阪府教育庁として、同和地区を校区に含む学校(旧同和教育推進校)に対して、さまざまな施策を活用した支援をおこなうとともに、その実態に即した教職員配置や課題に対応した人的措置をおこなうこと。
4.【国への要望】大阪の未来を担い、人権文化を育む主体となる一人ひとりの子どもたちが大事にされ、さらに大阪の人権教育をすすめていくため、以下のことを国へ要望すること。
(1)義務教育において、義務教育費国庫負担制度は「憲法の要請」にもとづき、教育の機会均等の保障、教育水準の維持・向上をはかるうえで、不可欠な財源的な裏付けを与えている。その意義をふまえ、義務教育費国庫負担制度を堅持するとともに、当面負担割合を2分の1に戻すこと。
(2)公教育への財源支出の対GDP(国内総生産)率をOECD平均以上に引きあげること。
(3)小学校に続き、中学校・高校での35人学級を実施すること。
(4)支援学級の学級編制基準を引き下げること。
(5)食教育などの充実をはかるため、栄養教諭を全校に配置すること。当面、定数配置基準を改善すること。
(6)「安心・安全な学校・教育環境」「通学路の安全」を確保するために、人的措置をはじめとする実効性のある対策を講じること。
(7)教科書無償給与制度を堅持すること。また、高校教科書無償化制度を創設すること。
(8)教育費の保護者負担を軽減すること。
(9)「学齢期」を越えた夜間中学校生徒や帰国・渡日生徒にも「就学援助制度」が適用されるよう学校教育法第19条等の関係法令を改正すること。
(10)在日外国人を教諭として採用でき、管理職任用資格等も有することを国の見解として示すこと。
(11)不必要に男女を分けている全国学力・学習状況調査の性別欄の廃止を求めること。
5.【子どもの権利条約】子どもの権利条約について、子ども、教職員、府民等へ広く周知し、条約の各条項が規定する子どもたちの権利を実現するために、具体的施策を講じること。
6.【大阪の子どもの権利条例】子どもの権利条約の理念にもとづく「大阪府子ども条例」を実効あるものとするとともに、以下のことにとりくむこと。
(1)「子ども総合計画後期計画」にもとづく事業については、地域を基盤とした子どもの最善の利益を追求すること。
(2)市町村に対して、「子どもの権利」に関する条例の策定を求めること。
7.【人権啓発、人権関連3法・3条例】あらゆる人権侵害の現状を把握し、差別解消にむけた具体的施策を講じるとともに、以下のことにとりくむこと。
(1)「障害者差別解消法」、「ヘイトスピーチ解消法」、「部落差別解消推進法」の3法および大阪府人権関係3条例について、教育の役割が重要であることを認識し学校現場を支援するとともに、あらゆる研修でとりあげること。
(2)「大阪府インターネット上の誹謗中傷や差別等の人権侵害のない社会づくり条例」を周知するとともに、人権侵害の防止および被害者支援等に関する実効性ある施策を講じること。
8.【インクルーシブ教育基本方針】「障害者基本法」、「第5次大阪府障がい者計画(後期計画)」、「障害者差別解消法」をふまえ、大阪府の「支援教育」を、すべての子どもたちが「ともに生き、ともに学び、ともに育つ」ことを基本とした「インクルーシブ教育」へとすすめていくために、大阪府教育庁としての方針を示すこと。
9.【合理的配慮】「バリアフリー法」、「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」をふまえ、支援を必要とする子どもへの合理的配慮の提供が教育現場ですすむよう施策を講じるとともに、市町村教育委員会に指導・助言をおこなうこと。
10.【ヘイトスピーチ】「ヘイトスピーチ解消法」、「大阪府人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の推進に関する条例」をふまえ、ヘイトスピーチ(差別的憎悪表現)やインターネットに書き込まれる人権侵害事象について、大阪府・大阪府教育庁として「差別を許さない姿勢」を明らかにすること。また、意図的でなくとも無理解や偏見による言動は差別であることを含め、子どもたちや保護者、地域、府民に対して周知するとともに、学校現場のとりくみを支援する方策を確立すること。「ヘイトスピーチの問題を考えるために―研修用参考資料―」の内容についても精査し、府立学校や市町村教育委員会・学校現場に周知徹底をはかること。
11.【不登校】不登校の実態を明らかにし、子どもをとりまく環境が真に安心・安全であり、「子どもの最善の利益」が保障されるよう、具体的施策を講じるとともに、以下のことにとりくむこと。
(1)相談窓口の周知徹底やSCによる支援体制の充実など、早期に対応するための具体的施策を講じること。また、不登校やその傾向のある子どもに対しては、学びや居場所を保障するための具体的施策を講じること。
(2)SC・SSW、関係機関や地域と連携し、包括的な支援をおこなうこと。
(3)学校での継続的な学びを保障する観点から、すべての校種間で、家庭や子どもがおかれている状況や、連携している機関などの情報が共有できるよう施策を講じること。
12.【貧困等】20年3月策定「第2次大阪府子ども貧困対策計画」にもとづき、大阪府・大阪府教育庁として実効ある対策と効果の検証をおこなうとともに、以下のことにとりくむこと。
(1)家庭の経済状況の厳しさ、地域の状況、ヤングケアラーであること等が、子どもたちの学びに大きな影響を及ぼしている現状をふまえ、その実態や課題の共有・連携を関係機関や市町村とおこない、対策を講じること。
(2)CSWを増員し、教育と福祉との連携をはかること。
(3)SSW・SSWSVを増員し、学校現場にて、より効果的に活用できるよう施策を講じること。
13.【いじめ】いじめは「重大な人権侵害行為で、差別であり、絶対許されない行為」であることをふまえ、校内研修および日常の人権学習や学級集団づくりのとりくみをとおして、管理職をはじめ教職員の差別やいじめを見抜く確かな人権感覚を高めていくよう、府立学校および市町村教育委員会に指導・助言をおこなうこと。また、大阪府におけるいじめの実態を明確にし、その解決のための施策を講じること。
14.【虐待】「児童虐待防止法」、「児童福祉法」をふまえ、子どもに対する虐待防止に努めるとともに、家庭支援をおこなうこと。また、子どもへの虐待について教職員の認識を深めるとともに、虐待を受けている子どもたちのSOSを見抜く力や迅速かつ適切な対応ができる力を身につけるための研修をおこなうこと。
15.【自死】大阪府・大阪府教育庁として子どもたちの自死にかかわる状況を把握し、生命と人権を守る具体的施策を講じること。
16.【子どもへのハラスメント】教職員等による子どもへの体罰やあらゆるハラスメント、性暴力などの人権侵害を防止するための具体的方策を示すとともに、以下のことにとりくむこと。
(1)人権侵害が発生した場合の組織的な対応体制について明らかにすること。また、相談員の研修の充実をはかること。
(2)20年から府立学校に通う子どもたちに実施している「セクシュアル・ハラスメントに関するアンケート」の結果や効果を検証するとともに、フラッシュバック等の2次被害が生起しないよう配慮すること。
(3)部活動における体罰やあらゆるハラスメントの実態を把握し、対策を講じること。
(4)「子どもを守る被害者救済システム」の広報と、さらなる充実に努めること。
(5)子どもの人権尊重の観点から、「性の教育」をはじめ、子どもをエンパワメントするとりくみを実施するよう市町村教育委員会に指導・助言をおこなうこと。
17.【性的指向・性自認(SOGI)】「大阪府性的指向及び性自認の多様性に関する府民の理解の増進に関する条例」をふまえ、教職員および府民が性の多様性についての理解を深めるための施策を講じるとともに、差別解消にむけての具体的とりくみをすすめること。
18.【人権教育の継承・管理職の課題】世代交代がすすむなかで同和教育・人権教育を継承し、創造していくための大阪府教育庁としての認識・施策を明らかにするとともに、とりわけ管理職が職場の「指摘しあう関係性」や「高めあう教職員集団」をつくるための方策を示すこと。
19.【任用と研修】管理職、指導主事、首席、指導教諭等の任用については、人権感覚の鋭さ、同和教育・人権教育等の実践を重視すること。また、管理職の鋭い人権感覚・適切なリーダーシップの発揮等、管理職研修の充実を大阪府教育庁としてはかり、市町村教育委員会に対して指導・助言すること。さらに、新規教職員の採用においても、人権感覚の鋭さ・豊かさを重視して採用をおこなうこと。
20.【多部局にわたる人権侵害事象】多部局にわたる課題を有する人権侵害事案が生起した際の大阪府としての対応策・体制を明らかにすること。
21.【リバティおおさか】大阪人権博物館(リバティおおさか)と協力・連携するとともに、人権に関する教職員の研修や府民への啓発等、リバティおおさかの事業や資料の活用を促進すること。
22.【教育研究会への支援】24年2月策定の大阪府「在日外国人に関わる教育における指導の指針」をふまえるとともに、これまでの在日朝鮮人教育を後退させることなくすすめること。また、大阪府人権教育研究連合協議会への人的配置の拡充および「外国人教育研究会」未設置の市町村に対し、組織整備を求めること。
23.【子どもの安全・健康・給食課題】健康・給食にかかわる課題については、子どもたちの安全や人権を守る施策を講じるとともに、以下のことにとりくむこと。
(1)フッ化物洗口・塗布、予防接種等の医療行為を学校で一斉におこなうことがないようにすること。
(2)「学校における食物アレルギー対応ガイドライン」の活用を促すこと。アレルギー対応は子どもの命に直接関係することから、早急に大阪府教育庁として人的配置等の環境整備を講じること。なお、食における合理的配慮について現場支援につながる施策を講じること。
(3)中学校給食は、安全・安心で教育的意義のある給食が子どもたちに提供されるよう市町村教育委員会に指導・助言すること。
24.【健康診断】健康診断は、人権の観点を重視するとともに、以下のことにとりくむこと。
(1)色覚検査は、学校で教職員がおこなうべきではなく、定期健康診断項目外の検査であることの確認・徹底を市町村教育委員会に周知すること。
(2)教職員が色覚特性を知り、色のバリアフリーをすすめるための研修をおこなうこと。
(3)決められた数値や「あるべき健康な身体」にあわせた治療の強制や、生活規制の強要をおこなわないよう市町村教育委員会に指導・助言をおこなうこと。
(4)学校健診記録を「ビッグデータ」として提供・活用することについては、慎重に対応すること。外部団体からのさまざまな調査については、調査内容を大阪府教育庁として精査すること。また、提供したデータは、慎重にとり扱うよう要請すること。
25.【就学時の健康診断】17年改訂「就学時の健康診断マニュアル」は、公益財団法人である日本学校保健会が作成したものであり、マニュアルにそった実施を強制するものではないことを市町村教育委員会に周知すること。就学時健康診断については、93年の確認(ア.受診義務はない。イ.就学時健康診断をもとに振り分けをおこなわない。ウ.保護者の意向を尊重する。エ.精密検査の受診についても強制はしない。オ.前記事項を市町村教育委員会に指導する。)を周知徹底すること。
26.【テスト】国連子どもの権利委員会は、19年に「ストレスの多い学校環境(過度に競争的なシステムを含む)から子どもを解放するための措置を強化すること」と、日本政府に勧告した。とくに、学力調査等が、過度な事前対策や詰め込み型の学習につながり、子どもたちに競争原理をおしつけ、子どもたちの学校生活や学びに問題が生じている。子どもたち一人ひとりの「ゆたかな学び」の保障の観点から、以下のことにとりくむこと。
(1)「全国学力・学習状況調査」(国学テ)の結果公表については、自治体や学校の序列化・過度な競争にならないよう、また、学校選択等の資料としないよう市町村教育委員会に指導・助言をおこなうこと。
(2)「小学生すくすくウォッチ」(すくすくテスト)および児童アンケートについては、廃止も含め調査内容、結果のとりあつかい等について子どもたちへの過度な負担とならないよう配慮すること。また、自治体や学校の序列化・過度な競争につながらないよう市町村教委に指導・助言をおこなうこと。
(3)調査書の「評定」にかかわって、公平性を担保するための方策として活用している「チャレンジテスト」により、点数学力に特化され、各教科の評価や授業内容、年間指導計画等に大きな影響を及ぼしている。テストの結果をもとに、目標に準拠した評価(絶対評価)を学校間で相対的に比較する制度には、子どもたちの排除につながる等の問題点がある。「チャレンジテスト」に関わる問題点や課題を総括的に検証するとともに、廃止も含めた制度の見直しをはかること。
(4)「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」(国体テ)の結果公表については、自治体や学校の序列化・過度な競争にならないよう、市町村教育委員会に指導・助言をおこなうこと。
(5)「めっちゃMORIMORIスポーツテスト」(小学3・4年生スポーツテスト)の実施が、事前対策や数値向上策につながり、子どもたちの学びに多大な問題が生じている。問題点や課題を総括的に検証するとともに、廃止を含めた事業の見直しをはかること。
27.【高校入試】入学者選抜におけるこの間の制度改変が、学校現場に大きな影響を与えている。有識者も含めた幅広い層による議論や現場の意見をふまえ、大阪府教育庁としての課題認識と今後の方向性を明らかにし、中学校での進路指導をはじめ中学校・高校現場の教育活動に混乱をきたさないよう、現場に即した指導・支援をおこなうこと。
28.【高校教育のあり方】地域とのつながりや中高連携を大切にした学校づくりをすすめること。また、学校教育審議会の答申や議論をふまえ、高校進学希望者全入の実現をめざしたすべての子どもの進路保障として、公立高校が子どもや保護者の多様なニーズに対応する役割を果たす長期計画を策定すること。そして、「高校適格者主義」の見直しなど、すべての子どもの学習機会、学習環境の整備を第一義とした、今後の高校教育のあり方について方向性を示すこと。
29.【部活動】スポーツ庁・文化庁は、公立中学校の休日の部活動については、2023年度から2025年度までの3年間を改革推進期間として地域移行に段階的にとりくみ、可能な限り早期に実現することをめざすとしている。子どもの選択の自由を保障することを前提に、練習の長時間化や過熱化、保護者の費用負担、指導者確保などの課題に適切に対応すること。
30.【私立学校の課題】私立高校専願率が高まるなか、大阪府内すべての子どもたちの人権を保障するため、私立学校においても人権教育が適切におこなわれるよう働きかけること。
31.【夜間中学】義務教育未修了者の学ぶ権利を保障する、夜間中学校の果たす役割は大きい。16年12月「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」(教育機会確保法)、23年1月「夜間中学の設置・充実に向けて」(文科省手引)の改訂など、公立夜間中学校の必要性の認識と増設にむけた動きが国段階で明らかにされている。大阪府内の、現8市11校は、いわば「府立」夜間中学校としての位置づけでなければならないことから、以下のことにとりくむこと。
(1)夜間中学生の学習権と学ぶ場を保障するため、国への対応や「教育機会確保法」「文科省手引」等をふまえた大阪府の役割についての認識や空白区域解消にむけたとりくみを明らかにすること。
(2)8市および生徒居住市町村へ必要な支援をおこなうこと。
(3)支援学校高等部既卒者が、夜間中学校で学び直した後、定時制高校へ入学できるようにするなど、夜間中学生の進路保障につながる制度改善をおこなうこと。
32.【府立高校の再編整備】「大阪府立学校条例」第2条2項で規定する再編整備については、現に通学している子どもたちの学習環境、学習意欲が低下することがないよう配慮すること。また、子どもたちの幅広い進路選択を可能とする観点にたち、「地域に根ざす」という理念の実現にむけ、とりわけ人権教育の拠点となる学校の発展や学校ごとに培ってきた特色ある教育の継承など、子どもたちや教職員、地域に不安や混乱が生じないよう努めること。
33.【教育支援センター】教育支援センターに対する子ども・保護者・学校からのニーズは高い。しかし、通学の利便性や、原籍校との連携などの課題も多い。とりくみを十分検証したうえで、不登校の子どもの支援の充実や、教育支援センターの拡充などをおこなうこと。
34.【雇用確保・違反質問等】新規高卒者の雇用の確保について、内定とり消しや内定者の入社待機が起こった場合の大阪府・大阪府教育庁としての対応を明らかにすること。また、受験面接時の「違反質問」など人権侵害をおこなわないよう企業や大学・専門学校等を強く指導するとともに、「違反質問」に対しての教職員の認識を高めるよう、方策を講じること。
35.【労働者教育】大阪府の実態に合わせ、人権尊重・ジェンダー平等・労働者の権利の視点にたった労働者教育としての「キャリア教育」を推進すること。また、子どもたちの就労を支援するための外部人材の活用等をおこなうこと。
36.【アルバイト】学生のアルバイトについて、賃金や休業補償の不払い、子どもたちの就学に悪影響を与える勤務の強要、上司からのハラスメントなどの問題が生起している当事者や教職員の相談窓口の創設、子どもたちへの労働者教育、教職員の研修等をおこなうこと。
37.【高校就職】就職を希望する高校卒業予定者の就職決定を促進するため、大阪府教育庁、商工労働部、職業安定所が連携し、各種施策を充実すること。高校生の就職支援の充実にむけて、新たなとりくみ等を検証し、拡充するとともに、就職慣行の変更については、子どもたちに不利益が生じないよう、実態を把握・検証し各関係機関と連携すること。
38.【小規模校】教職員数が少ないことで子どもたちの学習活動が制限されることのないよう、単式学級を維持し、教職員数を確保すること。また、個に応じた指導や地域資源を生かした活動を教育のなかに生かすための支援を講じること。
39.【地域教育協議会】地域で子どもを育てる「地域教育協議会(すこやかネット)」のいっそうの発展・充実のため、人的措置をはじめ、大阪府教育庁として予算措置をおこなうこと。
40.【修徳学院】府立修徳学院の子どもたちが在籍する小中学校に対して、子どもたちが不利益を被らないよう、大阪府教育庁として課題解決や支援を講じること。
41.【養護施設】校区に養護施設等のある学校の実態を把握し、大阪府教育庁として支援を講じること。
42.【メディアリテラシー】SNSによる「いじめ」をはじめとする人権侵害、個人情報の流出、犯罪などへの対策を講じること。また、人権教育の視点からメディアリテラシー教育の必要性を認識できるよう、研修を充実すること。
43.【道徳教育】人権教育を基本として課題を整理するとともに、評価については、一方的な価値観や規範意識のおしつけにならないよう大阪府教育庁としての観点を明らかにすること。また、大阪府作成の教材など、さまざまな教材を活用し、多様な価値観を認め合うことができるよう、研修をおこなうこと。
44.【政治教育】若年層の投票率の向上にむけて、大阪府・大阪府教育庁として方策を講じること。また、政治的教養を育む教育については、外国籍の子どもやしょうがいのある子どもなど配慮が必要な子どもたちを排除しないよう、大阪府教育庁作成のガイドライン等の周知および有効な活用を促すこと。外国籍の子どもたちの参政権については、各国でのとりあつかいについても教職員に周知し、適切に指導できるよう、研修をおこなうこと。
45.【平和教育】大阪府「平和教育基本方針」を具体化する施策を明らかにするとともに、以下のことにとりくむこと。
(1)「平和教育に関する事例集」の活用を各学校にはたらきかけること。さらに、地域の教材の好事例などを情報発信すること。
(2)日本国憲法の基本理念である「平和主義」を伝える平和教育の研修をおこなうこと。またその際には、戦争体験者など当事者や伝承者の話をきく機会を設けるとともに、現地で学ぶことの重要性を伝えること。
(3)「ピースおおさか」の展示内容については、子どもたちの平和学習の資料になるよう活用促進をはたらきかけること。また、平和教育を推進するため、大阪空襲の体験者や遺族の方などの当事者をはじめ、研究者等の意見を展示内容に反映するようピースおおさかにはたらきかけること。
46.【教科書採択】教科書採択に関しては、公正・公平な採択制度を確立するため、採択にかかわる審議経過、採択結果およびその理由などを積極的に公表するよう市町村教育委員会に指導・助言をおこなうこと。
47.【日の丸・君が代】「日の丸」・「君が代」問題については、解放共闘教育部会・解放同盟大阪府連・大阪教組とのこれまでの経過を今後も尊重すること。