トップページ > 府政運営・統計 > 広聴 > 広聴(府民の声・団体広聴) > 団体広聴 > 令和6年度の団体広聴一覧 > 障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議 要望書(2)

印刷

更新日:2024年11月20日

ページID:86548

ここから本文です。

障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議 要望書(2)

(1) (2) ※2ページに分割して掲載しています。

要望書

【権利の実現に関する要求項目】

 今年4月に改正差別障害者解消法が施行され「事業者の合理的配慮」が義務化されました。大阪府条例では3年前に事業者の合理的配慮の義務化を行いましたが、障害者差別を未然に防ぎ合理的配慮を広げるような積極的な取り組みはできていません。以前から指摘するよう、大阪府の相談事例の集積を基に同様の案件が複数発生している業種に対して、より具体的な啓発等を積極的に行うことが必要です。また府内の差別解消推進協議会の未設置市町村は20程度もあり、ここ数年間全く止まっています。改正法で新たに明記された、相談人材の育成・確保や事例収集などを根拠に、市町村に対して、協議会の設置・事例検証の実施、相談窓口の強化など一層強く求めていかなければなりません。
 障害者に対する住宅入居差別は未だ根強く残っており、単身やグループホームの入居で拒否される事例が相次いでいます。明確な差別意識だけでなく、家主が障害者の入居に対して「漠然とした不安」を抱いて拒否する事例も多くあり、また家主の意向を受けて宅建業者や保証業者が入居を拒否する例もあります。大阪市内のマンションで20年間平穏に暮らしてこられたグループホームが、地域住民から退居を求められた裁判は、何年もかかって審理が行われましたが、これも一部の住民と管理会社による差別意識によるものと言えます。差別の未然防止に向けては、障害と住宅部局が連携して、家主や住宅関連業者に対して、差別事例と合理的配慮の方法を具体的に示しつつ、障害者の実際の暮らしぶりや入居を支える仕組みも伝えていくなど、より積極的な啓発活動の展開が必要です。
 またこの間、府内市町村の公営住宅では、自治会役員が障害者に対して自治会活動を強要し、それができないなら入居を拒否する、退居を求める、住民に自身の障害状況を説明させる等の人権侵害が発生しています。その背景には住民の高齢化による自治会活動の継続の困難があり、構造的な差別の問題と捉え、障害の理解のための住民への啓発活動の実施と併せ、自治会活動の外注を進める仕組みをつくる等、抜本的な解決策が必要となっています。
 旧優生保護法の下で行われた強制不妊手術の問題は、今年4月末に当初定められた一時金の請求期限が2029年まで5年間延長されるとともに、大阪を含む全国5つの高裁判決が出た裁判について、5月末に最高裁判所大法廷において弁論が行われました。7月初旬に判決が出されますが、旧優生保護法が憲法違反であることとともに、戦後最大の人権侵害事件である強制不妊手術を訴える裁判において、除斥期間の適用は不適当であるという判断が出されることが期待されます。
 大阪府においては全国で5番目に多い619人、「同意」も含めれば1,238人に対して優生手術が行われたにも関わらず、一時金認定件数はたったの29件(2%)と非常に低調なままです。
 一昨年から大阪市・大阪府で医療機関や高齢者施設も含めた福祉施設に対して、「周知の一環としての調査」が実施され、新たに何名かの方が発見されました。被害者の高齢化に伴う時間との闘いは、裁判原告の方が係争中に数名お亡くなりになったことでも明らかです。今年も市町村と連携して、再調査を必ず実施すること、あらゆる手段を使って大々的な広報活動を展開するなど、一人でも多くの被害者を掘り起こし、人権救済の可能性につなげなければなりません。それは被害を与えた大阪府行政として果たすべき最低限の責務であり、府として可能な方策を全て実施するよう強く求めます。
 生活保護については、一昨年度の見直しで基準額や級地区分が引き下げられる恐れがありましたが、一旦回避されました。しかし「低い水準へ見直す」可能性は続いています。この間のコロナ禍による経済活動への打撃による大幅な収入減や、光熱費や食費、日用品等の物価が軒並み高騰している中での保護費の引き下げは、許されるものではありません。「健康的で文化的な最低限度の生活」を保障するために、見直し検討において、基準額や級地区分ならびに各種加算等を引き下げないよう、他の自治体とも連携して国に対して強く求めていかなければなりません。
 以上の認識に立ち、以下要求します。

1.府の差別解消条例、差別解消取り組みについて
 1)今年度の改正法施行による事業者の合理的配慮の義務化を受け、差別の未然防止と適切な合理的配慮の提供に向け、特に差別事例が複数発生している業種に対しての、研修・啓発を行うこと。またその検討状況を示すこと。
 2)法改正に伴い、府内全市町村で差別解消支援協議会が設置されるよう、また相談の人材育成や、市民への窓口周知等行うよう、市町村に強く働きかけを進めること。また国の基本方針、対応要領等の変更に伴い、大阪府の対応要領にも「不当な差別的取扱に該当しないと考えられる例」等が書き加えられた。差別解消条例のガイドラインに、拡大解釈される恐れがあるそのような例示は載せないようにするとともに、今後対応要領等も見直すこと。

2.住宅の入居差別について
 1)民間賃貸住宅での障害者の入居拒否や、グループホームに対する入居拒否・追出し等の差別が相次いでいることから、住宅部局と差別解消担当が連携し、家主・宅建業者・家賃債務保証業者・管理会社等に対して、「この間発生している問題事例、適切な合理的配慮の事例」を具体的に示す媒体を作成し、更なる啓発・研修を進め差別を未然に防止するとともに、差別発生時には府として調査・指導に積極的に出向いて毅然とした対応を行うこと。
 2)入居差別の背景にはまだまだ障害者の暮らしぶりが知られておらず、「漠然とした不安」から拒否される例も多い。昨年作成のチラシに続き、不安の払拭に向け、障害者やグループホームの暮らしの様子や入居支援制度を紹介するビデオ等の媒体を作成すること。また住宅セーフティネット法改正を受け、福祉施策と住宅施策の連携を強化し、居住サポート住宅の供給促進、全市町村での居住支援協議会の設置に向け、具体的な方策を明らかにすること。
 3)公営住宅居住者の高齢化に伴う自治会活動の困難さから、各住宅で障害者とのトラブルが続出している。大阪市営住宅のように自治会、住民に対して障害の理解を進める啓発媒体を作成すること。また自治会活動の一部(清掃等)を業者に委託し共益費として府が徴収する仕組みについては、住民の負担額などに注意を払いながら、必要に応じて府が住民へ補助する仕組み等も検討すること。

3.強制不妊手術の問題について
  大阪府として、障害者に不妊手術を強いた事実を重く受け止めること。また被害者の人権救済につなげるため、何としても一人でも多くの被害者を掘り起こすよう、あらゆる手立てを講じること。
 一時金請求期限改正の附帯決議に「一刻の猶予もないことを踏まえ、効果的な広報を早急に行うこと」とあるよう、広報活動は昨年度よりも更に拡大し、新聞・ラジオ広告、テレビCM、全交通機関でのポスター掲示、障害者への個別通知時のチラシ挟み込み等、あらゆる手段を講じて大々的に展開すること。
 また一昨年度から大阪府では全ての高齢者施設等に対する周知の一環としてのアンケート調査を実施しているが、今年度も障害児者施設、児童施設、医療機関、あらゆる関係機関へ周知とアンケート調査を実施すること。また周知・アンケート調査については、大阪市をはじめ、前向きな自治体と連携すること。さらに国に対して、施設や医療機関への再調査の実施を強く求めるとともに、全面解決に向け補償金額の大幅増額、自治体への調査権限の付与等、抜本的な施策の推進を求めること。

4.生活保護の基準見直しについて
 一昨年度の国の「生活保護基準の見直し検討」では、最終的に「2024年度までは現行基準を維持し、その後の経済情勢をふまえて2025年度以降の受給額を判断する」と引き下げが回避された。
 しかし今年、引き下げに向けた見直しが行われる恐れがあるため、引き続き他の自治体とも連携し、物価高騰を鑑みむしろ引き上げの見直しを行うことや、前回の議論であげられた級地区分や基準額の引き下げを行わないよう、国に強く働きかけること。また、保護の停廃止や障害者加算、介護加算、住宅扶助の見直し等、更なる締め付けがされないよう働きかけること。

【交通・まちづくりに関する要求項目】

 アクセスは人権です。福祉や障害者の問題にするのではなく、都市計画、観光、交通政策、情報政策などあらゆる政策において、障害者を含む誰も取り残さない施策の推進を図るべきです。
 一方で、障害者のアクセシビリティがないがしろにされている実態が多くあります。
 鉄道駅の無人化や窓口無人は、障害の意見聴取もなく一方的に拡大されてきました。駅のホームと電車の段差解消やホーム柵の設置はまだ不十分で駅員の介助が必要です。しかしながら、インターホンが障害者の実態に合っていないため利用できず、介助すら呼べない障害者も多く存在しています。しかも、無人の時間帯の情報も前もって提供されておらず、駅に行って困難に直面することが多々あります。これでは通常の社会生活ができません。府は、差別解消法、府差別解消条例を踏まえ、環境の整備、合理的配慮、建設的対話を行うように行政指導を行うべきです。
 また、バリアフリートイレの介護ベッドの普及が不充分、バリアフリー情報も十分に得ることができないという状況で外出を諦めざるを得ない人も多くいます。大阪府は、このような障害者の生活に直結する課題について、府福祉のまちづくり条例の改正も含めた検討を行う必要があります。
 2025年大阪・関西万博のユニバーサルデザインガイドラインは、当事者抜きで作成したことの深い反省のもとに、多様な障害者の意見を反映しアクセシブルでインクルーシブな万博を目指す改訂版ができました。万博を機に、大阪の交通機関のアクセシビリティの向上、大阪街全体のバリアフリーの底上げを図り、大阪丸ごとバリアフリーの実現に向けて取り組む必要があります。
 以上のことから、以下を要求します。

1.駅ホームの安全な利用、無人駅への対策検討について
 1)「鉄道駅バリアフリー料金制度」によって鉄道各社で計画化されたホーム柵設置について、大阪府として必要十分な予算措置を講じること。また、引き続き、利用実態、地域の実情等を勘案し、視覚・盲ろう等障害者の利用頻度が高いJR森ノ宮駅等、優先度が高い番線での整備を推進できるよう配慮すること。
 また、ホーム柵設置と併せ、行なわれているホームと車両との段差・すき間解消について、車いす利用者の単独乗車が可能となるものとするよう、鉄道事業者へ働きかけを行うこと。

 2)無人駅、時間無人、窓口無人(以下「無人駅等」)の拡大を回避するよう鉄道事業者への理解を図ること。 その上で拡大する無人時間帯等において障害者が負担なく利用できるように以下の点について環境の整備の事業者努力を求めること。
 ・インターホン、切符券売機等を障害者が容易に利用できるように改善すること。
 ・ホームと電車の段差の解消、ホーム柵の設置などの整備を進めること。
 ・無人時間帯は障害者等の利用が少ない時間帯に設定し、無人時間帯情報をだれもが前もって容易に把握できるようWEBなどで公表すること。
 ・介助等の申出窓口は営業時間内には必ず外部からも容易に連絡可能な体制とすること。
 なお、国無人駅ガイドラインに基づき、障害当事者の意見を十分に踏まえること。とりわけ、無人下における重要設備であるインターホンについては、多様な障害者が利用できる仕様とする必要があり、「大阪府重点整備地区バリアフリー推進連絡会議」等を活用し、当事者視点での課題を聴取する場を設けること。

2.大阪府福祉のまちづくり条例(以下「府条例」)関係
 1)昨年度の検討課題(店舗敷地境界・出入口段差、大人用介護ベッド設置基準、共同住宅駐車場など)及び国の法改正に伴い検討すべき車椅子席の設置義務基準、サイトライン、車椅子トイレ設置基準等の課題、及びバリアフリー設備の情報提供について、府条例を改正すべく検討を進めること。検討にあたっては、大阪府の地域実情、障害当事者の意見を十分に踏まえること。
 また、2023年に改正されたガイドラインの周知を行うとともに、府有施設及び府外郭団体所有・管理施設において、車いすトイレへの介護ベッドの設置を推進すること。なお、市町村においても率先垂範し推進するよう依頼すること。
 2)関西万博のユニバーサルデザインガイドラインは多様な障害当事者、有識者の意見の結実によって作られた。万博の取組や水準が今後のまちづくりのレガシーとなるように、府条例、ガイドラインにどう反映すべきか十分に検討すること。

3.2025関西万博を機に大阪まるごとバリアフリーの実現について
 1)改定後のユニバーサルデザインガイドラインが具体化されるように、各パビリオン、催事施設、展示施設、その他敷地内施設の設計・整備にあたっては、当事者意見の反映を図ること。移動モビリティ、サイン表示、情報のユニバーサル化、サービス提供のあり方、共に体験できるコンテンツ作り、スタッフ研修等、今後の課題についても、当事者参画を基本として、アクセシブルでインクル―シブな万博の実現を図ること。
 2)夢洲万博会場へ円滑にアクセスできるよう大阪市及び各事業者と連携し整備を図ること。
 ・鉄道による円滑なアクセスを確保するためにターミナル駅や乗り換え駅、関空・伊丹空港からのアクセス駅(弁天町駅、大阪駅、新大阪駅、天王寺駅、難波駅、本町駅、新今宮駅、十三駅、阪急梅田駅等)のバリアフリー化の一層の推進を図ること。
 ・万博のシャトルバスにおける障害者の利用可能車両をできる限り増やすこと。とりわけ、関空・伊丹空港、新大阪駅からの直行シャトルバスの利用を確保できるようにし、福祉両等の活用など代替交通機関の確保も含め検討すること。
 ・夢洲会場での車椅子対応駐車場の利用については3.5メートル幅が必要な障害者に限定するように的確な運営を行うこと。また、必要に応じて、舞洲駐車場も3.5メートル幅が必要な障害者が駐車できるように運用すること。
 3)万博を機に、ホテル、観光施設、商店街、飲食店などのバリアフリー化など、大阪のバリフリーの底上げを図り、障害者が取り残されることなく大阪の街を楽しめることをめざすこと。
 ・障害者も含めた観光客の受入環境の整備を進めるために、関係業界団体への協力要請を行うこと。また、ユニバーサルツーリズムホームページにおいて、利用しやすいホテル、飲食店、観光地などの情報など充実を図ること。
 ・ホテル、観光施設、タクシー業界などに対して、障害理解や合理的配慮の周知啓発を行うこと。
 ・民間のホテル、飲食店などの検索エンジン事業者に対して、障害者が利用できるようにバリアフリー客室、出入り口、車椅子トイレ、車椅子で着席できるテーブルの有無などのメニューや情報を加えるように協力要請すること。

4.府営公園のバリアフリーについて
 1)車いす利用者等が利用時間制限なく府営公園が円滑に利用できるよう、出入口の時間制限の撤廃や出入り可能箇所数の増加等、具体的な達成目標と時期を明らかにすること。また、久宝寺緑地公園で計画されている新たな社会実験(速度感知システムの導入)等を踏まえ、一部の利用者が使えない出入り口の構造を抜本的に改良を図るようにすること
 2)公園の官民連携事業においては、役割分担と連携を明確にして、バリアフリー化が後退しないようにすること。とりわけ、再整備される久宝寺公園プールについては、障害者が利用しやすいものとなるよう、設計段階から障害者の意見を取り入れること。
 3)全ての公園施設において、当事者参画・評価の仕組みづくりを行うこと。

【教育・保育に関する要求項目】

 新型コロナウイルスが学校教育に影響を与えてから5年目を迎え、行事など含めコロナ以前のような学校生活が復活してきています。コロナ禍の間、複数の保護者の方から「感染させるのも、感染させられるのも、どちらも不安」ということをお聞きしました。感染の危険性が薄らいだ後も「一定の分離」が日常的になっていないか、懸念の残るところです。
 2022年4月末に文部科学省から出された「特別支援学級及び通級による指導の適切な運用について」は府内の市町村に大きな影響を与えています。この25年伸び続けていた、支援学級在籍者の数字が昨年度は明らかに減少しました。支援学級ではなく、とりあえずは普通学級での学びを選んだ本人・保護者が増えたことは分かりますが、一部の市町村では新たな入学者に対して「支援学級籍の場合は、ある程度の時間数は支援学級で学ぶよう」伝えられていると聞きます。
 文科省通知に対して、枚方市・東大阪市の本人・保護者が、2022年10月に人権救済申立てを行い、大阪弁護士会は今年3月22日付で、文科大臣に「人権侵害のおそれがある」と撤回の「勧告書」を出しました。大阪府教育庁として、その内容も重く受け止め、「支援学級で学ぶ時間数について」市町村教委・学校主導で決めないよう、強く助言・指導していく必要があります。
 障害者権利条約の総括所見で、特別支援学校を廃止する方向性が出されましたが、文科省は特別支援学校を始めとする、多様な学びの場を整備する方針は変えていません。「特別支援学校設置基準(省令)」は(施設等について)昨年施行され、大阪でもそれを踏まえ、特別支援学校の整備が進められています。児童生徒総数が減少している中で、いつまで、特別支援学校を増やせば良いのでしょうか。「現状に応じて増設する」のではなく、分けられる弊害を基本に置き「ともに学び育つ大阪の教育」の推進、地域の学校で充実した学びを更に進めていくため、本人や保護者の不安が少なくなるような施策を行うのが、府教育庁の責務です。
 特別支援学校の狭隘化などが言われていますが、学校により差があるものの、全体的には高等部の生徒が多いという状況があります。中学校卒業後の進路が特別支援学校に流れるのは、入試制度も大きな課題ですが、それと同じぐらい、一般の高校に入学する不安が大きいことがあると思われます。一方で自立支援コースの倍率が非常に高いことからも、教員が一定配置されていることは大きな安心材料となることが分かります。小中学校でともに学び一般高校への進学を希望しても、支援学校の選択を余儀なくされるのは、構造としての差別であり、「ともに学び・ともに育つ」教育を掲げ続けてきた大阪府で解決すべき第一の課題と言えます。希望するすべての生徒が高校へ進むことができるよう、自立支援コースを格段に増やすことや、一般の高校にも独自の教員配置を進めるなど、施策を抜本的に改めなければなりません。以上の認識に立ち、以下要求します。

1.就学における本人・保護者の意向尊重、および就学指導について
 障害児の就学にあたっては、地域で「ともに学び・ともに育つ」という原則に立ち、本人ならびに保護者の意向を最大限尊重した就学相談を実施するよう、また特に就学時に支援学級に在籍する場合「支援学級で学ぶ時間数を一定程度示す(以前より多くなると伝える等も含む)」など条件付けを行わないよう、府内各市町村教育委員会へのヒアリング等を進め、指導助言を徹底すること。また引き続き就学通知を対象年齢児全員に対し年内に発出するよう、市町村教委に働きかけること。

2.義務教育段階の支援等について(小中学校)
 1)大阪府独自の市町村教委への通学支援補助について、全自治体で活用するよう働きかけるとともに予算増に努めること。また通学支援はヘルパー等人的支援による制度が実現するよう、具体的な事例等も示し、障害福祉とも連携し検討することなど含め、市町村教委に働きかけること。
 2)学校教育法施行令22条の3に該当する、障害のある児童生徒が地域の学校で学ぶ場合、時間数を限定せず原学級(通常の学級)で学べるよう、大阪府教育庁として、教員配置についての新たな制度の創設を検討すること。
 3)文科省通知の影響も含め、地域の学校の通常学級で学ぶことを望む、児童生徒・保護者は、障害種別程度に関係なく増えていくことが予想される。支援学級の教職員だけでなく、通常学級の担任等教職員全体へのインクルーシブ教育(ともに学び・ともに育つ教育、障害理解教育)の研修を、計画的に進めること。

3.医療的ケアが必要な児童・生徒について(小中学校)
 1) 医療的ケアが必要な児童生徒が、親の付添いなしで学校教育全ての活動(授業・校外活動・放課後活動等)に参加できるよう、また基本的に原学級での学びを希望する場合、支援学級籍であっても、文科省通知の影響を受けず原学級で学べるよう、市町村教委を指導助言すること。
 2)医療的ケアが必要な児童生徒が在籍する学校で、全職員対象の医療的ケア研修を行うよう市町村教委を指導すること。また緊急時・災害時への備えも含め、看護師以外の医療的ケア実施者を増やすために、教員・支援員等、学校関係者が「府教育庁が実施する第三号研修」に参加できるようにするなど、実施主体の拡充を行うこと。

4.インクルーシブ教育を実体化するための、合理的配慮・環境整備について
 3年前医療的ケアが必要な生徒の合理的配慮について全府立高校へ文書で通知された。知的障害、肢体不自由等他の障害種別についても、府内の全府立高校で、校外学習・宿泊を伴う修学旅行等含めたすべての教育活動が受けられるよう、合理的配慮の好事例を集約すること。またその情報をホームページへ掲載するなど府民が直接得られるようにすること。

5.肥大化が続く特別支援学校に関する課題について
 1)学校の狭隘化等を理由に、知的障がい支援学校の新設や教室等の増築に一切歯止めがかからず進む一方であることは、「ともに学ぶ教育」と逆行している。これは地域の学校で学ぶ環境が整っていないことが理由であることを認識し、「知的障がい支援学校の新設・増設」について、見直し・撤回を含めた具体的な検討を行うこと。
 2)「特別支援学校のセンター的機能」による小中学校在籍者を増やす取り組みを具体に示すこと。

6.障害のある生徒の高校問題(入試・入学後)について
 1)高校受検について、定員内不合格を出さないことを堅持すること。また障害をもつ生徒の入学が促進されるよう、独自の教員配置、新たな受検制度や仕組みの創設、既存制度の拡大等を行い、高校で学ぶ障害生徒を、大きく増やすこと。
 2)合理的配慮の不提供は障害者差別であるという認識の下、障害のある生徒の受検について、オンライン出願で不利益が生じないようにするとともに、受検上の配慮を最大限行うこと。
 3)府立高校入学後、看護師、生活・学習支援員等が必要に応じて配置されるよう予算を拡充すること。また特に介護等が必要な生徒に対しては、ニーズを丁寧に把握し必要な配置を即時に行うようにすること。更に支援員については、障害福祉事業所との連携が可能なように、現在の仕組み(登録や単価等)を早急に変更又は創設すること。
 4)校外学習や修学旅行などにおいて、障害があるが故に必要となる、リフト付きバスやヘルパー等については、本人・家族負担とせず、府教育庁として負担するよう改めて検討すること。
 5)医療的ケアだけでなく、府立高校通学に支援が必要な生徒への制度創設を検討すること。

7.バリアフリー法改正による、小中高の整備について
 府立高校のエレベーター設置について、約150校中いまだ40数校未設置校があることを踏まえ、毎年の新規設置数を増やすこと。同時に複数校舎がある学校への2基目設置について、検討をはじめること。また府内市町村小中学校のバリアフリー整備計画が、インクルーシブ教育を進めるという視点を踏まえ、全市町村で策定されるよう働きかけを行うこと。

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?