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在日本大韓民国民団大阪府本部 要望書
要望書受領日 |
令和6年12月19日(木曜日) |
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団体名 | 在日本大韓民国民団大阪府本部 |
取りまとめ担当課 |
教育庁 人権教育企画課 |
表題 | 2024年度 在日韓国人の民族教育、国際理解教育の推進を求める要望書 |
要望書
2024年度
在日韓国人の民族教育、国際理解教育の推進を求める要望書
貴教育委員会が、人権尊重の教育を柱に1998年策定「在日韓国・朝鮮人問題に関する指導の指針」(以下「指導の指針」)、2024年策定「在日外国人に関わる教育における指導の指針」などをもとに、在日韓国人の民族教育、国際理解教育推進に積極的に取り組んでおられることに対し敬意を表します。
また、貴委員会が策定された、2015年作成研修用参考資料「ヘイトスピーチの問題を考えるために」(以下「ヘイトスピーチ研修資料」および在日外国人教育指導資料2024年版「互いに違いを認めあい、ともに学ぶ学校を築いていくために-本名指導について-」を高く評価いたします。
昨年の春から、韓日両政府の外交関係が飛躍的に改善され、韓日両国民による相互理解も一層深まり、国民感情も大幅に改善されました。しかし、一部に、在日韓国人をはじめとする外国人に対する排外的な言動により在日外国人教員や在日外国人児童・生徒、外国にルーツのある児童・生徒の人権侵害、民族差別が今なお少なくない事が懸念されています。特に一昨年10月に大阪市内の小学校において、在日韓国人児童に対する深刻なヘイトスピーチ事件が発生しましたが、その再発防止策に不安が残ります。
また、2017年度から府費負担教職員の給与負担等が指定都市へ移譲された事により、大阪府の人権教育・民族教育の財産ともいえる常勤民族講師に関わる制度の後退が危惧されています。民族学級に関わる府費常勤民族講師の身分保障および制度を教諭と同等待遇となるように改善してください。また、民族学級維持のため、後任講師配置を支援してください。
歴史的な経緯および1991年韓日外相覚書を踏まえた上で、貴委員会がこれまで推進されて来られた取り組み、民族教育・国際理解教育を一層推進してください。そして、韓国籍の児童・生徒が本名を使って安心して学校に通い、加えて、韓国にルーツのある児童・生徒が民族名を使って安心して民族学級に参加することができるようにしてください。そのために、民族教育の拡充と多民族・多文化共生教育を大阪府内の学校に定着させるよう、次の通り要望いたします。
要望事項
【1】「指導の指針」と「人権教育推進プラン」の具現化
1.市町村教育委員会が策定した「在日外国人教育基本方針」などについて
(1)貴委員会の「指導の指針」に示された本名指導の趣旨に沿った内容に改訂するよう、市町村教育委員会を指導してください。
(2)「指導の指針」と「人権教育推進プラン」の内容が教職員、保護者に実践されるよう、市町村教育委員会を指導してください。
2.人権侵害であるヘイトスピーチに対して、在日外国人に対する偏見や民族差別事象を根絶するための施策を実施してください。
(1)「ヘイトスピーチ研修資料」の活用状況を教えてください。
(2)同研修資料などを活用して、差別を見抜く感性を育てるような教職員人権教育研修を積極的に実施するよう、各市町村教育委員会および府立高校に指導してください。
3.在日外国人が安心して本名を使用できる環境を醸成するために、各市町村教育委員会に、以下のことがらを実施するよう指導してください。
(1)小学校入学時からの指導の体系化と、中学・高校への進学時の連携強化
(2)指導要録や卒業証書授与台帳など公簿類への本名および母国語読みのふりがな記載の徹底と、卒業証書への本名記載の徹底
(3)2006年策定指導資料『本名指導の手引き』を活用した研究授業の実施と、「在日外国人教育のための資料集(DVD)」の有効活用
4.大阪府在日外国人教育研究協議会(府外教)などと連携して、市町村の多民族・多文化共生教育の取り組みを充実させてください。
(1)単位市外教を設立し、府外教に加盟するよう市町村教育委員会を指導・助言してください。
(2)単位市外教などが主催する地域の取組みや研修会が実施・継続されるよう各委員会を指導・支援してください。
5.韓国にルーツを持つ日本国籍の児童・生徒の実態を把握し、民族教育を推進するように指導してください。
6.大阪府内にある、韓国系民族学校である白頭学院建国学校、大阪金剛インターナショナルスクール、および韓国系各種学校であるコリア国際学園の学校案内を韓国籍児童・生徒が在籍する学校および民族学級が開設されている学校で紹介し、活用してください。
【2】教育公務員
1.外国籍教員の採用時の資格を「教諭(指導専任)」から本来の「教諭」に戻し、憲法第十四条の「法の下に平等、差別禁止」に則って、管理職任用試験の受験資格を認めてください。
2.外国籍教職員の採用、本名使用について
(1)外国籍教職員を積極的に採用し、期限付き講師の登録においても、本名使用を徹底してください。
(2)採用後は、外国籍教職員の本名使用状況を把握して、学校・PTAで外国人教育研修を行うよう指導してください。
【3】高等学校
1.18歳選挙権施行に伴って行われている「政治的教養を育む教育」の授業において、外国籍生徒の問題がどのように指導されているか具体例を教えてください。たとえば、外国籍生徒は選挙権がなくても、社会で活躍できることを授業の中で指導してください。
2.府立高校において在日外国人が安心して本名を使用できる環境を醸成するために、以下のことがらを実施するよう管理職・教職員を指導してください。
(1)合格説明会・入学時の本名指導
(2)指導要録や卒業証書授与台帳など公簿類への本名および母国語よみのふりがな記載の徹底と、卒業証書への本名記載の徹底
(3)在日外国人教育指導資料2024年版「互いに違いを認めあい、ともに学ぶ学校を築いていくために-本名指導について-」などを用いた校内教職員人権研修や校内研修の実施
3.合格説明会や入学式時に外国籍生徒・保護者向けに「教育相談コーナー」を設けて、地方公務員・教職員などの国籍条項が撤廃されていることや民族系奨学金制度(朝鮮奨学会、韓国教育財団、在日韓国奨学会など)について説明し、入学後も継続して説明するよう指導してください。
4.「在日外国人生徒の進路追跡調査」を継続し、企業の在日外国人に対する偏見や就職差別を根絶してください。
5.国際理解教育を推進するため、府立高校に「韓国語」講座を開設し、担当する専任教員を増員してください。また、韓日国際交流の実態を把握し財政支援をしてください。
【4】民族学級
1.歴史的な経緯および1991年韓日外相覚書を踏まえて、民族学級は、韓国籍と韓国にルーツのある児童・生徒のための民族教育の場としてください。そして、すべての児童・生徒には、国際理解教育、多文化共生教育を進めてください。
2.民族学級に関わる府費常勤民族講師の身分保障および制度を教諭と同等待遇となるように改善してください。また、民族学級維持のため、後任講師配置を支援してください。
3.府内民族学級設置市(政令指定都市含む)と連携して、これまで培ってきた民族学級の取り組みを継承してください。
4.教職員がヘイトスピーチ事件と認識する感性を持ち、民族学級へのヘイトスピーチ事件が再発しないように、防止策を徹底するとともに、被害を受けた児童・生徒と保護者に対して心のケアなどの対策を確立してください。
5.民族教育をはじめとする多文化共生教育のための将来構想を研究する場を作ってください。