ここから本文です。
夢洲カジノを止める大阪府民の会 要望書
要望書受理日 |
令和7年2月4日(火曜日) |
---|---|
団体名 | 夢洲カジノを止める大阪府民の会 |
取りまとめ担当課 | 福祉部 子ども家庭局 子ども青少年課 |
表題 |
「万博子ども招待事業」の中止を求める請願書 子どもの命を守れ 「万博子ども招待事業」を中止に |
要望書
2025年2月4日
大阪府知事 吉村洋文 様
大阪府教員委員会教育長 水野 達朗 様
夢洲カジノを止める大阪府民の会
「万博子ども招待事業」の中止を求める請願書
子どもの命を守れ 「万博子ども招待事業」を中止に
【請願趣旨】
私たち『夢洲カジノを止める大阪府民の会(以下、「府民の会」』は、夢洲へのIR・カジノ誘致の中止を求める運動に取り組んでまいりました。その過程で、『2025年大阪・関西万博(以下、万博)』とIR・カジノ誘致が一体のものとして進められていること、また廃棄物や浚渫土砂による埋立地である夢洲の危険性について、その認識を深めてきました。
危険な夢洲
現在、吉村大阪府知事は、有害物質が埋まる万博へ府内在住の4歳から18歳の子どもや青年を無料で招待しようとしています。いわゆる「万博子ども招待事業」です。しかし夢洲は、昨年3月28日にメタンガス爆発火災事故が発生し、安全に問題があると指摘されています。
2024年3月28日、夢洲の万博建設工事現場でメタンガスによる爆発火災事故が発生しました。100平方メートルが吹っ飛び、地下を結ぶ鉄扉はひん曲がり、天井にも穴があく大事故でした。万博協会は「対策しているから大丈夫」と言いますが、現在もメタンガス・一酸化炭素・硫化水素・アンモニアなど可燃性の有毒ガスが噴出し続けています。
別紙のチラシは、万博協会が公表している各種有毒ガスの検知結果のうち、一例として一酸化炭素の検出結果を会場地図に当てはめたものです。ご存じのように、この場所は、「万博招待事業」で子どもたちの乗ったバスが駐車され、乗り降りしたり、休憩してお弁当を食べたり、お買い物などできる場所です。子どもたちの過ごす場所の周囲を囲むように「ガス抜き管」が敷設され、連日、50ppmから2000ppmを超える濃度の一酸化炭素が検出されていることが分かります。一酸化炭素中毒は恐ろしいもので、50ppm以上で労働者は働くことができません。また1600ppm以上は、約2時間で死亡とされています。
夢洲は、一般・産業廃棄物や浚渫土砂など汚染土で埋め立て造成されています。現在もメタンガスや硫化水素・一酸化炭素・アンモニアなど有毒ガスが発生。また地中からは、PCBやフッ素・ヒ素・クロム・ダイオキシン・セシウムなど毒物が検出されています。万博協会の「安全対策」は穴だらけです。「ガス測定値の公表」「排気装置の設置」「便器・排水管にシールを貼る」「マンホールの蓋に穴をあける」など単なる対処であり、根本的な安全対策ではありません。
また南海トラフ地震による津波や液状化現象による被害も心配です。2024年8月8日、宮崎県沖の日向灘でマグニチュード7.1の地震が発生し、政府・気象庁は初めて「南海トラフ地震臨時情報」を発表しました。国土交通省は、マグニチュード8から9クラスの地震の30年以内の発生確率を70%から80%としています。夢洲は埋立地であり、液状化対策を施していない万博会場でどのような被害が起きるかわかりません。
耐震構造の十分整っていないパビリオン、750個の石材をつるした「石のパーゴラ」などの構造物が確実に安全であるとは言えません。また杜撰な避難計画も指摘されています。来場者キャパに見合わぬ避難場所、避難路が十分確保されていない、夢舞大橋と海底トンネルの耐震強度など上げればきりがありません。
募る不安と、「万博子ども招待事業」中止検討の自治体意見書・学校不参加の表明
しかし、大阪府は夢洲についての正しい情報を広く提供していません。また、仮に「万博子ども招待事業」において事故が発生し、子どもたちに被害が及んだ場合の責任については「学校にある(あるいは、「行かせた」保護者にある)」として、事業主体である大阪府や自治体の責任を回避しています。
この様な中で、子どもたちを引率する学校からは、「安全は大丈夫なのか?」「下見ができず不安」「どのパビリオンに行けるのかも決められない」「交通に難がある」などの声も上がっています。
安全確保や交通問題、さらに教育目的を持った学校行事として相応しくないとの市民や学校現場からの声が多数寄せられた結果、大阪府内の自治体で「万博子ども招待事業」の中止を含めた検討を求める意見書を採択したり、不参加を表明する学校が増えてきました。
大阪府内全自治体や学校の意向をまとめた資料は公表されていませんが、報道を拾うだけでも以下の様な動きが確認されています。
- 2024年6月26日 貝塚市議会…「被災地復興を最優先」「児童・生徒招待事業を中止も含め再検討」の文言が入った、『万博の開催の不安要素を払拭することを求める意見書』 採択
- 2024年10月2日 吹田市議会…『児童・生徒招待事業のあり方の再検討を求める意見書』 「児童・生徒招待事業のあり方について、再検討するよう強く要望する」の文言 採択
- 2024年11月5日 大阪府議会…『大阪・関西万博の「子ども無料招待事業」をめぐる請願書』 全会一致で採択
- 2024年11月12日 摂津市議会…「2025年日本国際博覧会児童・生徒招待事業」のあり方の再検討を求める意見書採択
- 2024年12月24日 池田市議会…『「2025年日本国際博覧会児童・生徒招待事業」について安全対策強化等を求める意見書』 採択
- 交野市に続き、熊取町で小・中学校校長会が保護者に向けて「子ども招待事業」を見送ることを通知(2024年12月23日)。
- 吹田市教育委員会が万博遠足について「学校行事としては見合わせる」と決定し、保護者に通知(2025年1月29日)。
- 大阪市・堺市・茨木市・東大阪市・豊中市・島本町などでも、万博遠足を取りやめるとする学校が増え、不参加を表明。大阪府内の多くの学校で不参加について検討していることが分かっています。
学校遠足でなくても危険は変わらない
多くの学校が不参加を表明する中にあって、大阪市教育委員会は、「学校行事として訪れないだけで、子どもたちが万博に行く意義は認識している(1月30日報道)」と述べ、「万博子ども招待事業」を進めようとしています。そして学校行事・校外学習としないと決定した学校に、万博チケットの保護者送付又は手渡しなど招待事業事務を行わせようとしています。これは本来、大阪府が行うべきものであり学校とは関係ありません。ただでさえ人手不足の学校にこのような事務を押し付けることがあってはなりません。学校という信頼・信用を媒介として、保護者にチケットなどが送られることもあってはなりません。
また一部の自治体では「万博子ども招待事業」について交通費を補助するための予算案が議会で審議され始めています。学校行事とする学校としない学校が混在する中で、一部の学校のみの予算を計上することは税の公平性の原則からも逸脱しています。
そして大切なことは、なによりも行政が当事者である子どもたちの人権を侵害しているということです。学校行事として参加を決めた場合、「行きたくない」と考えている子ども、「行かせたくない」とする保護者の考えは、どの様に配慮されるのでしょうか。また学校行事として「行った」子どもと、「行かなかった」子どもの間に生じる感情などへの教育的配慮をどのようにお考えでしょうか。
夢洲は、立ち入り禁止区域を定めた場所であり、本来、巨大集客施設などの建設は想定されていなかったのです。有害物質が埋まり有毒ガスを発生し続けている夢洲。災害対策・避難対策が不十分な夢洲。危険な夢洲で開催する万博に、行政が子どもたちを動員するようなことがあってはなりません。
以下、請願します。
【請願趣旨】
- 本日提出する「有害物質が埋まる万博へ子どもたちを招待しないでください!」署名の趣旨と要請事項について真摯に受け止め、「万博子ども招待事業」を中止すること。
- 大阪府の事業として推進する「万博子ども招待事業」によって生じた事故などの責任の一切を大阪府が負うことを表明すること。
- 各自治体議会での意見書・請願採択と学校不参加表明を尊重し、そこにあげられている問題点・懸念が払拭されるまで、「万博子ども招待事業」を凍結すること。不参加を決めた学校に対して、「万博子ども招待事業」の事務を行わせないこと。
請願書について2025年2月28日(金曜日)までにご回答いただくことを求めます。