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大阪府中小企業団体中央会 要望書
要望受理日 | 令和6年9月18日(水曜日) |
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団体名 | 大阪府中小企業団体中央会 |
取りまとめ担当課 | 商工労働部 中小企業支援室 商業振興課 |
表題 | 第66回中小企業団体大阪大会要望事項 |
要望書
総合
[重点要望事項]
1. 中小企業が業績の改善・向上を伴う持続的な賃上げができるよう、あらゆる施策を総動員して、賃上げの原資が確保される環境整備を図るとともに、支援策の強化・拡充を図ること。
[重点要望事項]
2. 我が国の雇用の7割を支える中小小規模事業者が、賃上げに必要となる十分な原資を確保できるよう、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の周知・活用を促進するとともに、転嫁拒否が疑われる事案に対しては厳しい罰則を設けるなど、政府主導で強力かつ実効性のある価格転嫁対策を講じること。
[重点要望事項]
3. 国及び地方公共団体は、「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」に基づき、官公需対策を拡充・強化するため、次の対策を講じること。
(1)官公需発注機関に対して、官公需適格組合制度の周知を徹底するとともに、その趣旨に鑑み、随意契約の対象として明記するなど、官公需適格組合への発注増大に努めること。また、中小企業への随意契約の活用を促進するために、少額随意契約の適用限度額を大幅に引上げること。
(2)「令和6年度中小企業者に関する国等の契約の基本方針」において、物価高に負けない賃上げ実現のため、官公需においても価格転嫁を進める旨が新たなに明記されたが、その内容が、国・地方公共団体など全ての発注機関において適正に運用されるよう周知・指導を徹底すること。
(3)「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」で示している中小企業向け契約目標について、国が率先して目標達成に向けて取組むとともに、地方公共団体においても同様の取組みが行われるよう周知・指導を徹底すること。
[重点要望事項]
4. 2025年大阪・関西万博においては、その経済効果が中小小規模事業者にも波及するよう、次の措置を講じること。
(1)会場整備や運営における調達案件に関しては、「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」の理念を尊重して、幅広い分野で中小企業、中小企業組合及び官公需適格組合に発注すること。また、会場建設の最終工程を担う、設備や内外装、展示工事等について、適切な工事期間が確保されるよう、国・万博協会は、工事全体が円滑に進むよう万全の対策を講じること。
(2)中小企業組合等が万博と連携して実施する機運醸成のイベントや、万博来場者の需要を獲得するために実施する会期中の会場外イベント、万博来場者を各地域・イベントに誘客するためのプロモーション等に対する支援策を構築すること。
(3)万博パビリオン等に出展する中小小規模事業者の製品開発や出展に係る経費について、資材費高騰等に直面していることを踏まえ、財政支援等の措置を講じること。
[要望事項]
5. 中小小規模事業者の新たな成長、持続的発展に向けた取組みを後押しするため、次の支援策を講じること。
(1)ITの導入やデジタル化による生産性向上等の取組みを支援する「IT導入補助金」等について、DXの推進に資するシステム・設備の導入など、支援策を拡充すること。
(2)組合等を活用した中小小規模事業者の販路拡大を実現するため、「共同・協業販路開拓支援補助金」について、切れ目のない複数年にわたる予算措置を講じること。
[要望事項]
6. 組合等の連携組織を通じて中小企業の活性化に取り組んでいる中小企業団体中央会に対し、中小企業等協同組合法第74条に規定された事業を円滑に行うことが出来るよう財政措置を講じること。
また、中小企業等協同組合法を改正し、中小企業団体中央会に対する都道府県の財政措置を明記すること。
[要望事項]
7. 事業承継を円滑に推進するためには、後継者難倒産を防止することが重要である。このため、事業承継に係る支援策の周知・相談体制の充実・強化を図ること。
[要望事項]
8. 個人事業者や一人親方等による業務の請負、いわゆる「フリーランス」事業者に関する問題に対応するため、フリーランス保護新法が制定されたが、施行に際して次の施策を行うこと。
(1)取引の適正化と就業環境の整備を含め、新法で規定されている内容が実行されるよう必要な措置を講じること。
(2)発注事業者の法令順守のための普及・啓発を強化すること。
(3)フリーランスが自分の能力や資格を活かして事業活動が行えるよう、新法に則った必要な支援を行うこと。
金融
[重点要望事項]
1. 商工組合中央金庫は、政府保有の株式売却後も組織金融機関という基本理念に加えて、中小企業団体中央会等が新たに株主となることを十分に踏まえて、中央会会員組合及び組合員企業が賃上げ、人材確保、DX推進等の課題を解決し、持続的な発展ができるよう機能の充実・強化を図ること。
[要望事項]
2. 内閣府策定の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」に基づく金融機関の事業性融資については、スタートアップだけでなく、新しい資本主義の実現に向け事業再構築等を行う中小企業が円滑に資金調達を行えるように、民間金融機関による事業性評価融資の拡充など、制度の充実を図ること。
[要望事項]
3. 中小企業の事業再生や事業再構築に向けた措置として、コロナウィルス関連融資等の借入債務について、コロナ借換保証制度の有効的な活用や事業者の返済能力に応じて返済条件の緩和、返済猶予、融資金利見直し等事業者への配慮を行うこと。
税制
[重点要望事項]
1. 法人事業税における外形標準課税の中小企業への適用拡大は絶対に行わないこと。また、中小企業・小規模事業者の法人税の軽減税率を恒久化すること。
[重点要望事項]
2. インボイス制度については、中小・小規模事業者の負担軽減を図るため、次の対応策を講じること。
(1)特例等については、免税事業者等からの仕入れに係る経過措置の終了後においても、多くの免税事業者が市場取引から排除されることを防ぐため、中小企業・小規模事業者の負担軽減を目的とした支援策を講じること。
(2)少額特例を恒久的措置とすること。
(3)免税事業者である協同組合等との取引を行った場合については、インボイスを発行できる新たな制度を創設すること。
(4)インボイス制度の導入により、消費税納税者数及び申告事務の大幅な増加が見込まれることから、消費税と所得税の確定申告の期限を統一すること。
[要望事項]
3. 中小企業向け賃上げ促進税制について、要件を緩和するとともに恒久化を図ること。
[要望事項]
4. 事業承継税制の特例措置について、法人版及び個人版ともに中小企業・小規模事業者等が積極的に活用できるようにするため、それぞれ承継計画申請等の手続きの簡素化を図ること。
また、相続・贈与に係る適用期限の延長を行うこと。
労働
[重点要望事項]
1. 「2024年問題」といわれる運送業、建設業等への時間外労働の上限規制の適用が始まり、対応に迫られる中小企業に対して、適用開始後も引き続き支援を行うこと。特に大阪・関西万博の準備が本格化する中、法令順守と合わせて労働力の確保ができるよう支援を行うこと。
[重点要望事項]
2. 最低賃金の引上げについては、地方最低賃金審議会において都道府県の状況に応じた審議を行うこと。また中小企業の支払い能力を超えない水準の引き上げにとどめること。
[重点要望事項]
3. 外国人技能実習生、特定技能外国人労働者とも受け入れ職種の拡大を図るとともに受入の際に必要な書類や手続きについて、オンライン化を含めた簡素化・迅速化を図ること。
技能実習に代わる新たな在留資格「育成就労」については、制度移行に伴う混乱を避けるため、適宜情報提供を実施するとともに十分な制度移行期間を設け、制度移行の手続きに対する支援を実施すること。また制度移行に伴って受入職種・受入人数が減少することがないよう、制度設計を行うこと。
[重点要望事項]
4. 「年収の壁」の解消を目指した支援強化パッケージの運用については、中小企業・小規模事業者が「年収の壁」対応に向けた取り組みを確実にできるよう支援策を講じるとともに、扶養控除における年収要件の撤廃を含めた抜本的な見直しを行うこと。
また、中小企業・小規模事業者の従業員の実質賃金の引上げを図るため、中小企業・小規模事業者の従業員に限定し、新たな所得控除を創設すること。
[要望事項]
5. 「人への投資」を推進するにあたっては、労働者から企業へ、大企業から中小企業へ支援の軸足をシフトすること。また労働生産性向上のカギとなるデジタル技術の活用推進のため、中小企業のデジタル投資とデジタル人材の確保に向けた取り組みを引き続き支援すること。
(1)DX・GXのカギとなるリスキリングについては、中小企業単独では難しいため、組合等を通じた支援が実施できるよう施策を行うこと。また大企業の人材・ノウハウを中小企業で活用できるように、兼業・副業の促進を図ること。
(2)人材の流動化を促進するにあたっては、中小企業の人材の確保につながるよう解雇規制の緩和を含めた施策など、大企業に人材が偏在することのないよう必要な施策を講じること。
[要望事項]
6. 社会保険料については、中小企業の経営実態等に配慮し、事業主に対する社会保険料負担がこれ以上過度にならないよう、公費負担の割合を増やすなど抜本的な見直しを行うこと。
特に雇用保険料については、保険財政の立て直しに際して国庫の負担割合を引き上げ、安易に雇用保険料率の引き上げに頼ることのないようにすること。
商業・流通
[重点要望事項]
1. 中小・小規模事業者の取引条件の改善及び公正な取引環境整備のため次の対策を講じること。
(1)「2024年問題」を抱える運送業者の価格転嫁が適切に行われるよう、価格据置きへの対応を含めた「買いたたき」の取り締まりや荷主を下請法の対象とするなど、下請法の改正を早急に行うこと。また「パートナーシップ構築宣言」については、実効性を検証するとともに、価格転嫁に資する内容とすること。
(2)中小企業等協同組合法に基づく団体協約締結制度については、組合員の価格転嫁が円滑に進められるよう、国の権限を強化すること。
(3)国は、商業・物流業において、優越的地位の濫用と不当廉売に該当する事業者に対して罰則強化を行い、取引の公正化を促進すること。
[要望事項]
2. 2025大阪・関西万博の開催や将来のIR事業に国内・国外から多くの観光客の来場が予想され、大きな経済効果が期待される。しかし、その一方ではオーバーツーリズムや人材不足などの課題が懸念される。これらの課題を解決し、中小・小規模事業者が経済効果を享受できるよう、インフラ整備をはじめ必要な施策を講じること。
[要望事項]
3. 「2024年問題」「2025年の崖」といった厳しい経営環境に直面する中小流通業、中小卸売・小売業が、経営の安定化を図れるよう、次の措置を講じること。
(1)物流及び運輸業界における「2024年」問題対応支援策として、荷主企業への物流に対する意識改革強化、取引の適正化、流通網の機能強化といった支援強化を実行すること。
(2)中小卸売・小売業が人材不足や人件費・原材料高騰、多様化する消費者ニーズへの対応や生産性の向上などの課題に対応できるよう、大手ECサイトへの出店などBtoC促進のための支援策の充実強化を図ること。
(3) 中小流通業、中小卸売・小売業は「2025年の崖」により経済停滞が生じることが懸念されており、DX化の促進は喫緊の課題となっているので、中小流通業、中小卸売・小売業でのDX化を促進させるための支援策強化を早急に講じること。
[要望事項]
4. 流通業務市街地整備法は、現在の商業・流通環境に齟齬をきたしているため、業種制限等を廃止し、卸商業団地において異なる業種・業態の誘致や用途拡大等、資産の有効活用が図れるよう、制度改正を行うこと。
工業・環境
[重点要望事項]
1. 国は中小企業が事業活動を積極的に行っていくために革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善につながる設備投資等を支援するため、「ものづくり補助金」ならびに「中小企業省力化投資補助金」を恒久化すること。
また、補助金を必要とする中小企業に対して、活用促進につながる情報発信やフォローアップ体制の整備を強化すること。
[要望事項]
2. 国は中小企業が災害時に事業継続や迅速な復興をできるように、事業継続や危機管理体制の構築といった中小企業のBCP策定に向けた自主的な取り組みを促進するための支援とBCP策定後のフォローアップ体制を強化するなど、必要な措置を講じること。
[要望事項]
3. 国は中小企業におけるSDGsの自主的な行動を促進させるための普及啓発を強化すること。併せて中小企業が実施する自主的な行動を支援するため、補助金審査での加点項目化や入札参加資格での優遇措置などの新たな制度を早急に創設すること。