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新家(しんけ)遺跡
遺跡:新家遺跡(しんけいせき)
所在地:富田林市新家一丁目地内
時代:古代
調査期間:令和6年9月
主な遺構:土坑
主な遺物:須恵器、土師器など
新家遺跡の概要
新家遺跡は富田林市の中央部に位置し(図1)、縄文時代から近世に至る各時代の遺構が残る複合遺跡です。今回の調査は大阪広域水道企業団南部水道事業所による「送配水管およびポンプ場設計整備事業」に伴い実施しました。1978年から1982年にかけて、今回の調査地の南側に走る国道309号の建設に先立っても発掘調査がおこなわれており、多数の土坑や掘立柱建物がみつかっています。
図1:調査地点位置図(●が調査地点)
調査の結果
旧耕作土と床土を除去すると、近世の耕作に伴う犂溝10条のほか、古代の土坑・ピットが7基検出されました(写真1)。
写真1:検出された土坑
特に、土坑020は幅約3m、深さ約0.5mを測る大型のもので(写真2)、7世紀前半を中心とする土器がその他の土坑と比較すると多量に出土しました。これらの土器は据え置かれたものでなく、乱雑に投棄された状況で出土したため、ゴミ穴であった可能性があります。本調査区の約20m南方、国道309号に先立つ発掘調査では古代の集落が検出されているため、それらに伴うものであったと推測されます。
写真2:土坑020
まとめ
調査範囲は限られた面積でしたが、古代の土坑が検出されたことにより、既往の調査で確認されている古代集落の範囲がさらに北側へ広がることが判明し、当地の歴史的変遷を考えるうえで新たな知見を得ることができました。