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令和6年(2024年)2月14日 知事記者会見で使用した資料の説明
会見項目「令和6年度当初予算案」の項目で使用した資料
目次
令和6(2024)年度当初予算案について、「府政運営の基本方針」、「当初予算案の概要」、「政策創造の方向性(重点分野)」の順にご説明いたします。
府政運営の基本方針
- 2024年度の「府政運営の基本方針」についてです。
- これまでの間、行財政改革の取組みを進め、今年度に減債基金からの借入の復元が完了します。また、ポストコロナへ大きな一歩を踏み出す中、府市一体で成長戦略を進めるなど成長への布石を打ってきました。
- 来年度は、開催まで1年あまりとなる2025年大阪・関西万博の成功に向けた総仕上げを行う勝負の年です。未来社会を体感でき、「行ってみたい」と思える、「ワクワク」する万博を実現します。また、「成長」「未来への投資」「安全・安心」を柱に、万博のレガシーを継承し、成長・発展に向けた取組みを進めることで、世界の課題解決に貢献し、未来社会を先導する大阪の実現をめざします。
令和6年度当初予算額
- 大阪府の財政は、景気の緩やかな回復を背景に府税収入が堅調に推移するものの、社会保障関係経費が増大するなど、今後も多額の収支不足が生じる見込みです。また、物価上昇や賃上げ等が及ぼす影響や、海外経済等の動向による景気の下振れリスクがあり、依然として楽観できない状況にあります。
- こうした状況を踏まえ、令和6年度当初予算編成においては、引き続き、財政規律を堅持しつつ、万博の開催に向けた取組みや次世代への投資、万博のインパクトを活かした大阪の持続的な成長に向けた取組みに重点化しました。
- 一般会計の予算規模は、新型コロナウイルス感染症対策費の減などにより、前年度当初比4,449億円程度減の3兆1,972億円です。
- 特別会計については、前年度当初比1,921億円程度減の2兆8,903億円です。
一般歳出の内訳
一般歳出の総額は約2.5兆円で、目的別のシェアは、商工労働費、教育費、福祉費、健康医療費で約8割を占めています。
府税収入の動向
府税収入は、定額減税の実施による個人府民税の減収や輸入金額の減少による地方消費税の減収がある一方で、経済活動の回復による企業収益の押し上げで法人二税が増収となることから、全体では増加し、前年度当初比39億円程度増の1兆4,608億円です。
地方交付税及び臨時財政対策債の状況
地方交付税及び臨時財政対策債の総額は3,497億円で、府税収入の増加により減少しています。
歳入の内訳
歳入の内訳ですが、実質税収の増加の影響により、実質一般財源は増加する見込みです(154億円増)。
歳出(性質別)の内訳
- 歳出の内訳ですが、人件費、社会保障関係経費、公債費といった義務的経費及び税関連歳出が、歳出の6割以上を占めています。
- また、新型コロナウイルス感染症対策費の縮減によって、一般施策経費は減少しますが、後期高齢者医療費や介護給付費などが増加し、社会保障関係経費が増加します。
府債の動向
- 臨時財政対策債の発行額の減少により、府債の残高は5.8兆円程度となる見込みで、前年度と比べて減少しています。
- 交付税の代替措置である臨時財政対策債等を除いた府債残高は、平成19年度から一貫して減少しており、令和6年度は2.6兆円程度となる見込みです。
財政調整基金の状況
- 財政調整基金の令和5年度末の残高見込みは、令和4年度の決算剰余金の編入や、年度を通じた収支改善により、2,262億円となりました。
- 一方、令和6年度当初においては、財源不足により680億円を取り崩す必要があり、残高は1,583億円となる見込みです。
中長期試算(粗い試算)
中長期の財政の見通しは、足元では税収の増加が見込まれますが、依然として多額の収支不足が継続します。各年度の予算編成において事業を精査し、年度を通じた効果的・効率的な予算執行に努めるなど、引き続きしっかりと規律を堅持しながら、財政運営を行っていきます。
減債基金の復元完了
- 過去に財源不足を補うために行っていた減債基金からの借り入れですが、平成20年度からは借り入れを取りやめ、その後、かつてないスピードで事業や出資法人の見直し・職員の給与カットといった改革を推進しながら、着実に基金の復元を実施してきました。こうした取組みの結果、令和5年度の159億円の積み立てをもって、復元が完了する見込みです。
- なお、減債基金の復元を確実に進めるため、財政運営基本条例に、決算剰余金の2分の1を減債基金に編入する規定をおいていましたが、復元完了により目的を達成することから、条例を一部改正し、今後は、決算剰余金の編入先を財政調整基金に一本化する予定です。
政策創造の方向性(重点分野)
- 続いて、政策創造の方向性についてです。
- 3つの柱立てで、重点的に取り組む分野を設定し、政策創造を図ります。
- 「2025年日本国際博覧会に向けた開催準備」を進めるとともに、「万博をインパクトにした大阪の成長・都市格の向上」、「安全・安心で豊かなくらしの実現」を推進します。
2025年日本国際博覧会に向けた開催準備
- 2025年日本国際博覧会に向けた開催準備についてです。
- 大阪・関西万博の開幕まで約1年に迫る中、約2,800万人の来訪者の受け入れに向け、会場建設や受入れ環境の整備など開催の準備に万全を期します。
- あわせて、万博の意義・効果をしっかりと発信し、未来社会を体感できるパビリオンのPRなどを通じて、万博への機運醸成を強力に進めます。
- 万博に向けた開催準備を着実に進めます。
- 博覧会協会が行うパビリオン建設や基盤インフラの整備については、引き続き、国、経済界ととも連携して進めていきます。また、大阪メトロ中央線の輸送力増強や、時差出勤やテレワークの働きかけといった交通アクセスの向上に向けて取り組みます。
- さらに、地元自治体として、「大阪ヘルスケアパビリオン」の出展については、建設工事を着実に実施するとともに、「iPS細胞による生きる心臓モデル」等の展示を通じて、大阪のポテンシャルを世界に発信していきます。
- 次に、万博への参加促進についてです。
- 次代(じだい)を担う子どもたちに、世界の英知が結集された新たな技術・サービスに触れてもらい、将来に向けて夢と希望を感じとってもらうため、大阪の子どもたちを万博へ招待します。
- また、「大阪・関西万博ボランティア」については、先月から募集を開始しています。活動内容に応じた研修等を通じて、皆さんにご活躍いただき、来訪者への「おもてなし」に万全を期します。
- 続いて、会場内の催事として「(仮称)大阪ウィーク」の準備を進めます。開期中の春・夏・秋に、「祭」をキーワードに、府・市を中心に府内すべての市町村が連携し、だんじりの披露や盆踊り、さらには健康づくり、大阪産(もん)、障がい者の舞台芸術・アート発信など大阪の魅力や特色を発信していきます。
- また、「万博商談もずやんモール」の運用を進め、万博に関する調達に際して、地元大阪の事業者の受注につなげます。
- そして、参加事業者のCO2削減量をまとめて、カーボン・クレジットの認証を受け、万博の脱炭素化の推進に貢献していきます。
- 次に、万博開催に向けた機運醸成についてです。
- 万博への理解促進や期待感の向上に向けて、大屋根(リング)など会場の建設状況等の具体的な動きや内容をしっかり発信するとともに、節目を捉えた大規模集客イベントや街中に万博を広げる「シティドレッシング」などに取り組みます。
- また、大阪を訪れる子どもや子育て世帯が気兼(きが)ねなく外出し、万博会場等を訪れることができるよう、啓発動画を作成するなど、広報・啓発活動に取り組みます。
- さらに、高校生を対象に、在関西総領事館等と連携し、各国の事情・社会課題をテーマに国際交流に取り組みます。
- 万博を盛り上げるさまざまなイベントをオール大阪で開催します。
- 万博開幕に合わせ、2025年4月から御堂筋イルミネーションを点灯させる準備を進めるとともに、万博会場周辺でのヨットやクラシックカーのイベントの開催に向けて準備を進めます。
- また、「アスマイル」に参加し健康づくりをすることで、万博関連グッズなどに交換可能な「ミャクポ!」が当たる取組みを進めるとともに、いのち輝くミライの食育をテーマに食育推進全国大会を開催します。
- その他、ドーンセンターにおける、女性活躍推進と万博機運醸成のためのイベント開催や、市町村が主催するイベントへの支援などに取り組みます。
- 次に、受入環境の整備を進めます。
- 警備体制を強化するため、「会場警察隊(仮称)」の設置に伴う装備(そうび)資(し)器(き)材(ざい)等の整備を進め、来場者の安全確保を図ります。
- また、交通環境の整備に向けて、路面標示の補修等を行うほか、府民や観光客の交通手段を確保するため、2024年秋までに、大阪でのライドシェア制度の運用開始に向けた環境整備を進めます。
- さらに、医療・衛生体制の強化に向けて、医療通訳コールセンターで対応可能な言語に新たにフランス語を加えることや、大阪健康安全基盤研究所に「大阪・関西万博感染症情報解析センター」を設置し、感染症の情報集約を行います。また、食品事業者の衛生管理の強化に向けた講習会や、ピクトグラム・多言語化による外国人観光客のアレルギー対応などの取組みを進めます。
2.万博をインパクトにした大阪の成長・都市格の向上
- 続いて、「万博をインパクトにした大阪の成長・都市格の向上」についてです。
- 大阪の成長・発展に向けて、府市一体の成長戦略のもと、成長産業の創出・育成を進めるとともに、成長の源泉である「人」への投資、世界中から人や投資を呼び込むIRや国際金融都市の実現といった新たな成長の柱となる取組みを進め、都市間競争に打ち勝つ都市格の向上、形成を図っていきます。
成長産業の創出・育成
- 健康医療関連産業のリーディング産業化についてです。創薬の「彩都」、健康・医療の「北大阪健康医療都市(健都)」に加えて、2024年度には、再生医療を中心とした「中之島クロス(未来医療国際拠点)」が開業します。
- 「中之島クロス」は、医療機関と企業、スタートアップ、支援機関等が一つ屋根の下に集積することを特徴としている他に類を見ない未来医療の産業化拠点です。ビジネス交流会等のイベント開催や、共同研究等を進めるスタートアップへ支援を行います。
- 「健都」では、ヘルスケア関連の革新的技術等の展示や体験会を実施し、創薬拠点である「彩都」ではインキュベーションセンターへの運営補助などを通じて、ライフサイエンス分野の産業化に取り組みます。
成長産業の創出・育成
- 続いて、スタートアップ・エコシステムの推進についてです。
- 万博会場内で開催される「Global Startup Expo2025」及び2024年度の関連イベントは、大阪のスタートアップ・エコシステムの発展のチャンスです。グローバル展開の可能性に富む高度な技術力を有する大阪のディープテックの成長を支援します。
- また、万博のテーマと関連の深いライフサイエンス分野については、兵庫県と連携し、イノベーション創出に向けた事業者マッチングイベントを開催します。
- さらに、府民の健康をデジタルで支え、さらなるQOL向上につなげるため、予防・治療アプリ等の開発に取り組む「次世代スマートヘルススタートアップ」の支援と万博での発信等に取り組みます。
成長産業の創出・育成
- 空飛ぶクルマの万博での商用運航の実現とその先のビジネス化に向けた取組みを加速します。
- 万博での空飛ぶクルマの運航実現に向けて、離着陸場の整備や実機による飛行実証などのビジネス化準備への支援を行うほか、若年層を中心に、有用性の理解促進や新たな価値創造を体感できるイベント等を実施し、社会受容性の向上を図ります。
- また、万博後を見据え、府域で、機体整備や人材育成等の機能を備えた拠点化構想の具現化に必要な費用の補助を行い、大阪における空飛ぶクルマ都市型ビジネスの創出を促進します。
成長産業の創出・育成
- 2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて取り組みます。
- 万博を契機に、カーボンニュートラルに資する最先端技術の実証・実装をめざし、試作設計や開発実証を行う事業者への補助を行います。
- また、兵庫県と連携して、新たなCO2吸収源として注目されている藻場・干潟等のブルーカーボン生態系の回廊で、大阪湾沿岸をつなぐ「大阪湾MOBA(もば)リンク構想」を推進します。大阪湾におけるブルーカーボン生態系の取組みを万博で発信できるよう、万博周辺海域における藻場創出を支援します。
- さらに、府民の日常的な行動を脱炭素型に変革していくため、CO2削減量を可視化するアプリの利用を促進するイベントの実施や、府域全体の進捗を集約し、グラフ等により可視化します。
成長産業の創出・育成
- 大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの実現について、府内中小企業とプラスチック利活用企業等のマッチング、製品開発に向けたプロジェクト組成の支援や開発費用の補助を行います。
- 新たな成長分野の推進についてです。大阪の食の魅力を活用した海外富裕層等の呼び込みに向けたモニターツアー等の実施や、若者から人気のあるアーバンスポーツとeスポーツの連携を検討するなど、府域での地域活性化を図ります。
成長産業の創出・育成
- 中小企業等のビジネスチャンス拡大に向けた取組みとして、ビジネス交流に関する海外からの問い合わせにワンストップで対応する窓口を設置します。加えて、工場視察の受入に関するコンシェルジュ機能をMOBIO(モビオ)に設置します。
- また、多くの観光客の来訪に対して、府内中小事業者の商品を売り込むため、大阪代表商品として売れる商品としての磨き上げや、販売の場づくりを進めます。
人材育成・次世代への投資
- 次に人手不足への対応です。
- 人材確保を目的とする新事業展開への経費や、大型免許などの資格取得費用の補助を行います。特に、運輸・建設業の取組みについては、それ以外の業種よりも支援を手厚くし、2024年問題への対応を行っていきます。
- 路線バスの運転者不足も深刻です。路線維持に取り組むバス事業者への支援として、新規採用ドライバーの2種免許取得費用などの一部を補助します。
- さらに、介護従事者の負担軽減に向けて、介護ロボットやICT導入等の生産性向上の取組の相談窓口等として、「大阪府介護生産性向上総合相談センター(仮称)」を設置します。
人材育成・次世代への投資
- 在職者等の「人材育成」を支援します。
- 特設サイト「にであう」を活用し、スキルアップにつながる情報を発信するとともに、求人情報を集約・発信することで、リスキリングの促進とマッチングの支援を行います。
- また、リスキリングをサポートするために、オンラインによるアドバイスやチャットボット相談対応のほか、啓発セミナーを行うとともに、助成金等の情報提供を行います。
- さらに、DX化が進んでいない中小企業を支援するため、プログラミングやWEB制作などのITスキル習得のためのオンライン研修メニューを提供します。
- 加えて、国の「教育訓練給付制度」の対象外の方に向け、ITパスポートや簿記といった資格取得費用について補助します。
人材育成・次世代への投資
- 多様な人材の活躍、環境整備に向けた取組みを進めます。
- 外国人材の受入れ支援に向けて、外国人材と府内企業とのマッチングを促進するため、大阪産業局の海外拠点を通して外国人材を呼び込みます。
- また、いわゆるスポットワークなどの新たな働き方に対するニーズを踏まえ、大阪産業局に「業務改善コンサルタント」を配置し、府内中小企業が抱える人材不足などの経営課題の解決につなげます。
人材育成・次世代への投資
- 大阪のすべての子どもたちが、生まれ育った家庭環境などに左右されることなく、自らの可能性を追求できる社会の実現に向けて、高校や大阪公立大学等の授業料の無償化を進めます。
- 高校について、公立高校、私立高校、大阪公立大学高専、専修・各種学校、さらには、大阪府の授業料支援制度に参画する大阪府外の私立高校等の授業料を、世帯の所得や子どもの人数に制限なく無償化します。大阪府外の学校については、和歌山県の12校をはじめとして、複数の近畿府県の私立高校等が制度に参画いただきます。
- 大阪公立大学等については、府大・市大を含む大学、大学院、法科大学院、高専に通う府民を対象に、世帯の所得や子どもの人数に制限なく、授業料と入学料を無償とします。
- この無償化制度については、2024年度から3年かけて段階的に所得制限を撤廃します。まず、今年4月からは、高校3年生、大学4年生、大学院2年生を対象に所得制限を撤廃し、2年目から対象を段階的に広げ、2026年度には全ての学年が対象となり、大阪における授業料の完全無償化が実現します。
都市の魅力発信
- 大阪の観光・ビジネスの魅力を発信し、都市格を向上させます。
- 文化芸術については、「大阪国際文化芸術プロジェクト」等を実施し、多彩で豊かな大阪の文化芸術の魅力を発信し、多くの来阪者に大阪の文化芸術を楽しんでいただきます。
- 百舌鳥・古市古墳群は2019年に世界遺産登録され、今年、5周年を迎えます。VR技術等を活用し、上空から古墳群全貌を見ているかのような体験ができるコンテンツを制作し、万博会場で披露します。
- 「オオサカアートビレッジ」では、万博開催期間中、万博会場から見える咲洲庁舎を活用して、庁舎の外壁にデジタルアートを実施します。
- また、府の所蔵美術作品を、府民の皆さんが身近な場所で鑑賞でき、また、観光資源としても楽しめるよう、府内各地に展示することや、万博記念公園では、1970年万博を感じ取ってもらえるイベント等を開催します。
都市の魅力発信
- 続いて、万博会場と大阪市内を結ぶ舟運ルート沿いに、ウォーターショーなどの水と光を活かした魅力的なコンテンツを整備し、2024年度中にプレ実施、万博開幕時に本格実施をします。
- また、スポーツに関しては、一流選手によるアーバンスポーツ(BMX・ブレイキン等)のデモンストレーションや、バーチャルスポーツの体験等を府内に各地で実施する「大阪いのち輝くスポーツプロジェクト」などを開催します。
- さらに、ビジネスの分野では、海外からの企業進出や投資等につなげられるよう、海外企業や投資家等に向け、大阪のビジネスや都市のプレゼンスを高める情報について、SNSの積極的な活用等により発信します。
都市の魅力発信
- 大阪への集客・府内周遊を促進します。
- 「大阪来てな!キャンペーン」について、2024年度は府内市町村とさらに連携し、北摂・河内・泉州の3地域でアニメや地酒等を取り入れたイベントを開催するなど、来阪者の府内周遊を促進します。
- JR6社等と協力し実施する「デスティネーションキャンペーン」は、2025年は、大阪が舞台です。2024年度はJR西日本管内でのプロモーションや、体験型視察旅行等を行います。
- また、観光客の皆さんに、兵庫・大阪を周遊いただけるよう、今年度に造成した文化芸術や食を楽しめる観光コンテンツ・広域周遊モデルコースを磨き上げるとともに、海外インフルエンサーによるプロモーションを実施します。
都市の魅力発信
- 新たな観光ルートの整備として、万博開幕までに、海と川の結節点に「中之島GATEターミナル」を開業するため、船着場の整備を進めます。
- さらに、兵庫と大阪、堺と万博会場を海で結ぶ新たな舟運ルートを創出します。兵庫・大阪間の海上交通を利用した旅行商品の開発や、メディア等向けツアー等を活用した魅力発信に取り組みます。あわせて、堺旧港における仮設浮(うき)桟橋(さんばし)の設置を進めます。
- また、観光客の快適性向上に向けた環境整備として、万博会場への主要動線上にインバウンドのニーズが高い国際的なWi-Fiスポットを整備するとともに、高齢者、視覚障がい者など、様々な方に安全・安心な移動環境を提供するため、視覚障害者用付加装置を設置します。
成長を支える都市基盤
- 大阪のポテンシャルを活かした魅力あるまちづくりや交通インフラの充実・強化など、持続的な成長を支える都市基盤の整備を着実に進めます。
- 国際競争力を持った都心部の拠点形成に向け、新大阪駅周辺、うめきた2期、夢洲第2期、大阪城東部における広域拠点開発を、府市共同で行います。
- 大阪城東部については、2028年春の「まちびらき」をめざし、大阪城公園駅と開発地区をつなぐ歩行者デッキや新大学キャンパスを整備するとともに、アリーナやホールなど大規模集客施設の整備など、大阪メトロや大阪公立大学等と進めていきます。
成長を支える都市基盤
- 道路整備については、広域的な高速道路ネットワークのミッシングリンク解消に向けて、淀川左岸線2期、および延伸部の整備を促進します。
- 鉄道ネットワークの充実に向けては、いよいよ来月に千里中央と箕面を結ぶ北大阪急行の延伸部が開業します。また、なにわ筋線の整備や大阪モノレールの延伸工事を着実に進めます。
IRの開業、国際金融都市の推進、副首都・大阪の実現
- IRの開業や、国際金融都市の実現は、新たな大阪の成長の柱です。
- 世界中から人や投資を呼び込むため、世界最高水準の成長型IRを核とした国際観光拠点の形成に向け、府市が一体となり、取り組みを進めるとともに、府民理解の促進やギャンブル等依存症対策など、IR立地に伴う懸念事項の対策を着実に進めます。
- 国際金融都市については、金融系外国企業等を誘致するため、企業への個別アプローチ及びビジネスマッチング・進出企業のフォロー等を強力に進めます。
(金融系外国企業等の)進出に係る初期費用等の補助や、昨年11月に創設した「地方税軽減制度」をインセンティブに、さらなる呼び込みを図ります。 - また、平時の日本の成長と非常時の首都機能のバックアップを担う「副首都・大阪」の実現をめざします。副首都ビジョンを指針とし、府市一体を核に「都市機能の充実」「行政体制の整備」「経済面の政策」を推進し、「東西二極の一極、さらに複数の都市が日本の成長をけん引する新たな国の形」を先導します。
3.安全・安心で豊かなくらしの実現
- 最後に、「安全・安心で豊かなくらしの実現」についてです。
- 多発する自然災害や今般の能登半島地震を踏まえ、災害対応力の強化を図るとともに、長引く物価高騰への対策や新たな感染症への対応など、府民のくらし・いのち・健康を守るセーフティネット対策を充実します。
- さらに、増加する不登校児童、生徒への対策や教育環境の整備を進め、子どもたちの成長と学びを支えていきます。
災害対応力の強化
- 能登半島地震では、避難所のトイレのあり方の課題が浮き彫りになりました。災害発生時は、衛生上も好ましい「組立式・洋式・水洗タイプ」トイレを避難所に設置できるよう、今後3年間で2,300基の備蓄を進めるとともに、トイレトレーラーを府として初めて導入し、「もしものとき」に備えます。
- 「地震・津波の被害想定の見直し」を行います。大阪府の防災計画を定める「新・大阪府地震防災アクションプラン」の計画期間が2024年度までとなっていることから、次期アクションプランの策定に向けて、国の検討状況や、人口・世帯構成の変化などを踏まえ、地震・津波の被害想定の見直しを進めます。
災害対応力の強化
- 防災機能の充実強化を進めます。
- 有事の際に支援物資を効率的に搬出するため、府の広域防災拠点の機能強化を行うとともに、災害発生時に市町村等の防災関係機関との情報連絡に用いる衛星無線の整備を進めます。さらに、消防用ヘリコプターの格納庫の建て替えや、他府県からの緊急消防援助隊を受け入れできる宿泊場所の整備を進め、危機事象への対応力強化に取り組みます。
- 消防の広域化のさらなる推進に向けて、消防需要の将来推計や、一元化シミュレーションなどの調査分析を行い、大阪府消防広域推進計画の見直しに向けた準備を行います。
府民のいのち・健康を守る取組み
- 次に府民のいのち・健康を守る取組みとして、長引く物価高騰の影響を受ける府民への支援を行っていきます。
- 府民向け支援策として、食品の値段が上昇する中、家計に占める食費の割合が大きい子育て世帯を対象とするお米・食料品の給付を行います。今回は、被災地支援として、石川県産のお米やカレーなどの食料品も対象とする予定です。
- 加えて、子ども食堂に、米、缶詰、レトルト食品等の食料品を支給します。
- 国の支援の対象外となっているLPガス料金高騰への支援について、LPガス販売事業者を通じて、1契約あたり3,000円を上限として値引き相当額を支援します。
- また、給食を実施している府立学校の学校給食費についても、引き続き無償とし、子育て世帯の負担軽減を図ります。
- さらに、府内中小企業等の人材確保・定着と、若者の負担軽減を図るため、奨学金の返還支援制度を導入した企業に、支援金を給付します。
- 事業者向けの支援については、まず、中小企業に対し、省エネ効果が得られ、電気料金の削減につながる高効率空調機の導入補助を行い、経営の脱炭素化と電気料金の削減による経営力強化を後押しします。
- また、電気料金高騰への支援として、国支援の対象外である特別高圧電力を受電する中小企業への電気料金の支援を引き続き実施します。
- さらに、飼料価格の高騰に苦しむ畜産業を支援するため、配合飼料及び粗(そ)飼料(しりょう)の価格高騰分の一部を支援します。
府民のいのち・健康を守る取組み
- 新型コロナウイルス対応への教訓を踏まえ、「感染症対策の強化」を進めます。
- 新たな感染症発生時における医療や検査の提供体制を確保するため、医療機関等と協定を締結した上で、病棟のゾーニングに必要な施設の整備や検査機器などの整備費用を補助します。
- 万博での感染症対策に寄与する、大阪公立大学の「大阪国際感染症研究センター」に、中動物(ウサギ、ミニブタ、フェレット等)を取り扱うことのできるBSL3研究施設の整備を進めます。
※BSL(ビー-エス-エル)
バイオセーフティレベルという病原体の危険度に応じた4段階の基準であり、BSL3は新型コロナウイルスや狂犬病といった、人が感染すると重篤な疾病を起こす危険性のある病原体を取り扱うことができる施設 - また、大阪における周産期・小児医療の拠点である「大阪母子医療センター」の建替え整備を進めていきます。来年度から実施設計を行い、2029年度の完成をめざします。
- 小児医療連携体制・受入体制の構築に向けて、データベースを活用した情報提供等を行うことで、地域における持続可能な小児医療体制をめざします。
府民のいのち・健康を守る取組み
- 次に、認知症に関する理解の増進に向けては、認知症の人やその家族が安心して暮らすことのできるよう、店舗のバリアフリー化を行うなど、認知症の人にやさしい取組みを行う事業所を、「認知症サポート事業所」として登録・公表し、簡便に検索できる仕組みを作ります。
- 障がいのある方が、地域で安心して生活できるよう、支援施設から地域生活への着実な移行や地域生活の継続に向け、市町村における相談支援体制の充実や、地域の事業所における取組みへの支援等を行います。
府民のくらしの向上に向けた取組み
- デジタルサービスによる住民の利便性向上を進めます。
- 受験生の利便性向上や教職員の業務効率化を進めるため、オンライン上での出願や定期テスト等の採点業務のデジタル化を進めます。
- また、大阪府の公式Webサイトについて、府民が知りたい情報を探しやすく、万博に向けたインパクトのあるデザインに全面リニューアルをします。
府民のくらしの向上に向けた取組み
- 次にスマートモビリティの推進についてです。持続可能な公共交通の確保に向けて、大阪メトロが万博会場で実証を行う自動運転バスについて、南河内地域での導入に向けた調査、検討に取り組みます。
- さらに、庁内DXの推進に向け、大阪府の業務に生成AIを本格導入します。職員の一層の業務効率化を図り、府民サービスの向上やコストの削減等をめざします。
子どもたちの成長と学びを支える取組み
- 不登校児童・生徒への包括的な支援を充実させます。小学校・中学校については、スクールカウンセラーを府内の全ての公立学校に配置し、子どもたちの悩みや不安を早期に発見する体制を整えます。
- 高校でも、すでに全府立高校に行っているスクールカウンセラーの配置に加えて、特に課題を抱える生徒の在籍が多い学校を中心に、配置回数を増やし、相談体制を強化します。さらに、柔軟な学びを提供するため、高校における「学びの多様化学校」の設置に向け、必要な調査研究を進めます。
- 府立高校の再編整備及び魅力化に向けた取組みを推進します。普通科においては、学際(がくさい)領域(りょういき)や地域社会に関する新たなタイプの普通科の設置に向けて取組みを進めてまいります。また、社会で自立する力をはぐくむことができる学校として、4月より西成高校と岬高校をステップスクールに指定します。さらに、布施(ふせ)工科高校と城東工科高校の特色ある取組みを継承・発展させる形での新校整備を進めます。
子どもたちの成長と学びを支える取組み
- 知的障がい支援学校の新校整備を進めます。今後、豊能・三島地域に1校、今年4月に開校する出来島(できじま)支援学校を含めて大阪市内に3校、北河内地域に1校を整備する予定であり、障がいのある子どもたちの学習環境の確保を行っていきます。
- いじめなどの不安や悩みをもつ小・中・高・支援学校の児童生徒がSNSで気軽に相談できる「すこやか相談@大阪府」を来年度も実施します。
- また、子どもと保護者を対象としたSNS相談窓口「親子のための相談LINE」を実施し、児童虐待の未然防止、早期発見、早期対応を図ります。
- さらに、全国的な若年層の自殺者数の増加や、若年層の死因として自殺が最も多いことを踏まえ、悩みを抱える若年層を対象にSNS相談窓口「こころのほっとライン」を運営します。
- 医療的ケアを受ける子どもたちが適切な支援を受けられるよう、医療、保健、福祉、教育などの多方面にわたる総合的な相談窓口「大阪府医療的ケア児支援センター」を運営します。
2025年日本国際博覧会の推進
参考資料として、日本国際博覧会の推進に関連する取組みについて、予算をとりまとめたものを添付します。
関連取組(大阪版万博アクションプラン掲載取組)
参考資料として、大阪版アクションプランに掲載している取組みについて、予算をとりまとめたものを添付します。
兵庫・大阪連携の取組み
参考資料として、兵庫・大阪連携の取組みについて、予算をとりまとめたものを添付します。