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原発ゼロの会・大阪 要望書
要望受理日 | 令和4年11月24日(木曜日) |
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団体名 | 原発ゼロの会・大阪 |
取りまとめ担当課 | 環境農林水産部 脱炭素・エネルギー政策課 |
表題 | 大阪府・大阪市への要望書 子どもたちに誇れるエネルギー社会を! 自然エネ・再エネの飛躍的な普及・前進のために |
要望書
大阪府・大阪市への要望書
子どもたちに誇れるエネルギー社会を!
自然エネ・再エネの飛躍的な普及・前進のために
2022年11月24日
原発ゼロの会・大阪
原発ゼロの会・大阪は、この間、大阪の各自治体の自然エネルギー・再生可能エネルギー(以下、自然エネ・再エネと略す)の取り組み状況を知るために、アンケート調査を実施してまいりました。そこで明らかになった現状を基に、大阪での気候変動・地球温暖化対策と自然エネルギー・再生可能エネルギーの取り組みを飛躍的に前進させるために以下の点を要望します。
私たちが目指す方向は、未来を担う子どもたちに誇れるエネルギー社会をつくることです。この目指す方向は、私たち府民・市民とともに、行政・自治体にも、企業・事業者にも共通する方向性だと思います。子どもたちに誇れる大阪をつくるために、共に奮闘することを希望します。
(1)気候変動・地球温暖化対策、自然エネ・再エネの推進のための具体的な施策
以下の施策は、「化石燃料の使用を減らし、CO2を削減する」ために、既に府内の自治体あるいは他府県の自治体で取り組まれている具体的な施策です。これらを参考にそれぞれの地域、自治体の条件や資源に生かして、それぞれの地域、自治体での気候変動・地球温暖化対策、自然エネ・再エネの取り組みの飛躍を期待します。
- 1)省エネ、エコな生活の推進(減らす・変える)
- 省エネ・エコ住宅の推奨
- (1)断熱住宅、化石燃料を使わない暖房の推進
- (2)冷暖房での室内と外気との空気の入れ替え個所に熱交換器を設置することへの補助
- (3)OMソーラー住宅、漆喰住宅、床下空間を利用した冷暖房への補助
- 家電製品の節電タイプへの切り替えへの補助
- (1)エアコンや冷蔵庫などの省エネタイプへの切り替えへの補助
- (2)コンプレッサーなど中小企業が使う電気機器・機械の省エネタイプへの切り替えへの補助
- 地中熱や太陽熱、雨水利用への補助
- (1)住宅での地中熱利用への補助
- (2)学校や福祉施設など大型施設での地中熱利用の推進。そのためのボーリング費用への補助
- (3)太陽熱を利用した温水設備の推奨、設置への補助
- (4)植栽への水やりや洗車等での雨水利用の推奨
- EV車(電気自動車)・FCV車(燃料電池自動車)の普及など
- (1)ガソリン車からEV車やFCV車への切り替えへの補助
- (2)EV車・FCV車の普及のための充電設備などのインフラ整備
- (3)活動地域が限られている配達車や保育・福祉・医療関係送迎車などのEV車・FCV車への切り替えへの補助
- (4)ノーカーボン移動手段として自転車を正当に評価し、自転車での通勤や移動が安全に行える自転車専用道路の整備や自転車シェアリングシステムの確立などを行うこと。
- 大量生産・大量輸送・大量消費・大量廃棄と言った現代の生産様式、生活様式の転換、あるいは24時間営業という業務形態について、このまま続けてよいものかの問題提起を。
- 省エネ・エコ住宅の推奨
- 2)自然エネ・再エネによる創エネを積極的に進める(創る)
- 太陽光発電の推進
- (1)東京都の取り組みを参考に、新築戸建て住宅への太陽光発電の設置義務化制度の検討
- (2)住宅での太陽光発電の設置への補助制度の確立
- (3)一般家庭や事業所での蓄電装置の設置への補助
- (4)公共施設、準公共施設、ビルやマンションの屋上、壁面への太陽光パネルの設置の推進
- (5)農地でのソーラーシェアリングや休耕地での太陽光発電の推奨
- (6)自家消費型太陽光発電の推進
- 風力発電の推進
- (1)太陽光発電と風力発電のハイブリッド仕様による街路や小規模広場の照明
- (2)小型風力発電(垂直軸式や小型プロペラ式など)設置への補助
- (2)人家から離れた山間部、大阪湾洋上での風力発電の研究
- 小水力発電の推進
- (1)自治体の浄水配水場での小水力発電の推進
- (2)小規模河川・農業用水での小水力発電の推進
- (3)水利権者への呼びかけ。水利権者と設置希望者との調整役を行政が果たす。
- 木質バイオ発電の推進
- (1)森林組合とタイアップして間伐材・根株、建材にならない材木などを活用した木質バイオ(暖房器用ペレット、木質バイオ発電用のチップの生産など)を、地産地消・山林の循環(伐採、木質バイオ、山の植林・保全イコールCO2の吸収)を基本に推進する。
- (2)木造住宅の建て替えに伴う廃材、街路樹や公園・集合住宅の植栽の剪定材なども木質バイオとして活用するシステムを作ること。
- 食品バイオ発電の推進
- (1)人口密集地である大阪の都市部や団地でのごみ収集の分別を徹底し、生ごみや食品廃棄物等をエネルギー資源として活用する食品バイオ発電の推進
- (2)植物性廃食油を活用しての食品バイオ発電システムの検討
- 公共のごみ焼却場や下水処理場での発電の推進
- (1)ごみの減量化を進めるとともに、周辺住民に健康被害を及ぼさない仕方でのごみ焼却場での発電・熱利用などごみの資源化の推進
- (2)大阪市大正区の下水処理場での消化ガスによる発電などを参考にした下水処理場での汚泥を利用したガス発電の推進
- 太陽光発電の推進
- 3)公園の整備、森林の保全(CO2の吸収源の確保)
- 公園は市民・住民の憩いの場である共にヒートアイランドを防止したり、CO2を吸収したりする大切な環境である。そういう位置づけで大いに拡充すること。
- 特に、緑の少ない都市部での緑被率を高める計画をもつこと。
- 公園は府民・市民の大切な共有財産であり、行政が責任を持って維持管理すること。
- CO2の吸収、木質バイオの循環性の確保、災害防止の観点からも山林を保全すること。
(2)自然エネ・再エネの推進のために取り組むべき基本的な課題
前項の具体的施策を進めるためにも、以下の基本的な課題に取り組む必要があります。
- 現状を正確に把握し目標を明確にすること
- (1)資源エネルギー庁や環境省、電力会社などの資料を使って、基礎データ(消費電力の総量、電気料金の総額、再エネポテンシャル、再エネ電力の使用量など)を正確に把握すること。
- (2)その上で、CO2の削減目標やそれに見合う再エネ利用率の目標を、2030年度までに消費電力総量の50%以上、2050年までに100%などを基準に数値化し、明示して取り組むこと。
- 自治体のゼロカーボン、自然エネ・再エネ推進部門の人的体制を抜本的に増やすこと
- (1)気候変動・CO2の削減、自然エネ・再エネの推進が喫緊の課題として求められている情勢、自然エネ・再エネの推進は単なるエネルギー問題ではなくその地域をどうするかという「まちづくり」の問題であるという課題の性格にふさわしい体制とするために人員の増員をすること。
- (2)「自然エネ・再エネを推進したい」という職員の熱意や情熱を積極的に汲み上げ、生かす民主的でボトムアップ型の行政機構、行政運営にすること
- 税金の使い方を変えて自然エネ・再エネ予算を大幅に増やすこと
- (1)前項にあげた具体的施策を推進するためにも、自然エネ・再エネ、省エネ推進のための予算を大幅に増やすこと。
- (2)国に対して、自然エネ・再エネ関係の国家予算を大幅に増やすとともに、地方自治体への補助・助成を大幅に増やすよう要求すること。
- 自然エネ・再エネは、地元大阪経済を活性・育成するというスタンスで推進すること
- (1)「その地域の自然エネ・再エネから得られる利益・恩恵は、その地域の住民が享受すべきもの」という理念で、「域内循環型」の経済・産業を推進すること。
- (2)グリーンイノベーション、グリーンリカバリーなどの自然エネ・再エネ事業・産業の推進は、大阪の企業・業者を育成する立場で進めること。また、大阪の中小企業の持っている力を生かし、引き出す方向で進めること。
- (3)自治体や中小企業、教育・医療機関などでの「再エネ100宣言RE Action」の取り組みを普及し、支援すること。
- 自然エネ・再エネを推進するうえでの基本点を確認すること
- (1)地産地消であること
それぞれの地域の資源と特性を生かした創エネをすすめ、つくられたエネルギーはその地域で消費するという循環型エネルギー社会を目指すこと。 - (2)小規模分散型であること
山を切り崩してのメガソーラーや住民に健康被害をもたらすような大型風力などはなく、府民一人一人が参加できる小規模分散型の自然エネ・再エネを進めること。 - (3)市民・住民参加型であること
問題を推進する主人公は府民・市民です。そうした視点で、住民・行政・企業・学者研究者などが一体となって取り組む自然エネ・再エネを推進すること。
- (1)地産地消であること
- 自然環境を破壊したり、住民に健康被害を与えたり、災害をもたらすような計画は、自然エネ・再エネ事業であっても認めないこと。
- (1)大型の施設については、アセスメントを厳密に行い、周辺住民への健康被害や環境破壊、あるいは自然災害が懸念されるようなものは認可しないこと。
- (2)審査の段階から大阪府民の利益、大阪経済への貢献の視点を求め、その点での同意が得られないような計画については認可しないこと。
- (3)熱海の大惨事を教訓に、違反するものについては、認可の取り消しなど厳しく対応すること。
(3)府民・市民への情報提供と啓蒙活動
- 保育所・幼稚園や小中学校、高校などに出向いての環境教育に積極的に取り組むこと。
- 自治体の担当者から要望のあった地域での取り組みを交流する場を企画すること。
- 気候変動や地球温暖化、自然エネ・再エネをめぐる情勢や、府内はもとより国内外の先進的な取り組みが学べる「環境・エネルギー資料館」のような施設の設置をけんとうすること。
- 中之島の大阪市立科学館(○○の100%寄付で建てられて)の1階「電気とエネルギー」の原発や火力発電コーナーについては、原発・火力発電の問題点、現時点での課題も正確に展示し、解説すること。自然エネ・再エネ関係の模型、展示は大幅に刷新し、拡充すること。
(4)自然エネ・再エネを推進しなければならない理由とスタンスを確認にすること
以上述べてきた具体的な施策や基本的な課題、情報提供と啓蒙活動をすすめるためには、今なぜ温室効果ガスやCO2の削減として石炭火力発電の廃止が求められているのか、また、原子力発電所はなぜ問題なのか、そして、自然エネ・再エネを大きく伸ばすこと今なぜ求められているのか、その理由を確認し、エネルギー政策を進めるスタンスをはっきりさせることが大切です。
- 1)第1に気候変動・地球温暖化対策の面からも自然エネ・再エネの推進、省エネ・エコな社会への転換は喫緊の課題であるという情勢を共有すること。
気候変動・地球温暖化は遠い未来の問題ではなく、既に現実の問題として世界各地で異常な高温・熱波、集中豪雨や洪水、干ばつや森林火災、巨大台風や竜巻などとなって大きな災害と被害を及ぼしています。その最大の原因が化石燃料の使用による温室効果ガス・CO2の増加であることは国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書などが指摘する通りです。これらの削減は今や人類共通の緊急課題として私たちの前に提起されています。そうした情勢認識を共有するとともに、以下の点を求めます。- (1)各自治体のCO2削減目標を大幅に引き上げ、最低でも世界水準(2030年までに2010年比で45%削減、2050年実質ゼロ)上回るものにすること。
- (2)域内に石炭火力発電所がなくても、石炭火力発電所は気候変動・地球温暖化対策として廃止すべきものであるという認識を共有すること。
- (3)大阪では2030年度目標で3分の1、2050年度目標では3分の2の自治体がCO2削減目標を持っていません。全ての自治体がCO2削減の目標を検討し、持つようにすること。
- 2)第2に原子力発電所(原発)は、いかなる情勢にあっても「人類とは共存できない」発電であるという認識を共有すること
福島第1原発の事故から11年以上が経ちましたが、今もたくさんのが故郷を追われ、大阪市域の1.5倍にあたる面積が人の住めない地域となっています。事故を起こした原発では、溶け落ちた燃料デブリは今にて1グラムも取り出せていません。取り出せたとしてもどう保管するも決まっていません。原発の運転で生まれる放射性廃棄物の処理方法もありません。こうした技術的問題とともにウクライナでは、原発が侵略軍の攻撃の対象にもなっています。これらの事実と現実を踏まえれば、原発はいかなる情勢にあっても使用してはならない電源であるという認識を持つことが重要です。- (1)原発は、もし福井の原発群で事故が起き、琵琶湖が放射能汚染されれば直ちに大阪府民の飲み水がなくなるなど、正に大阪府民の死活にかかわる問題です。府民の安全と生命を守るために、国に対して全ての原発を停止し、廃炉にするよう積極的に意見具申すること。
- (2)原発の再稼働や新増設、使用期限の延長に反対すること。
- (3)福島第1原発での原発汚染水の海洋放出に反対すること。
- (4)現政権が最近打ち出している原発推進への回帰的政策に反対すること。
- (5)○○に対し、若狭湾の原発の稼働を止め、全てを廃炉にし、経営の基本方針を自然エネ・再エネ推進に転換することを筆頭株主として要求すること。
- 3)第3に自然エネ・再エネの普及・推進は喫緊の課題であるという認識を共有すること
気候変動対策や安心・安全の持続可能な社会づくり、子どもたちに誇れるエネルギー社会とするために、石炭火力発電や原子力発電をベースロード電源とする考え方から完全に脱却することが重要です。また、ウクライナ情勢と関連して電気料金の値上げや「電力のひっ迫」が大問題になっていますが、こうした問題はエネルギー資源を外国に依存している限りはいつでも起こる問題です。従って、無駄にエネルギーを使わない社会にするとともに、日本国内の資源を生かした自然エネ・再エネの推進に舵を切ることこそが正しい道であり、喫緊の課題であるという情勢認識を持つことが大事です。- (1)脱炭素、脱原発のためにも、自然エネ・再エネの推進が、国政レベルでも、地方自治体レベルでも喫緊の課題であることを共通の認識にすること。
- (2)自然エネ・再エネによる「創エネ」と共に、「省エネ・エコな社会への転換」も同等に重要な取り組みであるという認識を持つこと。
- (3)国に対して「エネルギー基本計画」から、原発や石炭火力発電を「ベースロード電源」と位置づける方針を削除し、自然エネ・再エネを飛躍的に増進する基本計画にするよう要求すること。
以上