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更新日:2023年2月20日

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自由同和会大阪府本部 要望書

要望受理日

令和4年11月15日(火曜日)

団体名 自由同和会大阪府本部
取りまとめ担当課 府民文化部人権局人権擁護課
表題 2023(令和5)年度同和問題の早期完全解決に向けた要望書

要望書

2022(令和4)年11月15日

大阪府知事
吉村 洋文 様

自由同和会大阪府本部
会長

2023(令和5)年度同和問題の早期完全解決に向けた要望書

貴台におかれましては、平素より同和問題をはじめとする人権問題の早期完全解決を図るために、各種施策を講じていただき厚く感謝を申し上げます。
さて、33年に渡り続けられてきました、同和対策の特別措置法が平成14年3月に失効しましたが、再び、同和問題に特化した「部落差別の解消の推進に関する法律」が平成28年12月に成立しました。
この法律の第6条に規定する部落差別の実態調査が平成30年度から令和元年度にかけて実施され、令和2年6月に調査結果が公表されましたが、私どもが主張する「今や同和問題は完全に解決の過程にある」ことが証明されました。
私どもは、この法律を拡大解釈することなく有効活用することで完全解決に繋げていきたいと思いますが、この「部落差別の解消の推進に関する法律」、「ヘイトスピーチ解消法」、いずれの法律にも人権が侵害された場合の被害者の実効性のある救済措置は明記されておらず、平成28年4月に施行された「障害者差別解消法」では既存の機関を活用するとされており、また、「男女共同参画基本法」の条文には、人権が侵害された場合における被害者の救済を図るために必要な措置を講じるよう記載がありますが、「人権擁護法案」が前提であったことで実現には至っていません。
一方、国連の規約人権委員会、女子差別撤廃委員会、人種差別撤廃委員会などからも、国内人権機関の設置について幾度も勧告が出されておりますし、平成29年7月に人種差別撤廃委員会へ提出された政府の第10回・11回報告に対しても平成30年8月に審査があり、その結果の総括所見が同月に採択され、同じ内容の勧告が出されました。
この総括所見の勧告に対して政府は令和元年9月に、「人権救済制度の在り方については、これまでなされてきた議論の状況をも踏まえ、引き続き適切に検討している。なお、従前から、人権擁護に携わる行政機関として法務省に人権擁護局が設けられており、その下部機関として、法務局人権擁護部(全国8箇所)、地方法務局人権擁護課(全国42箇所)及びこれらの支局(全国261箇所)が設けられている。さらに、法務省では、全国で約14,000人の法務大臣が委嘱した民間ボランティアである人権擁護委員と協力して、人権啓発活動人権相談及び人権侵犯事件の調査救済といった人権擁護活動を行っている」とコメントを出し、法律でもない訓令の「人権侵犯事件調査処理規定」を持ち出しての苦しい言い訳をしています。
また、平成26年1月に批准書を寄託したことで同年2月19日から「障害者権利条約」の効力が発生していますが、この条約にも「条約の実施を促進し保護し、及び監視するための国内機構を設置する」との条項があり、他の条約と同じように実施状況の国連への報告義務があります。
第1回の報告が平成28年6月に提出されていますが、国連から令和元年10月にこの報告に対し34項目の質問が出され、その中でパリ原則に従った独立した人権監視の仕組みを設立するためにとられた措置についての情報提供が求められていましたので、勧告されることは予想されましたが、新型コロナウイルス感染症のまん延から遅れていた審査が本年の8月22日・23日にスイス・ジュネーブの国際連合にて行われ、総括所見が9月9日に公開されましたが、やはりパリ原則に基づく国内人権機関の設置が勧告されました。
このことを勘案すれば、パリ原則に準じた簡易・迅速・柔軟に人権救済を図る目的の国家行政組織法の第3条委員会としての「人権委員会」の設置を中心とする、平成14年の第154回国会に閣法として提出された「人権擁護法案」を大胆に見直し、一日も早い成立を図り、国内人権機構としての「人権委員会」が設置されますよう、大阪府におかれましてもご尽力を賜りたくお願い申し上げます。
また、格差社会は旧同和地区も例外ではなく、同和対策事業に依存した建築・土木業に従事する人が多く、「同和対策事業特別措置法」の終結や公共事業の減少などで、不安定な就労形態になり「格差社会」として重要な問題となっているのが現状であります。そのためにも、これら残存する格差はもとよりその要因を解消するべく新たな施策の拡充を要望いたします。
自由同和会大阪府本部といたしましても、このような状況を重く受け止め、その是正のため、府民の人権意識の向上及び同和行政の「総点検」に引き続き努めるとともに、同和行政のあるべき姿を考慮し、府民の皆様に理解の得られる人権行政の確立に向けた政策提言に全力を尽くす所存であります。
大阪府におかれましても、「2025年大阪・関西万博」を見据え、国際都市にふさわしい環境を整備するため、令和元年に「大阪府人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の推進に関する条例」など各種条例を制定されました。また、昨年度は「大阪府人権施策推進基本方針」が改正されました。本年4月1日には「大阪府インターネット上の誹謗中傷や差別等の人権侵害のない社会づくり条例」が施行されました。これらを契機に、実効ある取り組みを進めることが重要です。
とりわけ、同和問題の早期完全解決に関しては、より効率的かつ効果的施策の構築を積極的に推進していただくとともに、下記の要望について、格別なるご高配を賜りますようお願い申し上げます。

  1. 吉村 洋文知事の同和問題をはじめ様々な人権問題の早期解決に向けた決意を明らかにされたい。
  2. 基本要求
    • (1)「部落差別の解消の推進に関する法律」に則り、新たな施策は講じられるのか、また、新規事業や一般対策に工夫を加えた事業があれば報告されたい。
    • (2)「大阪府同和問題解決推進審議会」のより一層の充実を図られたい。
    • (3)「部落差別の解消の推進に関する法律」が施行されたが、引き続き、簡易・迅速・柔軟な人権救済が可能となる法律が制定されるよう国に働きかけられたい。
    • (4)令和3年度に発生し、大阪府・大阪府教育庁が把握する同和問題に関する差別事象の詳細を明らかにされたい。
    • (5)「大阪府人権施策推進基本方針」について、昨年12月改正されたが、詳細を明らかにされたい。
    • (6)人権教育・啓発の推進体制、特に府民に対する令和3年度の人権相談の窓口の状況を明らかにされたい。また、その充実に努められたい。
    • (7)職員及び教職員に対する人権研修の実施状況を明らかにされたい。また、その充実に努められたい。
    • (8)「大阪府人権教育推進計画」が本年9月に改定されたが詳細を明らかにされたい。
    • (9)「部落差別の解消の推進に関する法律」の第6条調査結果が令和2年6月法務省により公表されたが、4項目の実態調査での国民意識調査でも「部落差別に関する問題を解消するために、学校教育や啓発を今後どのようにすればよいと思いますか」との設問に、「やるべきであるが、方法や内容を変えるべきである」に回答した人が37.6%と一番多かったことは考慮しなければならない。
      その後、同和問題解決のため、大阪府及び大阪府教育庁が行っている啓発事業や学校教育の実施状況を明らかにされたい。また、その充実に努められたい。
    • (10)安定就労に向けた雇用対策及び就職差別防止のための取り組みを明らかにされたい。
    • (11)人権センターなどの旧同和地区内施設が、府民に開かれたコミュニティースペースとして活用されるための方向性や取り組みについて明らかにされたい。
    • (12)校区に旧同和地区を有する学校の児童・生徒の学力向上の方策及び進路の状況を明らかにされたい。
    • (13)同和問題解決を阻害するエセ同和行為排除のための取り組みを明らかにされたい。
    • (14)同和問題の早期解決のための総合調整機能を有する機関等の設置状況を明らかにされたい。
    • (15)同和問題・人権問題の解決を中心に据えた予算編成の考え方を明らかにされたい。
    • (16)SNS・インターネット・掲示板等の差別書き込みや悪質な投稿により精神的に追い詰められる人が増えているので、早急な対応が必要である。匿名の投稿であっても名誉棄損罪や侮辱罪といった犯罪に問われる場合もあるという事を府民や教育の場でも周知し、府民のインターネットリテラシーが向上するよう対策を講じられたい。また削除依頼の場合は、言論の自由に配慮して慎重に行われたい。
    • (17)新型コロナウイルス感染症拡大における影響が長期化しているなか、事業者への経済的支援が引き続き必要であると考えられるが、具体的に施策・事業が遂行されるため大阪府としてどのように事業者への経済的支援を行っていくのか明らかにされたい。
    • (18)新型コロナウイルス感染症に関し感染者や医療従事者等に対する差別や偏見で誹謗中傷や排除が見受けられることから、啓発活動を強力に推進されたい。
      また、ワクチンを接種できない人や接種しない人が差別されないよう配慮されるとともに啓発活動を推進されたい。
  3. 課題別要求
    • (1)福祉
      • 1)平成29年5月に「介護保険法」が改正された、介護保険の現状と今後の取り組みを明らかにされたい。
      • 2)人権保育行政の現状について明らかにされたい。
      • 3)待機児童の現状と待機児童解消に向けた今後の方策について明らかにされたい。
      • 4)低所得世帯やひとり親家庭の子どもの貧困が問題になっている中、新型コロナウイルス感染症拡大による解雇や派遣切りなどで生活困窮となった家庭への支援状況等はどのようになっているのか進捗状況を報告されたい。
        また、「ヤングケアラー」の問題について、早期発見・支援が重要だと考えるが、子どもたちにヤングケアラーであるという自覚がない場合や他人に知られることに拒否感がある場合など日常生徒の変化や状況は、学校において教師が察知できると思われるが相談体制は構築されているのか、教育と福祉の連携がされているのか。また、子ども達への学習の中にも介護などを学べる機会を作っていただきたい。
      • 5)新型コロナウイルス感染症拡大により、外出自粛中での家庭内での児童虐待が増加傾向にあると聞き及んでいるが、実態を把握されているのか。
        また、悲惨な事件が続いていることから、「児童虐待防止法」と「児童福祉法」が令和元年6月改正され、令和2年4月から親の体罰の禁止と「子ども家庭センター」の機能が強化されたが、出頭や立ち入り調査を拒否する場合には、積極的に裁判所より臨検・捜索の許可状をとり、一時保護で児童の尊い命を守るよう取り組まれたい。児童虐待相談対応件数が年々増加しているが職員の人数が足りていないと言われているが、件数と状況を明らかにされたい。
      • 6)高齢者が確実に増加する中、一人暮らしや高齢者夫婦の孤立防止のためにも世代間交流のできるコミュニティづくりが必要であると思われる。独居高齢者が地域のつながりに拒否感を持って孤立しないように、地域に限定されない広域ネットワークにより、多様で選択可能な見守りシステムを構築し対処されたい。
        また、高齢者の増加に伴い介護を必要とされる高齢者も増えており、例えば「老老介護」や「家族介護」のために介護離職などにより、経済的困窮や介護疲れからネグレクトや悲惨な事件になることもある。介護者への支援体制の取り組みをどのようになされているのか。また、施設入所を希望しても特別養護老人ホームの数は足りておらず、公的年金で入所可能な介護施設の充実等についても対処されたい。
    • (2)雇用・産業
      • 1)地区内就労実態と自立のための能力開発等雇用対策について明らかにされたい。
      • 2)障がい者の雇用に関しては、精神障がい者も平成30年度から法定雇用率の算定基礎の対象になり、令和3年3月1日から法定雇用率が引き上げられたが、令和3年6月時点での集計で民間企業が法定雇用率を達成した割合は、47.0%と半数にも達していないことから、違反する企業をなくし障がい者雇用が一層促進されるよう指導を徹底されたい。
        また、障がい者の雇用の拡大を図る「就労パスポート」を促進されたい。
      • 3)高齢者の雇用対策について明らかにされたい。
      • 4)コロナ禍において、中小零細企業の業績が上がらない状況が続いている。中小零細企業に対し具体的な金融支援策を明らかにされたい。
      • 5)「公正採用選考人権啓発推進員」の設置状況及び活動実態について明らかにされたい。
      • 6)ILO111号条約を批准し、また、職場でのパワーハラスメントやセクシャルハラスメントを禁止するILO第190号条約も批准し、国内法を強化され、各種施策を拡充されるよう、国への働き掛けを実施されたい。
      • 7)職場でのセクシャルハラスメント・パワーハラスメントに係る労働相談の件数及び対策について明らかにされたい。
    • (3)住環境
      • 1)旧同和地区の公営・改良住宅の耐震・老朽化による建て替えについて明らかにされたい。また、低所得者だけの地域というイメージを払拭するためにもこのような機会を契機に、積極的に払い下げを促進され、民間事業者等の力を活用するなど工夫を行い、公営住宅だけでなく中堅所得者向けの特定公共賃貸住宅やUR賃貸住宅などが混在した、誰もが住みたくなるまちづくりの活性化に取り組んでいただきたい。
      • 2)団塊の世代の高齢化等により高齢者と若者が共存できる「定住魅力あるまちづくり」「人権のまちづくり」「ノーマライゼーション」の理念を取り入れられたい。
    • (4)女性
      • 1)「大阪府男女共同参画推進条例」の進捗状況を明らかにされたい。
      • 2)「男女雇用機会均等法」により、セクシャルハラスメントは防止の措置を講じることになっているがマタニティハラスメントも平成29年1月から防止の措置を講じなければならなくなり相談窓口の設置が義務化された。大阪府の「男女雇用機会均等法」の取り組みについて明らかにされたい。
      • 3)「ストーカー規制法」が昨年の5月にGPS機器や居場所が分かるスマートフォンアプリの悪用を禁じた3回目の改正が行われた。今後もDV被害者の増加が予測されるが件数の推移及び対策について明らかにされたい。
        また、緊急避難場所としての民間シェルターも少なく財政基盤が脆弱で運営が厳しいのが実情であるので、大阪府の財政支援を考慮していただきたい。
    • (5)人権・文化・啓発
      • 1)報道機関への働きかけや、各種広報媒体の活用により人権啓発に努めるとともに、府人権関連ホームページの充実に努められたい。
      • 2)公的機関のイベント事業における人権啓発の取り組みについて明らかにされたい。
      • 3)府内の人権問題に関わるNGO・NPO組織の現状とそれら組織に対する支援体制や施策について明らかにされたい。
      • 4)大阪府は、令和元年10月30日に「大阪府性的指向及び性自認の多様性に関する府民の理解の増進に関する条例」を施行したが、現在の状況について、明らかにされたい。
      • 5)大阪府は、令和元年11月1日に「大阪府人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の推進に関する条例」を施行したが、現在の状況について明らかにされたい
      • 6)「不動産取引における土地差別調査」の実態と今後の取り組みを明らかにされたい。
    • (6)教育
      • 1)「大阪府人権教育推進計画」の進捗状況について明らかにされたい。
      • 2)「人権教育基本方針」「人権教育推進プラン」の進捗状況について明らかにされたい。
      • 3)「道徳教育」において「差別をしない・いじめは悪いこと」などの教育が必要であると考える。学校教育の中で「特別の教科」としての「道徳」が位置付けられたことは、人権尊重ということを理解する機会づくりであると考える。平成30年度より小学校での「道徳」授業が行われているが、道徳心が培われいじめが悪いことと自覚するよう努力されたい。
      • 4)府立学校等での人権学習の実施状況を明らかにされたい。
      • 5)児童・生徒の安全対策について明らかにされたい。
      • 6)各種大学及び専門課程専門学校における人権教育(同和教育)の講座の実施状況について明らかにされたい。
      • 7)「いじめ防止対策推進法」が平成25年施行され9年が経過したが、本年も悲惨で痛ましい出来事が発生している。重大ないじめ事件が発生している現状を鑑みて、スクールカウンセラー・スクールロイヤーやスクールソーシャルワーカーの拡充を図り、スクールロイヤー配置アドバイザーの設置されていることで法務相談を活用し、重大事態の回避を図っていただきたい。学校での基本方針の策定、組織の設置、重大事態への対処等により一層力を入れ、学校や市町村教委への徹底した指導をされたい。
      • 8)障がいのある児童・生徒が安心して通学できる設備の充実や学校内部のバリアフリーを積極的に推進するなど、インクルーシブ教育を一層促進されたい。
      • 9)教育現場における障がい者の法定雇用率の実態及び今後の対策について明らかにされたい。
      • 10)児童生徒支援加配の活用状況と成果を明らかにされたい。
      • 11)日本学生支援機構の奨学金制度は、貧困の連鎖を断ち切るための制度であるが滞納者が増加していることから、第二種奨学金の「所得連動返還型」の導入をはじめ、奨学金制度の成績条項を撤廃し無利子枠を増やすとともに「給付型奨学金」の拡充を要望する。
        大阪府におかれましても、若者が経済的事情により将来を諦めることなく自己実現のためにも、奨学金制度の一層の充実について、国に働きかけられたい。
      • 12)学校における性的マイノリティについて、平成28年4月に「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細やかな対応等の実施について」(教職員向け)の通知がされていますが、その趣旨を踏まえ、支援体制や相談体制が確立されるよう学校や市町村教育委員会へ働きかけられたい。
        また、改訂される学校教員用の手引書「生徒指導提要」に記載するLGBTなど性的少数者の児童生徒への対応についても注意を払われたい。

以上

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