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更新日:2023年4月10日

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障害者・家族・関係者の要求大集会実行委員会 要望書(2)

(1) (2) ※2ページに分割して掲載しています。

要望書

障害者総合支援法

21.障害福祉現場では慢性的な働き手不足が続いており、事業継続が困難になっている事業所も増えています。大阪府として福祉人材確保に向けた総合的な計画を立てて実行してください。

22.グループホーム制度を拡充してください。

  • (1)コロナ対策として、グループホーム職員及び利用者のPCR検査を定期的に行うとともに、抗原検査キットをグループホーム備品として常備できるようにしてください。陽性の利用者がすみやかに入院できるようにしてください。
  • (2)国が提案している、本人が希望する一人暮らし等に向けた支援については、「通過型グループホーム」の新設ありきではなく、現行のグループホームでの一人暮らし等に向けた支援の機能強化等により実施するよう国に働きかけてください。
  • (3)日割り報酬ではなく、月額報酬にするとともに、基本報酬を引き上げるよう国に求めてください。グループホームは週末の帰省や病気等で利用者がいない事も多い反面、職員の配置は必要です。グループホームは、殆どが小規模で運営への影響も大きいので、早急に改善をお願いします。
  • (4)高齢化・重度化に伴い、平日・休日問わずホームでの日中支援が必要です。「日中支援加算」については、平日に通所事業所を休んで支援した日だけしか加算がつきませんし3日目からの請求です。祝日・休日等、グループホームで行った全ての日中支援が加算対象となるよう国に働きかけるとともに、大阪府として独自に補助を行ってください。
  • (5)2021年報酬改定において、夜間支援加算の「巡回型」が新たにできましたが、深夜に複数の共同生活住居を小刻みに巡回するという非常に厳しい労働条件の制度となっています。夜間に複数の職員をしっかり配置できる制度にするよう国に働きかけてください。また、夜間1対1の支援が必要な人への夜間支援加算を新たにもうけるよう国に働きかけてください。
  • (6)「日中サービス支援型グループホーム」について、重度の利用者を支援するには夜間支援の報酬が少ないこと、軽度の人も利用出来るよう区分1、区分2の人も利用出来るようにするなどの改善を国に働きかけてください。また、「日中サービス支援型グループホーム」だけでなく、「介護サービス包括型」においても、高齢化・重症化に対応できるよう報酬制度の充実・見直しを国に働きかけてください。
  • (7)グループホームで暮らす障害者の通院・入院への支援が行えるようにしてください。グループホーム入居者の通院介助については「月2回が限度」ですが、高齢になって複数の病院に通院が必要な人も増えていますので、通院回数と時間を増やしてください。また、通院介助は慢性疾患の定期通院のみになっているので、緊急の通院には利用出来ない制度となっています。ホームの職員が通院支援する場合にも使える「通院等緊急対応時加算」を作って、緊急時の対応ができるよう国に働きかけるとともに、大阪府として独自に補助を行ってください。
  • (8)グループホーム内での個別でのヘルパー利用については、利用者への専門的な支援とともに、複数の支援を入れることで、支援の客観性が保たれる利点があります。また、利用者の個別の課題にも対応できる支援です。現在の特例の経過措置ではなく、必要な人にはサービス提供を継続できるように制度を恒久化してください。
  • (9)「民泊問題」や「消防法改正」以降、大阪府下でも、マンション等を利用したグループホームの追い出しの動きが表面化しています。本来「グループホームは住まいの場」であり、マンション等でも安心してグループホームを利用した暮らしを続けていけるよう、大阪府としても何らかの対策を講じてください。
  • (10)大阪府としてグループホーム職員確保のための特別な対策を講じてください。
  • (11)グループホーム開設のための土地購入・建設補助、大幅改修費への大阪府独自の補助を行ってください。また、開設にあたって、地域の了解を事業者にゆだねるだけでなく、もよりの市町村も積極的に地域への理解を広げるよう指導してください。
  • (12)大阪府としてグループホームでの暮らしが困難な人の生活の場を確保するため、専門家も交えた検討の場を設置してください。

23.障害児者の入所施設の整備・拡充を図ってください。

  • (1)児童施設の超過齢者も含めた施設入所希望の待機者数を明らかにしてください。大阪府内の施設入所を断られたために短期入所施設の長期利用を余儀なくされている人や、他府県の入所施設利用を余儀なくされた人の実態を明らかにしてください。それらを踏まえて、待機者の解消に見合った入所施設の整備計画を立てるとともに、以後の障害福祉計画では入所施設定員の削減目標を盛り込まないようにしてください。
  • (2)医療的ケアの利用者を受けとめることのできる障害者のくらしの場の整備を府の責任で行ってください。また、看護師配置が可能となる補助制度を創設してください。
  • (3)基本報酬の引き上げを国に求めてください。また、夜間の体制が厚くできるよう、加齢や重度化の実態に合わせて補助を行ってください。
  • (4)重度化・高齢化に対応した設備改善への補助を行ってください。
  • (5)入所施設で暮らす障害者が通院・入院した際に必要な支援が行えるよう、職員配置基準の改善を国に働きかけるとともに、大阪府としても独自の加配制度を設けてください。
  • (6)自宅やグループホームでの暮らしが難しい重度の知的障害や強度行動障害のある人に対応できる入所施設を整備してください。

24.居宅介護事業を整備・拡充してください。

  • (1)居宅介護事業所においてヘルパーが慢性的に不足しているため、利用者の利用希望に応えることができないケースが多くなっています。令和3年度から改定された報酬影響調査を大阪府として実施し、ヘルパーが安心して働き続けられる報酬単価となるよう国に強く働きかけるとともに、大阪府として独自の対策を講じてください。
  • (2)ヘルパーとして提供できる活動内容を制限しないでください。
    • ア)居宅内だけに限らず、入院時、通勤・通学、育児や家族支援を含め、利用を認めてください。また通院介助時に院内介助を制限することは絶対にしないでください。
    • イ)障害者が入院した際、買い物や洗濯など生活上の支援や普段から慣れた者しか行なえない介護は、(医師の求めにより)福祉制度のヘルパーが行なえるようにしてください。また、退院間近の慣らしの外出や自宅への一時帰宅に、福祉制度のヘルパーが利用できるようにしてください。その際は重度訪問介護の利用者に限定せず、必要な人に必要な支援が提供できるようにしてください。

25.重度訪問介護を拡充してください。

  • (1)重度訪問介護を介護保険にはない障害福祉サービス固有のものとして位置付けてください。また、利用制限をなくし通学、通勤・就労時、入院、外泊、運転介助等にも利用できるようにしてください。
  • (2)病院での重度訪問介護利用について、「ニーズを的確に医療従事者に伝達する等の支援」となっていますが、当事者が入院中も安心して生活でき、付き添う家族負担が軽減できるように、例えば水分補給、ナースコール、寝返り、テレビやスマホ等の操作の補助などの、見守りも認めてください。
  • (3)重度訪問介護の利用者が遠方の病院に入院(障害に関わる病院または配慮のある専門病院に入院する場合など)した際、往きと帰りのヘルパーの拘束時間については報酬(例えば移動介護加算等)がサービス提供事業所に支払われるように国に働きかけるとともに、大阪府としても独自の施策を検討してください。

26.短期入所事業を整備・拡充してください。

  • (1)医療的ケアが必要な人への短期入所が決定的に不足しています。府として設置が促進されるような施策を講じてください。
  • (2)緊急時はもとより将来の親子の自立(自律)に向けて、児童が利用できる短期入所施設を増やしてください。障害児・者の短期入所について、レスパイト対応や外泊の体験ができるよう整備を進めてください。
  • (3)重度の知的障害や強度行動障害のある人が安心して利用できる施設・設備・環境の整った短期入所施設が開設できるように大阪府の補助制度をつくってください。

27.就労継続支援B型事業所への報酬が、利用する障害者の実態に合わせた適切な事業運営を行うことができるものとなるよう、大阪府として現状と課題について検証を行うとともに、その改善を国に強く求めてください。

28.令和3年度報酬改定で新設された就労継続支援B型の「地域協同加算」「ピアサポート実施加算」について、大阪府下での取得実態を明らかにしてください。また、聴覚障害職員が安心して学べるよう、手話通訳者を配置した「障がい者ピアサポート研修」を実施してください。

29.聴覚障害者が利用できる事業所が少ないため、利用者の多くが送迎対象外地域から多額の交通費を負担して「あいらぶ工房」「ほくほく」「なんなん」や「なかまの里」の短期入所を利用しています。大阪府として広域利用にならざるを得ない聴覚障害者への交通費補助制度を創設するとともに、市町村に対しても支援を行うよう働きかけてください。昨年度、同様の要求に対して「現行の送迎加算の拡充を国に要望している」と回答をしていただきましたが、具体的な要望内容と国からの回答を教えてください。

30.自立訓練を活用した学校卒業後の「学びの場」の意義を正当に評価して、「学びの場」の事業の継続が図れる報酬に改善するように国に求めてください。

31.利用者の通所人数を踏まえて、職員配置を調整することは困難であることや家賃等も月額払いしていること等をふまえ、少なくとも、人件費等の事務費(固定費)については月額払いとなるよう国に求めてください。不登校・行きしぶり経験のある方や引きこもりにある方などの通所実績や重度・高齢また精神疾患の利用者の平均工賃など、現行の報酬算定の基本構造が支援の実態を反映したものとはなっていません。利用者の特性に着目した報酬体系に改善するよう国に働きかけてください。

32.特定行為(経管栄養・痰吸引)が制度化されていますが、基本研修と実地研修を受けた以降、フォローアップ等が実施されていません。ヘルパー事業所にとって一人2万円から3万円の研修費用は大きな負担です。研修費用助成、フォローアップ研修の充実等、大阪府の独自施策を講じてください。

33.障害福祉サービスにおける府内市町村の指導監査の実施状況(市町村への助言件数や市町村からの具体的相談内容等)を明らかにしてください。指導において市町村間で格差が生じないようにしてください。

34.障害者優先調達推進法における2021年度の大阪府の実績と今後の計画を示してください。また府内各自治体で、取扱いの差が生じないよう必要な措置を講じてください。

35.補装具・日常生活用具を拡充してください。

  • (1)補装具の作成・修理については、部品代だけではなく、人件費や出張旅費、また、運送費やメンテナンス費等も含め、作成や修理にかかる費用すべてを対象にしてください。また、個別または環境上の条件などで購入価格が補助基準よりも高くなった場合、その差額分を補てんする制度を作ってください。
  • (2)補装具・日常生活用具のJIS規格、制限列挙方式、定額基準をなくし、機能補完、身体ケア、自立・社会参加の保障を踏まえて、個々のニーズ・要望に応えられるよう個別因子や環境因子等を考慮して支給してください。住宅環境、職場環境の改善も一体かつ総合的に行えるようにしてください。
    • ア)紙おむつ支給要件を「コミュニケーションが困難な者」だけでなく、「トイレ介助が必要だが、介助が受けられる条件や環境が困難な者」に広げてください。
    • イ)介助用リフトは、安全性確保のために、必要に応じて耐用年数の緩和をしてください。
  • (3)補装具、日常生活用具の選択・作成・改造・修理・点検・リサイクル・相談・指導・教習・研究をトータルに行える「補装具センター」をすべての自治体に1カ所以上設置してください。その際、当該地域に責任を持ち、他センター、中央・地域の研究機関、医療機関、メーカー等と連携して障害者個々のニーズ、要望に応えられる体制を確保してください。
  • (4)障害福祉分野への介護ロボット等の導入が進むよう支援を行ってください。

36.移動支援事業を、障害者・児が必要とする通園・通学・通所・通勤に利用できるようにしてください。ろう重複障害者に配慮した施設(あいらぶ工房・北摂聴覚障害者センタ-ほくほく・泉州聴覚障害者センタ-なんなん)には、重度のろう重複障害者が健聴障害者を対象とした事業所に比べ他市町等遠方から通所しています。市町村事業である移動支援事業が市町村の枠を越えて利用できるよう大阪府主導で検討を進めてください。昨年度の同様要求項目で「通学・通所は必要不可欠な外出であるとの公式見解を持っていない」と回答されましたが、「必要不可欠な外出」について整理し移動支援事業が個別給付として利用できるよう国に働きかけてください。また昨年度の同様要求項目でふれられた「堺市のろう重複者に対する運用調査結果」について、その内容を教えてください。

37.「移動支援」を高齢聴覚障害者も利用しやすいものとして整備してください。

38.府内各市町村における地域活動支援センターの設置状況を調査し、運営に格差が生じないよう、運営に関する独自の上乗せ補助、通所費用への支援や家賃補助など、大阪府として必要な施策を講じてください。

39.入院時コミュニケーション支援を利用しやすいものに改善・拡充してください。

  • (1)対象者や支援者の拡大を行ってください。医療機関の理解も得られるよう制度の周知・徹底を図ってください。
  • (2)入院時にヘルパー派遣が認められない場合、やむを得ず自己負担による支援を受けざるを得ません。入院時に洗濯や買い物等の支援を得るための費用助成制度を創設してください。

40.相談支援事業の業務を円滑に実施できるよう制度を抜本的に拡充してください。

  • (1)先の報酬改定で相談支援の事業報酬は若干改善されたものの、相談支援専門員の過重労働は解消されていません。大阪府として相談支援専門員の業務実態を把握して、過重労働の解決にむけた対策を国に求めるとともに、大阪府としても必要な措置を緊急に講じてください。
  • (2)令和2年度に見直された相談支援従事者研修の実施状況を検証し、その結果を踏まえて問題や課題を掘り下げるために、きょうされんなど関係団体との懇談の場をもってください。
  • (3)特定相談事業所のほとんどが赤字の状況が続いています。またせっかく開設しても安定した経営が見込めず閉鎖する事業所が後を絶ちません。法人が持ち出して事業継続ができるところもありますが、いつまで続くか見通しが持てません。加算方式を減らして事務負担の軽減を図り、基本報酬を増額してください。
  • (4)「特定相談支援」の下では、相談支援機関がニーズアセスメントをする前に、障害支援区分が確定しており、各行政の支給決定ガイドラインにより本人の利用できる福祉の種別と量(時間)が決まります。そのため多くの相談支援機関は、その支給決定の範囲で利用できる支援の紹介にとどまっています。本人のアセスメントに基づき必要な支援が決定できるシステムに改善してください。
  • (5)相談支援専門員の初任者研修や現任研修について、受講を希望しても定員充足のため受講できないことがあります。希望する人がすべて研修を受講できるよう初任者研修や現任研修を大幅に増やしてください。また初任者研修は研修修了後に相談支援専門員の業務に就く予定のある人を、現任研修は現に相談支援専門員の業務に就いている人を優先して受講できるようにしてください。

41.中途障害者への施策を拡充してください。

  • (1)高次脳機能障害者を含む中途障害者に偏りがちな、利用料一割負担を廃止するよう強く国に要望してください。あわせて府独自の救済策を講じてください。
  • (2)各市町村で高次脳機能障害の診断が受けられるような対策を講じてください。また福祉サービス利用に関わっても安心して利用できるように対策を講じてください。

42.障害者雇用率の達成状況をふまえ、大阪府としての今後の障害者雇用の計画を明らかにしてください。

43.地域で安心して暮らせるための既存の社会資源の有効活用と地域生活を支えるための「地域生活支援拠点機能」の整備計画を府の責任で確立してください。加えて、緊急時の対応等、多様な困難に対応できる複数の支援者が必要不可欠です。そのために一定規模の入所型施設が拠点機能の中核的役割を果たすことができるようにしてください。

44.耳が聞こえない人や聞こえない子どもは手話言語だけでなく、口元を含めた相手の表情を見て会話をします。口元が見えないマスクをしたまま話しかけられても、何を言っているのか更には話をしているのか黙っているのか判別もできません。これは聴覚障害者・児に対する合理的配慮の不提供です。口元や表情がよく見える透明なマスクの装着を、医療機関・公共機関等の受付やレジ業務をする職種に奨励してください。また、コミュニケーションボードの使用についても奨励してください。

45.2025年大阪万博において、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法にのっとり、緊急情報・通常放送を問わずすべての情報にアクセスできるようにしてください。特にコロナ禍が続くと、マスクの装着により口元が見えず、聴覚障害者にはコミュニケーションが困難になります。受付・窓口スタッフにフェイスシールドや透明マスクの着用を推奨するとともに、意思疎通支援者を配置してください。

介護保険

46.介護保険優先原則(障害者総合支援法第7条)の廃止を国に強く働きかけてください。介護保険の対象となった障害者(40歳以上の特定疾患・65歳以上の障害者)が、障害者福祉・介護保険のいずれを使うのかについては、本人の希望に沿って選択できるようにしてください。

  • (1)要介護認定等の申請を行わない障害者に対し、障害者福祉サービスの打ち切りを行わないよう市町村に働きかけるとともに、「要介護認定の申請を行わない障害者に対して障害福祉サービスを打ち切ることは違法」と判示した岡山浅田訴訟の司法判断に沿い各市町村を指導するよう国に求めてください。
  • (2)当面の措置として、特定疾病を含む65歳以前から障害福祉サービスを受けている全ての障害者が、障害者総合支援法に基づく制度の負担と同様になるようにしてください。
  • (3)介護保険料を大幅に引き下げるとともに住民税非課税世帯の利用料を無償にしてください。「高齢障害者の新たな負担軽減措置」は対象者や対象範囲を限定せず、介護保険を利用するすべての高齢障害者を対象にするよう国に求めてください。
  • (4)視覚障害者の場合は、全盲の重度障害者であっても、現行の介護認定基準ではほとんどの者が要支援1か2と判定されます。大阪府として介護保険制度が改善されるまでの間、単独でサービス上乗せの助成措置を行ってください。また、障害者のQOLを低下させないように市町村を指導してください。
  • (5)自治体が介護保険へ強制移行させる一つの要因(国による誘導策)となっている、国庫負担基準額における介護保険対象者への減額規定を無くすように、大阪府として国に強く働き掛けてください。
  • (6)介護保険制度は利用者の費用負担やサービスの利便性、個別性等で障害福祉施策(介護給付だけでなく、補装具・日常生活用具も含む)と比べて様々な負担・制約がかかります。こうした負担・制約について、障害者が介護保険に移行しない理由とすることを認めてください。
  • (7)介護保険に移行した後でも、介護保険ではなく必要に応じて障害福祉サービスが利用できるようにしてください。
  • (8)介護保険で不足するサービス量について、障害福祉サービスを上乗せするよう市町村を指導してください。また、市町村によっては、上乗せを認める対象者を「支援区分6・要介護度5以上等の独自基準(ローカルルール)で制限しているところがあります。こうした基準をなくして希望する人にきちんと上乗せ支給が行われるよう市町村に働きかけてください。
  • (9)介護保険に移行した人が、障害福祉にしかないサービス(行動援護や重度訪問介護・移動支援等)を申請した場合、きちんと支給(横出し)するよう市町村に働きかけてください。

47.介護保険制度によるろう高齢者(特に盲ろう者)に対応できる居宅支援事業所が少ないことから遠方からの相談や利用が多く、対応事業所では長時間の支援が必要となります。広域対応を余儀なくされている事業所に対して、移動時の高速料金や補助金等を支給するようにしてください。

48.生活保護受給者のユニット型特養・ショ-トステイの利用について、生活保護受給者が長期間利用した場合保護が打ち切られることがあります。市町村によって対応に格差が生じていることから、大阪府として対応実態を把握し、生活保護受給者が保護を打ち切られることなく、ユニット型特養を利用できるよう市町村を指導してください。

49.介護保険サ-ビス利用時に、利用者が役所に手話通訳を依頼し断られる場合があります。介護保険サ-ビス利用時のコミュニケ-ション保障は事業所の責任となっていますが、手話でコミュニケ-ションできる事業所がほとんどないのが現状です。また、利用者に毎回通訳が必要と判断される場合でも、初回から数回のみが認められ、以降は認められないという実態があります。大阪府としてその実態を把握し、コミュニケーション保障が行き届くよう、とりわけ医療系のサ-ビス(訪問看護等)利用の際に手話通訳をつけるよう市町村に指導してください。また、手話でコミュニケ-ションできる聴覚障害者に配慮した事業所を設置・育成してください。

所得保障

50.障害者の主たる収入は障害基礎年金や特別障害者手当並びに生活保護です。この間の「物価の上昇」は障害者の生活を圧迫して脅かしており、加えて年金や手当の引き下げは「自立」どころか「生存権」をも脅かしています。大阪府として実態を調査して、国に対策を強く働き掛けるとともに、府としても対策を講じてください。

その他福祉制度

51.学校を卒業した後の障害のある人たちが、平日の夕方や休日に自主的な文化・スポーツ・芸術活動などを身近なところで気軽に利用できる余暇活動支援センター(仮)の設置や余暇活動への補助制度の創設を検討するとともに、余暇活動を支援する制度の創設を国にはたらきかけてください。

52.旧優生保護法における強制不妊手術に関して、大阪府として把握している実態を明らかにしてください。また、いわゆる一時金支給法の周知がすべての被害者にいきわたるよう様々な手法を用いて周知に努めてください。兵庫県明石市で実施されているような独自の被害者支援施策を検討・実施してください。

53.視覚障害者用点字母子健康手帳を整備してください。

  • (1)平成6年度厚生省が出した通達にしたがい、点字使用の視覚障害妊婦に対し「点字版母子健康マニュアル」を交付してください。また、府内での配布の実態を調査・把握の上、公表してください。
  • (2)点字を使用しない視覚障害妊婦には、本人が希望する媒体(たとえば厚労省が令和元年12月4日に通知した「マルチメディアデイジー版」や「拡大文字版」やテキスト版)を交付してください。その際、妊婦本人が記録できる媒体も準備してください。
  • (3)視覚障害妊婦に対して通常母子健康手帳とともに「点字版」や「マルチメディアデイジー版」があることを広く府民に知らせるため、各市町村で発行する「お知らせ」等に掲載したり、マスコミ等を活用し啓発するよう働きかけてください。特に、医療機関や保健所等に対する啓発を強めてください。

まちづくり

54.当事者の声をきいて府下全域のバリアフリー化を促進してください。

  • (1)整備重点地域を協議する体制を創設して、計画的にバリアフリー化を推進してください。当面は、京橋駅周辺地域を整備重点地域に指定して、ターミナル駅にふさわしい整備を行ってください。
  • (2)障害者が利用する公的な施設とそこまでのアクセス(経路)の整備を国や市町村と連携して進めてください。
  • (3)銀行でのATMシステムで暗証番号を押すことができないことや駅員呼び出しボタンが押せないなど、上肢障害者には利用しにくいシステムが多くなってきています。当事者の声を聴き、利用ができるように改善してください。

55.大阪府下の複数駅において駅員の無人時間帯が設定され、無人化が進められています。時間帯によっては他駅からの駅員の到着のために長時間待たねばならず、急を要する移動などに支障をきたしています。大阪府として駅員の削減を進めている鉄道会社に対して駅員の削減を行うことによって合理的配慮が損なわれることのないよう働きかけてください。

56.交通運賃割引の対象範囲の拡大を国及び関係機関に要請してください。

57.避難行動要援護者プラン、避難行動要援護者防災マニュアルや避難所運営マニュアル等が適切に整備され、市町村が障害者などの避難行動要援護者へのきめ細かい対応を進めていくことができるよう、大阪府として必要な施策を講じてください。また、福祉避難所を整備するよう市町村に引き続き求めてください。

  • (1)避難所には障害者担当の係員や相談員が配置できるようにしてください。
  • (2)障害者をはじめとする避難行動要援護者の避難先について、一次避難所における福祉避難室、二次避難所としての福祉避難所の整備を急ぐとともに、障害者特性にあわせた福祉避難所(ホテル等)の設備などの具体化を働きかけてください。

医療

58.健康に生きる土台としての重度障害者医療費助成制度を拡充してください。

  • (1)医療機関の負担上限額を復活させるとともに、月負担上限額を大幅に引き下げてください。
  • (2)院外調剤の自己負担を撤廃してください。
  • (3)中軽度の障害者を、制度の対象にしてください。
  • (4)重度障害者医療費助成制度の果たしてきた役割に鑑み、コスト面からだけでなく重度障害者がこの制度をどのように活用し健康な暮らしに役立てているのか等の実態を調査してください。2018年4月以降の制度改定における障害児者・家族の暮らしへの影響について、大阪府として定期的に調査を行ってください。
  • (5)経過措置が終了した老人医療費助成制度を利用していた人についての影響調査を実施してください。

59.脳性麻痺の二次障害の頚椎症性頚髄症等の手術治療ができる医師や専門医療機関を大阪府内に確保するため、保健福祉室や障害福祉室が連携をして具体的な手立てを講じてください。また、どの医療機関でどういう対応をして、どういう実績があるのかを調査して、当事者や家族、関係者に情報発信をしてください。

60.障害者地域医療ネットワーク事業を充実させてください。同時に、この事業を広く障害者・家族に周知・広報してください。

61.脳性麻痺やポリオ、脊髄損傷や頸髄損傷等の中途障害などの障害別に、成人期の健康実態や機能低下などの二次障害の具体的な症状の実態調査を実施してください。その際、在宅・福祉的就労・一般就労などの社会環境別に分けた調査を実施してください。幼少期や学齢期から自らの障害を正しくとらえて、二次障害への知識・認識を正しく持てるように学校や公的機関から、当事者や家族などに指導(アドバイス)できるシステムを創設してください。

62.障害の特性をふまえて、総合的に治療してもらえるようなノウハウをもつ総合病院を地域に整備してください。

63.障害児者のインフルエンザ等、予防接種費用の補助を行ってください。

64.障害児者の入院時に医療機関側から個室利用を求める際、個室料が患者負担とならないよう以下の措置を講じてください。

  • (1)障害の状況により実質的に多床室での対応が困難な場合については、「特別室しか空きがない」場合と同様に病院側の都合による特別室利用として扱い、利用者からの料金徴収を行わないようにしてください。
  • (2)上記に際して、多床室での対応が困難な障害児者を受け止めた医療機関への診療報酬上の加算を設定して、病院の負担が過大にならないようにしてください。
  • (3)上記措置が講じられるまでの間、大阪府として個室等での入院が必要な障害者に対する特別室利用料の負担軽減制度を講じてください。

65.医療機関において、聴覚障害者(ろうあ高齢者等)が安心して治療・入院が受けられるよう、府下の各医療機関(民間)に手話通訳者の設置、手話ができる看護師、相談員などが配置できるよう働きかけてください。

労働

66.重度障害者の働く権利を広げるために、2020年10月にはじまった雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業を、実施自治体の財政力によらず府下全体で実施できるように国に働きかけるとともに、大阪府としても独自の財政的な措置を検討してください。

67.マッサージ業における「無免許者」の取り締まりを厳正に行ってください。

68.大阪府として、重度障害者等就労支援特別事業について進捗状況を教えてください。また視覚障害者が手続きに不便のないようにしてください。

69.「聴覚障がい者等ワークライフ(職業生活)支援事業」をより充実させていくために予算を増額してください。また、国として、同様の事業を行うよう、強く働きかけてください。

参政権

70.視覚障害者が同行援護により投票した際には、その費用を公費で保障してください。

71.投票所への移動が困難な視覚障害者に対しては、点字による在宅郵便投票を認めてください。

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