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第6回 大阪府広域自治制度に関する研究会 資料1
大阪府広域自治制度に関する研究会
第5回会合(H20年1月30日)論点整理
1 道州立法(道州条例)の拡充・強化について
基本となる考え方
- 道州制下において地方が担う事務に関しては、国法に規定する事項を最小限度の基本的な事項に限る必要がある。
しかし、その「最小限度の基本的な事項」とは何か、国法の規定を「最小限度の基本的な事項」にいかにして止めるのかが問題となる。 - 道州の立法権を出来るだけ拡大し、同時に国の役割も認めることが基本となる。
国法に定める「最小限度の基本的な事項」とは何か
国法の規定を「最小限度の基本的な事項」に止める具体的な方策とは
メルクマールの設定
- 一定のメルクマールを設定することも考えられるが、それで全ての問題が解決できるわけではない。
メルクマールは抽象的な指針に止まらざるを得ない。 - 国の立法活動の限界や範囲については、個々の事案によって大きく変わってくる。
国と地方の間で抽象的な協議を重ねても明確な境界を見出すことは難しいのではないか。
法律制定過程への地方の参画
- 具体的な法律の制定にあたって、最小限度の規定となっているか、法律で規定する必要性が認められる内容かを事前にチェックする仕組みが必要。
- 地方6団体が求めている「国と地方の協議の場」の法定化なども有効と考えられるが、議員立法への対処をどうするかという問題が残る。
条例による上書き
- 成立した法律に対しては、地方の条例による「上書き」を可能としてはどうか。
国法との間で矛盾が生じたときには、裁判所の判断に委ねることもできるのではないか。 - 逆に、地方の条例(立法)を国が書き換えるプロセスを認めても良いのではないか。
- 国と地方の立法間の矛盾を司法で解決する場合は、特別裁判所を認めていない憲法の規定との関係で議論が生ずるのではないか。
- 事務の執行手続や基準について、国法の規定を条例が上書きすることは可能としても、事務そのものの義務付けについて上書きする(事務をやらないことを選ぶ)ことが可能かどうかは、疑問がある。
2 道州条例と市町村条例の関係について
基本となる考え方
- 道州と市町村の関係については、道州ごとに異なってもよい。
しかし、これを道州の立法で決めるとすると、道州立法が市町村条例に対して優位に置かれ、道州と市町村の関係が現在の国と地方の関係のようになってしまう恐れがある。 - 連邦制を採用する国では、州内の自治制度について州が法整備を行い、州内では中央集権的なシステムを採用しているところが多い。
これでは、現在の府県と市町村の関係は原則対等というシステムから逆行することになり兼ねない。
⇒道州条例と市町村条例の関係については、原則対等となるよう考える必要がある。
道州と市町村の間の役割分担、それぞれの条例の関係等をどこに規定するか
- 自治基本条例、自治憲章を州毎に定める方法があるのではないか。
- 道州が自治基本条例を制定した場合、地方自治の準則を定める国法は適用されないこととすればよい。
また、市町村の基本条例と道州の条例との関係も同様である。 - 国と道州が協議をしながら、双方が了解可能な法律をそれぞれが制定し、それぞれが執行するというあり方もある。
また、道州と市町村が共同で自治憲章を策定することも可能ではないか。
⇒
- (1)道州と市町村が協議を重ね、共同で自治憲章を制定する、
- (2)道州が道州内の自治制度について準則を定め、市町村が別に定めた場合には適用しない、
等のあり方が考えられる。
道州の企画立案機能と市町村との関係をどのように考えるか
- 個別の行政課題について、道州が企画立案機能を担い、市町村が管理執行を行う場合、道州がその企画のとおり市町村にやらせようとの意思が働き、市町村に対する関与を強める結果となるのではないか。
- 道州が出先機関等を通じ、管理執行まで一貫して担う体制を作る必要があるのではないか。
- 市町村が管理執行を担うなど、道州が市町村の事務に係る立法を行う場合は、その意思形成過程に市町村が参画できるようなシステムが必要なのではないか。
⇒道州が市町村の事務に関わる立法を行う場合、その意思形成過程に市町村の意思が反映されるようなシステムが必要と考えられる。
3 そのほか
現在の自治体側のあり方にも問題があるのではないか
- 機関委任事務の廃止によって地方は通達行政から離れ、自主的に判断をしていく余地が生まれたが、なお国の通達に頼るような態度が見受けられる。
このような自治体側のあり方も国の関与を増やす遠因となっているのではないか。
⇒現行制度においても、可能な限り自らの判断で行政を担い、責任を取るということを試みていく必要がある。
そのことが道州制導入への基礎を築くことにもなるのではないか。
行政サービスの受け手と民主的統制を行う主体を一致させる必要があるのではないか。
私学教育の現実をみても、多くの生徒が府域外から通学しているにも関わらず、私学に係る行政は大阪府が担い、それに対する統制も府民が行うということがある。
国と地方、道州と市町村の役割分担や立法のあり方を考える上で、なるべく行政サービスの受け手と民主的統制を行うべき主体とを一致させる、という考え方が重要なのではないか。