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第3回 大阪府広域自治制度に関する研究会 資料1
大阪府広域自治制度に関する研究会
第2回会合(H19年9月13日)論点整理
1.国・道州・市町村間の役割分担のあるべき姿
≫「これまでと異なる最適化」
- 道州制の導入によって、これまでの府県域で分断されていた地域内での「最適化」から、広域での「最適化」を図ることができる。
- これは単に区域の拡大によるメリットだけではなく、これまでとは違う役割が担える、あるいは、国の出先機関とは異なる政策が打てるという意義として、とらえる必要がある。
- 「これまでとは異なる最適化」を喩えれば、「1+1=2ではなく、3にする」という話。
「1+1=3」とする鍵は、国からの権限移譲、すなわち意思決定権、企画立案権の移譲にある。
それによって、従来は考慮できなかった分野を含め、これまでと異なる政策を打てるようになるのだと思う。 - 道州制の導入において、国の権限の移譲は大前提だが、中央省庁の縦割りを引きずっては現状と変わらない。
⇒「1+1=3」となる具体例、道州制の導入によって行政の二重投資が解消され、
別の資源配分が可能になる例など、わかりやすい事例を探していく。
≫道州と市町村の関係のあり方
- 道州制の検討においては、市町村が自治体として強化され、出来る限り住民サービスを担っていくということが前提である。
- 道州と市町村の関係のあり方によって、道州の姿は異なってくる。
(ヘビーな道州か、軽い道州かなど) - 道州が施設の最適な立地(選択と集中)を考えるとき、市町村とどのような調整を行うのか。
効率性の観点からは道州が一定の権限を有することが望ましいと考える。 - 逆に、道州に権限を集中させない体制を考え、市町村がもっと自由度の高い状態で総合力を高め、結果責任を負うような形を考える選択肢もあり得るのではないか。
- 国・道州・市町村の役割分担のあり方は、既存の事務配分の変更(明確な事務配分)という視点から少し離れて、行政過程のなかで機能ごとに分担を考えるという方法もある。
- 「自治の範囲」(市町村または道州が自立的に決定できる範囲)をどう捉えるか。
役割分担を巡って、規模の経済、範囲の経済との折り合いを図っていく必要がある。 - 役割分担については現行の事務配分や地方制度を踏まえつつ、理念としての(市町村の、または道州の)自治の範囲との間で共通項を見出していく必要がある。
2.現行制度を前提とした改革の限界について
≫自発的協力に基づく「最適化」
- 広域連携は自発的協力の結果成立するもので、今後とも必要な仕組みだが、そこには限界もある。
関係府県がそれぞれの利益を図り、納得のゆく合意に到達できれば良いが、合意に至らない場合や、広域全体で見たときに効率的な結果をもたらさない場合も生じる。 - 各府県・政令市間の連携に限界があるからこそ、制度的な改革として道州制の議論が必要なのではないか。
≫府県合併の限界
- 府県合併は区域を広域化して、個別課題など一定の効果を発揮すると考えられるが、国全体の資源配分や権限配分を考えると、それのみで良いといえるか疑問。
- 「1+1=3」の追求は、単なる府県合併の議論では実現が難しいのではないか。
- 道州の自治、政府性をどう考えるかが重要。それが単なる府県合併との違い。
国をどう小さくするかという視点から、道州のイメージを膨らませるべき。
3.そのほか留意すべき点
≫道州制への移行に伴う課題
- 道州へ移行して意思決定の簡素化が図れたとしても、旧府県の区域が残り、そこでのニーズをどう調整するかという課題は残る。
さらに、市町村や地域毎の意見との折り合いをどうつけるのかということも考える必要がある。 - 道州と住民の距離感(道州制の導入によって役所が遠くなる)については、現行府県との比較ではなく、道州制下における基礎自治体の権能と住民の意思との関係のなかで整理すべき。
- 現行制度から道州制へ移行する際のコストも考慮すべきではないか。
≫関西のエリアなど
- 東京では、関西=大阪との認識で兵庫は入っていない。
関西として一体的なアイデンティティを持ち得る区域というのは自明のものではない。 - 過疎問題は、関西のように対象地域が少ないとより格差が際立ち、却って道州の政策を難しくする側面もあるのではないか。