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更新日:2024年8月14日

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プラットフォーム事業の活用 PF-1 (協立工業株式会社)

協立工業株式会社(外部サイトへリンク)における省エネ活動

取組事業者の概要

【法人名】 協立工業株式会社(外部サイトへリンク)(大阪府東大阪市西堤本通東1丁目2-16)

協立工業株式会社は、工業製品の塗装だけでなく、近年は商品の企画にも力を入れており、トイレ用手すりを自社で開発しています。
2017年6月に環境省の「エコアクション21」の認証を取得し、環境負荷の低減に向けて積極的な取組みを進めています。
2018年5月に無料省エネ診断を受診し、省エネに関する改善提案をいただきました。その実現に向けて、経済産業省資源エネルギー庁の「省エネルギー相談地域プラットフォーム構築事業」の支援事業者である一般社団法人省エネプラットフォーム協会の支援を受けて、改善提案を順次実現しています。

1961年 布施市高井田にて創業協立工業株式会社本社の全景写真
1970年 西堤工場(現本社工場所在地)を新設
1986年 法人組織化 協立工業株式会社に社名変更
1997年 トイレの手すりの開発・販売開始
2002年 ISO9001認証取得(塗装業)
2002年 吉原工場(現、有限会社キョ―リツカラード)新設、大型塗装システム導入
2008年 本社工場 無鉛化塗料ROHS化対策実施
2009年 「ゴミの見える化」運動を開始
2015年 もの作り助成金によりPF前処理ライン及び排水設備を導入
2017年 エコアクション21認証取得
2018年 無料エネ診断を受診

支援事業者の概要

【法人名】一般社団法人省エネプラットフォーム協会(外部サイトへリンク)(大阪府大阪市西区西本町1丁目13-38 西本町新興産ビル803A号)

(1) 特徴

一般財団法人省エネルギーセンターに登録されたエネルギー使用合理化専門員を中心に設立された団体です。
エネルギー各分野のスペシャリスト、経営支援のスペシャリスト、法律のスペシャリストが多数登録されており、ニーズにあった支援を実施します。

(2) 支援対象地域

滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県

無料省エネ診断での改善提案の内容

無料省エネ診断における改善提案

番号

提案項目

原油換算削減量(㎘)

削減額(千円)

1

前処理ライン水洗ポンプのインバータ化

2.7

220

2

焼付乾燥炉直結ダクト等の断熱強化

5.0

189

3

乾燥炉開口部からのリーク防止

5.0

189

4

焼付乾燥炉の廃熱利用

1.0

5.6

5

工場照明のLED化

1.5

122

6

排水処理水の屋根散水

0.7

59

7

コンプレッサ(INV)吐出圧力低減

0.2

20

8

コンプレッサ(INV)吸込温度の低減

0.2

20

9

エアー漏れ低減

0.1

1

10

デマンド監視装置の導入と空調制御

---

 

11

デマンドデータの活用

---

 

12

ガスヒートポンプ空調機(GHP)の導入

 

 

13

トイレ洗浄水に前処理のろ過水利用

 

 

14

塗装ブースに加湿器導入

 

 

15

塗装ブースファンのインバーター化

 

 

(注) 1から8までは、無料省エネ診断での改善提案。9から15までは、以下に示す一般社団法人省エネプラットフォーム協会による第1回目の支援での改善提案。

一般社団法人省エネプラットフォーム協会による支援状況

一般社団法人省エネプラットフォーム協会による支援は、下表のとおり、概ね月1回の頻度で実施されました。
(資源エネルギー庁の補助金を利用しているため、支援可能な期間は、6月初旬から1月下旬までの8か月間となります。)

一般社団法人省エネプラットフォーム協会による支援の状況

ガス

電気

実施日

支援内容(主なテーマ)

第1回

 

2018年9月3日

現場確認、工場の課題の把握

第2回

 

2018年10月16日

施工業者を交えて、乾燥器の省エネについて検討

第3回

 

2018年11月13日

乾燥炉外壁、出口の温度測定、電流測定

第4回

 

2018年12月8日

乾燥炉吹上げブロアを停止、断熱構想の検討

第5回

 

2019年6月7日

施工業者を交えて、断熱効果を確認

第6回

 

2019年7月1日

施工業者を交えて、焼付炉の廃熱活用検討

第7回

 

2019年8月1日

ガス流量計設置確認、ガス使用量比較

第8回

2019年9月25日

デマンド監視装置のデータ活用方法検討、グラフ化

第9回

2019年10月30日

デマンド監視装置の設定値による空調機運転の自動制御実施、加湿器設置の検討

(2019年11月15日現在)

社長と施工業者、支援事業者の3者による検討会の様子

社長と施工業者、支援事業者の3者による打合せの様子

現場確認の様子

現場確認の様子(課題把握と具体策の検討)

「設備改善」や「運用改善」の取組み結果の紹介

支援事業者の支援により、以下の設備改善や運用改善が実現しました。

〔乾燥炉の省エネの取組み-1〕 乾燥炉出口へのステンレスシートの暖簾の設置と加熱空気の漏出の抑制

乾燥炉の出口にステンレスシートの暖簾の設置と乾燥炉の入口と出口にL字型のステンレス製鉄板の設置により、加熱空気の漏出を抑制することにより、省エネを実現しました。
(乾燥炉の外壁面の表面温度が、大幅に低下し、加熱空気の漏出が抑制されていることが確認できます。)

乾燥炉出口にステンレスシートの暖簾を設置し、加温空気の漏出を抑制したことによる外壁温度の低下の様子

〔乾燥炉の省エネの取組み-2〕 乾燥炉への断熱材の巻き付けによる放熱の抑制

乾燥炉の炉体外壁に断熱材を巻き付け、炉からの放熱を抑制することにより、省エネを実現しました。
(断熱材の巻き付けにより、炉の外壁の表面温度は大幅に低下し、放熱を抑制できました。)

乾燥炉外壁の表面温度(断熱材巻き付け前) 乾燥炉外壁の表面温度(断熱材巻き付け後)

水切り乾燥炉についても、炉体外壁に断熱材を巻き付け、炉からの放熱を抑制することにより、省エネを実現しました。
(断熱材の巻き付けにより、炉の外壁の表面温度は大幅に低下し、放熱を抑制できました。)
水切り乾燥炉外壁の表面温度(断熱材巻き付け前) 水切り乾燥炉外壁の表面温度(断熱材巻き付け後)

〔乾燥炉の省エネの取組み-3〕 取組みの効果

断熱材の巻き付けにより、乾燥炉の炉内温度は、230℃以上に上がるようになりました。(2019年2月11日、外気温8℃、室内温度12℃

乾燥炉の炉内温度(省エネ対策後)

このように加熱空気の漏出抑制と炉壁からの放熱を抑制することにより、設備改善により、ガスの消費量は、2019年4月には、前年比で20%削減できました。

〔デマンド監視装置の活用の取組み〕 データの活用、空調の自動制御の実施

デマンド監視装置の本体から、USBメモリでデータを吸い上げ、時間毎の電力量を把握したり、生産デマンド監視装置(本体) 量と関連付けての原単位の管理ができるようにしました。また、電力量の設定予測値に近づいた場合には、アラームを発信するとともに、空調の運転を自動制御するように変更しました。

デマンド監視装置(本体)、アラーム発信機能を取付け
デマンド監視装置(本体)
アラーム発信装置を取付け

デマンド監視装置(表示部)
デマンド監視装置(警報表示器)
従来は、発せられた警報音により、空調機を手動で制御していた。

空調機(室外機)、デマンド監視装置からのアラームにより自動制御
空調機(室外機)
アラームの発信により、運転を自動制御

デマンド監視装置から吸い出したデータで作成したグラフ1(活用例)
デマンド監視装置から吸い出したデータの活用例(電力量の時刻変化のグラフ)

デマンド監視装置から吸い出したデータで作成したグラフ2(活用例)
デマンド監視装置から吸い出したデータの活用例(生産量と関連付けての原単位管理)

その他の取組み

空調機については、ガスヒートポンプ空調機を導入しました。また、未更新であった2階の一部照明について、LEDに更新しました。

ガスヒートポンプ空調機

ガスヒートポンプ空調機(室外機)

LED照明

トイレ洗浄水として、前処理ラインの排水のろ過水を使用するよう変更しました。
また、始業点検表に、乾燥炉付近の雰囲気温度と湿度の記載を追加し、点検することにしました。

トイレ(洗浄水を前処理ラインの排水のろ過水の利用に変更)

トイレ洗浄水を前処理ラインの排水のろ過水利用に変更

始業点検表の様式

始業点検表に乾燥炉付近の雰囲気温度と湿度の項目を追加

これまでの取組みの成果

ガス使用量は、1月から9月までの9ヶ月間で約9%削減できました。
また、電気使用量は、同期間で約10%削減できました。
一方、生産高はこの期間で約15%増加し、生産高が増加したにもかかわらず、エネルギーコストの大幅な削減ができました。

協立工業株式会社様より

無料省エネ診断の受診を契機に、省エネルギー相談地域プラットフォーム事業の支援事業者である、一般社団法人省エネプラットフォーム協会による支援を、2018年度と2019年度の2年間にわたり受けています。

一般社団法人省エネプラットフォーム協会の支援活動では、改善提案の進め方について、具体的にアドバイスをいただき、あまりコストをかけずに省エネの取組みを進めることができました。
改善提案の実施により省エネの効果が見えてくると、従業員もやる気を出し、省エネに積極的に取り組むようになりました。

売り上げ高が増加した一方、省エネによりエネルギーコストが低減したため、生産性が15%も増加するという、経営上の効果がありました。
また、乾燥炉の断熱化による副次的な効果として、工場内の夏期(9月)の室内温度が34℃から30℃に下がり、労働環境が大幅に改善されました。

今後は、残された課題(塗装作業場への加湿器の導入、焼付乾燥炉の廃熱利用(循環熱風のバーナーブロアの給気余熱への利用)、前処理ライン水洗ポンプのインバータ化、塗装ブースファンのインバータ化)にも取組み、一層の省エネに取組んでいきたいと考えています。

一般社団法人省エネプラットフォーム協会様より

協立工業株式会社様は、代表取締役の林さんが改善活動に積極的であり、私ども支援事業者とともに課題の解決策を考え、その場でどうするかの結論を出していただけました。このため、改善案の提案から実施へ、迅速に移行することができました。また、設備の施工業者にも同席いただき、改善案の実現するための検討に協力していただけました。

このため、協立工業株式会社様では、短期間で、大きな省エネ改善効果を得ることができたと考えています。

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