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エネマネ導入事例 病院・介護施設-2
事業者概要
エネマネ導入 事業者 |
社会福祉法人リベルタ 生江特別養護老人ホーム白寿荘(外部サイトへリンク) | ||
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業種 | 特別養護老人ホーム | ||
事業概要 | 2004年4月に開設した指定介護老人福祉施設であり、入所定員81名(特別養護老人ホーム)・7名(ショートステイ) | ||
建物用途 | 特別養護老人ホーム | 延床面積 | 約3,600平方メートル |
エネマネ導入による削減効果
削減項目 | 導入前 | 導入後 | 削減実績 | 削減率 | 削減コスト |
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契約電力 |
152kW (2008年度) |
90kW (2011年度) |
62kW |
40.8% |
約129万円/年※ |
削減項目 | 削減実績 | 削減コスト |
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電力使用量 |
313,683kWh/年 (2008年度と2010年度比) |
約497万円/年※ |
※関西電力における高圧電力ASの料金単価を参照。
- エネマネ導入時期:2009年3月
- エネマネ事業者名:日本テクノ株式会社(外部サイトへリンク)
- 導入システム名:SMARTMETER ERIA(外部サイトへリンク)
需要者の声
電力ピークはいつおとずれる?
生江特別養護老人ホーム白寿荘に「SMARTMETER(スマートメーター)ERIA」(以下、ERIA)が導入されたのは2009年3月。以前から「見える化」を推し進めており、地域貢献やコスト削減の面で省エネ活動を実施できればと考えていた同社の考えと一致した。導入と同時にエコリーダーには事務長の冨永龍生氏が任命され、省エネ委員会も発足された。「まずはデマンド閲覧サービスで、施設の電力使用の傾向を把握することから始めました。確認してみると10時と14時に2度、電力ピークが訪れる。入浴や食事の時間ではないし、最初は原因が何か分かりませんでした。」冨永氏は1日の電力グラフを思い浮かべながら職員の行動を確認していった。検証の結果、4台ある洗濯用乾燥機が同時に稼動することで、電力ピークを押し上げていたことが判明した。それ以降、同時稼動は避け、稼動時間を前後させることで電力ピークを平準化させることに成功した。
習慣が生む電力使用の無駄
電気の「見える化」によって新たな発見があった。同施設では地域の交流スペースとして、ホールを無料開放していた。高い天井からつり下げられた照明は煌々と点り、空調も毎日のようにフル稼働。「この状態をもう何年も続けていました。いまは会場を別施設に移して行うようになり、それ以降、電力ピークと使用量がぐっと下がったのがグラフで確認できました」と冨永氏は振り返る。このことが施設内の電気使用について大きく見直すきっかけになった。「施設の運営で大きなエネルギーを使っているという認識をもつようになり、2010年5月からは照明のLED化を進めました。」施設内の廊下などの共有部分には全部で約400個の照明があり、ダウンライト中心に260個をLED化し、110個は消灯した。非常階段には人感センサーを取り付け、使わないときの消し忘れをなくし、照明スイッチは色分けして、「昼消すところ」「夜消さないところ」をわかりやすく統一した。
屋上庭園が利用者の地域貢献と笑顔を生む
省エネが徐々に浸透しはじめた昨年夏から冨永氏は、中庭の吹き抜け部分にネットを張り、グリーンカーテンの育成に取り組みはじめた。「昨年は要領がわからないまま育ててしまい、見事に失敗してしまいましたが今年は違います。植える種類を変えて水やりにも気をつけたところ、青々とおおい茂るまでになりました」。さらに、同じく昨年からは農業高校出身の職員によって屋上菜園が発案され、屋上緑化がスタート。「以前は、草花が咲く庭で、景観を維持するための手入れが大変でした。菜園ももちろん大変ですが、より実用的で収穫時期に近所の子どもたちを招待すれば地域貢献にもなると思い、利用者の方の理解を得て徐々に開墾を進めていきました。屋上まで土を運ぶなど大変な作業もありましたが、利用者の方々の笑顔と、近所の子どもたちが元気に芋掘りに熱中する姿を見ていると、それまでの苦労も吹き飛びました。初夏にじゃがいもとトウモロコシ、秋にはサツマイモが実り、収穫日には参加者全員で美味しくいただきます」と手ごたえは十分。屋上菜園と熱を発しないLEDへの取替えを進めたおかげで、最上4階の体感温度は3~4度下がったという。
社会福祉施設にとっての省エネとは
「省エネはあくまで仕事のウォーミングアップだと思っています。物事を継続して淡々と行うのが苦手なタイプですので「楽しむ省エネ」を心がけています。それが利用者の方にも伝わればと思います」と冨永氏。利用者とふれあう時間を少しでも増やそうと、連絡事項の確認はPCのコミュニティサイトでも行えるようにし、朝礼と夕礼を短縮化。あわせて中礼をなくした。利用者の日報は、携帯端末へ記入し管理することで、業務の効率化を図っている。「人や地域を大切にする気持ちや、ふれ合おうとする思いが自然と省エネに繋がったというのが私の率直な考えです。地域社会の未来を育むことが当社の使命だと思っています。これからもみんなで協力し楽しみながら省エネ活動を続けていきます」と冨永氏は晴れやかに答えてくれた。
※ 日本テクノ株式会社が生江特別養護老人ホーム白寿荘 事務長の冨永龍生氏にお話を伺った記事を転載しています。