ここから本文です。
一般社団法人 大阪労働者福祉協議会 文書回答(3)
(1) (2) (3) (4) (5) (6) ※6ページに分割して掲載しています。
文書回答日 | 令和6年3月29日(金曜日) |
---|---|
団体名 | 一般社団法人 大阪労働者福祉協議会 |
表題 | 大阪府2024年度政策・予算への要請書 |
文書回答
3.格差の是正、貧困のない社会に向けたセーフティネットの強化
3.生活保護基準の見直しに伴う住民生活への影響への対応
(3)要保護者が生活保護を利用しようとする際、扶養照会がその利用をためらわせる一因となっていることに鑑み、扶養照会を拒否する要保護者の意向を尊重した対応を徹底するよう、現場に指導すること。また仮に扶養照会を行う場合でも、要保護者の同意の上で行うこと。
(回答)
生活保護法では、「民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。」と規定されています。
また、令和3年3月30日付け厚生労働省社会・援護局保護課長通知である「「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」の一部改正について」及び同事務連絡「「生活保護問答集について」の一部改正について」において、当該扶養義務者と一定期間音信不通であるなど、交流が断絶しているなどの著しい関係不良と判断される場合や、夫の暴力から逃れてきた母子など扶養の求めが要保護者の自立を阻害すると認められる場合など、明らかに扶養義務履行が期待できないと判断される場合等の扶養照会の考え方について示されたところです。
これらのことから、要保護者に扶養義務者の職業、収入状況や関係性等をお聞かせいただき、要保護者が扶養照会を拒んでいる場合等においては、その理由について丁寧に聞き取りを行い、個別の事情を検討の上、「扶養義務履行が期待できない」と判断される扶養義務者には直接の照会を行わず、「扶養義務履行が期待できる」と判断される場合は、金銭的な援助のみならず、精神的な援助の可能性についても照会させていただいているところです。
また、申請相談の際には、法律上認められた保護の申請権を侵害してはならないことはもとより、侵害していると疑われるような行為自体も厳に慎むことを、生活保護法施行事務監査を通じて福祉事務所に対して指導しています。
加えて府社会援護課より府内各市町福祉事務所長及び各子ども家庭センター所長あてに通知を発出し、保護の申請権の確保や、扶養義務者への照会を行う際の留意点等について改めて周知し、相談者が申請をためらうことのないよう、改めて適切な対応の徹底を依頼しているところです。
また、扶養照会を行う際は、扶養照会の趣旨を説明し、その同意を受けた上で照会を行っているところです。
(回答部局課名)
福祉部 地域福祉推進室 社会援護課
3.生活保護基準の見直しに伴う住民生活への影響への対応
(4)住居のない要保護者について、無料低額宿泊所等の集団処遇施設に入居することを条件とする運用を改め、居宅保護を原則とするとともに、居宅保護までの一時生活支援においても個室提供を原則とすること。前年のご回答によると、この件に関わって様々な連絡、通知等がなされているが、それらが現場に徹底されるよう大阪府は引き続き強いイニシアティブを発揮されるよう要請します。
(回答)
平成21年3月18日付け社援保発第0318001号厚生労働省社会・援護局保護課長通知「職や住まいを失った方々への支援の徹底について」により、路上生活者等の「住まい」のない方については、その現在地を所管する保護の実施機関が生活保護の申請を受け付け、保護を適用する際に居宅生活が適当であるのか、福祉的な援助等が必要であるため、保護施設等への入所が適当であるかを判断するために十分にアセスメントを行うこととされています。
また、令和2年3月27日付け社援保発0327第1号厚生労働省社会・援護局保護課長通知「無料低額宿泊所及び日常生活支援住居施設における生活保護の適用について」には、「「要保護者の生活歴、職歴、病歴、居住歴及び現在の生活状況及び居宅生活を営む上で必要となる基本的な項目(生活費の金銭管理、服薬等の健康管理、炊事・洗濯、人とのコミュニケーション等)の確認によって、居宅生活を営むことができるか否かの点について、特に留意」し、居宅生活を送ることが可能と認められる場合には、居宅の確保を図った上で居宅において生活保護を適用する一方で、「直ちに居宅生活を送ることが困難な場合には、保護施設や無料低額宿泊所等において保護を行う」」こととされています。
上記の通知等を府内各市町福祉事務所及び各福祉子ども家庭センターへ周知するとともに、大阪府生活保護法施行事務監査において、特に保護の申請相談の際の対応等について指導しております。
なお、一時生活支援事業については、「ホームレスの自立支援等に関する特別措置法」に基づき実施してきた、「ホームレス自立支援センター」及び「一時生活宿泊施設」の運用を踏まえ、生活困窮者自立支援制度の事業として位置づけられたものです。これまでのホームレス対策の経緯から、大阪府においては、大阪市では独自に、それ以外の市町村においては大阪府が総合調整を担い各市町村共同で事業を実施しているところです。
大阪市以外の市町村が共同で行っている一時生活支援事業については、ビジネスホテル等を借り上げ実施しており、個室の提供を原則としているところです。
(回答部局課名)
福祉部 地域福祉推進室 社会援護課
福祉部 地域福祉推進室 地域福祉課 ※太字部について回答
3.生活保護基準の見直しに伴う住民生活への影響への対応
(5)生活保護行政の公的責任や業務拡大・高度化等を踏まえ、福祉事務所費の大幅な改善を図り、正規公務員によるケースワーカーを増員するとともに、職員の専門性を高めるため国へ財政支援を求めること(また、昨年のご回答によると「23箇所の福祉事務所でケースワーカー数が標準数を下回っていることを確認し、その是正を指導しました。当該福祉事務所においては、関係部局との調整など人員確保に努めており、令和4年度には9か所の福祉事務所でケースワーカーが増員されており、引き続き標準数を確保するよう指導してまいります」とされているが、その後の是正指導の結果及び現状について具体的にお示しください)。
(回答)
福祉事務所のケースワーカーについては、社会福祉法により資格要件と標準数が定められています。
資格要件につきましては、ケースワーカーは社会福祉主事でなければならないとされており、社会福祉主事は、都道府県知事又は市町村長の補助機関である職員で、年齢18歳以上の者であって、人格が高潔で、思慮が円熟し、社会福祉の増進に熱意があり、かつ、学校教育法に基づく大学等において厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて卒業した者、厚生労働大臣の指定する養成機関又は講習会の課程を終了した者、社会福祉士、厚生労働大臣の指定する社会福祉事業従事者試験に合格した者等であることとなっております。
標準数につきましては、郡部福祉事務所は被保護世帯数が65世帯ごとに1人、市部福祉事務所は被保護世帯数が80世帯ごとに1人と定められており、大阪府におきましては、ケースワーカー数が標準数を下回っている福祉事務所に対し、政令市を除き、生活保護法施行事務監査において、実施体制の整備充実の必要性を指摘し、その是正を指導しております。令和4年度生活保護法施行事務監査においては、26箇所の福祉事務所でケースワーカー数が標準数を下回っていることを確認し、その是正を指導しました。当該福祉事務所においては、関係部局との調整など人員確保に努めており、令和5年度には10か所の福祉事務所でケースワーカーが増員されており、引き続き標準数を確保するよう指導してまいります。
大阪府におきましては、生活保護制度は憲法が保障するナショナル・ミニマムとして、国の責任において実施すべきものであり、人件費を含む生活保護費にかかる経費は全額国が負担するべきと考えており、生活保護受給者の生活実態を踏まえた制度となるよう、国に引き続き要望してまいります。
(回答部局課名)
福祉部 地域福祉推進室 社会援護課
4.子どもの貧困・虐待対策の強化
(1)子どもの貧困対策にあたっては、当事者である子どもの視点を大切にし、「将来」だけでなく、「現在」の生活の支援、経済的支援、教育支援に取り組む基本姿勢をいっそう明確化すること。また、第二次大阪府子どもの貧困対策計画(大阪府子ども総合計画後期事業計画第4章)の進捗状況を点検するとともに、改正子どもの貧困対策法や第二期「子供の貧困対策大綱」をふまえ、努力義務化された市町村における貧困対策計画の策定を進めるなかで貧困の実態を把握し数値目標を含む具体的な貧困の削減目標を定めるなどの各種施策を講ずること。特にコロナ禍により、格差・貧困の拡大が想定されるため、支援対策を引き続ききめ細かく行うこと。
(回答)
府においては、令和元年9月に改正された「子どもの貧困対策の推進に関する法律」及び同年11月に国が策定した新たな「子供の貧困対策に関する大綱」に基づき、令和2年3月に第二次大阪府子どもの貧困対策計画(大阪府子ども総合計画後期事業計画第4章)を策定しました。
同計画では、改正後の法律に規定されている「子どもの現在及び将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう」との趣旨を踏まえるとともに、新たな大綱に基づき、関係部局が連携し、生活支援、教育支援、孤立防止など総合的な取組を進めていくこととしています。引き続き、関係部局が実態や課題を共有しながら取組を推進するとともに、大阪府子ども施策審議会へ進捗状況を報告し、その意見を踏まえて計画の効果的な推進を図るなど、適切に進行管理を行ってまいります。
また、支援を必要とする子どもや保護者を漏れなく支援するため、市町村において、教育委員会、福祉・保健部局等が協働し、課題に応じた支援に早期につなぐ取組が進むよう、取組モデルの共有や子どもの貧困緊急対策事業費補助金等により市町村の取組を支援しており、今後とも、関係部局や市町村と連携し、子どもの貧困対策を総合的に推進してまいります。
(回答部局課名)
福祉部 子ども家庭局 子育て支援課
4.子どもの貧困・虐待対策の強化
(2)大阪が、子どもの虐待について深刻な状況にあることを踏まえ、児童虐待防止法の周知をはかるとともに、特に、国民の通告義務(児童福祉法第21条)について、啓発・広報の徹底をはかること。
(回答)
令和5年度も児童虐待防止推進月間である11月を中心に「オレンジリボンキャンペーン」を実施しました。具体的には、児童相談所虐待対応ダイヤル「189」(いちはやく)について、民間団体等との協働により、電車内、協力企業に設置のデジタルサイネージにおいて広報啓発を行ったほか、ガンバ大阪、大阪ラヴィッツと連携ポスターの作成や選手よりメッセージ動画をいただき、ホームページに掲載するなど、覚えやすい3ケタ番号が定着するよう広報活動を実施しています。
今後とも、市町村や関係機関とともに、児童虐待の予防や早期発見等に関する周知、啓発・広報に取り組んでまいります。
(回答部局課名)
福祉部 子ども家庭局 家庭支援課
4.子どもの貧困・虐待対策の強化
(3)相次ぐ児童の虐待死、児童虐待の増加という現状をふまえて、大阪府は、実態把握、体制整備、関係機関との連携などの施策を強化すること。加えて、この間の激増の要因を分析すること。また、児童虐待相談処理件数の急増に対応し、児童相談所の設置について、児童福祉法で義務づけられている都道府県と政令指定市に加え、中核市についても設置を促進するとともに、児童相談所設置を表明した豊中市、東大阪市について積極的な支援を行うこと。さらに児童福祉司、相談員、児童心理司等の人材育成・確保を早急に進め、予防的な取り組みを強化し、児童虐待を防止すること。
(回答)
大阪府子ども家庭センターにおける児童虐待相談対応件数は、平成27年度以降1万件を超える高い水準で推移しており、令和4年度(2022年度)16,036件となっております。
そのうち7,304件が警察からの通告となっており、心理的虐待に位置づけられる子どもの面前での保護者間暴力、いわゆる面前DVに対応した警察からの通告が増えていることが、増加の一因と考えられます。
児童虐待は、子どもの心身の発達に深刻な影響を与え、時には生命の危機に至るおそれのある重大な人権侵害であるとの認識のもと、増加し複雑化する児童虐待事例に対応するため、大阪府では、児童福祉司及び児童心理司を計画的に増員してきたところです。
さらに、市町村及び関係機関等に対しては、「妊娠期からの子育て支援のためのガイドライン」及び「大阪府市町村児童家庭相談援助指針(ガイドライン)」の周知や子ども家庭センターにおける市町村職員の受け入れ研修を実施しているほか、平成30(2018)年8月以降の児童虐待通告事案の全件を大阪府警察と共有しています。
令和元年(2019年)6月に改正された児童福祉法においても「政府は改正法の施行後5年間を目途として、中核市が児童相談所を設置することができるよう、必要な措置を講ずる」とされました。
豊中市、東大阪市が児童相談所設置を表明されたことを受け、子ども家庭センターでの受け入れ研修の計画的な実施など、専門職員の育成や運営ノウハウの提供について、積極的に支援するとともに、今後、府内中核市が児童相談所設置の検討をされる際には、各種研修の実施等、必要な支援を実施してまいりたいと考えています。
今後とも、児童虐待の早期発見・早期対応のための取組みをさらに進めてまいります。
(回答部局課名)
福祉部 子ども家庭局 家庭支援課
5.フードバンク活動の促進
大阪府は「フードバンクガイドライン」を作成されていますが、大阪府によるフードバンクに対する具体的な支援内容についてお示し願います。加えて、フードバンクの基盤強化に向けた具体的な支援の検討を要請します。
(回答)
未利用食品の有効活用を推進するため、農林水産省「食品ロス削減総合対策事業のうちフードバンク活動支援事業」において、フードバンク活動のための食品の保管用倉庫、運搬用器具、入出庫管理用機器等のリースに対する支援などがあり、本事業を補正予算や次年度予算について、市町村や活動団体に周知したところです。
その他、フードバンク活動団体の実態や意向を踏まえ、食品ロス削減に意欲的な民間事業者とも連携し支援を進めています。
「大阪府食品ロス削減推進計画」では、事業者、消費者、行政が主体となり、それぞれの果たすべき役割を認識した上で、連携・協働して取組を進めると記載しており、フードバンク活動については、「フードバンクガイドライン」を活用し、未利用食品を提供する事業者の参入を促進し、有効活用の取組を推進することとしています。
そのため、フードバンク活動に関わる関係者が押さえるべきルール・原則等をまとめた「フードバンクガイドライン」を広く周知し、今後も安全で透明性・信頼性の高いフードバンク活動が展開されるよう、支援してまいります。
(回答部局課名)
環境農林水産部 流通対策室 ブランド戦略推進課
6.自死・多重債務対策等
(1)2022年の自殺者数は2万人を超え、依然として子どもや若者、女性の自殺者数は増加傾向にあり深刻な状況が続いている。大阪府は大阪府における自死の実情、推移について検証するとともに、「大阪府自殺対策基本指針」にもとづき実効性のある施策を強力かつ迅速に推進するとともに、「大阪府自殺対策計画」をより実効性あるものとするよう努めること。
(回答)
大阪府内における2022年の自殺者数は、前年より112人増加の1,488人となっており、20歳代男性が前年比で30%増加の104人と大きく増加するなど若年層で増加傾向が続いています。
大阪府では「自殺総合対策大綱」を踏まえて策定した「大阪府自殺対策基本指針」をより充実させた「大阪府自殺対策計画」を令和5年3月に策定し、自殺未遂者への支援や自死遺族への支援等に「子ども若者の自殺対策を推進する」を新たに加えた11の重点施策に基づき自殺対策に取り組んでいるところです。
引き続き、府内における自殺の動向も勘案しつつ、庁内外の関係機関と連携し、「生きるための包括的な支援」として自殺対策の推進に努めてまいります。
(回答部局課名)
健康医療部 保健医療室 地域保健課
6.自死・多重債務対策等
(2)大阪府は、若年層のいじめや自死防止へ向けた緊急的な当面の対策として、国の委託事業等で実施されているSNS相談活動について、自殺対策におけるSNS相談事業ガイドライン等を活用して相談体制の充実をはかり、問題の深刻化を未然に防止すること。また、若年層からのSOSの出し方だけでなく相談を受け止める側の研修を含めた自殺予防教育の充実をはかること(特に教育庁が実施されているLINEによる教育相談窓口の運営状況、相談件数及びの推移などのデータをお示しください)。
(回答)
【健康医療部】
本府では、平成29年4月に厚生労働省が発行した「自殺対策におけるSNS相談事業ガイドライン」などを参考に、大学生等の学生及び妊産婦を対象とした、SNSによるこころの相談を実施しています。
また、こころの健康総合センターでは、府内の各地域で継続的かつ効果的にSOSの出し方教育を企画・実施する人材を養成するため、市町村や教育機関の職員等を対象とした研修を開催し、要望に応じ学校現場に赴いて授業を実施しています。併せて相談を受け止める側の研修として、SOSを受け止めるスキルの向上のため、大阪府版ゲートキーパー養成研修(若年者支援編)のテキストを作成し、市町村や教育機関の職員等を対象とした研修を開催しています。
今後とも、厚生労働省の自殺対策を注視するとともに、府内外の関係機関と連携して若年層の自殺対策に取り組んでまいります。
【教育庁】
教育センターでは、府立学校教育相談対応力向上研修や学校教育相談課題別研修において、自殺予防のために必要な考え方の理解や、子どものSOSを受け止めるための技術の習得などを研修テーマに取り上げ、受け止める側の資質向上を図っているところです。
また、いじめを含む様々な不安や悩みをもつ子どもが相談しやすい環境を通年で整え、子どもへの支援の充実を図るために、LINEによる教育相談窓口を設置しています。令和5年度は、相談日を毎週日・月・火・水・木曜日と長期休業日明けに設定し、開設時間は19時から22時で運営しています。
なお、相談件数は、平成30年度831件、令和元年度952件、令和2年度1,847件、令和3年度1,162件、令和4年度1,279件です。
(回答部局課名)
健康医療部 保健医療室 地域保健課
教育庁 教育センター
6.自死・多重債務対策等
(3)多重債務問題等は、コロナ禍の長期化や原油・原材料価格の高騰等による影響を今後も受けることが想定されることから、引続き「多重債務問題及び消費者向け金融等に関する懇談会」での意見や各指標を注視しながら、国(金融庁・近畿財務局)、市町村、大阪府警及び大阪弁護士会等の関係機関と情報共有や意見交換等の連携をより強化するとともに、必要な情報を府民に向けてより分かりやすく発信すること。
(回答)
令和5年度の国の「多重債務問題及び消費者向け金融等に関する懇談会」において発言されているように、貸金業者からの無担保無保証借入について、1人当たりの借入残高と複数件の借入残高がある方の数は、近年はおおむね横ばいで推移している状況ですが、ウクライナ情勢に端を発した長引く物価高騰やコロナ禍による中小事業者向け融資及び個人への特例貸付の返済本格化による影響が懸念されるため、本府としても今後の動向に注視していく必要があると考えています。
国は多重債務問題を抜本的に解決するため、平成18年に多重債務者対策本部を設置し、「多重債務問題改善プログラム(以下「プログラム」という。)」として、「相談窓口の整備・強化」など借り手対策を取りまとめ、平成20年からこのプログラムに基づき、地方公共団体等における相談体制の強化のため「多重債務者相談強化キャンペーン」(毎年9月1日から12月31日まで)を実施しています。
同キャンペーンの実施に当たり、本府としまして、毎年12月に近畿財務局と大阪弁護士会との共催により無料相談会を開催しており、市町村多重債務相談窓口に対して同キャンペーンの周知と併せて無料相談会の広報の協力を依頼し、広く府民への情報発信を行っているところです。
また、毎年度当初には市町村及び国の多重債務相談窓口だけではなく、法律相談専門機関などの問い合わせ窓口を一覧にしたリーフレットを作成し、各相談窓口への配架や大阪府ホームページへ掲載を行い、府民に向けて情報発信しています。
そのほか、市町村の多重債務相談窓口支援として、毎年度当初に連絡会議を開催し、市町村及び関係機関との連携の密を図れるよう努めており、秋には市町村等の多重債務に携わる相談員を対象とした研修会を実施しています。また、ヤミ金撲滅に向けた取締り強化を行うため、大阪府警、近畿財務局及び日本貸金業協会と「貸金業関係連絡会・幹事会設置要綱」に基づき、貸金業関係幹事会を開催し情報共有を図っているところです。
原油・原材料価格の高騰等の影響により今後、多重債務問題等が再拡大する可能性を想定しつつ、引き続き、多重債務対策を円滑かつ効果的に推進できるよう、上記キャンペーン等を通じて市町村など関係機関との連携並びに府民に向けて必要な情報を分かりやすく発信してまいります。
(回答部局課名)
商工労働部 中小企業支援室 金融課
6.自死・多重債務対策等
(4)大阪府・市のカジノを含む統合型リゾート(IR)の区域整備計画が政府に認定されたものの、府民にはギャンブル依存症や治安悪化などを不安視する声が根強い。こうしたことから大阪府は、指摘されている様々な懸念や課題について冷静に分析し、府民にわかりやすく説明や広報をすること。府民の納得が得られない場合は、政策の抜本的な見直しも検討すること。
(回答)
IRの実現に向けては、府民・市民の理解を深めていくことが重要であると認識しており、国への認定申請後も、府民・市民の理解促進に取り組んでいるところです。
本年度は、IRの意義や効果、懸念事項対策など、大阪IRの正しい姿について情報発信することをポイントとし、公募型プロポーザル方式により選定した事業者の専門的なノウハウも取り入れ、主要駅等でのポスター掲示・サイネージの活用など、効果的・効率的な情報発信に努めています。
また、これまで開催してきた府民・市民向けセミナーについて、今年度は、区域整備計画の説明と質疑応答に特化した「説明会」として開催することとし、多くの府民に参加していただけるよう、府内各地域において開催しています。
今後も、情報発信の内容の充実を図りながら、効果的・効率的な広報を実施し、より多くの府民・市民の理解が深まるよう取り組んでいきます。
(回答部局課名)
IR推進局 企画課
6.自死・多重債務対策等
(5)成人年齢の引き下げにより、18歳、19歳が未成年者取消権を行使できなくなったことから、若者が過大な債務を負うことがないよう、引き続き学校・家庭等における金融教育の充実や情報発信の強化をはかること。
(回答)
【府民文化部】
成年年齢引下げを見据え、令和2年度から令和4年度までに作成した、若者に人気のお笑い芸人が未成年者の契約やクレジットカードの使い方等についてコントでわかりやすく解説した動画を、教育庁を通じて府内各高等学校等に周知するとともにSNS広告等で配信しています。
また、学校・家庭等を対象とした消費者教育講師派遣事業を実施しており、希望があれば、金融教育を実施する近畿財務局と連携したコラボレーション授業も実施しています。
今後も、若年者の消費者被害を防止するため、関係機関と連携しながら消費者教育・啓発を推進してまいります。
【教育庁】
府立高校においては、成年年齢の引き下げを踏まえ、これまでから、契約の重要性など消費者被害の未然防止に関する内容等を教科「家庭」の中で指導するなどの取組みを進めてきました。また、「総合的な探究の時間」や「特別活動」において、消費生活センターや金融広報委員会等の協力のもと、外部講師を招き、インターネットでの契約トラブルや多重債務の問題など近年多発している事例を取り上げ、その未然防止や被害にあった際の対処方法等について生徒に学ばせるなど、より一層充実させて学習しているところです。
加えて、関係機関と連携し、消費者トラブル等を分かりやすくまとめた啓発動画を全ての府立学校に周知するなど、情報発信に努めております。
【商工労働部】
令和3年度、4年度と若年者の金銭トラブル防止啓発チラシを作成し、府立高校・大学はじめ府内の教育施設、市町村、弁護士会等に送付し注意喚起を行ってまいりました。
令和5年度も若年者の金銭トラブル未然防止のため、金融リテラシー学習の視点で啓発チラシの内容をリニューアルし、FacebookやX(旧Twitter)など若年者がよく利用するSNS等を活用し、庁内外関係機関と連携して効果的な啓発を行ってまいります。
(回答部局課名)
府民文化部 消費生活センター
教育庁 教育振興室 高等学校課
商工労働部 中小企業支援室 金融課
7.住生活を中心としたセーフティネットの拡充
(1)住宅セーフティネット制度については、登録住宅を住宅確保要配慮者が実質的に利用できる状態になっているかを点検し、空室物件の確保や専用住宅の登録拡大をはかるとともに、家賃及び家賃債務保証料の低廉化補助を拡充すること。また、同制度を機能させるために、居住支援協議会の設置・実働化や居住支援法人の指定を促進し、それらの活動への支援を強化すること。
(回答)
住宅セーフティネット法に基づくセーフティネット登録住宅については、大阪府による登録審査の段階で、各戸の床面積、住宅の構造、設備等が国土交通省令等で定められた基準に適合しているかを確認し、登録を進めています。
さらに、セーフティネット住宅の登録促進のため、府、市町村、家主や宅建業者等で構成する会議などあらゆる機会をとらえ、周知・啓発を行っています。
家賃等の低廉化補助については、セーフティネット住宅を活用した国による補助制度に関して、市町村や居住支援法人等を対象とした研修会において制度活用事例の紹介等を行っています。
また、地域の実情に応じた居住支援体制の構築に向けた活動を行う事業者への補助により、市区町村単位の居住支援協議会の設立を促進するとともに、住宅確保配慮者への入居支援や情報提供を行う居住支援法人の指定を進めており、引き続き、居住支援体制の充実に向けた取組を進めてまいります。
(回答部局課名)
都市整備部 住宅建築局 居住企画課
7.住生活を中心としたセーフティネットの拡充
(2)生活困窮者を食い物にする「貧困ビジネス」(追い出し屋、脱法ハウスなど)を根絶するための規制を引き続き強化すること。
(回答)
※太字部以外について回答
大阪府におきましては、生活保護の被保護者が、住居と生活サービス等を併せて提供を受けるいわゆる「住居囲い込み」を行う事業者により、不利な契約を締結することを余儀なくされ、その自立が阻害されないよう、「大阪府被保護者等に対する住居・生活サービス等提供事業の規制に関する条例」により、二人以上の生活保護受給者に住居を提供し、併せて、食事等の生活サービス又は金銭管理サービスを提供する事業者に対し、契約プロセスの明確化及び生活保護受給者の解約権の保障を義務付けております。
条例の対象となる事業を実施している事業者が運営する施設に居住する場合には、契約に基づき、生活保護受給者自身の判断でそのサービスを解約することができます。
生活保護受給者がサービスを解約しようとしたが、当該事業者が解約権を行使させない場合には、府は福祉事務所等と連携して、条例に基づき当該事業者を指導することになります。
(回答部局課名)
福祉部 地域福祉推進室 社会援護課
7.住生活を中心としたセーフティネットの拡充
(2)生活困窮者を食い物にする「貧困ビジネス」(追い出し屋、脱法ハウスなど)を根絶するための規制を引き続き強化すること。
(回答)
※太字部について回答
(追い出し行為について)
家賃を滞納した入居者に対して、鍵の交換等の行為を行い、退去を迫るなどの不当な追い出し行為等の規制については、平成29年度に、国による家賃債務保証業者の登録制度が創設されており、家賃債務保証業を適正かつ確実に実施することができる者として、一定の要件を満たす家賃債務保証業者が登録されています。
大阪府では、家賃滞納リスクに対する家主の不安解消のため、家主や管理会社、不動産業者等に対して、本制度に登録された業者を活用するよう推奨しています。
(違法貸しルームについて)
建築物が安全に利用できるよう国土交通省の通知に基づき、平成25年から多人数の居住実態がありながら防火関係規定等の建築基準法違反の疑いのある建築物(いわゆる違法貸しルーム)に関する情報収集・現地調査を行っています。
現地調査の結果、建築基準法違反があれば建築物の所有者等に対し是正を求めております。
(回答部局課名)
都市整備部 住宅建築局 居住企画課
都市整備部 住宅建築局 建築指導室 建築安全課
7.住生活を中心としたセーフティネットの拡充
(3)住居を失う恐れのある方々や住居喪失者への住宅支援策として以下の対策を行うこと。
(a)住居確保給付金のコロナ特例の一部恒久化(職業訓練給付金との併給、離職要件の緩和、再支給要件の拡大など)などの制度改善についての周知広報を強化し、住居を失う恐れのある方々の利用を促進する。
(回答)
住居確保給付金のコロナ特例については、コロナ禍において住居の喪失を防ぐ重要な役割を担ったと認識しています。今後も府のホームページ上での周知や、府内各自治体の生活困窮者自立相談支援機関への周知を引き続き行ってまいります。
(回答部局課名)
福祉部 地域福祉推進室 地域福祉課
7.住生活を中心としたセーフティネットの拡充
(3)住居を失う恐れのある方々や住居喪失者への住宅支援策として以下の対策を行うこと。
(b)大阪府の保有する居住施設や公的住宅(公営・UR・公社)の空き室を住居喪失者に無償で提供するとともに、NPOや居住支援法人等と連携し、生活・就労支援を行う。
(c)改正住宅セーフティネット法に基づく「セーフティネット住宅」等、民間住宅の空き家・空き室を行政が借り上げて、住居喪失者に無償提供する。
(回答)
公営住宅の事業主体は、法に基づく国の承認を得た上で、解雇等により住居の退去を余儀なくされる者へ一定期間における一時的な居住の場を確保するため当該者に公営住宅目的外使用させることができます。大阪府、市町においては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い住宅を失った者に公営住宅の一時提供などの取組を行っています。
住宅セーフティネット法に基づき、賃貸住宅の円滑な入居のための相談や情報提供、見守りなどの生活支援、入居者への家賃債務保証などを行う者を居住支援法人として指定しており、この居住支援法人の中には、生活の安定及び向上のため、就労支援等を行う法人もあります。
また、地域でよりきめ細かな支援を行うために、居住支援法人、協力店(不動産店)、家賃債務保証業者、行政の住宅部局や福祉部局等の連携を強化し、市区町村単位の居住支援協議会の設立を支援するなど、居住支援体制を構築する取組を進めています。
(回答部局課名)
都市整備部 住宅建築局 居住企画課
都市整備部 住宅建築局 住宅経営室 経営管理課
7.住生活を中心としたセーフティネットの拡充
(4)身寄りのない一人暮らしの高齢者等が増えているなか、低額所得者等に割安な家賃で提供する公営住宅で、入居希望者が保証人を確保できずに入居を拒まれる事例が相次いでいる。2018年1月に国土交通省が都道府県と政令指定都市に保証人確保を条件から外すよう促す通知を出していることを踏まえ、大阪府は関連する条例を改正し、保証人の猶予ではなく、保証人確保の規定を廃止すること。
(回答)
(公営住宅のうち府営住宅について回答)
令和4年度に公表された総務省中部管区行政評価局による「保証人の確保が困難な人の公営住宅への入居に関する調査結果報告書」を受け、改めて国土交通省の法的見解を確認したこと等を踏まえ、本府でも公営住宅における保証制度を廃止することを考えています。今後は、保証制度廃止にあたって必要となる条例改正に向け、準備を進めていきます。
(回答部局課名)
都市整備部 住宅経営室 経営管理課