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さまざまな主体が連携・協力した地域活動 事例33
Minamiこども教室 「外国にルーツのある子どもたちへの学習支援と居場所づくり」
活動のあらまし
Minamiこども教室のある大阪市中央区は、人口に占める外国人登録者数の比率が高い大阪市の中でもとりわけ、外国人登録者数増加率が高い地域です。心斎橋にほど近い南小学校には転入してくる外国にルーツのある児童も多く、全く日本語を話せない子も少なくありません。年度によっては15カ国・地域の児童が通っている時もあります。外国にルーツのある子どもたちは、日本語の習得だけでなく、学習面・生活面でも様々な課題を抱えています。こういった課題を持ち、支援を必要とする外国にルーツのある子どもたちの学習支援と居場所づくりのために、外国人支援に関わる団体が学校とともに、「学校と地域社会・NPOが協同する支援モデル」として平成25年(2013年)に「Minamiこども教室」を発足しました。
活動のポイントとエピソード
ここがポイント1 外国にルーツのある子どもが抱える課題の解決に向けた様々な工夫!
Minamiこども教室は「大阪市子ども・子育てプラザ」において、毎週火曜日18時~20時の間に開催されています。外国にルーツのある子どもの放課後の居場所づくりを目的に、実施時間は夜間とし、保護者が教室に迎えに来ることができない家庭の子どもたちは自宅まで送り届けています。平成29年度(2017年)の参加児童数は約50人で、小学3年生~6年生を対象としていますが、卒業生や小学2年生以下の児童も、ケースに合わせて受け入れており、学校の宿題のほか、日本語の基礎的な学習にも取り組んでいます。学習支援活動以外にも、子どもたちの生活課題の解決や生活習慣の確立がされるよう、様々な支援の取組みを実施しています。具体的には、定期的な「絵本の読み聞かせ」の時間や、夜間に保護者が働いている等で、自分で食事を準備している子どもたちが、簡単に栄養価の高い料理が作れるようにと年2回の料理教室を開催しています。料理教室は、南小学校の給食調理員の指導もあり、充実した教室となっています。また、南小学校の協力を得て、体育館で「スポーツ大会」、外部講師を招き「衛生教室」・「アクター教室」等の活動を実施しています。保護者が多忙で休日に子どもが一人になることが多いため、休日に観劇やアクティビティ(地域で開催される行事やイベント、盆踊りやお祭りなど)の引率や、年1回の「遠足」も実施しています。これらの充実した活動により教室は子どもたちにとって居心地の良い場所になっています。
ここがポイント2 多様な人材の活用と継続するための運営方法!
Minamiこども教室は実行委員会形式で運営されています。実行委員会は、外国にルーツのある子どもたちが直面する課題解決のためという取組み目的に賛同する、複数のNPO、大阪市立南小学校、大学、教員経験者や日本語教育経験者等で構成されています。NPOは教室運営のアドバイス・学習内容・教材検討などを行う、南小学校は子どもへの参加を呼びかける、大学は学生ボランティアの派遣をする、教員経験者等は教材の検討とともに学習支援へのアドバイスを行う等、それぞれの専門性や経験を活かした役割を担っています。南小学校の教員と実行委員が、一堂に会して子どもの様子や学習課題についての情報共有も行っており、その結果、それぞれの子どものニーズや困り感に合わせた支援を行うことができています。また、南小学校内に地域担当コーディネーターという、実行委員会との橋渡しを担う教員を配置しており、担当教員が変わっても引き継ぎ等の情報管理について、継続して取り組める体制をつくっています。
ここがポイント3 積極的なメディア活用によるボランティア募集と情報発信!
教室での学習支援はボランティアが担っており、平成29年度(2017年)のボランティアの登録人数は80人を超えています。ボランティアが子ども一人ひとりに個別に対応することで、子どもたちは自分だけに向き合ってくれる大人に安心感を抱き、信頼関係がそこに生まれます。教室実施後にはボランティアミーティングを行い、個々の子どもたちの様子や学習状況の情報共有も行っています。多様性に富んだたくさんのボランティアが集まった大きな要因は、情報発信の工夫です。教室のことを知ってもらうために新聞に載せたことでボランティアの数は増え始めました。教室はTVや新聞等からの取材や大学等からの取材を積極的に受け入れ、その効果として今では、月1回のボランティア見学会において、毎回15名の定員を超えるほどの見学者が来ています。多方面からの協力の申し出を受け、多様な活動を展開していますが、それを可能にしているのもこの発信力に依ります。(他団体・大学からの多様な講師派遣や学生ボランティアの派遣、遠足へのバス提供、観劇等への招待等々)メディア等への積極的な情報発信を行うことで、教室のことを知ってもらうだけでなく、他の地域で外国にルーツのある子どもたちへの支援活動が広がるきっかけになってほしいという思いで取り組まれています。