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府中遺跡(ふちゅういせき)から出土した鳥足文タタキ目をもつ陶質土器
和泉市に所在する府中遺跡は、縄文時代から近世に至る複合遺跡です。これまでの調査では縄文土器や方形周溝墓に供えられた弥生土器などさまざまな遺物がみつかっています。
今回紹介するのは、陶質土器とよばれる朝鮮半島から持ち運ばれた硬質の土器です。大阪府教育委員会が平成29年度に道路建設に先立ち実施した府中遺跡の調査で発見しました。この時の調査では府中遺跡の古墳時代の墓域がみつかり、石敷きの墓や土器棺墓を発掘調査しました。今回紹介する陶質土器は、発見された時(写真1)は割られて石敷きの墓の覆いとして利用されていました。
写真1 陶質土器の出土状況
接合して元の形にすると、大きさは口径が19センチメートル、器高37センチメートルの大型の甕(写真2)であることがわかりました。甕の体部外面は全体にたて方向の平行タタキが施されていますが、肩の部分に一周だけ鳥足文タタキという鳥の足跡のようなタタキ目(写真3)が施されていました。この鳥足文タタキは朝鮮半島、とくに百済地域の土器にみられるタタキ目です。
この陶質土器の発見は、古墳時代の府中遺跡の人々が朝鮮半島からの渡来人と交流があったことを物語っているといえましょう。
写真2 復元した陶質土器
写真3 鳥足文タタキ目