ここから本文です。
蔀屋北遺跡から出土した馬の全身骨格
蔀屋北遺跡は四條畷市に所在し、大阪府教育委員会が「なわて水みらいセンター」建設に先立って、平成13年から発掘調査を実施しています。これまでの調査で古墳時代中・後期の大規模な集落跡が発見され、大量の遺物が出土しました。出土した遺物には土器の他に、木製品、石製品、鉄製品さらには植物遺体、動物遺体も含まれます。それらの出土資料の中から古墳時代の馬の全身骨格をとり上げて紹介します。
馬の全身骨格は古墳時代(5世紀)の土坑から検出されました。土坑の大きさは203cm×152cm×深さ30cmです。写真をみると馬一頭の体を横向けにして、ていねいに埋葬している状態がわかります。
骨格を測定すると体高(肩部から前脚の接地面までの高さ)が127cm前後で、御崎馬(みさきうま-宮崎県都井岬(といみさき)に生息している在来馬)程度の小さいクラスの馬であることがわかりました。年齢は歯の状態から5から6才であることも判明しました。この馬の全身骨格は古墳時代の馬の復元を可能にした貴重な出土例です。
蔀屋北遺跡では他にも馬の骨や歯の一部が多数みつかっています。また馬に騎乗するための馬具や、飼育に必要であった塩を用意した大量の製塩土器も発見されています。これらの出土資料から蔀屋北遺跡は馬の飼育をおこなった人々(馬飼集団)の集落跡であったことが明らかになったといえます。
蔀屋北遺跡の馬の全身骨格は埋葬されていた土坑ごと遺跡から切り取り保存され、大阪府立近つ飛鳥博物館に展示されました。近つ飛鳥博物館ではこの骨格をもとに、埋葬馬の全身骨格を復元し、展示しています。