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藤の森古墳(ふじのもりこふん)から出土した鉄釘とかすがい
藤の森古墳は大阪府藤井寺市、世界遺産登録を目指す古市古墳群の中にあった古墳です。
これまで大阪府教育委員会が3回の発掘調査を実施してきました。その結果、古墳の規模は直径が約25.5メートルの円墳で、初現期の横穴式石室が築かれていたこと、古墳が築かれた時期は5世紀後半であることなどが判明しています。
ここでは、1965年の第1次調査で石室から発見した鉄釘とかすがいを紹介します。
鉄釘とかすがいは、木棺を組み立てるために使用されたものと考えられます。
みつかった鉄釘の本数は、残っている頭部を数えると21本になります。上の写真はその一部です。最も長いものは、13.4センチメートルあります。胴部は1から1.5センチメートル角で、頭部は2センチメートルほど折り返して作られていいます。
釘に付着している木材の木目の方向を調べてみると、木棺の部材の厚さは4.5、または6センチメートルで、樹種はコウヤマキであることもわかりました。
写真下は、出土した7点のかすがいです。巾6から8、厚さ2から3ミリメートルの鉄の板を「コ」の字形に曲げて作られています。藤の森古墳から出土したかすがいは、すべて「渡り」と呼ばれる水平な部分で折れています。「爪」と呼ばれる渡りから垂直に折れ曲がった尖った先端部までの長さは、最大のもので3.2センチメートルあります。
これらのかすがいは、板と板をつないで大きな部材を作るために使用されたと思われます。