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平成22年度第12回大阪府戦略本部会議 議事概要【議題1】
議題1 財政構造改革プラン 素案
※改革プロジェクトチーム(PT)長から説明
資料名 |
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資料1 財政構造改革プラン 素案 |
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【総務部長】
- 財政構造改革プラン(素案)、P6の(4)改革効果額・収支不足額への対応について。収支不足額はH23年度は475億円で、これは「予算編成時、人件費の抑制において対応」となっているが、特に人件費については今回、素案でも示されている公務員制度改革の課題である、給料表の見直し、給与制度の改革をやる必要がある。また昨日、新聞報道がされているが、人事院勧告で、ボーナスの引き下げ、本俸の引き下げが勧告される見通しになっているので、この人事院勧告への対応。あわせて人件費の削減ということになると相当、複雑な給与制度の見直し作業を進める必要があるので、出来るだけ早期にPTとして、人件費削減・抑制でどれぐらいのボリュームが必要なのか、その見通しを示してほしい。そのためには大きなのは、私学助成の見直しだと思うので、その方向性を早急に出していただきたい。
- P54の住宅政策のあり方について。府営住宅のストックを将来的には半減するとなっているが、その時期はいつ頃を目途にしているのか。
【PT長】
ソフト・ハード両面での住宅セーフティネットの確保が前提にある。現時点では、この「半減」の具体的な目標時期については、設定していない。今後、住宅まちづくり部と福祉部が連携して課題等を抽出し具体的な手法や工程を検討した上で順次実施していただくことを考えている。これから工程をつくる予定。
【総務部長】
資料では「半減」となって、その下に矢印で、「今後さらに市場ストックを活用し、府営住宅は地域資源に転換」という方向性が示されているので、将来ストックの半減というのも府営住宅見直しの途中経過という理解でいいか。
【綛山副知事】
13万8千戸が半減というメッセージ。以前、議論したのは、高度成長期に建設された府営住宅のストックが7万3千戸、それが順次建替え年次を迎える、あるいは耐用年数が切れるということを十分意識して建替えに着手するのか、それとも市場ストックを活用して地域資源に転換していくのか、今後、計画を策定してもらいたい。そうでないと同じことを繰り返してしまう。
【知事】
工程表自体は、いつできるのか。半減となって高度成長期に建設された府営住宅については、建替えなどは何もしないのか。何を建替えしてどの住宅を使うのかを工程表で示さなければならない。
【綛山副知事】
チームだけの議論ではなく、住宅まちづくり部も問題意識を持っているので建替えの状況、地域での住宅の位置付け、役割、あるいは地域資源の転換というのは、主として市町村が引き取って、地域のストックとして活用して行きたいという想いもあると思うので、核の部分は出来るだけ早く工程表を作って、最終半減までもっていくのか、検討しなければならない。
【知事】
・個々の府営住宅について、建替えするか補修して存続するかということではなくていいので、大きな方向性として、年代毎でみるのか、地域でみるのか、どういった手法、ロジックで半減を実現するのか、早急に示してもらいたい。
【小河副知事】
- 半減からさらに、矢印で「民間・公社・UR等の住宅資産の活用」とあるが、公社、URなどいわゆる公的な機関は一つとして考えるべき。セーフティネットの部分はきちんと確保して、府営住宅、公社住宅、UR住宅のストックを一括管理すべき。先に半減してからというのではなく、全体を見てからの話であるべき。
- 知事が言われたように早く方向を決めるべきだが、泉北ニュータウンを特区にして、制度や主体の枠をはずして一元的に運営できないという検討をしているので、その動向を見ながらという感じがしている。早く検討はする。
【政策企画部長】
特区のところで、泉北ニュータウンの活性化の話をするが、先日も竹山堺市長にお会いして「特区の申請について一緒に提案していきましょう」というお話をしてきたところ。まずは府が先行するが、堺市も一緒に取組んでくれる。
【総務部長】
「市場ストックを活用し、府営住宅は地域資源に転換」という意味は、そういった取組みをすることで、将来ストックを半減するということなのか、将来ストックを半減した上で、さらに半減した府営住宅を地域資源に転換を進めるという意味なのか。
【綛山副知事】
- 住宅不足の時代に、公営住宅法が制定された昭和26年に全国での約420万戸の住宅不足があったということをベースに、府として長年取組んできた結果として、今13万8千戸のストックがある。これからの社会状況を見極め、そのストックを今後はどう活かしていくのかが我々の知恵であり、将来世代に対して残す資産になる。総務部長が言われた後段の部分も含めてきちんと検討していくべき。
- 大阪府という広域自治体が府営住宅を持つことの是非も含めて、きちんと議論していくべき。そうなれば、住宅はセーフティネットも含めて基礎的自治体である市町村が中心になるという議論をしていくべき時代だと思う。そうなれば、半減になったあとであっても市町村が地域のストックと資源として考える。
【知事】
結局、住宅セーフティネットをどこまで組み立てられるかどうかということですね。
【綛山副知事】
このメッセージの中では、住宅バウチャーや福祉的な提案も含めて、さまざまな観点から「セーフティネットはきちんと守っていこう」という部分と、その一方で住宅行政として都道府県が取組んできたという部分は、時代の流れの中できちんと検証すべき。今後どういう社会になるか、人口減少も含めてというのが、PTの問題意識だろうと思う。
【知事】
府民の皆さんは、府営住宅と住宅セーフティネットは結びついて考えているが、切り離していくということを議会も含めてきっちりと言っていかなければならない。住宅まちづくり部も本当の意味での住宅政策に取組んでもらって、福祉部に住宅セーフティネットは任せていくということか。
【小河副知事】
まず「府営住宅は半減」ということを出してしまうと、「いま府営住宅があるのに、半減してしまってどうなるのか」になってしまうので、まずはセーフティネットはきちんと確保するということが大事。
【総務部長】
「半減」ありきではなく、府としては「住宅セーフティネットは確保する」ということ。それがイコール13万8千戸を今後も維持するということではない。セーフティネットの張り方は、色々な方法があり、結果として半減するという理解か。
【知事】
特区などいろんな話があるが、それを見据えても抽象的なものでもいいので、もう少しセーフティネットもやりながら、将来戸数を半減するというロジックを見せなければならない。
【PT長】
戸数半減ありきではなく、住宅部門と福祉部門が連携して具体的制度構築と同時に進めていく方向でやっていきたい。
【政策企画部長】
政策課題の中で、23年度に住宅政策のグランドデザインを策定するとしている。その中で所得階層毎にどんな住宅政策を展開し、それをどんな時間軸で展開していくかといった観点が非常に大事だと思っている。
【知事】
P6の(4)改革効果額・収支不足額への対応のうち、歳出改革の額75億円の大まかな内訳はないか。
【PT長】
歳出改革の110億の内訳で大きなものは、病院事業負担金20億、大阪教育ゆめ基金関係で10億、廃止となっている千里救急救命センター支援事業3億5千万など。
【総務部長】
昨日も各部局長から質問があった。前の財政再建プログラムで見直しを引き続きとしている部分がある。例えば、私学への経常費助成のように継続をするようなものについては、今回のプランでは、別途出している財政収支見通しの歳出額の減として既に組み込まれている部分がある。その上で今回新たにこのプランで削減するものが、知事が言われた75億円になる。収支見通しですでに削減として折込済みのものと今回新たに削減するものの具体を示してほしいといった部局の意見があったので、いま財政課で整理をしているところ。プランについて次回議論する際に、あわせて報告をさせていただく。
【知事】
75億という数字は、今回新たに削減をする額という理解でいいか。
【総務部長】
新たな分。各部からみれば、前の財プロ分がどうなっているのかわからないので、その部分もあわせて整理させている。
【知事】
P25に個々では示されているが、大括りでいいので、どういう分野を絞っていっているのか見せたい。それが、福祉になのか、教育なのか、何かのハード面で絞っているのかわかるようにしてほしい。
【政策企画部長】
今回、計画を意思決定するにあたって、この計画のリスクを議論しておく必要がある。私自身、この計画のリスクは持続可能性だと思っている。その原因としては、国と地方の関係。府の財政構造は、経常費を中心に歳出構造が非常に硬直的であったという問題点。そういう中で国との融合性があって地財対策に支配されてきた構造になっていた。三位一体改革のような国の政策の大波をかぶってしまいキャッシュフローが不足する中で、粉飾的とも言えるような危機回避政策をとってきた構造があったと思う。現在、府債を大量発行しているが、その府債は交付税リンクの起債。それは過去も同じこと。違う点は補正予算債では、道路整備のような資産形成をしてきたが、いまの臨財債は赤字債なので資産形成もない、税源培養にもならない。臨財債に依存する体質は、国の財政の持続性の問題でもあり大阪府にとってもこれが大きなリスクになる。収支見通しでは、交付税を5千~6千億ぐらいずっと入ってくる構造になっているが、大阪府という団体にこれだけの交付税が入ってくるということが非常に異常なこと。一つの事業・制度に国と地方が負担しあい、その地方負担を交付税が支えるという融合型のシステム、もたれあいの構造を是正しないと府の財政は再び危機に陥ってしまうと思っている。特に交付税は来年度、17兆5千億、今年度と同額確保とは言われているが、現実には地方財政は厳しくなってくるし、交付団体も増えていく。歳出は自分でコントロールできるので、一生懸命削減しても歳入構造の面で、結局、その歳出努力を無意味にしてしまうリスクがある。計画のリスクについてどう考えるのか。
【PT長】
- このプランにおいては、将来的には国のナショナルミニマムは国の資金で対応していただき、交付税は充てないことを提案している。それが実現するまでの間については、交付税は地方固有の財源であるので、必要な額は確保したいと考えている。
- 政策企画部長の指摘のように、地財制度全体としては国がコントロールしているので、府の財政収支見通しの中では、交付税を始めとする地財制度のリスクをどういう形で織込むか、正直言って難しい。現状を踏まえると、国に強く要望するしかないというのが率直な気持ち。
【総務部長】
- 今回のプランは、交付税が5千億円、6千億円という規模で入ってくるということを前提にしているというのは政策企画部長のご指摘のとおり。また、府にこれだけの規模の交付税を交付し続けられるかという地財制度の持続可能性について疑問があるというのもその通り。我々としてもそこは十分認識した上でこのプランを作成しているという前提で話を進めるべき。別途、地財制度がどうあるべきかという議論は府としてやっていく必要がある。
- この機会に職員の皆さんには、府の税収は1兆円を切るというところまできていて、これに対し、交付税と臨財債を足した実質の交付税額が6千億円を超えているという実態を認識してほしい。この規模は北海道に次いで全国第二位。純粋な交付税額で見ても、北海道、兵庫県に次ぐ全国第三位。先日、総務省の交付税課長に電話をしたが、総務省も、大阪府に交付税が6千億円もいっているのは異常な事態という認識。その点を十分踏まえ、今回のプランでも埋まっていない部分があるので、各部局においては、予算編成の中で、部局長マネジメントで自ら予算の組み立てをしていただきたい。
【政策企画部長】
今回のプランでは、国の制度にも課題があるが、我々としてやっていくべきことはしっかりやるということが書いてある。そういう意味で、我々のやることの1として、臨財債など交付税リンクの起債について、実際の償還と交付税の理論算入の間にギャップがあることなどを踏まえて、公債政策をしっかりとっていくことが重要。
【知事】
臨財債だと償還する必要があるが、その償還分は地方の財政需要額に積まれているということなので、府の財政運営上は影響がないというのが理屈だろうが、本当にそうなのか。臨財債の方が不利になるということは理屈上はないのか。
【綛山副知事】
理屈上はない。
【総務部】
理屈上はないが、交付税として単年度にいただくものを延べ払いでもらうことであり、いつか終息していくというのが制度の前提。今は国税収入が足りないので借金で埋めておいて、回復する時期があるだろうからそのときにまとめて返すという方法。期間の利益をもらうということ。税収が落ち込んだ状態のまま推移すると、いつまで経っても臨財債の発行額は減らないか、あるいは膨張し続ける。そうなると制度の前提が崩れて、地方も国もおかしなことになる。
【政策企画部長】
臨財債の現残高は、全国ベースで28兆円。1年分の交付税の額をはるかに上回っている状態。
【綛山副知事】
- 政策企画部長の言うように、臨財債の現在高が交付税総額を上回っているほか、日本の借金が800兆円で500兆円のGDPの総額を大きく上回っている。将来、バブル期のような高度成長が再びあれば、その段階で32パーセントの交付税原資の税収が増える。だからそのときに返せばよいということでずっとやってきているが、改めて考えると、そんなことはもうないのではないか。今後低成長の中で生きていかないといけないとなると、将来にわたって現在の地財制度の仕組みがきちんと担保されれば交付税でも臨財債でもどちらでも変わらないが、それが続くかどうか疑問。
- 先ほど政策企画部長が指摘した問題意識については、このプラン作成の当初、PTも全く同じ問題意識の下に、交付税、臨財債、あるいは地財制度に依拠した財政運営から脱却しなければということを議論した。しかし、当面3年間は現状の中で進まないとどうしようもないということでまとめたもの。資料1の6頁が典型だが、3年間にわたり自ら改革を行い、やるべきことをやった上で、国に対し370億円は担保してもらう。しかし、2000億円規模で「将来の姿」として実現をめざすべきことがある。ナショナルミニマムは国でしっかりと実施すべきというメッセージをこめている。4年先にそういう形にならないと、地財制度も含め、日本全体がおかしくなる。
【政策企画部長】
そこはぜひ、知事からも大きなメッセージとして国に対し出していただきたい。
【知事】
民主党の皆さんと話をしていても、臨財債について余り問題意識がない。行政に携る皆さんには当たり前の話だろうが、学者の中でも、臨財債を地方が単独で発行している負債のように見て、抑えていかなければならないといった議論が出ている。別途、国に提言するペーパーでは、臨財債の話をもっと前に出して、国家の仕組みがぐちゃぐちゃになっているということを言いたい。
【PT長】
資料1の107頁以降にも書いている。
【知事】
- 臨財債から入って、国のかたちを「国と地方の分離型」に変えていかないといけないということを説明するのが一番わかりやすい。
- 臨財債の全国の償還額はどれくらいになるのか。
【総務部】
数兆円になるが、まだ破綻するような状況ではない。現金が約15兆円で臨財債が約5兆円。そのうち償還額が1兆円くらい。
【総務部長】
法定率分が10兆円で、国が不足を補填している分が5兆円、また地方が負担する分の臨財債が5兆円。
【総務部】
自治体がやるべき仕事についての物差しがあるのに、それに対する交付税額が足りない。臨財債はその隙間を埋める方便。日本の自治体はこれくらいの仕事をすべきということを国民が期待しているという前提がある。よって、そこにギャップがあると主張するのか、あるいは、臨財債ではなく現金で地方に交付すべきという議論をする必要があるのではないか。
【知事】
国がこういうものが必要だと決めたなら、国が税率を上げて確保してくれれば良い。
【総務部】
それも一つの方法。しかし、国と地方の仕事をきっちり分けるのは実務的には難しく、実際に1年、2年でできるものではないと思う。
【政策企画部長】
理念的には、113頁以降に書いているように整理をしていくことが重要。
【総務部】
臨財債をなくす方法としては、増税するか、歳出を減らすか、経済成長をさせてパイを増やすかの3つしかない。地方においても、増税によって地方税収を上げるだけでなく、経済成長により税収を増やす方法もある。70兆円の地財計画のうち臨財債相当分の5兆円を減らすというような行政サービスの切下げは現実的ではない。かといって極端な増税もできない。となると経済成長をめざすというのが自然な姿かと思う。
【綛山副知事】
それがいいとは思うが、実現できるかどうか。
【知事】
国の政策で経済成長をひっぱれるのであれば不景気など起こらない。今の構造のままだと、増税・歳出削減のいずれも、国・地方の政治家のどちらもできない。住民に説明して増税、歳出削減をお願いするということになれば、受益と負担の関係をきちんと示し、「このサービスが必要なら負担を求める」あるいは「負担を止めるのであればサービスを止める」といったように、説明がきちんと対応しないといけない。それができない中で、増税のリスクを負っても、結局国が決めた政策決定の経費に使わざるをえないとなればやる気も起こらない。歳出削減にしても、自分たちの負担とリンクせず「また国からお金が来る」ということになれば、そこまで地道な取組みをしないし、住民の皆さんも意識しない。自分の受けるサービスと税負担がはっきりわかって選択を迫るには、現在の「国と地方の融合型」だと、責任が不明確で住民に見えない。
【政策企画部長】
「融合型」というのは錬金術。それぞれの負担を少なく見せて、「こんな大きなサービスができる」と示すもの。地方がどれだけ責任を持つかによって、ロー・コスト、ハイ・パフォーマンスの政府をつくっていくしかない。
【知事】
- このままだと、誰も税を上げられないまま。私自身も、どこに消えていくかわからないようなお金のために増税などできない。
- 資料1の25頁以降の「個別の点検結果」について、「△:見直し」となっているものは22年度当初予算額からいくら削減するのかは記載していないのか。
【PT長】
記載していない。
【知事】
歳出削減について、項目は詳細に出ているが、もうワンクッション、府民にわかりやすい説明が入ったほうが良い。どういう括りがよいかは検討してほしい。
【総務部長】
一番詳細なのは、個別項目に削減額を書き込むことだが、もう少し大括りで示すかPTで検討していただき、9月までに見える形にさせる。
【PT長】
歳出削減の概数見込み額は把握しているが、査定までしたわけでない。見直しの方向性については各部局と調整がついているが、詳細はこれから。
【木村副知事】
今回の議論で最も部局との調整がつかなかったのが私学助成だと思うが、現在の状況はどうか。
【PT長】
今回のプランの素案については、PTと府民文化部として共通課題認識をまとめているが、結論めいたことは記載していない。現在実施中の公立高校の保護者アンケートの結果なども踏まえ、8月末までに企画室などで方向性、制度設計をとりまとめると聞いている。それを受けて次の素案のブラッシュアップのときには、どういう書き方をするかということになる。
【知事】
私学助成については、私の政治的な思い、価値観が一番強いところ。私学団体との協議などもお願いしているので、それを踏まえて結論を出す。
【政策企画部長】
それでは、これをもって「素案」を決定し、公表する。本日からパブリック・コメントの手続きに入ることとする。