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平成22年度第3回大阪府戦略本部会議 議事概要【議題1】
議題1 市町村への権限移譲
※総務部から資料をもとに説明
資料名 |
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資料1-1 市町村への権限移譲 |
【知事】
- 昨年3月に総務部長がまとめてくれた「大阪発“地方分権改革”ビジョン」、これをきっかけに現在の首相官邸の地域主権戦略会議が進んでいることは間違いない。各省庁がなかなか動かない中、いま一度、府の取組みを突破口にして国を動かしていかなければならない。府が提案を留保した事務について再度見直し、何とか移譲を進めて首相官邸に示す。各省庁は猛抵抗を示し、市町村への権限移譲をできない理屈を並べているが、「実際に府ではできている」ということになれば首相官邸サイドも動かざるを得ない。首相官邸のネジを巻くためにもよろしくお願いしたい。
- 絶対に移譲できないものは条例制定権か。
【総務部】
国の勧告事務82項目の中には、都道府県の条例制定権の話も入っているが、それらは法律改正がないと移譲できない。
【知事】
それ以外に、行政的に移譲が難しいと思われていたものはどのようなものか。財源を権限とセットで移譲しないといけないようなものか。
【総務部】
資料1の裏面「府内市町村への権限移譲に向けて検討するもの」の中に、厚生労働省関係の事務を3つ掲載しているが、これらは基本的に国の資金が入ってくるもの。法制度上、都道府県が実施主体という前提で財源が入る仕組みになっている。この権限を市町村に移譲した場合、財源は自動的に市町村に移らないので、地方負担分を府が負担することになれば、財源を負担するところと事務執行をするところが別になるという問題がある。そのため、ここは国の動向を見たほうがよいということで、これまでは留保していた。
【知事】
地域主権戦略会議に出席している政治家などのメンバーは、こういった細かい問題点を把握し切れていない。地方が提案を留保して何もないままでいってしまうと、省庁側の作った案に流されていく。地域主権戦略会議に対し、こういう問題点や解決していくべきかを出していきたい。その際には、「国がこういう制度改正をしないと移譲できない」と言うのではなく、資料にもあるように「創意工夫」で何かできないのかというギリギリのところを探ってほしい。
【総務部長】
市町村との協議はどうするか。
【総務部】
庁内で詰めた後に市町村と協議する。
【知事】
もともとのビジョンは総務部長がまとめてくれていたが、改めて、今後この資料の方向で挑戦していくということでよいか。
【総務部長】
問題ない。
【知事】
- そうであれば、この場で「ゴー」をかける。私から各部局への指示として、府としては「権限移譲が困難だという理由を挙げない」という大号令をかける。市町村から困難であるといった声があがれば、情報を整理してリストにしてほしい。その理由が合理的かどうか、明確にしたい。
- 各市町村が権限移譲を受けた率を府ホームページで公表したが、それに対して市町村から反発があったと聞く。私は徹底して公表すべきと考えるが、実際に市町村と協議する立場の皆さんからすれば、公表するとやりにくくなるか。
【総務部】
市町村には事前に公表することを伝えていたが、公表時期が市町村議会の最中であり、タイミングが悪かったということはある。オープンにすること自体は市町村も了解している。
【知事】
- 教員の人事権の移譲について、全てではないが、市町村長に個別に連絡をとったところ「やりたい」という声が多かった。府教委にそういう声が届いていないのは市町村教委が動いていないからだと聞く。
- 大阪から分権を進めていこうと市長会会長にも言っていただいている。また、地域主権戦略会議でも府の取組みを伝えていく。権限移譲を進めていこうという要請文を私から各首長に送りたい。特に教員の人事権については、メディアでも取り上げられている。不都合があればまた戻せばよいこと。一度やってみるということが重要。北摂だけではなく、他の地域にも声をかけていく。教委サイドは非常に嫌がるため、政治主導でやらなければならない。
【綛山副知事】
理念はわかるが、具体的に広域人事調整をどうするかといった課題がある。北摂はそういった仕組みも含めてやろうとしている。仕組みの部分もカバーしてやると現実的に動いていく。
【知事】
- 教員採用の問題など権限を移譲することによる弊害については、それを取り除くルール作りが必要。
- 民間人校長などを自ら採用したいと言う首長も多いが、情実人事といった弊害もあるだろう。
【綛山副知事】
公正な採用の仕組みなどが必要。
【総務部長】
北摂について、今後市町との協議が進めば権限移譲に伴う具体的な課題も明らかになる。それを他地域にも示して話をしていきたい。
【知事】
その協議は行政的に進めながら、私から首長に対する政治的メッセージは要請文として出していく。教員の人事権は目玉政策。強いメッセージを出していきたい。
【政策企画部長】
一般論になるが、いわゆる特例条例で権限を移譲する場合、ネックになるのは「カネと人」だとよく言われる。首長としては、いま手一杯でやっている事務と、新たに来る事務がトレード・オフの関係になると困る。市町村側が新たな事務を受けられる環境をつくることが大事。府は振興補助金を使ってかなりのカネの手当てをしたから、市町村側がどんどん受け入れてくれることになった。国としてそういうシステムをつくることが非常に大事。特例条例は国の権限に対する上書き条例だが、上書きの効果は権限を決めている法律に対してのみ。権限は上書き条例により市町村に移譲できるが、地財をはじめとする財政措置には効果が及んでいない。実はそこが非常に大きな問題であり、地域主権戦略会議で知事にご提案いただけるようにしていきたい。
【知事】
- そのとおり。会議メンバーはそういった細かなところまで把握できない。そこは行政、官僚の持っている知識を使わずにやろうとしても無理。そういう意味では、府の皆さんが地域主権戦略会議の閣僚メンバーを支えるような形で情報提供してほしい。
- 意思決定のメカニズムについても、地域主権戦略会議で決定するためには、本当は地方自治体側と協議しなければならないのに、省庁と地域主権戦略会議が協議をするという形になっている。協議する相手も間違ってしまっている。まだ不十分だが、府では「市町村との協議の場」の枠組みもつくっている。そのメカニズムも整理して、府の仕組みをそのまま首相官邸に打ち込めるようにしたい。
【政策企画部長】
それでは、市町村への権限移譲については本案で進めていくこととする。