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知事とにぎわい創造部との議論(概要)
日時 平成20年5月29日(木曜日)16時15分から17時15分
場所 第一委員会室
【にぎわい創造部】
関西国際空港は国の拠点空港だが、同時に大阪、関西の貴重な資源である空港であり、これを積極的に活用したい。例えば前日に水揚げされた北欧のサーモンが夕方には大阪のスーパーに届くとか、あるいは八尾や東大阪の中小企業の金型が国内の宅急便のように、翌日上海に着くとか、府民にも広く大きなメリットを与えている。また、最近は関空を通じてたくさんの外国のお客さんが大阪に来られ、大阪でお金を落していただいていることは、府民の皆さんもご理解いただいていると思う。有形、無形のメリットがあり、是非関空をもっと活用し、育てていきたい。
(引き続き、「関西国際空港ゲートウェイ機能強化促進事業」について、資料に沿って説明)
【知事】
いくつか質問させていただく。関空の売上げはいくらか。
【にぎわい創造部】
年間約1000億円。
【知事】
その1000億円の売上げが、この7億円がとまることで何がどう影響するのか。7億円が無くなると関空は経営難に陥るのか。
【にぎわい創造部】
7億円の事業がそのまま関空会社の経営支援にはあたっていない。
【知事】
7億円の効果は。
【にぎわい創造部】
毎年関空には多額の有利子負債を軽減するために、国から90億円の利子補給金をいただいている。これは地元が一体として国に要望したもの。我々の要望を国は誠実に守っていただいている中で、府が何もしないで国にだけお願いするのは、理想として国としてやって欲しい思いはあるが、理屈としてはなかなかそうはいかない。
【知事】
政府補給金はそのまま関空の利益に充填してるんですね。関空の経常利益はいくらか。
【にぎわい創造部】
19年度で114億円。国の90億円が無いとほとんど経常黒字は出てこない厳しい経営状況。
【知事】
関空会社だけだと24億円しかない。7億円と90億円の関係だが、地元の7億円が無いと国は90億円を出さないのか。
【にぎわい創造部】
国からはそういうこともあると言われている。
【知事】
大阪府は財政非常事態宣言を出し、大変な状況にある。国は財政状況が夕張よりひどいなどといっているが、赤字国債は無制限に発行でき、国と地方の税の配分割合の不均衡も指摘されている。地方が非常事態と言っているのに、府の2億4600万円が無くなると、国は90億円減らすと言っているのか。
【にぎわい創造部】
我々も知事と同じ思い。これまでも関空は国の拠点空港であり、国でやっていただきたいと申し上げているが、国には、そうはいっても地元の空港、関西の空港であり、地元も支援して欲しいと言われている。
【知事】
地方のお金も国のお金も、元は税金。府民がこれだけ我慢し、厳しく住民サービスを切り詰めていこうとし、府職員の人件費も削減しようとしている。国はあれだけの負債があっても国家公務員の人件費を切り下げたということは聞いていない。府が2億円いくら出さないなら、国は90億円出さないというのが本当なのか、国に聞きに行きたい。
【にぎわい創造部】
国にも要望している。国会議員にも話をしている。知事自身、国会議員や関係者とお話いただき、その上でご判断いただきたい。21年度について、今ここで廃止するのではなく、知事自身で実際動いていただいてご判断いただきたい。
【知事】
経済界や他地域は、府が抜けるとばらばらになるということは、地域も経済界も本当は出したくないのか。関空を活性化し、関西を盛り上げようという自主的な気持ちはないのか。
【にぎわい創造部】
関空で一番メリットのある地元大阪府が抜けると、他地域の府民や県民に対し意義付けが立たない。決して嫌がっているわけではない。
【知事】
関空の活性化が自分達にもメリットがあれば出すはず。90億円をもらうためにやっているようにしか聞こえない。
【にぎわい創造部】
7億円は府民にメリットのある使い方をしている。連絡橋の通行の半分は府民が利用しており、その通行料の引下げなどに使っている。関空があることで外国のお客さんに大阪に来ていただいていることは、府民にとってもメリット。
【知事】
府から関空に、これまでいくらの税金が入っているのか。
【にぎわい創造部】
1期事業で出資金約400億円、2期事業で出資金約500億円、貸付金約500億円。
【知事】
貸付金はいつ戻ってくるのか。
【にぎわい創造部】
今順次返済が始まっている。
【知事】
利子は。
【にぎわい創造部】
無利子。
【知事】
利子分は補助ということですね。連絡橋の買取りの府負担はいくらか。
【にぎわい創造部】
今年度からで、65億円。
【知事】
要は府から965億円のお金が入っている。利用促進はいつまでするのか。
【にぎわい創造部】
今、関空の一番の問題は、財務構造の抜本的な改善。政府でも公式文書に挙がっており、今後具体のスケジュールに挙がってくる。財務構造の抜本的な改善で国際競争力ができると考えているので、その目途がつくまでがんばっていく必要があると考えている。
【知事】
関空が苦しい状況の原因はどこにあるのか。
【にぎわい創造部】
最初のフレームでは、伊丹空港は廃止で、神戸空港も想定されていなかった。伊丹、神戸の便数を関空に集中していればこんな経営状況になっていないが、これは現実に3つの空港があるのだから仕方がない。まずは1兆円の有利子負債で、これが解消しないと着陸料を高くせざるをえない。着陸料を高くしないとペイせず、仁川空港(韓国)のように安くはならない。高い着陸料のせいで仁川などに便を取られている。もう1つはアクセスの問題。湾岸線の高速料金や連絡橋の通行料が高い。
【知事】
アクセスは鉄道もある。貨物は高速料金も影響するが。主な問題は、やはり3空港と1兆円の有利子負債の2つ。私も国内線は伊丹を使う。1兆円の有利子負債を株式会社が負っている限り、利益が出ても利子に消えていく。2つのメインの問題が解決しないと、7億円出しても利用促進にならない。
【にぎわい創造部】
この1兆円の有利子負債こそ、国の責任で軽減してもらいたい。これはもう大阪府がどう頑張ってもできない。今後、成田空港の株式上場をするなり、国から桁はずれの支援を引き出さないといけない。そうは言うものの、やってくれる保証は無く、国の支援を引き出すためにも支援をして・・。
【知事】
有利子問題と発着料が高いこと。3空港問題があるし、この地元の7億円は、関空が活性化するための抜本的な経営改善につながるというものではなく、90億円を国から引っ張るためのお金か。どんな効果があるのか。
【にぎわい創造部】
一点は、国際空港の整備を国の責任として果たすことを訴えるため、地元としてしっかり汗をかいていることを示すため継続すべき。それともう一つは、この事業は17年度からやっているが、新規路線が開設される場合に、関空会社とともにエアラインに着陸料の助成をしている。それによって、・・。
【知事】
助成はいくらか。
【にぎわい創造部】
着陸料の20%相当額。新規路線は2年間。1年目20%、2年目10%。こういうインセンティブを示すことで路線を開設して欲しいと、エアラインにプロモーション活動をしている。
【知事】
3年目はなくなる。もともと発着料が高いのだから3年目を考えたら乗り入れないだろうし、20%や10%の助成が無くても、関空のメリットがあれば、来るところは来るのではないか。
【にぎわい創造部】
乗り入れのイニシャルコストが大きい。一定宣伝しないと客は定着しない。但し、いつまでも応援はできず、一定期間後は自らでする。
【知事】
「地元の汗」とは税金を出すことか。誰の汗か。国としてそう言われても違和感を覚える。国際空港を地元で抱え込まないといけないのか。国のハブ空港、基幹空港で、重要なインフラではないか。
【にぎわい創造部】
国際空港が地元にあることのメリットは、東京都でも羽田の国際線に1000億円の無利子貸付をしている。あの大東京都でも国際線があることのメリットを感じているからやっている。神戸でも空港が地元にあることはメリット。定量的には示せないが。
【知事】
それはそうだが、関空より伊丹に利便性を感じている府民の方が多いのではないか。
【にぎわい創造部】
伊丹の騒音問題をクリアするため、関空の構想が出てきた。
【知事】
どちらかというと関空より、国内線の伊丹にメリットを感じている府民の方が多いというのが僕の感覚。府民に関空のメリットを聞いてはどうか。
【にぎわい創造部】
空港のメリットとなるとは、直接の効果は関空を利用する方に限られる。開港の前と後で空港利用者数は急増していることから、空港は身近な存在になっている。空港が立地する効果で大きいのは、間接的、長期的な観点からの府民への効果と思う。例えば観光面では、大阪に中国、韓国、台湾から多くの観光客が来こられているのは、関空があるからで、大阪で宿泊し、消費もしてくれる。企業立地の面でも、2期事業のオープンがあったからシャープの立地が決まったと聞いている。物流機能に着目し、ベイエリアに多くの企業が集積し、大阪経済の活性化につながり、府民に還元されてきていると思う。府民1人1人は意識しにくいが、関空の立地効果を分かり易く府民に説明していきたい。
【知事】
分かった。その点は、そうだと思う。問題は7億円の地元の汗のかき方。関空も有利子負債がなければ着陸料を下げることができて、競争力を高められる。国は基幹空港として、1兆円の有利子負債を確実に解消してくれるのか。いつまでとか示されているのか。
【にぎわい創造部】
そこが今一番大事な時期を迎えている。昨年5月のアジア・ゲートウェイ構想で初めて政府の公式文書に「関空の財務構造の抜本的改善」ということが位置づけられた。国の財政も厳しい中で、ようやく公式文書に位置づけがなされた。交通政策審議会の航空分科会答申でも「抜本的改善」が謳われ、今後具体化されていく。
【知事】
いよいよ関空の抜本的問題である有利子負債の問題を、国が面倒みようかという時期に来ていると。いつまでに解消するのか。
【にぎわい創造部】
今後具体に。
【知事】
一番大事な時期ということだが、府は2億4600万円は苦しい。法人事業税も260何億円とられ、税財源の配分率もあるし、府で2億いくら出せと。2億4千いくらあるのなら、救命救急や障がい害者支援、警察署建替えなどに使わせて下さいと言っても、いや府が出さないのなら90億円出さないという態度なのか。これだけ切り詰めて、お願いしても。
【にぎわい創造部】
これはまさに政治の世界。アジア・ゲートウェイ構想にも最初は関空問題は入っていなかった。関空議連の運動や国家要望で入った。大きな政治の要素がある。
【知事】
理屈でなく大きな政治力の話か。大阪府職員のラスパイレス指数も最低にし、医療も障がい害者支援も福祉も高齢者対策も、何から何まで削っている中で、国の支援を取り付けるために税金を差し出さないといけないのか。それでも国がそうや、地元の汗として出せというのなら、もう白旗。出さないと言われたらしようがない。国からの補給金が止まると関空は回らない。シャープなどの問題もある。自分の政治力の無さとして、府民の皆さんには、皆さんの生活は切り詰めるが、関空で地元の汗を出さないといけないと説明するしかない。
【にぎわい創造部】
国家要望いただき、関西全体としても要望。いろいろなレベルがあるので、適切な時期で。
【知事】
国に、出さないといけないのか、僕が聞いてはだめか。こんなに削り倒しても国から地元の汗と言われたら仕方ない。
【にぎわい創造部】
皆でスクラムを組んでやっている。どういうフレームで、どんなシチュエーションがいいか相談させていただきたい。
【知事】
どこの自治体もしんどい。兵庫県も人件費を削減している。大阪が止めるのなら止めたいというのは、ちょっと国で考えてくださいよと言わせてもらいたい。それで大きな政治力が働いてだめになったら、府民には申し訳ないが、サービスを切り詰める説明をする。
【PT長】
国会議員や国交省と話を。
【知事】
皆さんに我慢してもらっているのに、地元の汗をかけと言われ、満額にするのは納得できない。それでも政治の世界でだめなら府民に説明する。
【にぎわい創造部】
いつ、どうやっていただくかは、また相談したい。
【知事】
その前に国に説明する機会を作ってください。府案に反映するか保留するか。
【にぎわい創造部】
6月5日には間に合わない。
【知事】
そこは、空白なり、国に説明した上でとか。
【PT長】
後で調整したい。
(観光振興事業について)
【知事】
にぎわい創造部がこれまで一生懸命やってきたことをまったく何か否定するものではないが、今の苦しい財政状況の中では、観光プロモーションよりも、魅力ある大阪づくりが必要。いくらプロモーションをかけても、大阪の魅力を感じてもらわないといけない。順序が逆。前回のPT議論の際に買い物が魅力と言われたが、大阪全体の魅力の出し方としてはどうか。今魅力の打ち出し方はどう考えているのか。
【にぎわい創造部】
これまで3年間集中して実施してきたが、効果が大きかったのは中国やアジアからの観光客が増えたことで、彼らのニーズが古いお寺を回ることではなく、都会へ行って買い物し楽しむことというのが現実。但し、現実の話とこれからの話は違う。これからは魅力づくりにも力を入れる。現に大阪に魅力はあるが、ただそれらはスーパースターではない。また魅力がたくさんあってもストリー性がない。各地でのいろんな活動も連携していない。府内各地の資源を発掘し、ストーリーをつくり、発信していく。
【知事】
どう組み立てるか。方向としてはプロモーション重視というより、大阪でしっかりした魅力づくり、地に足がついた魅力をつくっていくこと。魅力があれば今のインターネット社会では自然と広まっていく。生活文化部や都市整備部などとも連携して。私もミュージアム構想を出しているが、京都や神戸はある程度イメージができているが、大阪のイメージを広げるためにも再発見とか、いろんなところ、大阪全体をミュージアムというまとめ方をしながら、橋や近代建築も活用し、仕掛けをしながら魅力づくりをしていきたい。プロモーションから魅力づくりへ是非シフトしてほしい。
【にぎわい創造部】
一つ一つの資源に直接我々は支援はできないが、それぞれで頑張っておられる、まずそういう人たちを応援し、コーディネートし、そして全体を府が発信する。観光コンベンション協会や21世紀協会のこれまでの映像などのストックがあるので、ホームページを作るにしてもこれらを活用していきたい。
【知事】
プロモーションを否定しているわけではないが、魅力がなければプロモーションをかけても意味がないと思う。
(大阪府国際交流財団について)
【にぎわい創造部】
国際交流財団は平成元年に設立されて以降、予算や事業執行など、我々としては協議をして進めてきたし、基本財産を取り崩す場合も知事の承認を得るなど、府としては必要なコントロールを行ってきた。しかし、府とは別人格であり、一方的に解散させたり、基本財産を府に償還させることは難しい。先日財団理事長とお話いただいたように、理事長といえどもその権限はなく、13名いる理事の4分の3以上である10名以上の同意をいただかないと。直ちに解散は難しい。財団は、民間のお金も入っているので、存続はするが、府でできる事業は府で実施する、府からの出向職員は引き上げ、現在地から出て行ってもらっても結構というように、抜本的見直しをお願いし、その結果どれだけのものが必要か精査していただく。基本財産を縮減し、その剰余金を府に返還してもらうべく理事会に要請し、協力を求めたい。
【知事】
先日黒川理事長と話をしたが、価値観の違いというか世代の違いというか話にならない。部長にお任せする。府の財政が厳しい折、お金を返してもらい、それを国際交流事業以外に充てるつもりはない。国際交流事業は実施するが、財団ではなく、にぎわい創造部でやってほしい。法律上強制的に返還請求できないことは承知している。部長から府民の感覚で説明してほしい。にぎわい創造部でも国際交流事業をできます、やりますと説明してもらって、財団と話を進めてほしい。廃止という言葉を使っていいものかどうか、こちらに強制力はないが。
【にぎわい創造部】
理事長といえども権限はない。理事会で納得いただかないと進まないので、我々は一生懸命やる。その結果は知事に報告する。
【知事】
にぎわい創造部で国際交流事業できますよね。
【にぎわい創造部】
できます。
【知事】
財団の方が、国際交流事業についてはるかにできるということはないでしょう?
【にぎわい創造部】
基金の運用については府でするより利回りがいい。奨学金も引き続き出しているとかの事情もあり、そこを細かく見ていく。
【にぎわい創造部】
財団は、企業の会員収入が年約1000万円、また国の関係団体などからの委託金や補助金収入が年約1000万円、それと運用益でやっている。財団としてやる事業をどう整理するか。財団の形でやった方が効果的な事業もあるので精査する。府からの出向職員を引き上げ、全体の運営コストを下げ、それを賄える基本財産がいくらかを逆算していって、その分をある程度府にお返しいただくよう要請していきたい。廃止という形ではなく、理事の方の了解を得ていきたい。
【知事】
にぎわい創造部で国際交流事業をやりたいのでよろしくお願いします。
<以上>
※聞き取りにくい箇所があったため、発言内容は一部不正確なところもありますが、ご了承下さい。