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平成23年度第7回大阪府戦略本部会議 議事概要【議題1】
議題1 大阪府債の発行管理に関する基本的な考え方について
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資料2 大阪府債の発行管理に関する基本的な考え方について |
大阪府債の発行管理に関する基本的な考え方について(PDF:145KB) | 大阪府債の発行管理に関する基本的な考え方について(PPT:186KB) |
参考資料 大阪府債の発行管理に関する基本的な考え方及び事務取扱指針 | 大阪府債の発行管理に関する基本的な考え方及び事務取扱指針(PDF:194KB) | |
参考資料 府債発行計画案 | 府債発行計画案(PDF:68KB) | 府債発行計画案(エクセル:48KB) |
参考資料 財務マネジメントに関する調査分析報告書 | 財務マネジメントに関する調査分析報告書(PDF:1,779KB) |
※総務部から資料に基づき説明。
【政策企画部長】
短期金利と長期金利では、短期金利の方が低いのが通常。今回、変動金利の導入という新しい方針を立てて、短期金利のメリットを享受しようということだが、逆に言えばリスクもある。考えられるリスクについて説明を。
【総務部】
変動金利であれば、例えば、5年の期間で借りても、金利を半年ごとで見直すことになる。その際の金利上昇リスクが挙げられる。一方で、長期のものを借りれば、金利が変わらないが、逆に言えば金利を変えられないとも言える。例えば、10年の期間、固定金利で借りると、その間に金利が下がっても、10年間高い金利を払い続けなければならないこともリスク。バランスよく持っていくことが重要。
【政策企画部長】
- 今の話は、国もどの地方自治体も理解しているはず。ではどうして、他の公債発行主体はそのことを積極的にやってこなかったのか。
- 我々の知っている常識では、強い債券発行体は、プライムレート、つまり、低い金利で長期の資金を調達することができる。弱い発行体は、変動金利で対応をする。金利スワップという取引もそういう市場の特性があるからできる。大阪府という発行体の力が強いのであれば、安い金利で長期の資金を調達するというメリットを享受しているはず。
【総務部】
- 各府県でも、短期債や超長期債を組み合わせながら調達するという動きは既にある。大阪府は、きちんと有識者の委員会を設けて整理しているところが他府県と異なるところ。
- 国・地方を通じて公的セクターの起債残高が非常に増えているが、国においても、国債を短期や超長期で借りるなど、様々な取組みを行っている。
- 府は、公的セクターの中では、必ずしも強いところでないことも事実だが、公的部門として大きく起債を抱えている中で、こういう取組みが必要である部分と、金融市場において、金融手法自体がさまざまに進化している中で、こういった取組みが必要になっているという両面があると認識。
【政策企画部長】
日本の自治体では地方財政措置がある。大阪府でも、臨財債を含めて、交付税で償還を算入されるという起債が多い。そういったものは、変動債を導入したときに、発行後の金利上昇で、地方財政措置との関係で、逆ザヤを生じることはないのか。
【総務部】
- 理論的にはありえる。したがって、短期の調達に大幅に振れるということではなく、短期・長期・超長期まで含めたポートフォリオをもって、その中で、総金利負担の低減が図れるように取り組んでいくという考え。
- 交付税算定の中で、元金の償還と、一定の利子相当額が、基準財政需要額に算入される。算入率は、臨財債の100%から庁舎を建てる場合の0%まで様々。一方で、基準財政需要額に算入された額よりも利払いの低減が図れれば、その部分が他の財政需要に充てられる。
【政策企画部長】
こういう方針を作って現実に発行・オペレーションしていく際、裁量の範囲はどうか。すなわち、どんな場合にこの方針を実行し、どんな場合にやめていくか。例えば、常識的に考えれば、長短の金利がイーブンであれば、たぶんやらないのではないか。
【知事】
特に、やめるときのルール、基準はどう考えるのか。短期で、例えば半年ごとで判断するものでもないと思う。長期を見て組むわけだから。
【総務部】
長期金利と短期金利の差がこう縮まったらやめる、などの機械的に明確なルールづけを行うことは難しい。一般的な金利の変化を著しく超えるような金利の状況、長期・短期の金利の差がいびつな状態になった時は、判断権者のもとで、今回、短期の変動債の発行限度を全体の10%としたとしても、当分の間はやめておこうといった機動性は必要。ましてや、震災やリーマンショックのときのような状態であれば、やろうと思っても無理。その時々の判断をしていくしかない。
【知事】
たとえば、金利が上昇傾向の時はどうか。
【総務部】
その場合、通常は、20年ものの固定金利と2年ものの変動金利がかなり近づいてくるというような状況になる。
【知事】
大きな組織なので、今担当しておられる方から引き継がれていったとき、10%という話でずっと継続していくままになってしまうことはないか。必要に応じて、資金管理の現場から、財務マネジメントを見直すような警告を出すなどの仕組みを持っておく必要があるのではないか。
【総務部】
- 判断をする基礎として情報収集。それを分析する専門家が必要だと思う。東京都では、単独の課で対応している。
- 一方で、府のように、その組織が財政課の中にあるというのは、資金管理だけではなく財政運営全体の話として、中で一緒にやるというメリットはある。ただし、こういうことに取り組んでいる自治体は、特別のチームを設けていることが多い。そのうえで、全体の財政運営として、きちんと知事とも議論をしたうえで迅速に決めていく必要がある。
【知事】
まさにガバナンスの問題。どういうときに知事まで判断を求めるのか。
【総務部長】
まずは、「基本的な考え方」4ページにあるように、前年度の決算見込額公表にあわせて、毎年点検する。また、点検をしたうえで、割合の見直しは必要に応じてする。あと、金融機関の専門家の意見を随時聴取していくことになる。
【木村副知事】
- この取組みはチャレンジングでおもしろい。どんどんやるべきだと思う。
- 過去の府債発行で、10年前から変動金利を導入していたらどういう効果が出ていたのだろうか。
【総務部】
過去からの効果ということでは数字はもっていないが、23年度の発行計画ベースで、1割を変動債等で発行したとしたら、ざっと、年間で4億円くらいの利払い差がある。10年の年限で発行すると、金利は年1.1%から1.2%くらい。5年債で0.4%。2年債では0.2%くらいの水準。10%を、2年債で発行すれば、差し引き4億円強の利払いの減が発生する。ただし、当然、2年後に借換する際の金利がどうなるかを考えなければならないが。
【木村副知事】
10%といわず割合を増やして、チャレンジングにしたらどうか。
【総務部】
- 既に、大阪府でも、6兆円程度の起債全体のうち、5%、3000億円くらいは変動で持っている。方針としてはなかったが、その時々の努力はしている。これを、事前にルールを決めてやっていきたい。
- 経済が成長局面で継続するときは、変動債の発行割合が20~25%でも大丈夫だろうが、今は、東日本大震災の影響がどう出るかわからないということ、また全体として人口減少にあるという局面を考えると、これまでのトレンドがそのまま将来にわたって妥当するかどうかは懐疑的な部分もある。ただ一定、利払いの低減という現実的なメリットも勘案して、10%まではやってもいいのではないかと考えている。20~25%という理論値通りに将来いくかどうかわからないということもあり、少し様子を見てみて、今後ブラッシュアップをしていこうというもの。
- この部分については、有識者委員会や金融機関の方々にヒアリングして、出だしとしては妥当な水準ではないかという評価をいただいたところ。
【木村副知事】
最終のオーソライズは議会の承諾か。
【総務部】
予算書の中で、起債の金額や発行方法とあわせて、借入金利の上限を記載している。変動金利の府債の発行割合に10%というキャップをかけるかどうかを含めて、来年度の予算編成の作業の中で、どういう議決の取り方をするかを考えていく。
【知事】
テクニカルなことだが方針を決めてもらったので、これで起債のマネジメントをしっかりやってもらいたい。
【政策企画部長】
基本的な考え方は原案で了承。