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平成26年度環境調査結果
平成26年度 干潟環境現況調査結果抜粋
調査地点
水質調査
- 水温は表層及び底層共に概ね干潟内(St.2)で高くなった。干潟開口部に設置される濁水防止膜(遮蔽)や、土砂搬入で干潟内が浅場になっていることから、温まりやすくなっていると考えられる。
- 塩分は、全体的にSt.2(干潟内)の方がSt.1(干潟外)の方が低い結果となり、河川水の流入が示唆された。
- 溶存酸素量は、干潟内、干潟外とも6月や8月の高温期に底層で低くなった。この傾向は例年と同様であり、成層の発達により水の鉛直方向の循環が抑制され、底層への酸素供給が低下したためと考えられる。
- 干潟内(St.2)底層の溶存酸素量について、平成17年以降の高温期は、特に低くなりやすい傾向が見られた。当調査水域に最寄りの大阪湾水質調査地点(大阪府実施の水質調査地点;S-1堺7-3区沖)においても、平成17年以降、下層の溶存酸素量が小さくなる同様の傾向があり、周辺水域全体で減少していたことが考えられる。しかし、干潟造成工事の進行により干潟内の閉鎖性が高まっていた時期とも一致しており、工事の影響を否定することはできない。
- 今後、干潟が完成することで、干潟内の容量の減少し、水の回転率が上がり水質は改善に向かうと思われるが、工事期間中においては、これまでどおり汚濁防止膜が設置されるため、しばらくはこのような状態が続くと考えられる。したがって、今後も引き続きモニタリングを実施し、その推移に注視していくことが重要である。
図1:干潟内(St.2)の底層における溶存酸素の推移
付着生物調査
目視観察
- 目視観察による出現種数は、植物および動物共に既設護岸(St.C)より石積堤(St.A、B)で多くなる傾向が見られた。
- 植物の調査時期別出現種数は、6月および2月で多くなる結果となっており、これまでの傾向と類似している。
図2:目視観察の確認種数の推移
枠取り調査(植物)
- 枠取り調査の植物は、8月および11月に減少するのが認められたが、その後2月に回復が見られ、概ね例年並みの水準となっている。優占種については、各調査時期で最も優占する種は異なるが、ススカケベニやシオグサ属、イトグサ属など紅色植物が優占的であった。
- 植物の変遷は、年変動、季節変動とも大きいが、平成14年度以降は周年を通してハネグサ属やイギス科(イトグサ属)等の遷移初期に見られる小型紅色植物が多い。本年度調査もその傾向となっている。これらの植物は、発生期の着生環境が群落形成に反映されやすく、変動が大きい特性を持つため、今後も同様の変動が続く可能性がある。
図3:枠取り調査における付着植物の経年変化
注)出現種数の変動幅が大きく感じられるが、3から20種と上下の差が小さい中での変動である。
枠取り調査(動物)
- 枠取り調査の動物は、調査期間を通じて種数が減少している。今年度調査の中でも低い水準となった。優占種については、ムラサキイガイやウスカラシオツガイが個体数、湿重量共に優占していた。
- 付着生物は、植物と動物で季節的ごとの傾向が一部異なる。植物については、出現種数は平成22年度から増加傾向が見られる。
図4:枠取り調査における付着動物の経年変化(個体数)
魚介類調査
- 土砂搬入で干潟内が浅場となったため、本年度調査は干潟外(ラインD)のみを実施した。
- 6月調査ではマルスダレガイ、ゴカイ、マルバガニ等5種17個体が採取された。しかし、8月調査では魚介類は確認できず、その後11月および2月調査においても、ガザミ等が採取された程度で、全体の個体数としては少ない。
- これまでの調査でも、高温期に採取される魚介類は少なく、本調査でもこれに変わりはない。経年的に見ても近年は特に低い水準となっている。
- 魚介類が少ない傾向は平成21年度から平成22年度に顕著であり、その要因として、干潟形成のために実施される土砂搬入が、その場に生息する生物に一時的なインパクトを及ぼしたことが考えられる。
図5:魚介類の経年変化
注)St.E(干潟内)は干潟整備によって浅場となったため、平成23年度の8月以降は調査を行っていない。