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大阪府救急搬送支援・情報収集・集計分析システム(ORION)について
ORIONの概要
平成21年5月1日に公布され、平成21年10月30日に施行された「消防法の一部を改正する法律(平成21年法律第34号)」により、改正された消防法(昭和23年法律第186号)において、都道府県は、「消防機関による救急業務としての傷病者の搬送及び医療機関による当該傷病者の受入れの迅速かつ適切な実施を図るため、傷病者の搬送及び傷病者の受入れの実施に関する基準」を定めることが義務付けられ、平成22年12月に「大阪府傷病者の搬送及び受入れの実施基準」を策定しました。
(「大阪府傷病者の搬送及び受入れの実施基準」は、こちら。(別ウィンドウで開きます))
実施基準策定後、現場に出動した消防機関の救急隊は、書面の実施基準を基に搬送先医療機関を選定する必要があり、平成24年当時の大阪府内においては、年間搬送人員が約55万人(※)を超える救急搬送事案が発生しており、救急隊の負担軽減が課題としてありました。
さらに、実施基準を適正かつ有効に機能させるためには、実施基準がルールどおりに運用されているか、また、実施基準により傷病者が適切な医療機関に搬送され、適切な医療を受けることができているか等をデータで分析・検証していくことも必要となってきました。
そのため、大阪府においては、救急隊の搬送先医療機関選定の利便性を高めて負担を最小限にするとともに、分析・検証を行うために必要となる病院前と病院後の救急搬送データの電子化・収集を可能とする「大阪府救急搬送支援・情報収集・集計分析システム(ORION)」(※)を開発し、平成25年1月1日よりシステムの運用を開始しました。
(※)ORION = Osaka emergency information Research Intelligent Operation Network system
救急現場では(搬送先医療機関の選定)
救急現場の救急隊が傷病者を観察し、スマートフォンにインストールしたORIONアプリに、傷病者の病態等を入力することにより、実施基準に基づいた適切な搬送先の医療機関リストが表示されます。
原則的に、救急隊はこの医療機関リストをもとに、医療機関へ傷病者の受入要請を行い、搬送を行っています。
(※)救急現場の救急隊は、上記のように、スマートフォンを活用して、傷病者の搬送先医療機関の選定・受入要請の連絡を行っています。
ORIONで収集したデータによる分析 NEW
- ⑴ORION基幹データの公表について
大阪府では、ORIONにおいて収集したデータ(ORIONデータ)を分析し、府内の救急搬送状況に関する基礎的なデータ(基幹データ)を公表しています。
※基幹データは、事案情報、救急活動記録及び患者情報が紐づけられ、処理を行ったクリーニング後のデータを分析対象としています。 - ⑵ORIONデータ利活用等検討ワーキンググループについて
ORIONデータの円滑な利活用等のあり方について協議・検討し、大阪府の救急医療体制の充実強化を図ることを目的として、大阪府が「ORIONデータ利活用等検討ワーキンググループ」(以下「ワーキンググループ」という。)を設置しています。
ワーキンググループが行うORIONデータの解析結果を踏まえ、今後の大阪府の救急医療行政の推進に活かしていきます。
ワーキンググループによる、新型コロナウイルス発生と救急医療体制・救急患者への影響に関する解析(2019年 対 2020年)
大阪府における新型コロナウイルス感染拡大が救急医療体制・救急患者に及ぼした影響について、ワーキンググループにおいてデータ分析し検証を行いました。分析対象は2019年1月1日から2020年12月31日の間に、本府内の消防機関が本府内の救急告示医療機関に搬送した傷病者のうちORIONに登録された者とし、各Clinical Question(CQ)について解析を行いました。
- 新型コロナウイルス感染症の蔓延が、救急医療体制および救急搬送傷病者に与えた影響 Part1(PDF:4,608KB)
- 新型コロナウイルス感染症の蔓延が、救急医療体制および救急搬送傷病者に与えた影響 Part2(PDF:7,573KB)
ワーキンググループによる、新型コロナウイルス感染症の蔓延が救急医療体制および救急搬送傷病者に与えた影響に関する解析(2019年 対 2021年)
前回(2019年 対 2020年)に続き、データ分析を行いました。分析対象は2019年1月1日から2019年12月31日までと、2021年1月1日から2021年12月31日の間です。
顕著な結果が現れている事項は、以下の通りです。
- 救急搬送された傷病者数は約1割減少しましたが、大阪府全域における入電から病着までの時間が平均178秒、現場滞在時間が平均161秒延伸していました。また、圏域外搬送についても年間でその割合が増加していました。
- 「酸素飽和度が92パーセント未満である」、「37.5度以上の発熱がある」及び「主訴が呼吸苦である」の3症状のいずれかの症状を有する新型コロナウイルス感染症関連症状の傷病者にかかる救急搬送状況について、搬送連絡回数、現場滞在時間及び搬送困難割合のいずれも増加・延伸しており、また、入院後21日時点での死亡数も増加していました。
- 院外心停止症例について、症例全体で病院前における自己心拍再開、一か月生存及び神経学的予後良好の症例数がいずれも低下しており、また、新型コロナウイルス感染症の類似症状でない消化器疾患において搬送困難事案が増加していました。さらに、急性腹症における赤1(「大阪府傷病者の搬送及び受入れの実施基準」において極めて緊急性が高く、緊急に搬送する必要がある症例)が増加していました。
報告書 一括ファイル
報告書(ワード:16,181KB) 報告書(PDF:29,230KB)
報告書 個別ファイル
Part1;救急医療体制全般への影響 Category(1)救急医療体制に与えた影響
- CQ1 救急医療体制全般(搬送件数、事故種別件数、転帰等)(PDF:441KB)
- CQ2-1 救急医療体制(応需率、圏域内搬送率)(PDF:5,950KB)
- CQ2-2 救急医療体制(緊急度、現場滞在時間、転帰等)(PDF:7,026KB)
Part2;各病態および特殊背景因子をもつ患者への影響 Category(2)緊急性の高い病態の患者に与えた影響
- CQ3-1 Out of Hospital Cardiac Arrest(病院外心停止:全般)(PDF:222KB)
- CQ3-2 Out of Hospital Cardiac Arrest(病院外心停止:市民要因が与える影響)(PDF:1,425KB)
- CQ3-3 Out of Hospital Cardiac Arrest(病院外心停止:救急隊要因が与える影響)(PDF:2,114KB)
- CQ3-4 Out of Hospital Cardiac Arrest(病院外心停止:小児(特殊な背景))(PDF:478KB)
- CQ4 心・脳血管疾患(PDF:266KB)
- CQ5 消化器疾患(PDF:751KB)
- CQ6 自損(PDF:842KB)
- CQ7 外傷(PDF:283KB)