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初めてのファシリテーター 参加体験型学習(ワークショップ)を進めるために 2.学習を企画する
参加体験型学習(ワークショップ)を進めるために
- (1)学習の目標を設定する
参加体験型学習は、その学習を通じて参加者とともに考えたいことや、めざしたい目標を設定することが必要です。対象者や学習が行われる場によって、どのような人権問題に関する理解や態度、技能を身につけていくのか、どのような取り組みに生かしていきたいのかを決めます。そして、それを学習の最初に参加者と共有しましょう。 - (2)参加者を知る
学習の参加者がどのような人なのかをつかんでいくことが必要です。子どもなのか、おとななのか、性別の割合、これまでどのような学習や取り組みをされてきたのかなどによって、参加者が何を考え、何に悩み、何を学びたい(ニーズ)と思っているかなどを推し量ることができます。それによって学習の目標を考えていきます。 - (3)参加人数
参加体験型学習では、参加者が意見を出し合ったり作業をするために、ペアやグループになります。人数が多すぎると十分意見が出せなかったり、参加者間の交流が十分にできない可能性があります。またファシリテーターが、参加者を十分に把握できないということにもなります。逆に人数が少ないと、いろいろな意見が出されないので、学習の深まりが期待できない場合もあります。目安として、20から30人程度が進めやすいでしょう。 - (4)学習の流れ(プログラム)を考える
学習のテーマにそって、アクティビティを組み合わせていきます。組み合わせは学習の目標に到達することができるように、系統立てたものにします。人権課題への「気づき」から、社会で自分がどんな「行動」ができるかをたいとくする内容が必要でしょう。また学習では、自らの考えを相手に過不足なく伝え、相手の話もきちんと聴く中で、問題を解決する力をつけることが必要となります。そのためのスキルを身につけられるよう配慮したプログラムとなっているとなおよいでしょう。 - (5)プログラムを作る
- アイスブレーキング
参加者の緊張や固い雰囲気を柔らかくし、意見を出しやすくしたり、作業を行いやすくするためのアクティビティをアイスブレーキング(「氷を砕く」の意味)といいます。アイスブレーキングには、学びの場を暖めるという効果の他に、学習を進めていくためのニーズ調査の役割も果たす場合があります。
方法は簡単なゲームや意見のやりとりなどさまざまです。学習の最初に入れるほか、学習の途中でいれたりもします。 - 「わたし」「あなた」「みんな」を柱にプログラムを組む
学習後の日常生活とも結びつく内容となる工夫として、「わたし」「あなた」「みんな」を柱にプログラムを組むことが有効です。
「わたし」では、まず自分への認識を深め、自己肯定感情や自尊感情を育てます(自分の権利への認識も含む)。「あなた」では、相互理解や自他の尊重を、それを実現するスキルも含めて学びます。「みんな」では、社会へと視野を広げ、課題の解決策を考え、未来への展望を考えることのできる内容とします。 - ふりかえりにより意見や考えを共有する
アクティビティを進めた後、参加者がどう感じたのか、何に気づいたのかを自分自身でふりかえり、再確認します。それを参加者の間で紹介しあったり、発表することで、さまざまな意見にふれることができます。そのことによりアクティビティでの体験が整理され、本当に大切にするべきことを参加者全体で共有することができます。
- アイスブレーキング