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V 水稲の病害虫防除
水稲 その3(本田防除ー害虫)
イネミズゾウムシ
留意事項
1 アメリカからの侵入害虫。成虫で越冬し、春に入水すると水田に侵入してくる。
2 成虫は葉を白い筋状に食害する。幼虫は土中で根を食害し被害が大きい。
3 成虫は移動範囲が広いので、地域で一斉防除を行うことが必要。
4 パック剤や投げ込み剤は藻類やウキクサが多発している水田では薬剤の拡散が妨げられるので注意。
防除方法
1 越冬世代成虫の侵入が集中しないように周囲の水田より極端な早植えを避ける。
2 幼虫の根の食害で特に株張りが悪い場合は、予備苗による補植を行うほか、浅水管理し、再発根を促す。
3 本虫に登録のある防除薬剤を育苗箱施用する。(詳しくは箱施用剤適用病害虫一覧表のページを参照)
4 越冬世代成虫の発生が多い場合には6月上~中旬に下記のいずれかの薬剤を本田施用する。
・トレボン粒剤 <3A>【2~3kg/10a 21日/3回】
・なげこみトレボン <3A>【水溶性容器4~6個(200~300ml)/10a 5葉期以降(21日)/3回】
・スタークル粒剤、アルバリン粒剤 <4A>【3kg/10a 7日/3回】
イネドロオイムシ
留意事項
1 自分の糞を背中に背負った幼虫(その姿からドロオイムシと呼ばれる)がイネの葉上で白い筋状に食害する。イネミズゾウムシの食痕より太い。
2 成虫も同様にイネの葉を食害する。正式名はイネクビボソハムシ。
3 山間の涼しい地域の水田で発生する。イネミズゾウムシと異なり、幼虫は地中ではなく葉上にいるので根は食害しない。成虫で越冬する。
4 パック剤や投げ込み剤は藻類やウキクサが多発している水田では薬剤の拡散が妨げられるので注意。
防除方法
1 本虫に登録のある防除薬剤を育苗箱施用する。(詳しくは箱施用剤適用病害虫一覧表のページを参照)
2 越冬世代成虫の発生が多い場合には6月上~7月中旬に次のいずれかの薬剤を施用する。
・トレボン粒剤 <3A>【2~3kg/10a 21日/3回】
・なげこみトレボン <3A>【水溶性容器4~6個(200~300ml)/10a 5葉期以降(21日)/3回】
・スタークル粒剤、アルバリン粒剤 4A【3kg/10a 7日/3回】
ツマグロヨコバイ
留意事項
1 成虫、幼虫がイネを直接吸汁加害するだけでなく萎縮病ウイルスを媒介する。
2 多発時には、7月中下旬または8月中下旬に1~2回防除を行う。
3 農薬散布時は株元まで十分に薬剤がゆきわたるように行う。
4 多発地帯では共同防除など広域防除が効果的である。
5 投げ込み剤は、藻類やウキクサが多発している水田では薬剤の拡散が妨げられるので注意。
防除方法
1 冬~春期に畦畔の雑草を刈り取り、越冬密度を下げる。
2 密植を避け、通風を良好にするとともにチッソ質肥料の過用を避ける。
3 本虫に登録のある防除薬剤を育苗箱施用する。(詳しくは箱施用剤適用病害虫一覧表のページを参照)
4 発生が多い場合は下記の薬剤を施用する。
・トレボン粒剤 <3A>【2~3kg/10a 21日/3回】
・トレボン乳剤 <3A>【1000~2000倍 14日/3回】
・なげこみトレボン <3A>【水溶性容器入り10個(50ml)/10a 5葉期以降(21日)/3回】
・スタークル粒剤、アルバリン粒剤 <4A>【3kg/10a 7日/3回】
・エクシード粉剤DL <4C>【3kg/10a 7日/3回】
・エクシードフロアブル <4C>【2000倍 7日/3回】
・エミリアフロアブル <4F>【1000倍 7日/2回】
ヒメトビウンカ
留意事項
1 吸汁による直接害よりも、縞葉枯病の媒介による被害の方が大きい。
2 縞葉枯病は6月下旬~7月上旬の感染が多いので、この時期のヒメトビウンカの防除を徹底する。3 主に4齢幼虫が雑草中で越冬し、春先にイネ科雑草や麦畑で越冬世代成虫となり繁殖し、その子である第1世代成虫が苗代や田植直後の水田へ飛来し加害する。
4 秋にひこばえでも繁殖するため収穫後、できるだけ早く耕うんし、ひこばえを無くす。
防除方法
1 冬~春期に畦畔の雑草を刈り取り、越冬密度を下げる。
2 密植を避け、通風を良好にするとともに、チッソ質肥料の過用を避ける。
3 ウンカ類に登録のある防除薬剤を育苗箱施用する。(詳しくは箱施用剤適用病害虫一覧表のページを参照)
4 発生が多い場合は下記の薬剤を散布する。
・アプロード水和剤 <16>【ウンカ類幼虫 1000~2000倍 7日/4回】
・スタークル粒剤、アルバリン粒剤 <4A>【ウンカ類 3kg/10a 7日/3回】
・トレボン粒剤 <3A>【ウンカ類 2~3kg/10a 21日/3回】
・エクシード粉剤DL <4C>【ウンカ類 3kg/10a 7日/3回】
・エクシードフロアブル <4C>【ウンカ類 2000倍 7日/3回】
・エミリアフロアブル <4F> 【ウンカ類 1000倍 7日/2回】
セジロウンカ(夏ウンカ)、トビイロウンカ(秋ウンカ)
留意事項
1 セジロウンカ、トビイロウンカとも国内では越冬できず、常発しているベトナム北部から中国大陸経由で日本に飛来する。6月下旬~7月中旬の梅雨時期に下層ジェット気流に乗って飛来することが多い。
2 発生予察情報に注意し、早期発見・早期防除に努める。
3 セジロウンカの多発時には7月中旬~8月上旬に1~2回本田防除が必要である。8月下旬以降は水田から移出することが多く被害は少なくなる。
4 トビイロウンカの多発時には8月上旬~9月中旬に1~2回本田防除が必要である。
5 農薬散布は株元まで十分に薬剤が行き渡るように行う。
6 投げ込み剤は、藻類やウキクサが多発している水田では薬剤の拡散が妨げられるので注意。
7 近年、従来の薬剤に対する薬剤抵抗性個体群が飛来して問題になっている。
防除方法
1 過繁茂はウンカ類の増殖を助長するので、密植を避け、通風を良好にするとともにチッソ質肥料を過用しないこと。
2 ウンカ類に登録のある防除薬剤を育苗箱施用する。(詳しくは箱施用剤適用病害虫一覧表のページを参照)
3 7月以降本田で発生が見られたら下記の薬剤を散布する。
・エクシード粉剤DL <4C>【ウンカ類 3kg/10a 7日/3回】
・エクシードフロアブル <4C>【ウンカ類 2000倍 7日/3回】
・エミリアフロアブル <4F>【ウンカ類 1000倍 7日/2回】
・オーケストラ粉剤DL <->【ウンカ類幼虫 3~4kg/10a 7日/3回】
・オーケストラフロアブル <->【ウンカ類幼虫 1000倍 7日/3回】、高濃度少量散布【ウンカ類幼虫 200倍 25L/10a 7日/3回】
・スタークル粒剤、アルバリン粒剤 <4A>【ウンカ類 3kg/10a 7日/3回】
・スタークル豆つぶ <4A>【ウンカ類 250~500g/10a 7日/3回】
・スタークル粉剤DL、アルバリン粉剤DL <4A>【ウンカ類 3kg/10a 7日/3回】
・スタークル顆粒水溶剤、アルバリン顆粒水溶剤 <4A>【ウンカ類 3000倍 7日/3回】
・トレボン粒剤 <3A>【ウンカ類 2~3kg/10a 21日/3回】
・パダントレボン粒剤L 劇 <3A> <14>【ウンカ類 3kg/10a 30日/3回】
・トレボン粉剤DL <3A>【ウンカ類 3~4kg/10a 7日/3回】
・トレボン乳剤 <3A>【ウンカ類 1000~2000倍 14日/3回】
・アプロードパダン粒剤 劇 <14> <16>【ウンカ類幼虫 3~4kg/10a たん水散布30日/4回】
ニカメイチュウ(ニカメイガ)
留意事項
1 近年は発生量が減っているが、重要害虫である。幼虫がイネの茎内に食入して穂枯れを起こす。枯れた白穂を引っ張ると簡単に抜け、下部に食害があれば本虫の食害を疑う。
2 発蛾最盛期
越冬世代成虫:5月下旬~6月上旬
第1世代成虫:7月下旬~8月中旬
第2世代幼虫はイネ茎内でそのまま越冬する。
3 中山間地帯など田植えの特に早い地域では、発蛾最盛期が早くなるので防除時期を早める。
4 有機リン剤抵抗性が一部地域で発生しているので注意する。
防除方法
1 早植えを避ける。
2 チッソ質肥料の過用を避ける。
3 第2世代幼虫がおもに被害わら内で越冬するので、多発年には翌年のために冬期に耕起したり、わらの処分をする。
4 越冬世代成虫が産む第1世代幼虫の防除のために本虫に登録のある防除薬剤を育苗箱施用する。(詳しくは箱施用剤適用病害虫一覧表のページを参照)
5 発生が多い場合には、越冬世代発蛾最盛期からその後10日~14日後と第1世代発蛾最盛期から7日後頃に下記のいずれかの薬剤を散布する。
・パダン粒剤4 劇 <14>【3~4kg/10a 30日/6回】
・パダンSG水溶剤 劇 <14>【1500倍 21日/6回】
・トレボン粒剤 <3A>【第1世代 3kg/10a 21日/3回】
・スタークル粒剤、アルバリン粒剤 <4A>【3kg/10a 7日/3回】
イネツトムシ(イチモンジセセリ)
留意事項
1 ふ化した幼虫は葉を筒状に丸めて中に潜み、夜間に食害する。成長すると葉を数枚綴り合わせて苞(つと)を作り、中に隠れている。
2 年3~4回発生し、暖冬の年に発生が多い。
3 若齢期防除に努める。
防除方法
1 チッソ質肥料の過用を避ける。
2 本虫に登録のある防除薬剤を育苗箱施用する。(詳しくは箱施用剤適用病害虫一覧表のページを参照)
3 発生が見られたら下記の薬剤を幼虫発生期(7月下旬~8月上旬)に散布する。
・パダン粒剤4 劇 14【3~4kg/10a 30日/6回】
・パダンSG水溶剤 劇 14【1500倍 21日/6回】
・トレボン粉剤DL 3A【4kg/10a 7日/3回】
コブノメイガ
留意事項
1 府内では越冬できずセジロウンカ、トビイロウンカと同様、下層ジェット気流に乗って毎年梅雨期に中国大陸から飛来する。年による発生量の変動が大きい。
2 幼虫が1枚の葉を縦に綴って中に潜み、夜間に薄皮一枚を残してかすり状に食害する。食害痕は白くなり目立つ。
3 発蛾最盛期
飛来世代成虫:6月下旬~7月中旬
第1世代成虫:7月下旬~8月中旬
第2世代成虫:8月下旬~9月中旬
4 被害が多いのは第2世代幼虫期の8月上旬~中旬及び第3世代幼虫期の9月上旬~中旬。
防除方法
1 チッソ質肥料の過用で葉色が濃い水田は周囲に比べて成虫が集中して産卵し、被害が大きくなるので注意する。また、一枚の水田の中でも葉色の濃い部分に被害が集中する。
2 飛来世代が産む第1世代幼虫を防除するために本虫に登録のある防除薬剤を育苗箱施用する。(詳しくは箱施用剤適用病害虫一覧表のページを参照)
3 発生が多い場合は発蛾最盛期に下記の薬剤を散布する。老齢幼虫には薬剤の効果が薄いので、若齢幼虫期を狙って散布遅れのないようにする。止葉の被害率が2~3割以上になると減収する。
・パダン粒剤4 劇 14【3~4kg/10a 30日/6回】
・パダンSG水溶剤 劇 14【1500倍 21日/6回】
・トレボン粉剤DL 3A【3~4kg/10a 7日/3回】
・トレボン乳剤 3A【1000倍 14日/3回】
フタオビコヤガ(イネアオムシ)
留意事項
1 密植、過繁茂でチッソの効いた高湿度の水田に多発する。
2 幼虫は緑色のイモムシでイネの葉を初期にはかすり状に食害し、大きくなると不規則に食害し、イネの見た目がボロボロになる。
3 終齢幼虫はイネの葉を2~3折りに折りたたんで苞を作り、中で蛹になる。
4 苞は切り離され水面に浮かび流れて行くこともあり、蛹で越冬する。
防除方法
1 本虫に登録のある防除薬剤を育苗箱施用する。
(詳しくは箱施用剤適用病害虫一覧表のページを参照)
2 発生が多い場合には下記の薬剤を散布する。
・トレボン粉剤DL 3A【3kg/10a 7日/3回】
・スタークル粉剤DL、アルバリン粉剤DL 4A【3kg/10a 7日/3回】
・パダン粒剤4 劇 14【3~4kg/10a 30日/6回】
斑点米カメムシ類
留意事項
1 近年、本府ではアカヒゲホソミドリカスミカメ、ヒメホソミドリカスミカメ、アカスジカスミカメなど小型斑点米カメムシの被害が多い。
2 イネが出穂すると畦畔や周辺のイネ科雑草から水田に飛来してくる。
3 薬剤散布は穂揃期(出穂すべき穂のうち7割から8割が出穂している時期)に行う。
発生が多い時は乳熟初期(出穂後10日頃)にも散布する。(水稲は出穂始(走り穂)から2~4日程度で出穂期を迎え、出穂期から2~4日程度で穂揃期になる。)
4 アカヒゲホソミドリカスミカメは別名イネホソミドリカスミカメとも呼ばれる。
5 本府では現時点では顕著な被害は出ていないが、近年、関東から西日本の複数の都府県から斑点米カメムシの一種であるイネカメムシによる基部斑点米又は不稔米被害が報告されている。イネカメムシは水田飛び込み時期が他のカメムシより少し早めで、開花直後から穂の吸汁加害を始めるので出穂期の防除が必要。予察情報等に注して発生が見込まれるときは防除時期を逸しないように注意する。
防除方法
1 ほ場周辺の畦畔や休耕田の雑草を刈り取る。ただし、出穂前後の除草は逆にカメムシ類を水田に追い込むことになるため、この時期は実施しないこと。
2 畦畔にグランドカバープランツを植栽する等イネ科雑草を減らすようにする。
3 下記の薬剤を出穂期(イネカメムシ)~穂揃期(その他斑点米カメムシ)に根元まで届くように散布する。粒剤使用の場合、その他斑点米カメムシの防除最適期は出穂期から7日目頃が目安。
・トレボン乳剤 <3A>【カメムシ類 2000倍 14日/3回】
・スミチオン乳剤 <1B>【カメムシ類 1000倍 21日/2回】
・スタークル顆粒水溶剤、アルバリン顆粒水溶剤 <4A> 【カメムシ類 2000倍 7日/3回】
・スタークル粒剤、アルバリン粒剤 <4A> 【カメムシ類 3kg/10a 7日/3回】
・スタークル豆つぶ <4A>【カメムシ類 250g/10a 7日/3回】
・キラップ粒剤 <2B>【カメムシ類 3kg/10a たん水散布 14日/2回】
・ダントツ粒剤 <4A>【カメムシ類 3~4kg/10a 7日/3回】
イネクロカメムシ
留意事項
1 斑点米カメムシ類とは異なり、越冬成虫は6~7月に水田に侵入し、イネの株元に生息し、葉鞘から吸汁加害する。生育初~中期に加害されると葉先がよじれ、草丈が低く、分けつ不良となり、減収する。
防除方法
1 下記の薬剤を発生初期(6月下旬~7月上旬)に散布する。
・トレボン乳剤 <3A>【カメムシ類 2000倍 14日/3回】
・スミチオン乳剤 <1B>【カメムシ類 1000倍 21日/2回】
・スタークル粒剤、アルバリン粒剤 <4A>【カメムシ類 3kg/10a 7日/3回】
・ダントツ粒剤 <4A>【カメムシ類 3~4kg/10a 7日/3回】
イナゴ類
留意事項
1 幼虫は畦畔等のイネ科雑草を食害した後、本田に移動して水稲を加害する。そのため若齢幼虫期に畦畔への散布や本田の額縁散布を行うと効果が高い。
2 畦畔等の雑草を刈り取る。
防除方法
1 本虫に登録のある防除薬剤を育苗箱施用する。(詳しくは箱施用剤適用病害虫一覧表のページを参照)
2 発生が多い場合には下記の薬剤を施用する。
・トレボン乳剤 <3A>【1000~2000倍 14日/3回】
・トレボン粉剤DL <3A>【3~4kg/10a 7日/3回】
スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)
留意事項
1 田植直後(約20日間まで)の小さな苗のみを食害する。
2 スクミノンはたん水状態(3~5cm)で均一に散布。散布後7日間はたん水状態にし、落水やかけ流しをしない。また、水田以外に使用しない。
3 冬期に水田や水路に水をためない。
4 石灰窒素は高濃度のチッソ肥料でもあるので、代かき前に施用する場合は元肥量の加減をする。
防除方法
1 水田や水路の貝を拾い取るとともに、卵塊を水中に落とす。卵は水中ではふ化できないため、卵塊を水中に払い落とすことで駆除が可能。ただし、ふ化直前の黒~白っぽくなった卵塊は水中でもふ化可能であるため、水中に落とすとが逆効果になるため、除去又は押しつぶすことが必要。また、用水路からの侵入を防ぐため、取水口や排水口に金網(網目9mm以下)を設置する。
2 行動を抑制するため水深4cm以下の浅水管理を行う。
3 植代前耕起後にたん水して3~4日後に石灰窒素を散布、3~4日放置後代かきを行う。(漏水を防止すること。)
・粒状石灰窒素40 <->【20~30kg/10a 植代前/1回】
4 食害防止を目的として、下記薬剤をは種前に育苗箱床土に均一に混和するか、又は移植当日に育苗箱中の苗の上から均一に散粒する。
・パダン粒剤4 劇 <14>【育苗箱1箱当り60~100g は種前または移植当日/1回】
5 田植直後に殺貝のため下記の薬剤を散布する。
・スクミノン <->【1~4kg/10a 60日/2回】
・スクミンベイト3 <->【2~8kg/10a 発生時/-】
・ジャンボたにしくん <->【1~2kg/10a 60日/2回】
6 食害防止を目的として水稲移植直後に下記の薬剤を散布する。
・パダン粒剤4 劇 <14>【4kg/10a 30日/6回】
7 刈取後3~4cmにたん水し、1~4日後に石灰窒素を散布、3~4日放置する。(漏水を防止すること。)
・粒状石灰窒素40 <->【20~30kg/10a 刈取後(水温15℃以上の時期)/1回】
8 越冬個体は約8割が地表から深さ6cm以内に分布。稲刈り後にロータリーによる水田耕起(耕うんを浅く、ロータリー回転を速くする)を行い、土中に潜った貝を粉砕し貝の密度を下げる。
イネシンガレセンチュウ
留意事項
1 0.5~0.7mmほどの線虫がイネに寄生して発症する。葉の先端部の3~5cmがこより状に白く枯れる。ほ場全面に発生すると「ホタルイモチ」とも呼ばれる。
2 被害籾は登熟不良となり、しいなが多くなる。多発ほ場では10~30%減収することもある。
3 特徴的な症状として、玄米の一部がくさび状に黒変する黒点米を生じ、検査等級格下げの原因になる。
4 被害もみ・もみがらが翌年の伝染源となる。採種ほ産の種子を使うようにする。
5 イネのほか、あわ、エノコログサなどにも発生する。
6 薬液法による種子消毒の際にスミチオン乳剤やパダンSG水溶剤を混用する場合、高濃度短時間処理には対応していないので低濃度長時間浸漬とすること。ベンレートT水和剤20は高濃度短時間処理でも対応している。
防除方法
1 種子消毒を下記のいずれかの方法で行う。
(1)温湯浸漬法 乾燥もみを60℃の温湯に10分間浸した後、直ちに冷水で冷やす。
(2)薬液法 種子を薬液に浸漬する。種子消毒のページを参照。
2 出穂期から開花期に下記の薬剤を散布する。
・スミチオン乳剤 <1B>【1000倍 21日/2回】