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更新日:2024年7月8日

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III 農薬適正使用について

農薬の安全性については、農林水産省、厚生労働省、環境省及び食品安全委員会が連携し、それぞれでリスク管理・評価を行っている。厚生労働省では、ADI(1日許容摂取量)等を考慮し、昭和43年以来、食品衛生法第13条に基づき農薬残留基準を定め、これを受けて農林水産省が農薬使用基準を定めているほか、環境省では、農薬取締法第4条に基づき登録保留基準を定めている。

農薬の登録に際しては、これらの基準に基づき農薬の種類ごとにそれぞれ適用対象作物、使用方法、使用時期及び使用回数等(以下「農薬使用基準」)が定められ、その他の使用上の注意事項などとともに、農薬のラベル又は説明書に表示されている。農薬使用基準については、平成15年3月10日に改正施行された農薬取締法の規定により、遵守することが義務づけられている。

一方、食品衛生法に基づく農薬残留の規制において、平成18年5月29日からポジティブリスト制度(一定量を超えた農薬が残留する食品の流通・販売などを原則禁止する制度)が施行されており、対象作物のみならず、周辺の食用作物への飛散防止を確実に行う必要がある。

また、急性参照用量(ARfD:ヒトがある物質を24時間又はそれより短時間経口摂取した場合に、健康に悪影響を示さないと推定される量)に基づく短期暴露評価を考慮した作物残留基準値が設定されている。

農薬の使用に当たっては、農畜産物への残留や周辺環境への影響等を未然に防止するため、次の事項を遵守し、適正使用に努めるものとする。

1 安全使用について

(1) 散布前の注意
ア 使用する農薬のラベル(説明書)を必ず読む。
イ 散布作業に必要なマスク・手袋・帽子・メガネ・長靴・長袖シャツ・長ズボン・防除衣などをあらかじめ整えておく。
ウ 使用器具を点検しておく。また、ハウスなどの施設内でくん煙、くん蒸などを行う場合は、ガス漏れがないよう施設を細部にわたり点検する。
エ 健康に留意し、体調の悪い場合は散布作業を避ける。
○ 睡眠不足などで疲労している人
○ 体力、特に肝機能が衰えている人
○ 特異体質の人(アレルギー体質、かぶれやすい人)
○ 妊娠・生理中の人
○ 手足などに外傷がある人

(2) 薬剤調製・散布時の注意
ア 慣れに対する油断は禁物であり、粗雑な取扱いは慎む。
イ 服装は露出部分をなるべく少なくするようにし、また防水加工を施したものを着用することが望ましい。しかし、必要以上の装備は作業能率を低下させるばかりでなく、かえって体力を消耗するので、作業内容により最もふさわしいものとする。
ウ 風向きを考え、身体は常に風上になる状態で、風下から逐次作業を進め、薬液(粉)を直接浴びないようにするとともに、周辺の食用農作物等への農薬の飛散防止に配慮する。
エ 作業は、日中の暑い時を避け、朝夕の涼しい時間帯に行う。日中の散布は体力の消耗が激しいばかりでなく、作物にとっても薬害を出しやすい。
オ 作業中及び休憩時は喫煙、飲食をしない。やむを得ないときは、農薬が付着した手や顔をよく洗い、うがいをしてきれいにしてからにする。
カ 薬液が皮膚に付着したり、浴びたりしてしまった場合は、石けん水で十分洗い流す。
キ 作業中に気分が悪くなった場合、直ちに作業を中止し、涼しい日陰で体を横にして休む。症状が回復しない場合は直ちに医師の診断を受ける。

(3) 散布後の注意
ア 作業終了後は、使用した容器、器具をよく洗っておく。特に、次回、別の作物に使う場合は、予期せぬ農薬の誤散布・残留につながるので留意する。
イ 開封後の残りの薬剤は、密封後子供の手の届かない冷暗所に施錠保管する。
ウ 手足をよく洗い、衣服は下着まで取り替え、翌日そのまま着用しない。
エ 作業後及びその晩の飲酒、夜ふかしは避ける。
オ 気分が悪くなれば医師の診断を受ける。また、受診の際には使用農薬名を控えて申し出る。

2 農薬使用基準の遵守について
農薬残留基準の改正等に伴い、農薬使用基準は順次変更される可能性があるため、農薬を使用する前には、ラベルの内容とともに最新の農薬の登録内容を確認する。
 参照:農林水産省 農薬登録情報提供システム https://pesticide.maff.go.jp/

3 周辺環境等への配慮について
(1)魚介類・水系等への配慮
ア 河川等の公共用水域を汚染せず、また魚類等に影響のないように、散布前に周辺環境や気象状況等を把握しておく。
イ 必要量以上に薬液を作りすぎないよう留意するが、やむを得ず、散布液が残ったときは、散布むらの補正に使用するなどして、薬液を使いきる。
ウ 水田において除草剤、殺虫剤、殺菌剤等を使用する際には、ラベルに表示されている止水期間を必ず守る。また、降雨等によるオーバーフローに注意する。

(2)適正な廃棄物処理
使用済みの容器、ビン、廃農薬等は廃棄物処理業者等に依頼するなど、法令を遵守し、適正に処分する。

(3)住宅地周辺の農地における病害虫防除に当たっての遵守事項
住宅地内及び住宅地に近接した農地(市民農園や家庭菜園を含む)において栽培する農作物の病害虫防除に当たっては次の事項を遵守する。

住宅地等における農薬使用について 平成25年4月26日農林水産省消費・安全局長、環境省水・大気環境局長通知より抜粋)
ア 病害虫に強い作物や品種の栽培、病害虫の発生しにくい適切な土づくりや施肥の実施、人手による害虫の捕殺、防虫網の設置、機械除草等の物理的防除の活用等により、農薬使用の回数及び量を削減する。
イ 農薬を使用する場合には、農薬取締法に基づいて登録された、当該農作物に適用のある農薬を、ラベルに記載されている使用方法(使用回数、使用量、使用濃度等)及び使用上の注意事項を守って使用する。
ウ 粒剤、微粒剤等の飛散が少ない形状の農薬を使用するか、液体の形状で散布する農薬にあっては、飛散低減ノズルの使用に努める。
エ 農薬散布は、無風又は風が弱いときに行うなど、近隣に影響が少ない天候の日や時間帯を選び、風向き、ノズルの向き等に注意して行う。
オ 農薬の散布に当たっては、事前に周辺住民に対して、農薬使用の目的、散布日時、使用農薬の種類及び農薬使用者等の連絡先を十分な時間的余裕をもって幅広く周知する。その際、過去の相談等により、近辺に化学物質に敏感な人が居住していることを把握している場合には、十分配慮する。
また、農薬散布区域の近隣に学校、通学路等がある場合には、散布の時間帯に最大限配慮するとともに、当該学校や子どもの保護者等への周知を図る。
カ 農薬を使用した年月日、場所及び対象農作物、使用した農薬の種類又は名称並びに使用した農薬の単位面積当たりの使用量又は希釈倍数を記録し、一定期間保管する。
キ 農薬の散布後に周辺住民等から体調不良等の相談があった場合は、農薬中毒の症状に詳しい病院又は公益財団法人日本中毒情報センターの相談窓口等を紹介する。
ク 以上の事項の実施に当たっては、「総合的病害虫・雑草管理(IPM)実践指針」(平成17年9月30日農林水産省消費・安全局植物防疫課)や「農薬飛散対策技術マニュアル」(平成22年3月農林水産省消費・安全局植物防疫課)も参考とする。

4 農薬の現地混用について
農薬を現地で混用する場合は、以下の点に注意する。
(1)ラベル等に他の農薬との混用に関する注意事項が表示されている場合は、それを遵守する。
(2)生産者団体が発行している「農薬混用事例集」等を必要に応じて参考とし、これまでに知見がない農薬の組合せで現地混用を行うことは避ける。特に有機リン系農薬同士の混用は、混用による相加的な作用を示唆する知見があることから、これを厳に控える。
(3)混合剤の開発及び登録の推進により、むやみな現地混用を防止するため、同時に施用する必要性が高い農薬の組合せに関する情報を府に提供するよう努める。

5 農薬の適正な保管管理について
(1)農薬の保管は子供の手の届かない冷暗所で常に施錠する。
(2)農薬を他の容器へ移し替えない。
(3)必要な時に必要な量だけを購入し、買い置きしない。
(4)農薬の保管状況を帳簿等で常時チェックし、盗難、紛失があった場合は、速やかに警察に届け出る。

6 農薬使用に係る帳簿の記載について
農薬を使用した年月日、場所及び対象作物、使用した農薬の種類又は名称並びに使用した農薬の単位面積当たりの使用量又は希釈倍率について記帳し、一定期間保管する。

7 農薬の目的外使用の禁止について
農薬の目的外使用による事件や事故を防ぐため、目的外の使用は絶対に行わない。

8 販売・使用禁止農薬および使用自粛農薬について
販売・使用禁止農薬については、販売も使用もしてはならない。手持ちに在庫がある場合は、使用せずに直ちにメーカーや買い求めの販売店等に相談する。
特定毒物農薬のりん化アルミニウムくん蒸剤(商品名:ホストキシン等)、水質汚濁性農薬のCAT除草剤(商品名:シマジン等)及びEPN剤は使用を自粛する。

[参考]1 販売・使用禁止農薬について
 販売禁止農薬には、安全性の問題から農薬取締法第18条第2項の「農薬の販売の禁止を定める省令」(平成十五年農林水産省令第十一号)によって販売が禁止された農薬のほか、容器や包装に登録番号などの決められた表示の無い無登録農薬が該当する。これらの農薬は、農薬取締法第24条により使用することも禁止されている。ただし、特定農薬については登録番号などを表示する必要はない。

「農薬の販売の禁止を定める省令」によって販売が禁止された農薬
(農水省ホームページより抜粋)

農 薬

用 途

登 録 年

失 効 年

備 考

リンデン

殺虫剤・忌避剤

昭和24年

昭和46年

POPs物質(注1) 

第1種特定化学物質(注2)

DDT

殺虫剤

昭和23年

昭和46年

POPs物質 第1種特定化学物質

エンドリン

殺虫剤・殺そ剤

昭和29年

昭和50年

POPs物質 第1種特定化学物質

ディルドリン

殺虫剤・忌避剤

昭和29年

昭和50年

POPs物質 第1種特定化学物質

アルドリン

殺虫剤

昭和29年

昭和50年

POPs物質 第1種特定化学物質

クロルデン

殺虫剤

昭和25年

昭和46年

POPs物質 第1種特定化学物質

ヘプタクロル

殺虫剤

昭和32年

昭和47年

POPs物質 第1種特定化学物質

ヘキサクロロベンゼン

殺菌剤

登録実績無し

-

POPs物質 第1種特定化学物質

マイレックス

殺虫剤

登録実績無し

-

POPs物質 第1種特定化学物質

トキサフェン

殺虫剤

登録実績無し

-

POPs物質 第1種特定化学物質

TEPP

殺虫剤

昭和25年

昭和44年

急性毒性が強く使用者の事故多発

メチルパラチオン

殺虫剤

昭和27年

昭和44年

急性毒性が強く使用者の事故多発

パラチオン

殺虫剤

昭和27年

昭和44年

急性毒性が強く使用者の事故多発

水銀剤

殺菌剤

昭和23年

昭和48年

人体への毒性

2,4,5-T

除草剤

昭和39年

昭和50年

催奇形性等の疑い

砒酸鉛

殺虫剤

昭和23年

昭和53年

作物残留性

水酸化トリシクロヘキシルスズ(プリクトラン)

殺虫剤

 

昭和47年

 

昭和62年

 

ADI設定不可

(催奇形性の疑い)

ダイホルタン

 

殺菌剤

 

昭和39年

 

平成元年

 

ADI(注3)設定不可

(発ガン性の疑い)

PCP

 

除草剤・殺菌剤・忌避剤

昭和29年

 

平成2年

 

ダイオキシン含有

POPs物質 第1種特定化学物質

CNP

除草剤

昭和40年

平成8年

ダイオキシン含有

PCNB

殺菌剤

昭和31年

平成12年

ダイオキシン含有

ケルセン

殺虫剤

昭和31年

平成16年

POPs物質 第1種特定化学物質

ペンタクロロベンゼン

農薬、農薬製造時の副生成物

登録実績無し

 -

POPs物質 第1種特定化学物質

アルファーヘキサクロロシクロヘキサン

リンデンの副生成物

登録実績無し

 -

POPs物質 第1種特定化学物質

ベーターヘキサクロロシクロヘキサン

リンデンの副生成物

登録実績無し

 -

POPs物質 第1種特定化学物質

クロルデコン

殺虫剤

登録実績無し

 -

POPs物質 第1種特定化学物質

ベンゾエピン(エンドスルファン)

殺虫剤

 

昭和35年

 

平成22年

 

POPs物質 第1種特定化学物質

 

(注1)POPs物質とは、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(通称POPs条約、2001年5月採択)で製造・使用が原則禁止された化学物質で、人や環境への毒性、難分解性、生物濃縮性、長距離移動性の性質を有している。

(注2)第1種特定化学物質とは、難分解性、高蓄積性及び人等への長期毒性を有する化学物質であり、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48年法律第117号)(化審法)において製造、使用、輸入等が規制されている。

(注3)ADIとはacceptable daily intake(1日摂取許容量)の略で、健康を害することなく、一生涯にわたり毎日摂取可能な化学物質の量をいう。

 

[参考]2 毒物、劇物の判定基準について
毒物劇物の判定基準の改定について 平成29年6月13日 厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知より抜粋)
1)毒物劇物の判定基準
毒物劇物の判定は、動物における知見、ヒトにおける知見、又はその他の知見に基づき、当該物質の物性、化学製品としての特質等をも勘案して行うものとし、その基準は原則として次のとおりとする。

(1)動物における知見
①急性毒性
原則として、得られる限り多様な暴露経路の急性毒性情報を評価し、どれか一つの暴露経路でも毒物と判定される場合には毒物に、一つも毒物と判定される暴露経路がなく、どれか一つの暴露経路で劇物と判定される場合には劇物と判定する。
(a)経口 毒物:LD50 が50mg/kg以下のもの 劇物:LD50 が50mg/kgを越え300mg/kg以下のもの
(b)経皮 毒物:LD50 が200mg/kg以下のもの 劇物:LD50 が200mg/kgを越え1,000mg/kg以下のもの
(c)吸入(ガス) 毒物:LC50 が500ppm(4hr)以下のもの 劇物:LC50 が500ppm(4hr)を越え2,500ppm(4hr)以下のもの
 吸入(蒸気) 毒物:LC50 が2.0mg/L(4hr)以下のもの 劇物:LC50 が2.0mg/L(4hr)を越え10mg/L(4hr)以下のもの
 吸入(ダスト、ミスト) 毒物:LC50 が0.5mg/L(4hr)以下のもの 劇物:LC50 が0.5mg/L(4hr)を越え1.0mg/L(4hr)以下のもの
(d)その他

②皮膚に対する腐食性
劇物:最高4時間までの暴露の後試験動物3匹中1匹以上に皮膚組織の破壊、すなわち、表皮を貫通して真皮に至るような明らかに認められる壊死を生じる場合

③眼等の粘膜に対する重篤な損傷眼の場合
劇物:ウサギを用いたDraize試験において、少なくとも1匹の動物で角膜、虹彩又は結膜に対する、可逆的であると予測されない作用が認められる、または、通常21日間の観察期間中に完全には回復しない作用が認められる、または試験動物3匹中少なくとも2匹で、被験物質滴下後24 、48 及び72 時間における評価の平均スコア計算値が角膜混濁≧3または虹彩炎>1.5で陽性応答が見られる場合。

なお、上記のほか次に掲げる項目に関して知見が得られている場合は、当該項目をも参考にして判定を行う。
イ 中毒徴候の発現時間、重篤度並びに器官、組織における障害の性質と程度
ロ 吸収・分布・代謝・排泄動態・蓄積性及び生物学的半減期
ハ 生体内代謝物の毒性と他の物質との相互作用
ニ 感作の程度
ホ その他

(2)ヒトにおける知見
ヒトの事故例等を基礎として毒性の検討を行い、判定を行う。

(3)その他の知見
化学物質の反応性等の物理化学的性質、有効なin vitro試験等における知見により、毒性、刺激性の検討を行い、判定を行う。

(4)上記(1)、(2)又は(3)の判定に際しては次に掲げる項目に関する知見を考慮し、例えば、物性や製品形態から投与経路が限定されるものについては、想定しがたい暴露経路については判定を省略するなど現実的かつ効率的に判定するものとする。
 イ 物性(蒸気圧、溶解度等)
 ロ 解毒法の有無
 ハ 通常の使用頻度
 ニ 製品形態

(5)毒物のうちで毒性が極めて強く、当該物質が広く一般に使用されるか又は使用されると考えられるものなどで、危害発生の恐れが著しいものは特定毒物とする。

2)毒物劇物の製剤の除外に関する考え方
以下略

9 特定農薬(特定防除資材)について
特定農薬は、改正農薬取締法第2条第1項において「その原材料に照らし農作物等、人畜及び水産動植物に害を及ぼすおそれがないことが明らかなものとして農林水産大臣及び環境大臣が指定する農薬」と定義付けられている。現在、「エチレン」、「次亜塩素酸水(塩酸又は塩化カリウム水溶液を電気分解して得られるものに限る。)」、「重曹」、「食酢」及び「天敵」が指定されている。

特定農薬(特定防除資材)として指定された資材
(特定農薬(特定防除資材)として指定された資材(天敵を除く。)の留意事項について平成26年3月28日 25消安第5776号 環水大土発第1403281号より抜粋(改正:平成26年11月25日))

1)エチレン
(1)エチレンの範囲について
労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第24条の14にのっとった表示又は工業標準化法(昭和24年法律第185号)第11条に基づく日本工業規格Z7253に規定する安全データシート(SDS)等により製品規格が確認できるもの(エチレンとその他の化学物質との混合物を除く。)

(2) 参考となる対象病害虫等、使用方法及び使用の際の注意点

品目

種類

薬効が認められる対象病害虫等

参考となる使用方法

使用の際の注意点等

エチレン

発芽抑制剤及び成長

促進剤

・ばれいしょの萌芽抑制

・バナナ、キウイフルーツ等の果実の追熟促進

・ばれいしょ:エチレン濃度4~20ppm、貯蔵期間中、常時所定の濃度を保つ(貯蔵庫内の温度は8℃程度)。

・バナナ:エチレン濃度300~1,000ppm、処理時間24時間(貯蔵庫内の温度は13~19℃程度)。

・キウイフルーツ:エチレン濃度10ppm程度、処理時間10~12時間程度(貯蔵庫内の温度は15~20℃程度)。

(使用場所はいずれの作物も貯蔵庫内)

・エチレンやエチレンの入ったボンベを取り扱う際には、他法令(高圧ガス保安関係法令、労働安全衛生関係法令等)による規制を遵守すること。

 2)次亜塩素酸水
 (1) 次亜塩素酸水(塩酸又は塩化カリウム水溶液を電気分解して得られるものに限る。

以下「電解次亜塩素酸水」という。)の範囲について
次に掲げる水溶液であって、pH6.5以下、有効塩素10~60mg/kgのものとする。

一 0.2%以下の塩化カリウム水溶液(99%以上の塩化カリウムを飲用適の水に溶解したもの)を有隔膜電解槽(隔膜で隔てられた陽極及び陰極により構成されたものをいう。)内で電気分解して、陽極側から得られる水溶液
二 2~6%の塩酸を無隔膜電解槽(隔膜で隔てられていない陽極及び陰極により構成されたものをいう。)内で電気分解し、飲用適の水で希釈して得られる水溶液

(2) 参考となる対象病害虫等、使用方法及び使用の際の注意点

品目

種類

薬効が認められる対象病害虫等

参考となる使用方法

使用の際の注意点等

電解次亜塩素酸水

殺菌剤(散布用)

・きゅうりのうどんこ病

・いちごの灰色かび病

・生成直後の電解次亜塩素酸水を200L/10a散布。

・生成直後の電解次亜塩素酸水を1.5~2L/株散布。

・電解次亜塩素酸水中の有効塩素は、時間の経過とともに減少し、有害物質である亜塩素酸や塩素酸が生成されるので、使用の度に製造し、製造後は速やかに使用すること。

・有隔膜電解槽を用いて電解次亜塩素酸水を生成する際に発生する陰極側の水溶液の排水処理は、日本電解水協会が作成した使用マニュアル等を参考に、他法令を踏まえ適切に実施すること。

・酸性の強い電解次亜塩素酸水を使用すると農作物に酸焼けが生じたり、皮膚等に刺激が生じる事例が確認されているので、日本電解水協会が作成した電解次亜塩素酸水の使用マニュアルに従って使用すること。

3)重曹
(1)重曹の範囲について
一 食品、添加物等の規格基準(昭和34年12月28日厚生省告示第370号)に適合する炭酸水素ナトリウム、重炭酸ナトリウム又は重炭酸ソーダであって、食品衛生法(昭和22年法律第233号)第19条第1項の規定に基づく表示の基準に関する内閣府令(平成23年内閣府令第45号)にのっとった表示がされたもの
二 飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令(昭和51年農林省令第35号)に適合する炭酸水素ナトリウムであって、同令にのっとった表示がされたもの
三 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年律第145号)に基づく日本薬局方(平成23年3月24日厚生労働省告示第65号)医薬品各条に規定する炭酸水素ナトリウム、重曹又は重炭酸ナトリウムであり、同法及び同告示にのっとった表示がされたもの
四 雑貨工業品品質表示規程(平成9年12月1日通商産業省告示第672号)にのっとった表示がされた住宅又は家具用の洗剤であって主要な成分が炭酸水素ナトリウム、重曹又は重炭酸ナトリウムであることが確認できるもの
五 工業標準化法(昭和24年法律第185号)第11条に基づく日本工業規格(以下「JIS」という。)K8622に規定する「炭酸水素ナトリウム(試薬)」であって、JISにのっとった表示がされたもの
六 JIS Z7253に規定する安全データシート(SDS)その他の表示により製品規格が確認できるもの

(2) 参考となる対象病害虫等、使用方法及び使用の際の注意点

品目

種類

薬効が認められる対象病害虫等

参考となる使用方法

使用の際の注意点等

重曹

殺菌剤(散布用)

・野菜類、ばら、ホップの灰色かび病

・野菜類、ばら、ホップのうどんこ病

・野菜類のさび病

・重曹濃度0.1%程度に薄めたものを150~500L/10a散布。

・にがうりに使用する場合、えらぶ、か交5号、チャンピオン、久留米百成2号又は吉田系の品種では、薬害が生じた事例がある。

(注)登録農薬である炭酸水素ナトリウム剤の登録内容を参考に「薬効が認められる対象病害虫等」を記載。

4)食酢
(1)食酢の範囲について
農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(昭和25年法律第175号)第19条の13に基づく加工食品品質表示基準(平成12年3月31日農林水産省告示第513号)及び食酢品質表示基準(平成12年12月19日農林水産省告示第1668号)にのっとった表示がされたもの
(2) 参考となる対象病害虫等、使用方法及び使用の際の注意点

品目

種類

薬効が認められる対象病害虫等

参考となる使用方法

使用の際の注意点等

食酢

殺菌剤(種子消毒用)

・稲のもみ枯細菌病、ばか苗病、ごま葉枯病

・酸度0.1~0.25%程度に薄めたものに24時間もみを浸漬。

※焼酎、糖類と混合したものを使用している事例もある。

・有害な成分が抽出されるおそれがあるので、食用に供しない物を漬け込んだ食酢の使用は避けること。

(注)過去登録のあった酢酸液剤の登録内容を参考に「薬効が認められる対象病害虫等」を記載。

(特定農薬(特定防除資材)として指定された天敵の留意事項について平成26年3月28日 25消安第5777号 環水大土発第1403282号より抜粋)

※天敵:昆虫綱及びクモ綱に属する動物(人畜に有害な毒素を産生するものを除く。)であって、使用場所と同一の都道府県内(離島(その地域の全部又は一部が離島振興法(昭和28年法律第72号)第2条第1項の規定により指定された同項の離島振興対策実施地域に含まれる島、小笠原諸島振興開発特別措置法(昭和44年法律第79号)第2条第1項に規定する小笠原諸島の区域に含まれる島、奄美群島振興開発特別措置法(昭和29年法律第189号)第1条に規定する奄美群島の区域に含まれる島及び沖縄振興特別措置法(平成14年法律第14号)第3条第3号に規定する離島をいう。)にあっては、当該離島内)で採取されたもの

第1 指定対象の範囲
 法第2条第1項の規定に基づく、告示に規定するとおり、特定農薬として指定する天敵は、昆虫綱及びクモ綱に属する動物(人畜に有害な毒素を産生するものを除く。)であって、使用場所と同一の都道府県内(離島にあっては、当該離島内。以下同じ。)で採取されたもの
(以下「土着天敵」という。)に限る。土着天敵には、当該土着天敵を採取した場所と同一の都道府県内で当該土着天敵を増殖することにより生産された次世代以降の天敵が含まれる。

第2 土着天敵を使用、増殖及び販売する者が留意すべき事項
1 土着天敵の使用について
(1) 法令に基づく遵守事項
 土着天敵は、告示に基づき、当該土着天敵を採取した場所と同一の都道府県内において使用すること。
(2) その他の留意事項
 土着天敵の使用に当たっては、使用場所、使用年月日及び使用数量等を記録すること。

2 土着天敵の増殖について
 法令に基づく遵守事項
(1) 土着天敵を増殖する者(専ら自己の使用のため増殖する者は除く。以下同じ。)は、法第10条の規定に基づき、帳簿を備え付け、これに増殖を行う規模等(土着天敵の名称、増殖数量等)を記載し、少なくとも3年間保存すること。
(2) 土着天敵を増殖する者は、法第10条の2第1項及び第2項に基づき、増殖した土着天敵の数量若しくはその効果に関して虚偽の宣伝をし、又は誤解の生じるおそれのある名称を用いないこと。
(3) 土着天敵の増殖を行う場所は、告示に基づき、当該土着天敵を採取した場所と同一の都道府県内に限ること。

3 土着天敵の販売について
(1) 法令に基づく遵守事項
[1] 森林経営計画の計画期間が連続するよう、法第11条第5項の認定を継続して受けることが不可欠となること。
[2] 認定が中断した場合には、猶予期限が確定し、納税猶予税額を利子税と併せて全額納付しなければならなくなることに鑑み、森林経営計画を長期にわたり継続して作成するとともに、関連資料を適切に管理するよう森林所有者に対して指導を行うこととする。
[3] 販売者は、法第10条に基づき、帳簿を備え付け、これに土着天敵を販売した年月日、販売先及び販売数量を記載し、少なくとも3年間保存すること。
[4] 販売者は、法第10条の2第1項及び第2項に基づき、販売する土着天敵の数量若しくはその効果に関して虚偽の宣伝をし、又は誤解の生じるおそれのある名称を用いないこと。

(2) その他の留意事項
[1] 販売者は、販売先における再増殖の規模等及び再販売の有無を確認すること。
[2] 増殖した土着天敵を再販売する者は、3(1)及び(2)[1]に定める販売者の管理措置をとること。
[3] 販売者と販売を受ける者(以下「購入者」という。)は、1から3までに定める管理措置を確実に実施するため、土着天敵の取扱いに関する取決めを書面で締結すること。

第3 その他
1 土着天敵の販売について、販売者から法第8条第1項の規定に基づく届出を受けた都道府県は、当該販売者及び購入者に対し、遺漏無く本通知に関する必要な指導を行うこと。
2 土着天敵の数量とは、その頭数又は重量を指し、数量を正確に測定することが難しい場合は、その概数で示すこととして差し支えない。
3 販売には販売以外の授与を含み、購入には譲受けも含まれる

 

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