ここから本文です。
大阪府情報公開審査会答申(大公審答申第125号)
(答申第125号)図書館文書管理規程不存在事案
(答申日 平成18年11月16日)
1 対象行政文書
中央図書館文書管理規程及び同規程の直近の改正時の起案文書
2 実施機関の決定
(1)実施機関
大阪府教育委員会(担当課 中央図書館総務課)
(2)決定内容 不存在による非公開決定
(公開請求に係る行政文書を管理していない理由)
公開請求に係る行政文書については、大阪府教育委員会行政文書管理規程を適用しており、中央図書館行政文書管理規程として別途作成していないため管理していない。
3 異議申立て
(1)申立ての趣旨
本件決定を取り消し、対象文書の公開を求める。
(2)理由(要旨)
実施機関は、大阪府教育委員会行政文書管理規程により行政文書を管理しており、出先機関である図書館においても、これをもとに同様に行政文書を管理していると主張しているが、管理規程には個々に具体的な処理基準を示していない。具体的な行政文書名をあげて保存期間を記載したものがなければ、恣意的な解釈のもとに職員が行政文書を廃棄するおそれがある。
府の各機関には、各種の行政文書があり、規程により一律に決められるものではなく、各所ごとに内部規定がなければ、保存、廃棄は不可能と考える。
よって、大阪府立中央図書館行政文書管理規程が存在すると思料する。
4 大阪府情報公開審査会の答申
(1)審査会の結論
実施機関の決定は妥当である。
(2)理由(要旨)
審査会において、図書館における行政文書の管理に関する規定の適用状況を調査したところ、図書館の行政文書の管理については大阪府教育委員会文書管理規則及び大阪府教育委員会文書管理規程が適用されており、その他に独自に行政文書の管理に関する規程を制定しているという事実は確認されなかった。したがって、「中央図書館文書管理規程」及びその改正の関係文書である「同規程の直近の改正時の起案文書」に該当する行政文書は存在しないと認められる。
大阪府情報公開審査会答申(全文)
第一 審査会の結論
実施機関の決定は妥当である。
第二 異議申立ての経過
- 異議申立人は、平成18年5月1日、大阪府情報公開条例(以下「条例」という。)第6条の規定により、大阪府教育委員会(以下「実施機関」という。)に対し、「中央図書館文書管理規程及び同規程の直近の改正時の起案文書」についての行政文書公開請求(以下「本件請求」という。)を行った。
- 実施機関は、同年5月11日、本件請求に対して、不存在による非公開決定(以下「本件決定」という。)を行い、理由を次のとおり付して異議申立人に通知した。
(公開請求に係る行政文書を管理していない理由)
公開請求に係る行政文書については、大阪府教育委員会行政文書管理規程を適用しており、中央図書館行政文書管理規程として別途作成していないため管理していない。 - 異議申立人は、同年5月29日、本件決定を不服として、行政不服審査法第6条の規定により、実施機関に異議申立てを行った。
第三 異議申立ての趣旨
本件決定を取り消し、対象文書の公開を求める。
第四 異議申立人の主張要旨
異議申立人の主張は概ね以下のとおりである。
本件は実施機関が管轄する大阪府立中央図書館(以下「図書館」という。)に係る行政文書の管理に関する内部規定の公開を求めるものである。
実施機関は大阪府個人情報保護審議会へ提出した弁明書(中央図第219号・平成18年3月20日)の中において「写真は廃棄した」と記載している。したがって、異議申立人は図書館がどのような基準で行政文書を保存、廃棄しているのかを知り、府の情報公開制度を深く理解するために異議申立てを行った。
実施機関は、大阪府教育委員会行政文書管理規程により行政文書を管理しており、出先機関である図書館においても、これをもとに同様に行政文書を管理していると主張している。
しかしながら、管理規程には個々に具体的な処理基準を示していない。
大阪府教育委員会行政文書管理規則第17条別表に定める行政文書の保存基準にみるような具体的な行政文書名をあげて、保存期間を記載したものがなければ、恣意的な解釈のもとに職員が行政文書を廃棄するおそれがある。
府の各機関には、各種の行政文書があり、規程により一律に決められるものではない。
各所ごとに内部規定がなければ、保存、廃棄は不可能と考える。
よって、異議申立人は大阪府立中央図書館行政文書管理規程が存在すると思料する。
第五 実施機関の主張要旨
実施機関の主張は概ね以下のとおりである。
1 本件請求に対応する行政文書が不存在であることについて
大阪府教育委員会行政文書管理規程は、実施機関の行政文書の管理に関して必要な事項を定めるため、大阪府教育委員会教育長訓令として、教育委員会事務局一般、教育事務所長、各学校長、各館(所)長あてに発せられたものである。したがって、実施機関の出先機関である図書館は、当該規程に基づき行政文書管理を行わなければならない。
このため、異議申立人が公開請求している「中央図書館文書管理規程」は別途作成しておらず、したがって「同規程の直近の改正時の起案文書」も存在しない。
2 結論
以上のとおり、本件決定は、条例に基づき適正に行われたものであり、何らの違法、不当な点はなく、適法かつ妥当なものである。
第六 審査会の判断理由
1 条例の基本的な考え方について
行政文書公開についての条例の基本的な理念は、その前文及び第1条にあるように、府民の行政文書の公開を求める権利を明らかにすることにより「知る権利」を保障し、そのことによって府民の府政参加を推進するとともに府政の公正な運営を確保し、府民の生活の保護及び利便の増進を図るとともに、個人の尊厳を確保し、もって府政への信頼を深め、府民福祉の増進に寄与しようとするものである。
このように「知る権利」を保障するという理念の下にあっても、一方では、公開することにより、個人や法人等の正当な権利・利益を害したり、府民全体の福祉の増進を目的とする行政の公正かつ適切な執行を妨げ、府民全体の利益を著しく害することのないよう配慮する必要がある。
このため、条例においては、府の保有する情報は公開を原則としつつ、条例第8条及び第9条に定める適用除外事項の規定を設けたものであり、実施機関は、請求された情報が条例第2条第1項に規定する行政文書に記録されている場合には、条例第8条及び第9条に定める適用除外事項に該当する場合を除いて、その情報が記録された行政文書を公開しなければならない。
2 本件請求に対応する行政文書の存否について
実施機関においては、事務の適正かつ能率的な遂行を図り、及び行政文書の管理に関し必要な事項を定めるため、大阪府教育委員会行政文書管理規則(平成15年1月31日大阪府教育委員会規則第1号。以下「府教委文書管理規則」という。)を制定し、さらに、その細目として、大阪府教育委員会行政文書管理規程(平成15年1月31日大阪府教育委員会教育長訓令第1号。以下「府教委文書管理規程」という。)を発出している。
審査会において、図書館における行政文書の管理に関する規定の適用状況を調査したところ、図書館の行政文書の管理については、府教委文書管理規則及び府教委文書管理規程が適用されており、その他に独自に行政文書の管理に関する規定を制定しているという事実は確認されなかった。したがって、「中央図書館文書管理規程」及びその改正の関係文書である「同規程の直近の改正時の起案文書」に該当する行政文書は存在しないと認められる。
以上のことから、本件決定は妥当であったと認められる。
なお、異議申立人は、行政文書の保存、廃棄を適切に行うには、各機関別に具体的な行政文書名ごとの保存期間を定めた内部規定が必要であるから、中央図書館行政文書管理規程が存在するはずであると主張するが、図書館における行政文書の管理に関する規定の適用状況は、上述のとおりであり、また、現行の文書管理に関する規定の適否は、本件決定の適否の判断に影響することがないものであるから、異議申立人の主張は採用することができない。
3 結論
以上のとおりであるから、本件異議申立てには理由がなく、「第一 審査会の結論」のとおり答申するものである。
主に調査審議を行った委員の氏名
塚本美彌子、福井逸治、小松茂久、鈴木秀美