ここから本文です。
部落解放大阪府民共闘会議、同教育部会 基本要求(回答)(2)
(1) (2) (3) (4) (5) ※5ページに分割して掲載しています。
回答骨子
(要望項目)基本要求
7【子どもの権利条約】子どもの権利条約について、子ども、教職員、府民等へ広く周知し、条約の各条項が規定する子どもたちの権利を実現するために、具体的施策を講じること。
(回答)
子どもの権利宣言や子どもの権利条約については、毎年度発行している人権白書「ゆまにてなにわ」において周知しております。市町村や関係団体等とも連携し、効果的な啓発活動の実施に努めてまいります。
「児童の権利に関する条約」については、大阪府子ども条例を紹介するリーフレット及び子育て支援課ホームページにおいて、その周知を図っているところです。
また、大阪府子ども条例に基づき子どもの尊厳を守り、健やかな成長を支えるため、子ども総合計画を策定し、子どもの貧困対策や児童虐待の防止、社会的養育体制の整備等に取り組んでいます。
社会的養護のもとで暮らす子どもについては、意見を表明しやすい環境づくりや苦情解決に取り組んでいます。
府教育庁としても、「児童の権利に関する条約」については、子どもの生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利などが定められており、大切なものであると認識しています。2019(令和元)年度にはこの条約の趣旨を伝え、子どもたちを励ますことをめざしたメッセージを府教育長から子どもたちにあてて送りました。今後とも条約の趣旨について様々な場で発信してまいります。
(回答部局課名)
府民文化部 人権局 人権企画課
福祉部 子ども室 子育て支援課
教育庁 人権教育企画課
(要望項目)基本要求
8【大阪の子どもの権利条例】子どもの権利条約の理念にもとづく「大阪府子ども条例」を実効あるものとすること。「次世代育成行動計画」の具体化にむけた施策推進についても解放共闘と協議をおこなうこと。また、20年3月策定「子ども総合計画後期計画」にもとづく事業が、地域を基盤とした子どもの最善の利益の追求を求めること。市町村に対して、「子どもの権利」に関する条例の策定を求めること。
(回答)
大阪府子ども条例を実効あるものとするため、子ども施策審議会等の意見を踏まえ、2015年(平成27)年3月に「子ども総合計画」を策定し、その後、社会状況の変化等を踏まえた見直しを行い、2020年(令和2)年3月に「子ども総合計画後期計画」を策定いたしました。この計画は、次世代育成支援対策推進法に基づく次世代育成のための総合的な計画であるとともに、子ども・子育て支援新制度や子どもの貧困対策にも対応した計画となっています。
本計画の推進にあたっては、毎年度、事業計画で掲げた目標に対する達成度を把握し、府民の方にわかりやすく示すとともに、子ども施策審議会や青少年健全育成審議会に計画の達成状況を報告し、その意見を踏まえて計画の効果的な推進を図ってまいります。こうした中で皆様方のご意見も聞きながら、本計画の推進に努めてまいります。
また、本計画に位置付けた取組みを進めるにあたっては、社会全体で子どもや家庭を支えていくことを基本的な考え方として、子どもの貧困や社会的養育体制の整備などの課題に対処していきます。
さらに、「大阪府子ども条例」で定める基本理念により、市町村と協力して子ども施策を実施するとともに、市町村の条例制定の際には、技術的な助言等の支援を行ってまいります。
(回答部局課名)
福祉部 子ども室 子育て支援課
政策企画部 青少年・地域安全室 青少年課
(要望項目)基本要求
9【人権啓発、人権関連3法・3条例】「改正障害者差別解消法」、「ヘイトスピーチ解消法」、「部落差別解消推進法」の3法及び大阪府人権関係3条例について、教育の役割が重要であることを認識し学校現場を支援するとともに、あらゆる研修でとりあげること。また、保護者・府民への啓発をさらにすすめ、インターネット上における差別等も含むあらゆる人権侵害の現状を把握し、差別解消にむけた具体的施策を講じること。
(回答)
複雑多様化する人権課題に的確に対応するとともに、国際都市にふさわしい環境を整備するため、2019(令和元)年10月に「大阪府人権尊重の社会づくり条例」を改正するとともに、「大阪府性的指向及び性自認の多様性に関する府民の理解の増進に関する条例」及び「大阪府人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消に関する条例」を制定しました。
府としては、府民向けリーフレットを活用するなどして人権関係3条例の周知を図るとともに、人権白書「ゆまにてなにわ」やホームページなどの広報媒体を通じて、啓発を行ってまいりました。
特に近年、スマートフォンの急速な普及によりSNSなどを利用したインターネット上の人権侵害が深刻化しています。そのため、昨年度、SNSの利用頻度の高い若い世代に対して啓発を強化するため、大阪大学の学生と共同研究を行い、若者向けの啓発リーフレット「SNSを凶器にするな。」を作成し、府内の高校や、カラオケボックス、コンビニエンスストア等に配布しました。
今後とも、社会情勢の変化を踏まえつつ、必要な工夫・改善を凝らしながら、的確な人権教育・啓発施策を推進していきます。
人権侵害の把握につきましては、大阪府では、府内で発生したインターネット上における差別等を含む差別事象について、直接把握しているもののほか、市町村からの報告を集約しています。このうち、いわゆる同和地区を摘示するような極めて悪質なインターネット上の情報については、市町村や全国人権同和行政促進協議会と協力して、人権擁護機関である大阪法務局へ削除要請を行っているところであり、引き続き、迅速かつ適切な対応を行っていきます。
府教育庁では、障がい者差別、民族差別、部落差別の解消のために、教育の果たす役割は重要であると認識しており、これまでも差別のない社会の実現に向けて、人権教育を推進してまいりました。
今後とも、障害者差別解消法、ヘイトスピーチ解消法、部落差別解消推進法の3法及び府人権関係3条例の趣旨を踏まえ、人権教育の推進に努めてまいります。
府立学校においては、「人権尊重の社会づくり条例」「性的指向及び性自認の多様性に関する府民の理解の増進に関する条例」「人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の推進に関する条例」の施行等を踏まえ、次年度当初に各府立学校に配付する「教職員人権研修ハンドブック」を改訂することとしています。
また、現在、各校のPTAの中に人権啓発委員会等を組織し、人権学習に取り組むよう府立学校に働きかけるなど保護者への啓発を進めています。
市町村立小中学校に対しては、研修等において、「障害者差別解消法」「ヘイトスピーチ解消法」「部落差別解消推進法」のいわゆる人権3法及び大阪府人権関係3条例の趣旨について教職員や市町村指導主事に周知しております。また、実践研究協議会の開催等を通じて人権3法及び大阪府人権関係3条例の趣旨をふまえた教材や資料について周知するとともに、各校の実践を交流する等、人権及び人権問題に関する正しい理解を深め、人権課題の解決をめざした人権教育をすすめることができるよう学校を支援しているところです。
また、府教育センターでは、「初任者・新規採用者研修」、「10年経験者研修」、「府立学校長研修」、「府立学校教頭研修」、「小・中学校長人権教育研修」、「小・中学校教頭人権教育研修」、「府立学校新任首席研修」、「小・中学校新任首席研修」、「小・中学校リーディング・ティーチャー養成研修」、「府立学校リーダー養成研修」、「小・中学校人権教育研修」、「府立学校人権教育研修」及び支援教育研修の中で障害者差別解消法、ヘイトスピーチ解消法、部落差別解消法の3法を取り上げ、法の趣旨や内容を説明しています。
(回答部局課名)
府民文化部 人権局 人権企画課
府民文化部 人権局 人権擁護課
教育庁 人権教育企画課
教育庁 教育振興室 高等学校課
教育庁 教育振興室 支援教育課
教育庁 市町村教育室 小中学校課
(要望項目)基本要求
10【インクルーシブ教育基本方針】11年8月「障害者基本法改正」、21年3月「第5次大阪府障がい者計画(後期計画)」、21年5月「改正障害者差別解消法」をふまえ、大阪府として「インクルーシブ教育基本方針」を策定すること。
(回答)
障害者の権利に関する条約の理念をふまえて、国においては「中央教育審議会初等中等教育分科会特別支援教育の在り方に関する特別委員会」による「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」がまとめられ、2013(平成25)年9月の学校教育法施行令一部改正により、障がいのある子どもの就学先決定の仕組みが見直されました。
大阪府では、2013(平成25)年3月策定の「大阪府教育振興基本計画」において、「障がいのある子ども一人ひとりの自立を支援します」の基本方針のもと、2014(平成26)年9月の教育委員会会議において、連続性のある多様な学びの場の提供など、教育環境の整備や個々の障がいの状況、一人ひとりの教育的ニーズに応じた一貫した支援の充実等、支援教育の基本的な方向性についてお示ししました。
今後とも、「大阪府教育振興基本計画」のもと、大阪府がこれまでから大事にしてきた「ともに学び、ともに育つ」教育のより一層の推進に努めてまいります。
(回答部局課名)
教育庁 教育振興室 支援教育課
(要望項目)基本要求
11【合理的配慮】21年4月「改正バリアフリー法」、21年9月「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」等の、支援を必要とする子どもの合理的配慮が教育現場ですすむよう施策を講じるとともに、市町村教育委員会に指導・助言すること。
(回答)
大阪府では、同法律が施行される以前より、小学校・中学校・義務教育学校における安全・安心な医療的ケア実施体制の整備に向け、市町村を支援してまいりました。今年度も、「市町村医療的ケア等実施体制サポート事業」を実施し、学校看護師の人材確保や定着支援に取組むとともに、医療的ケア児が転入学する際に必要となる施設整備に係る経費、外部人材の活用に係る経費、市町村教委が行う通学支援に係る経費について、その一部補助を行っています。
また、「令和3年度 市町村教育委員会に対する指導・助言事項」において、支援を必要とする子どもの合理的配慮が適切に行われるよう指導することを明記しており、支援教育担当指導主事会等においても、同法律の施行等について周知しています。
引き続き、各市町村をハード、ソフトの両面からサポートすることにより、「ともに学び、ともに育つ」教育のより一層の充実に努めてまいります。
「バリアフリー法」の改正に伴い、バリアフリー化の推進に活用可能な国庫補助については、2021(令和3)年度より、補助率が引き上げられる等、国においても充実が図られているところです。
今後とも、支援を必要とする子どもの合理的配慮の提供がなされるよう、働きかけを行ってまいります。
(回答部局課名)
教育庁 教育振興室 支援教育課
教育庁 施設財務課
(要望項目)基本要求
12【貧困等】20年3月策定「第2次大阪府子ども貧困対策計画」にもとづき、大阪府・大阪府教育庁として実効ある対策と効果の検証をおこなうこと。また、家庭の経済状況の厳しさ、地域の状況、子どもが家族の世話をする(ヤングケアラー)こと等が、子どもたちの学力に大きな影響を及ぼしている現状をふまえ、その実態や課題の共有をおこなうこと。さらに、「子供・若者育成支援推進大綱」「子どもの貧困対策の推進に関する法律」「子供の貧困に関する大綱」の具体化をはかるため、市町村と連携した施策を講じること。また、SSW・CSWを増員し、福祉行政との連携をはかり、市町村でより効果的に活用できる施策・支援をおこなうこと。
(回答)
「第2次大阪府子どもの貧困対策計画(大阪府子ども総合計画後期事業計画)」では、関係部局が連携し、生活支援、教育支援、孤立防止など総合的に取組を推進することとしています。
引き続き、「子どもの貧困を考える関係課長会議」において実態や課題を共有しながら総合的な取組を推進するとともに、大阪府子ども施策審議会へ進捗状況を報告し、その意見を踏まえて計画の効果的な推進を図るなど、適切に進行管理を行ってまいります。
また、同計画では、法や大綱の趣旨を踏まえ、市町村との連携を強化し、困難を抱える子どもや保護者を支援につなぐ取組等を進めることとしており、引き続き、補助金や取組事例の共有等により市町村の取組を支援してまいります。
府教育庁では、福祉部と連携し、今後とも「学びを支える環境づくりを支援する」こと等をねらいとした事業の取組みをすすめてまいります。
府立高校については、ヤングケアラーの実態を早期に把握するとともに、支援につなぐことができるよう、アンケート調査を実施したところです。ヤングケアラーに対しては、ケアを要する家族に適切なサービスを提供し、ケアの負担を軽減、解消することが重要であり、関係部局との連携が必要不可欠であると認識しています。調査結果をふまえ、今後、関係部局と密接に連携しながら、様々な課題を抱える子どもたちを支援してまいります。
なお、2021(令和3)年度は、38校にSSWを配置しています。ヤングケアラーを含め貧困等に直面している生徒の支援など、SSWの必要性は高まっていることから、効果的な配置等の検討を進めてまいります。
市町村立小中学校については、2019(令和元)年度より政令市・中核市を除く府内全市町村のすべての中学校区にSSWを配置できるようにしました。併せて、府で雇用するSSWスーパーバイザーの処遇改善を行いました。
また、より効果的に福祉と連携できるように市町村雇用のSSWを対象とした研修プログラムを実施して、府内全域のSSWの資質向上を図るとともに、SSW、スクールカウンセラー、スクールロイヤーによる地区別の連絡協議会を開催して福祉との連携の在り方について協議を行っているところです。
ヤングケアラーについては、本人や家族に自覚がない等の理由により、表面化しにくいことから、ヤングケアラーについて教職員の理解を深めるとともに、早期発見・把握に努め、適切な支援に期するため、研修等で活用できるよう学校向け資料を作成、市町村教育委員会を通じて各校に配付しました。さらに、SSW連絡会や研修等の機会を通じて、SSWや市町村教育委員会担当者、各校の教職員を対象に、ヤングケアラーの概念や、きめ細かく子どもの状況を把握する工夫等について理解促進に努めているところです。併せて、今年度からヤングケアラーを含め、悩みを抱える子どもへの相談体制を充実させるため、SCの活動時間を拡充したところです。
CSWについては、「第4期大阪府地域福祉支援計画」に基づき、地域福祉・高齢者福祉交付金の市町村への交付を通じて、コミュニティソーシャルワーカー(CSW)の配置促進を図っております。
また、SSW・CSW、福祉行政間の連携については、SSW連絡会やCSWブロック別連絡協議会の場を活用し、SSW、CSW及び行政の担当者が過去の事例を参考にグループワークを行うなど、相互の制度・活動内容の理解の促進を図るとともに、円滑な連携に向けて顔の見える関係づくりに努めています。今後も引き続き、SSW・CSW、福祉行政が連携し、支援を必要とする子どもや子育て世帯を、円滑に福祉サービスをつなぐことができるよう、取り組んでまいります。
子どもたちに対する学習支援や放課後等の様々な体験・交流活動については、市町村が実施主体となり、「学校支援活動」や「放課後子ども教室」において地域のボランティアの方々の協力を得ながら実施されています。
府教育庁としては、広域的な観点から、市町村に対して、経費補助や研修等による地域人材の育成、企業・団体等との連携による子どもたちの多様な活動プログラムの拡充等を行い、市町村の取組みを支援してまいります。
(回答部局課名)
教育庁 教育総務企画課
教育庁 人権教育企画課
教育庁 市町村教育室 小中学校課
教育庁 市町村教育室 地域教育振興課
教育庁 教育振興室 高等学校課
福祉部 地域福祉推進室 地域福祉課
福祉部 子ども室 子育て支援課
(要望項目)基本要求
13【ヘイトスピーチ】「ヘイトスピーチ解消法」、「大阪府人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の推進に関する条例」をふまえヘイトスピーチ(差別的憎悪表現)やインターネットに書き込まれる人権侵害事象について、大阪府・大阪府教育庁として「差別を許さない姿勢」を明らかにすること。また、意図的でなくとも無理解や偏見による言動は差別であることを含め、子どもたちや保護者、地域、府民に対してよりいっそう周知するとともに、学校現場のとりくみを支援する方策を確立すること。「ヘイトスピーチの問題を考えるために―研修用参考資料―」の内容についても精査し、府立学校や市町村教育委員会・学校現場に周知徹底をはかること。
(回答)
ヘイトスピーチは、人としての尊厳を傷つけ、差別意識を生じさせるものであり、許されないものと認識しています。
大阪府としましては、ヘイトスピーチを禁止する府の強い姿勢を府民に見える形で示し、ヘイトスピーチは許さないという共通認識を社会に根付かせるため、「大阪府人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の推進に関する条例」を2019(令和元)年11月に施行し、府民向けリーフレットを活用するなどして啓発を行ってまいりましたが、2021(令和3)年度からは、新たに、条例施行月である11月を条例啓発推進月間と定め、条例の周知・啓発の取組みを集中的に行っています。
引き続き、人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の必要性に対する府民の関心や理解が深まるよう、この条例の周知を図るとともに、ヘイトスピーチの解消に向けて取り組んでまいります。
府教育庁としては、教職員がヘイトスピーチについての理解を深め、人権尊重の精神を基盤に在日外国人に対する差別を許さない態度を培うとともに、すべての子どもたちに対して一層適切な教育を進めることが重要であると認識しています。2015(平成27)年に作成し、2017(平成29)年、2020(令和2)年に改訂した「ヘイトスピーチの問題を考えるために-研修用参考資料-」については、「大阪府人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の推進に関する条例」の施行を踏まえて、引き続き、市町村教育委員会及び府立学校への周知に努めるとともに、必要に応じて改訂を進めてまいります。
また、意図的でない場合であっても無理解や偏見による言動が差別となる場合があることについては、「人権教育COMPASS」や大阪府教育センターで実施する人権教育研修で紹介しています。
(回答部局課名)
府民文化部 人権局 人権擁護課
教育庁 人権教育企画課
教育庁 市町村教育室 小中学校課
教育庁 教育振興室 高等学校課
(要望項目)基本要求
14【虐待】子どもへの体罰を禁止するとともに、児童相談所の体制強化を盛り込んだ20年4月施行「改正児童虐待防止法」、16年6月「改正児童福祉法」をふまえ、さらに虐待防止に努めるとともに、家庭支援をおこなうこと。また、面前DVなどを含む子どもへの虐待について教職員の認識を深めるとともに、虐待を受けている子どもたちのSOSを見抜く力や迅速かつ適切な対応ができる力を身につけるための研修をおこなうこと。
(回答)
児童虐待は、子どもの心身の発達に深刻な影響を与え、時には生命の危機に発展する重大な人権侵害であるとの認識のもと、複雑困難化している児童虐待問題等に対応するため、子ども家庭センターでは、2016(平成28)年度から介入を中心とする相談対応課と、支援を中心とする育成支援課を設置しました。
また、子ども家庭センターの体制強化については、2019(令和元)年に策定した児童福祉司の増員計画において、国の配置標準を踏まえ、高い専門性の確保・維持の観点から、計画的に毎年20人程度増員することとしております。
また、法的対応の専門家である弁護士や、子どもの受傷原因を診断する医師等からなる「大阪府児童虐待等危機介入援助チーム」と連携するとともに、子ども家庭センターに警察官OBを配置しています。
さらに、2019(令和元)年8月に知事を座長とする大阪児童虐待防止推進会議を設置し、児童虐待の早期発見・早期対応のためのオール大阪での取り組みを進めています。
また、家庭支援については、地域での見守りや市町村の役割が重要であり、要保護児童対策地域協議会を中心に取り組んでおり、今後とも、児童虐待の防止に向け全力で取り組みます。
教育センターでは、「小・中学校長人権教育研修」、「小・中学校教頭人権教育研修」、「府立学校長研修」、「府立学校教頭研修」、「小・中学校人権教育研修」及び「府立学校人権教育研修」の講義等の中で、虐待に関わって子どものサインに気付くことや関係機関等との連携について認識を深めています。
また、2014(平成26)年及び2015(平成27)年に「人権教育リーフレット こどもの虐待」を作成し、府内小・中・高等・支援学校に配付しています。
小・中・高等・支援学校の初任者研修においても、児童虐待の現状や学校における対応、学校の福祉との連携について理解を深めています。
(回答部局課名)
福祉部 子ども室 家庭支援課
教育庁 教育振興室 高等学校課
(要望項目)基本要求
15【自死】21年4月、内閣府発行「子供・若者育成支援推進大綱」によれば、20年の全国の児童生徒の自死者数は499人にのぼり、19年より100人増で過去最多となった。また、国立成育医療研究センター「コロナ×こどもアンケート」によれば、小学校4年生以上の15~30%に中等度以上のうつ症状があることが示されるなど、深刻な状況である。自死にかかわる個人情報がインターネット上にさらされ、差別や排除につながる事案も発生している。大阪府・大阪府教育庁として子どもたちの状況を把握し、生命と人権を守る具体的施策を講じること。
(回答)
子どもたちが自ら尊い命を絶つということは、決してあってはならないことであり、自分の命、周りの人々の命がかけがえのないものであることを実感できるような教育の推進が求められていると認識しています。また、子どもが自身の心の危機に気づき、他者に援助を求める重要性を知るとともに、悩みを相談したり、人の困っていることに気づいたりできるような人間関係づくりが重要であると認識しています。
大阪府としては、2017(平成29)年7月に改正された国の「自殺総合対策大綱」に基づき、2018年(平成30)3月に「大阪府自殺対策基本指針」を改正し、庁内外の関係機関と連携し、「生きるための包括的な支援」として自殺対策を進めています。
府教育庁としては、国事業を活用し、24時間電話相談やLINE相談などの相談窓口の充実を図るとともに、府内全中学校にスクールカウンセラーを配置するなど、子どもたちが相談しやすい環境を整えています。併せて、各学校において、子どもたち一人ひとりの自尊感情を高め、自他の人権を尊重し、子ども同士のつながりを作り出すため、ホームルームや行事等を通じた人間関係づくりや、互いを認め合う集団づくりを進めるよう、市町村教育委員会に対し指導助言を行っているところです。
また、教育振興基本計画にも、基本的な方向性として「違いを認め合い人を思いやる豊かな人間性をはぐくむ」と位置づけているように、今後も、人権教育をはじめ学校の教育活動全体を通して、育成を図るように取り組んでまいります。
なお、文部科学省からの通知にあった「長期休業日が終了した学期初め等の時期において、児童生徒の心身の状況や行動に変化が現れやすいことから教職員等が連絡・協力し法及び法に基づく国の基本方針に沿って対応すること」などを各学校へ周知を行うよう市町村教育委員会に改めて通知しています。
府立高校におきましては、例年、入学段階で宿泊研修などを行い、生徒同士のつながりを作り出す取組みや学校行事、部活動等を通して、生徒が互いに交流する取組みを行っており、その中で互いに違いを認め合う集団づくりを進めています。
また、生徒へのアンケート「安全で安心な学校生活を過ごすために」や「いじめに関するアンケート調査」、「セクシュアル・ハラスメントに関するアンケート」を実施し、教育相談の窓口を周知するとともに、いじめ、セクシュアル・ハラスメント、体罰等について実態把握に努めています。さらに、2014(平成26)年度から、すべての府立高校で高校生活支援カードを活用しています。このカードにより、これまでの学校生活において生徒や保護者が不安や困難を感じている等について入学時の早い時期に把握し、生徒が安全で安心な学校生活を過ごすことができるように努めてまいります。
私立学校においても、各学校が教科学習や道徳・総合的な学習(探究)の時間・特別活動との関連を図りながら、生命の大切さや人生のかけがえのなさを実感することができる教育を進めているところです。引き続き、教職員と子どもとの間に信頼関係を構築する取組みをはじめ自殺予防についての組織的な対応を、校長会等を通じ、私立学校に求めてまいります。
(回答部局課名)
教育庁 市町村教育室 小中学校課
教育庁 教育振興室 高等学校課
教育庁 私学課
健康医療部 保健医療室 地域保健課
(要望項目)基本要求
16【いじめ】大阪府におけるいじめ・不登校、暴力行為の実態を明確にし、その解決のための施策を明らかにすること。「いじめ防止対策推進法」の目的にも「児童等の尊厳を保持するため」とあるように、いじめは「重大な人権侵害行為で、差別であり、絶対許されない行為」であることをふまえ、大阪府教育庁として、日常から人権学習や学級集団づくりをとおして、管理職をはじめ教職員に差別やいじめを見抜く確かな人権感覚を育てるよう、重ねて市町村教育委員会を指導すること。
(回答)
2020(令和2)年度問題行動調査の結果によりますと、いじめ認知件数は市町村立小学校で増加しています。小中学校ともに、いじめの解消率が若干下がっていますが、校種を超えての確認を行っていること、安易に解消とせず丁寧に見守りを行っていること等が要因と分析しており、すべての解消をめざして取組みを進めたいと考えています。不登校児童生徒数は小中学校とも引き続き増加し、暴力件数は、中学校で減少しています。
|
いじめ認知件数 |
いじめ解消率(%) |
不登校者数 |
暴力件数 |
||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
|
2019 |
2020 |
2019 |
2020 |
2019 |
2020 |
2019 |
2020 |
(令和元年) |
(令和2年) |
(令和元年) |
(令和2年) |
(令和元年) |
(令和2年) |
(令和元年) |
(令和2年) |
|
小学校 |
37,145 |
38,783 |
88.9 |
83.2 |
3,410 |
4,486 |
2,539 |
3,116 |
中学校 |
5,632 |
5,525 |
76.0 |
75.3 |
8,517 |
9,272 |
2,740 |
2,506 |
(政令市を含む公立小中学校)
府教育庁としては、この間、いじめを乗り越えるために必要な力を子ども一人ひとりに育むため、様々な資料を作成し、各学校で効果的に活用できるよう、教員を対象の研修を実施するなど、いじめの未然防止に取り組んできました。
また、2017(平成29)年3月の国「いじめ防止基本方針」の改訂に伴い、学校いじめ防止基本方針につきましても各学校において機能的に取組まれているか、市町村ヒアリングで確認しているところです。
加えて、2019(令和元)年6月に、学校のいじめ対応について、すべての教職員が改めて確認・見直しを行うよう「いじめ対応セルフチェックシート」を作成・配付し、各学校での活用を促しています。
「いじめ対応プログラム」2007(平成19)年6月
「いじめ対応マニュアル」2012(平成24)年12月
「問題行動対応チャート」2013(平成25)年8月
「いじめ対応セルフチェックシート【学校用】【教員用】」2019(令和元)年6月
併せて、児童生徒の悩みの相談や心のケアのため、府内公立全中学校へスクールカウンセラーを配置するとともに、夜間・休日を含めて24時間対応が可能な電話相談窓口を設置しています。
また、2012(平成24)年7月に府教育庁のホームページに「いじめや学校生活で悩んでいる方へ」のページを開設し教育相談の充実を図りました。
今後とも「いじめは人間として許されない行為である」「いじめは誰にでも、どの学校でもおこりうる」との認識のもと、人権が尊重された教育を推進するとともに、いじめに対しても、各学校が校内組織体制を整備し適切に対応できるよう、市町村教育委員会に対して引き続き指導してまいりたいと存じます。
不登校児童生徒への対応として、教育相談体制の充実を図るため、府内全中学校に配置しているスクールカウンセラーを、2021(令和3)年度においては小学校での活動時間を拡充するとともに、研究所加配教員を18市に配置し、配置市における不登校児童生徒の減少に向けた取組みの推進を行っています。
また、長期化する不登校児童生徒に対して、家庭及び適応指導教室と学校が連携し、より個に応じたきめ細やかな支援ができるよう、個別支援計画を作成し、不登校児童生徒の支援に努めるとともに、フリースクール等の民間団体との連携についても研究を進めています。
暴力行為への対応としては、2015(平成27)年度より、中学校において生徒指導機能の強化が図られるよう非常勤講師を配置し、2016(平成28)年度より、小学校においてチーム体制の充実が図られるよう、校長OBやSSWサポーター等を支援人材として配置しました。2017(平成29)年度から3年間、これら小中2つの取組みを統合し、校区の学校が連携し、9年間を通した指導体制の強化に取り組んだことから、暴力行為については中学校では現在まで減少傾向が続いています。さらに未然防止の観点からは小学校高学年を対象とした非行防止教室や、中学校生徒会サミットなど子どもの発達段階に応じた取組みを行っています。
生徒指導上の課題解決には、児童生徒理解の充実と、校内生徒指導体制の整備が必要であり、家庭・地域・関係機関と連携しながら、学校の総合的な問題解決機能の向上を推進していくことが重要であります。そのため、課題の多い中学校に、様々な役割をコーディネートする教員であるこども支援コーディネーターを配置し生徒指導の充実を図っています。また、小学校においても、31市町45校に小学校こども支援コーディネーターを配置し、学級担任制を活かした組織対応の在り方を研究するために連絡会を実施しています。
さらに、虐待・いじめ等の深刻な、あるいは深刻化する可能性のある事案については、2020(令和2)年度から、いじめ虐待等対応支援体制構築事業として、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー・スクールロイヤー等からなる緊急支援チームを、市町村教育委員会の要請に応じて派遣し、市町村及び学校への支援を行っています。加えて本事業では、府内85中学校に非常勤講師を、府内115小学校に教員OBの支援人材を配置し、生徒指導機能の充実を図っています。
併せて、学校と関係機関との連携を進めるため、学校と福祉をつなぐ専門家であるSSWを市町村が主体的に配置できるよう、政令市・中核市を除く府内すべての中学校区への配置をめざして市町村への補助を行い、ケース会議の充実等市町村教育委員会と連携した学校への支援を進めています。
今後、より適切な子ども支援のための方策を検討してまいります。
高等学校におきましては、2020(令和2)年度の大阪府の府立高等学校におけるいじめの認知件数は264件、不登校生徒数は3,043人、暴力行為の発生件数は210件となっております。これらの課題解決に向けましては、高校入学後の生徒の定着を図る観点から、出身中学校との連携、生徒同士や教員との人間関係作り、基礎学力の充実といった取組みを進めるとともに、スクールカウンセラーを活用し、さまざまな課題を抱えている生徒の心のケアにも努めているところです。
2013(平成25)年度から、生徒へのアンケート「安全で安心な学校生活を過ごすために」を実施し、教育相談の窓口を周知するとともに、いじめ、セクシュアル・ハラスメント、体罰等について実態の把握に努めております。さらに、2014(平成26)年度から全ての府立高校で高校生活支援カードを活用しております。このカードにより、これまでの学校生活において生徒や保護者が不安や困難を感じている等について把握し、生徒が安全で安心な学校生活を過ごすことができるように努めてまいります。
(回答部局課名)
教育庁 市町村教育室 小中学校課
教育庁 教育振興室 高等学校課