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指導内容・方法に関する配慮事項
4.指導内容・方法に関する配慮事項
(1)教育の中立性の確保
学校における人権教育については、教育の中立性を確保することが厳に求められる。
学校は、公教育を担う者として、特定の主義主張に偏ることなく、主体性を持って人権教育に取り組む必要があり、学校教育としての教育活動と特定の立場に立つ政治運動・社会運動とは、明確に区別されなければならない。
各学校においては、これらを踏まえ、学習プログラムや具体的な授業計画を組むに当たり、中立性の確保に十分な注意を払わなければならない。
(2)個人情報やプライバシーに関することへの配慮
学校において多様な学習活動を進めていく際には、様々な個人情報等と否応なく接する機会が多くなる。特に、人権教育の活動の中には、自分について語るなどの活動も含め、児童生徒のプライバシーに関わる内容を扱うこととなるものが少なくない。また、人権学習の一環として、例えば地域社会における体験活動などに積極的に取り組もうとすればするほど、個人情報に接する度合いも増すことになる。
個人情報等にも関わるこうした学習活動は、人権教育の効果的な実施を図る上で大きな意味を持つものであり、それだけに、各学校は個人情報等の取扱いについて慎重な配慮を行った上で、人権教育を適切に推進していく必要がある。
個人情報の保護については、個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」という。)をはじめとした関連法律や各地方公共団体の条令に具体的なルールが定められている。また、国際的な原則としては、自分に関する情報は自分でコントロールするとの基本的考え方の下に、「プライバシー保護と個人データの国際流通についてのガイドライン(1980年OECD理事会勧告附属文書)」が示されており、我が国の個人情報保護法制もこれをベースとしている。
学校においては、これら関連法令等の精神と内容を踏まえ、その原則を侵すことのないよう、担当者間で十分な確認を行い、校内の共通認識を広げながら、その学習活動を進めていく必要がある。人権教育の実施に当たっては、日頃から地域等の関係者との信頼関係づくりに努めるとともに、様々な活動の中で実際に個人情報を取り扱う際には、必ず本人や保護者等からの同意を得た上でこれを行わなければならない。
なお、情報化が進展する中にあって、他人の個人情報等の保護について学ぶことが強く求められるとともに、自分に関する情報を自分でコントロールするための知識とスキルを身に付けることも、より一層大切となっている。すなわち、個人情報やプライバシーに関する問題は、人権教育を進める学校や教職員における配慮事項としてだけでなく、児童生徒にとっての重要な学習課題ともなるものであり、このことについて併せて指摘しておきたい。