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大阪府情報公開審査会答申(大公審答申第120号)
第一 審査会の結論
実施機関は、本件異議申立ての対象となった部分公開決定において非公開とした部分のうち、別表1に掲げる部分を公開すべきである。
実施機関のその余の判断は妥当である。
第二 異議申立ての経過
- 平成17年7月19日、異議申立人は、大阪府知事(以下「実施機関」という。)に対し、大阪府情報公開条例(以下「条例」という。)第6条の規定により、「知的障害者施設から提出された事故報告書(H16年度)、知的障害者施設から提出された監査指摘事項に対する回答文書(H16年度)」の公開請求(以下「本件請求」という。)を行った。
- 同年8月17日、実施機関は、本件請求のうち「知的障害者施設から提出された事故報告書(H16年度)」に対応する行政文書として、別表2に掲げる行政文書(以下「本件行政文書」という。)を特定の上、同表に掲げる公開しないことと決定した部分(以下「本件非公開部分」という。)を除いて公開するとの部分公開決定(以下「本件決定」という。)を行い、公開しない理由を次のとおり付して異議申立人に通知した。
- (公開しない理由)
- 条例第9条第1号の規定に該当する。
本件行政文書(非公開部分)には利用者の氏名、住所、治療内容、利用している施設名等が記録されており、これらは個人のプライバシーに関する情報であって、特定の個人が識別され得るもののうち、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められるものである。 - 条例第8条第1項第1号の規定に該当する。
本件行政文書(非公開部分)には、法人代表者の印影が記録されており、これを公にすることにより、当該法人の競争上の地位、その他正当な利益を害すると認められる。 - 条例第8条第1項第5号の規定に該当する。
本件行政文書(非公開部分)には、警部補以下の警察職員の氏名が記録されており、これを公にすることにより、当該警察職員及びその家族等の生命、身体、財産等の保護に支障を及ぼすと認められる。
- 条例第9条第1号の規定に該当する。
- (公開しない理由)
- 同年9月26日、異議申立人は、本件決定を不服として、行政不服審査法第6条の規定により、実施機関に対し、本件決定の取り消しを求める異議申立てを行った。
第三 異議申立ての趣旨
本件決定を取り消し、本件決定において公開しないこととされた部分のうち、利用者及び保護者の氏名、生年月日、住所、電話番号、受給者番号、印影、身元引受人氏名、続柄、事故の相手方の氏名、住所、年齢を除く部分(以下「本件係争部分」という。)を公開することを求めるものである。
第四 異議申立人の主張要旨
異議申立人の主張は概ね次のとおりである。
1 障害者の人権について
厚生労働省は、障害者虐待防止についての勉強会を平成17年2月から5回開催している。勉強会の趣旨は、施設や家庭などで続発する障害者に対する虐待防止の為の適切な支援の在り方を検討し、施策の方向性を検討するということである。
厚生労働省に数多くの障害者への虐待事例、事故事例が報告されている。この知的障害者施設の現状の把握をする為に、勉強会を設置している。
勉強会に提出された議論は、
現状として、
- 虐待そのものが利用者本人にも理解されない。
- 親が施設への配慮から、虐待する側を守る場合がある。
- 職員に体罰という認識がない。指導、躾と考えている。
- 職員に、利用者支援のスキルがない。
- 体罰は繰り返される。
虐待防止の取り組みとして
- 施設団体として、障害者虐待の調査、指導、施設の建て直しを検討する必要がある。
- 障害者虐待の実態調査をする必要がある。
- 法律により、障害者虐待通報を義務化する必要がある。
- 障害者虐待に関する苦情受付の体制整備をする。
- 知的障害者施設では権利侵害が起こりやすい。権利侵害を犯しても、職員が気づかない。権利侵害が、虐待にエスカレートする。そうならない為に、法整備が必要である。
等の意見が提出されている。
適切な支援が障害者に対して知的障害者施設で行われているかどうかが問われている。事故、事件、虐待が発生する場合は、障害者に関する心身状況の把握が十分ではない場合に起きる。障害者支援のスキルを職員が持っていない場合にも起きる。事故、事件、虐待原因を特定する為には、障害者本人の心身状況、事故、事件、虐待発生の環境を公開してもらわないと、厚生労働省主催の勉強会の議論が無駄になってしまう。
厚生労働省主催の勉強会での議論を踏まえると、障害者施設において事故、事件が発生した場合は、その内容は、公表されることが必要であるという主張になるように思われる。
大阪府は、弁明書において、障害者の人権の尊重を第一と考えていると主張している。開示決定においても、障害者の権利利益を第一とする視点で、障害者の権利を守るために、どの情報を開示するのかの議論をしていただきたい。障害者施設における障害者の権利利益は、事故、事件、虐待に遭わないということである。そして、施設において、障害に応じた、適切な支援を受ける権利が保障されることである。障害者施設が、適切な障害者支援を行うことができる職員を配置しているかどうかを監督するのは大阪府である。
2 事故情報の保有について
事故、事件、虐待に関する情報を、関係機関、団体だけに限定して保有することになっていることが、事故、事件、虐待が減少しない原因の一つである。障害者のプライバシーを守ることが必要であるとする説明では、不開示する理由にはならない。事故防止に繋がると思われる情報が公開されてこそ、障害者が施設で快適に生活をする権利の保障に繋がると考える。
3 事故確認の必要性について
事故報告の情報公開において、大阪府職員の現地調査文書が含まれていない。事実関係について確認をすることなく、事故報告書をファイルに綴じているだけである。これでは、施設がどのような事故報告書を作成しても、何の指摘もすることができない。客観的な事故原因の把握をする為には、事故現場で、施設関係者、保護者から意見聴取をすることが必要である。愛知県高浜市では、事故報告が介護施設から提出されれば、事情を関係者、保護者から聴取している。大阪府をこのような観点から評価すると、事故報告の活用に関する意識が低いように思われる。事故が発生した場合、事故報告書の記載内容の適切さが保障されないのであれば、事故報告書が提出されることにより、事件、虐待関係情報が隠れてしまうおそれがある。
本人の意思を汲み取ることができない職員がいる施設では、本人のいわゆる問題行動が頻発していると考えられる。本人の、障害特性、問題行動を原因とする事故報告書が多く提出されている。本人の障害、問題行動に焦点を当てた事故報告書が提出された場合には、行政が実況見分を実施しないと、事故を起したとされている障害者の責任が前面に出て、障害者施設の障害者支援能力が問われなくなる。現状の障害者虐待の問題は、ここにあると考える。
障害者支援、指導という名目でなされた虐待が多いから、厚生労働者が障害者虐待防止に取り組み始めた。
4 事故情報の公開制度について
介護施設での事故に関する情報を公開することの公益性は高いという意見が出ているのであれば、障害者施設での事故に関する情報を公開する公益性も高いと考える。自己に対する不利益を訴えることができない知的障害者の施設における事故に関する情報は、さらに、情報公開を進めなければならないと考える。大阪府は、障害者の入所施設の数が少ないので、入所希望者が定員を大きく上回って、利用調整をしていることを理由として、不開示にしている。
入所希望者が定員より多いということから、知的障害者施設での事故の内容を不問にする、又は、事故に関する情報を公開する公益性はないかのような説明では、知的障害者施設職員の障害者支援に関するスキルの向上を望むことはできない。
障害者が施設を選ぶことができない現状があるにしても、適切な障害に応じた支援を受ける権利を障害者は持っているとの認識が大阪府職員には必要である。幾つかの知的障害者施設では、職員のモラルハザードが起きている。大阪府における知的障害者施設の現状把握をお願いしたい。
5 結論
以上の理由により、開示すべきとの答申を求める。(利用者及び保護者の氏名、生年月日、住所、電話番号、受給者番号、印影、事故の相手方の氏名、住所、年齢を除く。)
第五 実施機関の主張要旨
実施機関の主張を総合すると概ね次のとおりである。
1 本件行政文書について
(1)施設の種別
知的障害者施設には、知的障害者更生施設、知的障害者授産施設等がある。知的障害者更生施設においては、18歳以上の知的障害者を入所あるいは通所させてこれを保護するとともにその更生に必要な訓練を行っており、知的障害者授産施設においては、18歳以上の知的障害者で、雇用されることが困難なものを入所あるいは通所させて、自活に必要な訓練を行うとともに、職業を与えて自活させることを目的としている。各施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準がそれぞれの省令により定められている。
(2)事故発生時の届出
事故発生時の対応については、指定知的障害者更生施設等の設備及び運営に関する基準(平成14年6月13日厚生労働省令第81号)第41条、知的障害者援護施設の設備及び運営に関する基準(平成15年3月12日厚生労働省令第22号)第12条により定められている。
各条文では「(前略)・・・入所者に対する支援の提供により事故が発生した場合は、速やかに市町村、入所者の家族等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない。」と規定されているため、実施機関としては施設に対し、事故が発生した場合は家族や市町村に対し連絡するよう指導している。
なお、事故についての都道府県への届出については、規定されていないが、実施機関は施設に対して、事故発生後利用者との間にトラブルが発生した場合や生じる可能性がある場合には実施機関に報告するよう依頼している。そのため、施設における重大な事故については、概ね施設から実施機関に報告されている。
(3)事故報告書に記載されている内容
報告の形式や記載内容に統一されたものはなく、記載者や内容により異なるが、概ね、「施設名、施設長名」、「当該利用者について」、「事故発生日時、場所」、「事故内容」、「事故発生に至るまでの状況および経過」、「施設の対応」、「その他参考となる事項」等で構成されている。
ア 施設名、施設長名
事故当事者が利用している施設名、文書作成者である施設長名及び法人代表者の印影が記載されている。
イ 当該利用者について
事故当事者氏名、住所、連絡先、家族氏名・住所および連絡先、援護の実施機関名、性状等に関することが記載されている。
ウ 事故発生日時、場所
事故の発生した日時、場所が記載されている。
エ 事故内容
事故の状況、事故当事者の受傷状況等が記載されている。
オ 事故発生に至るまでの状況および経過
事故発生までの事故当事者の性状や状況、事故の発見状況、受診した医療機関名、診断結果等が記載されている。
カ 施設の対応
事故発生後に施設が事故当事者、家族、援護の実施機関等にとった対応等について記載されている。
キ その他参考となる事項
家族の反応、心情及び主張や損害賠償に関する経過について記載されている。
2 条例第9条第1号により非公開とした部分について
- (1)条例第9条第1号において「個人の思想、宗教、身体的特徴、健康状態、家族構成、職業、学歴、出身、住所、所属団体、財産、所得等に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、特定の個人が識別され得るもののうち、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められるもの」は公開してはならない旨が規定されている。本件決定において、条例第9条第1号により非公開としたのは、本件非公開部分のうち、法人代表者の印影及び警部補以下の警察職員の氏名を除く部分である。
- (2)本件非公開部分が条例第9条第1号に該当することについて
本号は、- ア 個人の思想、宗教、身体的特徴、健康状態、家族構成、職業、学歴、出身、住所、所属団体、財産、所得等に関する情報であって、
- イ 特定の個人が識別され得るもののうち、
- ウ 一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められるもの
本件行政文書には、先に述べたように、知的障害者施設利用者の事故における個別具体的な内容と、その事故に至る経過やその後の施設の対応、家族の心情等が、利用者や家族の氏名や住所等に関する情報とともに詳細に記載されている。これらの情報は、個人の身体的特徴、健康管理等に関する情報であり、このような情報が、利用者個人が特定される形で公開されると、当該者の個人のプライバシー情報が明らかにされることとなり、当該者の人権が大きく阻害されることになる。障害者の人権の尊重を第一とする実施機関としては、当該者の特定につながり得る情報の公開は避けなければならない。このような観点から、本件決定においては、利用者の特定につながる情報は全て非公開とした。
事故発生施設名については、公開することにより、施設が特定され、事故発生年、報告年月日及び事故概要については既に公開済みであることから、その施設で誰がどのような状況で負傷等をしていたかといった、事故の発生状況、負傷の程度等を容易に特定できるものとなる。なお、各施設は地域サービスとしてショートステイ等を実施しており、地域住民も利用者と接することができる状況にあるため、施設名を特定すれば、事故内容から個人を特定される可能性がある。事故報告者名、事故発生日時、受診した医療機関名に関しても同様であり、断片的な情報であっても、関係者であれば容易に個人を特定できることから、アないしウの要件に該当するため、非公開とした。
なお、大公審第102号の答申において、介護施設での事故に関する情報を公開することの公益性は高いとの意見が述べられている。現在、障害者施設の利用は支援費制度の下で実施されているが、知的障害者入所更生施設においては、施設の定員を入所希望者が大きく上回っており、サービスの円滑かつ公平な利用のために、大阪府が利用調整を行っている。このように、施設利用に関しては、介護保険施設におけるものとは異なる状況にあり、一律には考えられない。
3 条例第8条第1項第1号により非公開とした部分について
- (1)条例第8条第1項第1号において「法人、その他の団体に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるもの」に該当する情報については、公開しないことができる旨が規定されている。本件決定において条例第8条第1項第1号により非公開としたのは、本件非公開部分のうち、法人代表者の印影である。
- (2)本件非公開部分が条例第8条第1項第1号に該当することについて
この情報を公開することは、取引の安全を害する等、当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められ、条例第8条第1項第1号に該当することから、実施機関は公開することができないものである。
4 条例第8条第1項第5号により非公開とした部分について
- (1)条例第8条第1項第5号において「公にすることにより、個人の生命、身体、財産等の保護、犯罪の予防又は捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすと認められる情報」に該当する情報については、公開しないことができる旨が規定されている。本件決定において条例第8条第1項第5号により非公開としたのは、警部補以下の警察職員の氏名である。
- (2)本件非公開部分が条例第8条第1項第5号に該当することについて
これを公にすることにより、当該警察職員及びその家族等の生命、身体、財産等の保護に支障を及ぼすと認められ、条例第8条第1項第5号に該当することから、非公開とするものである。
5 結論
以上のとおり、本件についての実施機関の決定は、条例の趣旨を踏まえたものであり、なんら違法、不当な点はなく、適当かつ妥当なものである。
第六 審査会の判断理由
1 条例の基本的な考え方について
行政文書公開についての条例の基本的な理念は、その前文及び第1条にあるように、府民の行政文書の公開を求める権利を明らかにすることにより、「知る権利」を保障し、そのことによって府民の府政参加を推進するとともに府政の公正な運営を確保するとともに、府民の生活の保護及び利便の増進を図るとともに、個人の尊厳を確保し、もって府民の府政への信頼を深め、府民福祉の増進に寄与しようとするものである。
このように「知る権利」を保障するという理念の下にあっても、一方では、公開することにより、個人や法人等の正当な権利・利益を害したり、府民全体の福祉の増進を目的とする行政の公正かつ適切な執行を妨げ、府民全体の利益を著しく害することのないよう配慮する必要がある。
このため、条例においては、府の保有する情報は公開を原則としつつ、条例第8条及び第9条に定める適用除外事項の規定を設けたものであり、実施機関は、第8条及び第9条に定める適用除外事項に該当する場合を除いて、その情報が記録された行政文書を公開しなければならないのである。
2 本件行政文書について
知的障害者施設において事故が発生した場合、施設は、厚生労働省の省令で定められた基準により、市町村及び入所者の家族等に連絡しなければならないこととされている(指定知的障害者更生施設等の設備及び運営に関する基準(平成14年6月13日厚生労働省令第81号)第41条、知的障害者援護施設の設備及び運営に関する基準(平成15年3月12日厚生労働省令第22号)第12条)。
一方、実施機関への届出については、明文の規定はないが、実施機関は、利用者との間にトラブルが発生した場合や生じる可能性がある場合には、実施機関へも報告するよう各施設に依頼しており、施設における重大な事故については、概ね、施設から実施機関への報告がなされている。
本件行政文書は、実施機関が各知的障害者施設から受領したこれら事故に関する報告書である。これらの報告書には様式の定めがなく、その形式や記載内容は報告者や案件によって様々であるが、概ね、次の事項が記載されている。
ア 報告者等
事故当事者が利用している施設の名称、施設を運営する法人の名称、報告文書作成者である施設長等の氏名が報告年月日とともに記載されており、一部には報告文書作成者等の印影が記録されているものもある。
イ 当該利用者等について
事故の当事者である利用者等の氏名、年齢、住所等のほか、支援・援護の実施機関名等が記載されている。
ウ 事故の概要
事故の発生した日時、場所、発見状況、事故の当事者である利用者の負傷状況等、報告された事故の内容が事故の発生に至る経緯及びその後の経過を含め具体的に記載されている。
エ 施設の対応
事故の発生後に施設が事故に関してとった対応等について、日時、関係機関の名称、関係者の氏名等が具体的に記載されている。
オ その他参考事項
事故の当事者である利用者の履歴、性状や施設における生活状況に関する事項及び家族等の関係者に関する事項等が具体的に記載されている。
3 本件決定に係る具体的な判断及びその理由
(1)本件係争部分について
異議申立人は本件異議申立てにおいて、本件非公開部分のうち、利用者及び保護者の氏名、生年月日、住所、電話番号、受給者番号、印影、身元引受人氏名、続柄、事故の相手方の氏名、住所、年齢に係る情報が記録された部分の公開を求めていない。
このことから、本件係争部分に記録されている情報を整理すると、次のとおりである。
ア 施設等に関する情報
施設の名称(その一部を含む。)、施設を経営する法人の名称、法人名及び施設名の一部を用いた文書番号、当該施設に特有の職名、理事長及び施設長等の氏名、その他の施設職員の氏名(印影を含む。)、施設が所在する市町村名及び担当者の氏名、施設の設置年及び経過年数、特定の施設の種類名
イ 利用者等に関する情報
事故に関係した利用者の処遇歴、病歴、障害の程度、性状、年齢、家族の状況、日頃の行動、事故前の状況に関する記述、利用者に対する援助の実施者である市町村名及びその担当者の氏名、利用者の性別を冠した施設職員の職名、利用者以外の事故の相手方の属性
ウ 事故に関する情報
発生月日及び曜日、発生場所、負傷等の内容(診断書含む。)、死亡原因(死体検案書を含む。)、治療及び処置の内容、医療機関の名称、所在地及び電話番号等、事象の内容、事故に至る経過、物損の状況、現場の見取り図及び写真、発見時の状況、第一発見者の属性及び氏名、事故に対する施設の見解
エ 事故後の対応に関する情報
事故後の経過に関する月日、関係機関の名称、関係機関との連絡等の内容、利用者及び家族等への対応の内容、利用者及び家族等の反応に関する記述、事故後の対応に関する施設の見解
(2)条例第9条第1号該当性について
条例は、その前文で、府の保有する情報は公開を原則としつつ、個人のプライバシーに関する情報は最大限に保護する旨宣言している。また、第5条において、個人のプライバシーに関する情報をみだりに公にすることのないよう最大限の配慮をしなければならない旨規定している。
このような趣旨をうけて、個人のプライバシーに関する情報の公開禁止について定めたのが条例第9条第1号である。
同号は、
- a 個人の思想、宗教、身体的特徴、健康状態、家族構成、職業、学歴、出身、住所、所属団体、財産、所得等に関する情報であって、
- b 特定の個人が識別され得るもののうち、
- c 一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められる
情報が記録された行政文書については公開してはならないと定めている。
また、条例は第10条において、行政文書の部分公開を実施機関に義務づけており、実施機関は、公開請求に係る行政文書に条例第8条各項各号及び第9条各号に該当する情報が記録されている部分がある場合においても、その部分を容易に、かつ、公開請求の趣旨を損なわない程度に分離できるときは、その部分を除いて、当該行政文書を公開しなければならないと定めている。
実施機関は、本件決定において、本件係争部分に記録されている情報のうち、後述する法人代表者の印影及び警部補以下の警察職員の氏名を除く情報について、条例第9条第1号に該当することを理由に、公開しないこととしているので、検討するに、本件行政文書は、知的障害者施設における個別の事故に関する報告書であり、当該事故の内容や事故の当事者である利用者等の属性や性状、生活の状況等の情報を具体的に記録したものであるから、これらの情報が、上記aの要件に該当することは明らかである。
また、これらの情報は、公にすることにより、特定の個人が事故にあったという事実や当該事故の内容が明らかとなる情報であり、このような情報は、個人のプライバシーに関する情報の中でもとりわけ機微にわたる情報であって、当該個人が識別され得る限りは、通常他人に知られたくないと望むものであり、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められることから、全体として、上記b及びcの要件にも該当し、条例第9条第1号に該当すると認められる。
そこで、これらの情報について、条例第10条第1項の規定に基づく部分公開が可能かどうか検討したところ、以下のとおりである。
ア 施設等に関する情報
施設の名称(その一部を含む。)については、これを公開することにより、事故の起きた施設が特定される情報である。
本件決定においては、事故の概要や事故後の対応に関する情報の相当部分が公開されており、これらの公開されている情報と施設の名称とを照らし合わせることにより、当該施設の他の利用者やその家族等の関係者には、容易に事故に遭った個人を特定し得ることになると認められる。
したがって、施設の名称を公開することは、事故報告書の公開部分に記載されている事故の概要や事故後の対応などの情報を個人が識別される形で公開するのと同じ結果となるおそれがあり、このような情報は、これらの関係者においても、必ずしも知っているとは限らないものであることからすると、施設の名称は部分公開することができない。
次に、施設を経営する法人の名称、法人名及び施設名の一部を用いた文書番号、当該施設に特有の職名、理事長及び施設長等の氏名については、通常一般に公開されている施設案内等の情報と照らし合わせることにより、容易に施設を特定できる情報であり、これらの情報を公開すると、施設の名称の公開と同じ結果を生ずることになるから、部分公開することができない。
また、記入者、報告書あるいは事故又は事後処理の当事者又は関係者として記載されているその他の施設職員の氏名(印影を含む。)については、当該施設の他の利用者やその家族等の関係者には、施設の管理者の場合と同様に容易に施設を特定できる情報であることから、部分公開することができない。
さらに、施設が所在する市町村名及び担当者の氏名、設置年及び経過年数並びに特定の施設の種類名については、市町村ごと設置年ごと種類ごとの施設の数等を考慮すると、公開することにより、容易に施設が特定できることとなる情報であることから、部分公開することができない。
イ 利用者等に関する情報
事故に関係した利用者の処遇歴、病歴、障害の程度、性状、家族の状況、日頃の行動、事故前の状況に関する記述については、当該利用者のプライバシーに関する情報の中でもとりわけ機微にわたるものであり、当該施設の他の利用者やその家族等の関係者においても、通常、容易には知り得ない情報であることから、部分公開することができない。
また、利用者に対する援助の実施者である市町村名及びその担当者の氏名並びに利用者の性別を冠した施設職員の職名については、当該利用者の居住地市町村や性別が明らかとなる情報であり、事故に遭った利用者の特定を容易にするおそれがあることから、部分公開することができない。
さらに、利用者以外の事故の相手方の属性については、当該相手方の特定を容易にするおそれがあることから、部分公開することができない。
ウ 事故及び事故後の対応に関する情報
(ア)月日等
事故の発生月日及び曜日については、これを公開すると、本件決定において既に公開されている事故発生の年、時間、事故の概要に関する情報などと照らし合わせることにより、施設の他の利用者やその家族等の関係者には、容易に事故に遭った個人を特定することができることとなるおそれがある情報であることから、部分公開することができない。
また、事故後の対応等に係る月日の情報については、事故発生の月日と一連の経過をなすものであり、これを公開すると、事故の発生時期が推定され、当該施設の他の利用者やその家族等の関係者においては、当該利用者を特定し得ることとなる。本件決定において公開されている情報には、これらの関係者においても、必ずしも知られていないものがあることから、これらの月日に関する情報については、部分公開することができない。
しかしながら、施設が実施機関に対して行った報告の月日(記入年月日として記載されているが、実質上、報告月日であるものを含む。)については、事故発生の月日及び事故後の対応等に係る月日と必ずしも相関関係にあるとはいえず、当該報告に直接携わった関係者以外の者が、当該情報のみによって、容易に事故を特定することはできないから、部分公開すべきである。
(イ)場所
事故の発生等の場所については、具体的な地名や当該施設に固有の名称などが記載されている場合は、本件決定により公開されている情報や通常一般に公開されている施設案内、地図等の情報などと照らし合わせることにより、容易に施設を特定できる情報であることから、部分公開することができないが、階数や一般にどの施設においても同様に設置されている室名等が記載されているに過ぎない場合については、容易に施設を特定することはできないから、部分公開すべきである。
(ウ)負傷等の内容及び死亡原因
利用者の負傷等の内容のうち、負傷の部位や「打撲」、「骨折」等の概括的な症状の情報については、事故の概要と言うべき情報であって、外見上などから当該施設の他の利用者やその家族等の関係者においては、通常容易に知り得る情報であるうえ、当該利用者に固有の特徴を示す情報であるとまでは言える情報ではなく、一般には特定の個人を識別することはできないものであることから、部分公開すべきである。
しかしながら、負傷の程度や死亡の原因については、当該施設の他の利用者やその家族等の関係者であっても容易には知り得る情報ではないことから、部分公開することができない。
また、治療及び処置の内容のうち、既に本件決定において公開されている事故の概要や上記において公開すべきと判断した負傷の内容から、事故の直後において、通常行われると考えられる治療や応急処置の内容については、負傷の部位と同様に部分公開すべきであるが、それ以外の情報については、当該施設の他の利用者やその家族等の関係者でも容易に知り得る情報ではないことから、部分公開することはできない。
(エ)関係機関の名称等
事故に遭った利用者の治療にあたった医療機関の名称や所在地、電話番号等は、事故の発生場所が、施設内又は施設周辺であるため、公開することにより、容易に施設を特定できる場合が多く、また、当該施設の他の利用者やその家族等の関係者には必ずしも容易に知り得る情報ではないことから、部分公開することができない。
また、保護願を提出したり事故について事情聴取を受けた警察署の名称についても、公開することにより、施設の所在地が限定され、容易に施設を特定できることとなる情報であることから、部分公開することができない。
さらに、本件係争部分に記録されている関係機関の名称の中には、公開すると、当該利用者の生活の状況が明らかとなるものが含まれているが、このような情報は、当該施設の他の利用者やその家族等の関係者であっても容易には知り得る情報ではないことから、部分公開することができない。
(オ)事故の詳細な内容や経過
本件係争部分には、事故の発生や発見に至る具体的な経過のほか、発見時の状況、物損の状況、現場の見取り図及び写真等、事故のそのものに関する詳細な内容等が記録されている。これらの情報は、当該利用者のプライバシーに関する情報の中でもとりわけ機微にわたるものであり、当該施設の他の利用者やその家族等の関係者においても容易には知り得ない情報であることから、部分公開することができない。
しかしながら、事故に関する施設の見解に係る記述については、一般にはこれらの情報のみによって、事故に遭った個人を特定することは困難であるから、前後の記載などと照らし合わせることにより、施設名を特定し得る特別な事情がある部分を除き、部分公開すべきである。
(カ)事故後の対応及び家族等の反応
本件係争部分には、利用者及び家族等への対応の内容、関係機関との連絡等の内容等施設が事故に関してとった対応の具体的内容やその際の当該利用者の家族等の反応の状況が記録されている。
事故後に施設が行った対応や措置の具体的内容及びその際の家族等の反応の状況については、当該利用者及びその家族等のプライバシーに関する情報の中でもとりわけ機微にわたるものであり、当該施設の他の利用者やその家族等の関係者でも容易には知り得ない情報であることから、部分公開することができない。
しかしながら、事故後に施設が行った対応や処置の内容のうち、基本的な事実関係や事故に対しての施設の見解に係る記述については、一般にはこれらの情報のみによって、事故に遭った個人を特定することは困難であるから、前後の記載などと照らし合わせることにより、施設を特定し得る特別な事情がある部分を除き、部分公開すべきである。
(3)条例第8条第1項第1号該当性について
事業を営む者の適正な活動は、社会の維持存続と発展のために尊重、保護されなければならないという見地から、社会通念に照らし、公にすることにより競争上の地位を害すると認められる情報その他当該事業者の正当な利益を害すると認められる情報は、公開しないことができるとするのが条例第8条第1項第1号の趣旨である。
同号は、
- a 法人、・・・・その他の団体(以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、
- b 公にすることにより、当該法人等又は当該個人の競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるもの(人の生命、身体若しくは健康に対し危害を及ぼすおそれのある事業活動又は人の生活若しくは財産に対し重大な影響を及ぼす違法な若しくは著しく不当な事業活動に関する情報を除く。)
が記録された行政文書を公開しないことができると規定している。
これを本件についてみるに、本件係争部分のうち、実施機関が第8条第1項第1号に該当するとして非公開としたのは、法人の代表者の印影である。
法人の代表者の印影は、当該法人が対外的な活動を行うに際し作成した文書の責任を明らかにするものとして重要な意義を有しており、上記aの要件に該当することは明らかである。
また、法人の代表者の印影は、当該印影が現に公表され、又は公表することが慣行となっているなど特段の事情がない限り、一般的には専ら当該法人が自ら管理すべき情報である。これを公開することにより、印章偽造等の不正使用を誘発し、虚偽の契約書等の作成が容易になるなど、当該法人の正当な利益を害するおそれがあると認められるところ、本件法人の代表者の印影については、当該印影が現に公表され、又は公表することが慣行となっているなど特段の事情は認められないから、上記bの要件にも該当する。
以上のことから、本件法人の代表者の印影は、条例第8条第1項第1号に該当し、公開しないことができる情報であると認められる。
(4)条例第8条第1項第5号該当性について
大阪府が保有する情報の中には、公開すると情報提供者、犯罪の被疑者又は参考人等の生命、身体、財産等を保護することが困難となるものや犯罪の予防、捜査その他の公共の安全と秩序を維持する活動の遂行を阻害し、又は効率的に行うことができなくなるものがある。そのような事態を防止するため、これらの活動に支障を及ぼす情報については公開しないことができるとするのが条例第8条第1項第5号の趣旨である。
同号は、「公にすることにより、個人の生命、身体、財産等の保護、犯罪の予防又は捜査その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすと認められる情報」が記録された行政文書を公開しないことができると規定している。
これを本件についてみるに、本件係争部分のうち、実施機関が第8条第1項第5号に該当するとして非公開としたのは、事故に関する事情聴取を行った警部補以下の警察職員の氏名である。
一般に、警察職員は、他の公務員とは異なり、犯罪捜査及び警察規制に係る取締りに従事することを本分としており、犯罪捜査や取締りの現場において、相手方の反発・反感を招きやすい立場にあることから、その氏名が公開されると、当該警察職員が過去に従事した犯罪捜査等の関係者など警察職員を標的とする人物等からの加害行為を容易にし、当該職員だけでなく、その家族に対しても脅迫や嫌がらせ等の危害が及ぶおそれがあると認められる。
本件係争部分に記載された警察職員の氏名は、現に犯罪捜査に従事している警部補以下の職員の氏名であり、公にすることにより、当該警察職員等への加害行為を容易にし、その生命、身体、財産等の保護に支障を及ぼすと認められる。
以上のことから、本件係争部分に記録されている警察職員の氏名は、条例第8条第1項第5号に該当し、公開しないことができる情報であると認められる。
(5)異議申立人の主張について
異議申立人は、「事故、事件、虐待原因を特定する為には、障害者施設において事故、事件が発生した場合は、その内容は、公表されることが必要である」、「障害者の権利利益を第一とする視点で、障害者の権利を守るために、どの情報を開示するのかの議論をしていただきたい」、「事故防止に繋がると思われる情報が公開されてこそ、障害者が施設で快適に生活をする権利の保障に繋がる」とし、また、「介護施設での事故に関する情報を公開することの公益性は高いという意見が出ているのであれば、障害者施設での事故に関する情報を公開する公益性も高いと考える。自己に対する不利益を訴えることができない知的障害者の施設における事故に関する情報は、さらに、情報公開を進めなければならない」などとして、本件係争部分に記録されている情報を公開することの公益性を主張しているものと解される。
しかしながら、上記において、公開しないことが妥当と判断した情報は、特定の個人が知的障害者施設において事故にあったという事実が明らかとなるおそれのある情報、個人のプライバシーに関する?報の中でもとりわけ機微にわたる情報で関係者にも通常明らかになっていない情報等であって、条例第9条第1号等に規定する非公開情報に該当し、異議申立人の指摘するところによっても、これらの情報を公開しないことにより保護されるべき個人のプライバシー保護等の利益を上回る公益性を認めることはできないから、公開することができないのは止むを得ない。
なお、当審査会は、平成17年3月14日付け答申(大公審第102号)において、介護保険施設における事故の情報を公開することの公益性について述べているが、この事案においても個人のプライバシー情報を保護する必要性を上回るまでの公益性があるとは認めなかったものである。
また、異議申立人は、以上のほか、実施機関の事故調査のあり方等についても、種々主張しているが、いずれも、本件行政文書の公開の可否についての判断に影響を及ぼすものではない。
以上のことを踏まえ、本件係争部分に記録されている情報を精査した結果、別表1の「公開すべき部分」に記録されている情報については、これを公開すべきであるが、その余の情報については、条例第9条第1号、同第8条第1項第1号及び同第8条第1項第5号の規定により、公開しないとした判断は妥当である。
5 結論
以上のとおりであるから、本件異議申立てのうち、別表1の「公開すべき部分」の公開を求める部分には理由があり、「第一 審査会の結論」のとおり答申するものである。
主に調査審議を行った委員の氏名
塚本美彌子、岡村周一、曽和俊文、松田聰子
別表1
行政文書の名称 | 公開すべき部分 | |
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1 |
平成16年6月11日付け「利用者○○○○氏死亡について報告」 |
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2 |
事故・ひやりはっと報告書1(被害者分) |
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事故・ひやりはっと報告書1(加害者分) |
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3 |
事故・ひやりはっと報告書2 |
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4 |
事故・ひやりはっと報告書3 |
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5 |
利用者の死亡について(報告) |
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6 |
事故報告書4 |
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7 |
事故報告書(平成17年3月20日付け) |
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9 |
○○利用者「死亡」と今後の対応について(報告)(平成16年5月25日付け) |
|
10 |
事故報告について(2005年2月5日付け) |
|
11 |
事故報告書(2004年11月29,30日付け) |
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別表2
行政文書の名称 | 公開しないことと決定した部分 | |
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1 |
平成16年6月11日付け「利用者○○○○氏死亡について報告」 |
|
2 |
事故・ひやりはっと報告書1 |
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3 |
事故・ひやりはっと報告書2 |
|
4 |
事故・ひやりはっと報告書3 |
|
5 |
利用者の死亡について(報告) |
|
6 |
事故報告書4 |
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7 |
事故報告書(平成17年3月20日付け) |
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8 |
○○さんの死亡までの経過報告(当日の動き) |
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9 |
○○利用者「死亡」と今後の対応について(報告)(平成16年5月25日付け) |
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10 |
事故報告について(2005年2月5日付け) |
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11 |
事故報告書(2004年11月29,30日付け) |
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