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更新日:2009年8月5日

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大阪府情報公開審査会答申(大公審答申第119号)

第一 審査会の結論

実施機関の決定は妥当である。

第二 異議申立ての経過

  1. 異議申立人は、平成17年12月6日、大阪府情報公開条例(以下「条例」という。)第6条の規定により、大阪府人事委員会(以下「実施機関」という。)に対し、「大阪府が実施した大学卒程度および高校卒程度職員採用試験の成績一覧表(平成16年度及び平成17年度)」の公開請求(以下「本件請求」という。)を行った。
  2. 実施機関は、平成17年12月20日、本件請求に対応する行政文書として次の(1)の文書を特定の上、これらの文書のうち、次の(2)の部分を除いて公開するとの部分公開決定(以下「本件決定」という。)を行い、公開しない理由を次の(3)のとおり付して異議申立人に通知した。
    • (1)本件請求に対応する行政文書の名称
      • (平成16年度及び平成17年度分)
        • 大学卒程度職員採用試験の最終合否決定にかかる得点一覧表(行政A、行政B、土木、建築、機械、電気、環境、農学、農業工学(17年度分除く)、林学、造園)
        • 高校卒程度職員採用試験の最終合否決定にかかる得点一覧表(行政A、行政B、土木)
    • (2)公開しないことと決定した部分
      • ア 大学卒程度(16年度の行政B及び農業工学並びに17年度の行政B、機械及び林学を除く職種)
        受験番号、氏名(漢字)、性別、年齢、最終学歴、学校名、学部名、国籍、2次専門得点、2次面接評価、2次面接得点、3次得点、3次面接評価、3次面接得点、3次集団討論評価(行政Aのみ)、3次集団討論得点(行政Aのみ)、入庁確率、累積人数
      • イ 大学卒程度(行政B)
        受験番号、氏名(漢字)、性別、年齢、最終学歴、学校名、学部名、2次専門得点、2次面接評価、2次面接得点、3次記述科目(17年度のみ)、3次得点、3次面接評価、3次面接得点、3次集団討論評価、3次集団討論得点、入庁確率、累積人数
      • ウ 大学卒程度(16年度の農業工学並びに17年度の機械)
        受験番号、氏名(漢字)、性別、年齢、最終学歴、学校名、学部名、国籍、1次得点(不合格者のみ)、1次序列(不合格者のみ)、2次専門得点、2次面接評価、2次面接得点、2次合計(不合格者のみ)、2次序列(不合格者のみ)、3次得点、3次面接評価、3次面接得点、SCT(不合格者のみ)、総得点(不合格者のみ)、最終序列(不合格者のみ)、入庁確率、累積人数
      • エ 大学卒程度(17年度の林学)
        受験番号、氏名(漢字)、性別、年齢、最終学歴、学校名、学部名、国籍、1次得点(合格者のみ)、1次序列(合格者のみ)、2次専門得点、2次面接評価、2次面接得点、2次合計(合格者のみ)、2次序列(合格者のみ)、3次得点、3次面接評価、3次面接得点、SCT(合格者のみ)、総得点(合格者のみ)、最終序列(合格者のみ)、入庁確率、累積人数
      • オ 高校卒程度
        受験番号、氏名(漢字)、氏名(カナ)、性別、年齢、最終学歴、卒業年、卒業見込、国籍(行政B除く)、作文得点(行政A・Bのみ)、専門得点(土木のみ)、1次合計点、2次面接得点、2次面接評価、入庁確率、累積人数
    • (3)公開しない理由
      • ア 大阪府情報公開条例第8条第1項第4号に該当する。
        本件行政文書(非公開部分)には、大阪府職員採用試験の面接等における評価、得点や入庁の意向等に関する情報が記載されており、これらの情報を公にすると、適正な面接評価や合格者数の決定が困難となるなど、採用事務の公正かつ適切な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある。
      • イ 大阪府情報公開条例第9条第1号に該当する。
        本件行政文書(非公開部分)には、大阪府職員採用試験を受験した者の受験番号、氏名、性別、年齢、最終学歴、国籍、試験の成績、入庁の意向等が記載されており、これらの情報は、個人のプライバシーに関する情報であって、特定の個人が識別され得るもののうち、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められる。
  3. 異議申立人は、平成17年12月26日、本件決定を不服として、行政不服審査法第6条の規定により、実施機関に異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。

第三 異議申立ての趣旨

本件決定の公開しないことと決定した部分のうち、大学卒程度などの受験者の2次専門得点、2次面接評価、2次面接得点、3次得点、3次面接評価、3次面接得点、3次集団討論評価、3次集団討論得点並びに入庁確率及び累積人数の開示を求める。

第四 異議申立人の主張要旨

異議申立人の主張は概ね以下のとおりである。

1 異議申立書における主張

公開しない理由として「これらの情報を公にすると、適正な面接評価や合格者数の決定が困難になるなど、採用事務の公正かつ適切な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある」とある。

しかし、面接等における得点や評価を公にすることで採用事務の公正かつ適切な実施に著しい支障を及ぼすおそれはない。以下にその理由を挙げる。

第一に、これらの情報を公にする場合、その公開は当然、採用試験が終わり、すでに当該年度の受験者の合否が決まっており、当該年度の合否に影響を与えることはないからである。

第二に、次年度以降の面接評価や合格者数の決定にも影響も与えない。なぜなら、これらの情報を公にした場合、その情報はあくまで当該年度の受験者の情報だからである。その情報は、次年度以降の受験者の面接などの評価や得点とはまったく無関係である。

第三に、そもそも、面接などにおける評価、得点を公開することで、適正な面接評価や合格者数の決定が困難になるとし、採用事務の公正かつ適切な実施に著しい支障を及ぼすとの考え自体が不当である。採用事務を公正かつ適切に実施したいと考えるならば、これらの情報を明らかにすべきである。公開することで、面接官が受験者を公平、適切に評価し、得点をつけたことをわかり、採用事務が公正かつ適切に実施されたことが、受験者だけでなく県民にも明らかになる。しかし、非公開にすれば、県民からみて「何か明らかにできない情報があるのか」「面接で不公平、不適切な評価、得点が付けられているのではないか」などと、採用事務が不公正かつ不適切に実施されていると逆に疑念を抱かせる。

したがって、採用事務の公正かつ適切な実施に著しい支障を及ぼすおそれがあるとしてこれらの情報を非公開にした決定は不当であり、これらの情報を公開することを求める。

2 反論書における主張

  • (1)実施機関は、面接試験に関する評価、得点(2次面接評価、2次面接得点、3次面接評価、3次面接得点)について部分公開した理由として、「公開すれば採用試験事務の公正かつ適切な実施に著しい支障をきたす」と説明するが、この主張が不当であることを以下で説明する。
    • ア まず、実施機関は面接官については「毎年ほぼ同じメンバーで就いている。特に女性面接官は限られている。その一方、府職員に関する情報源として、市販されている職員録等(顔写真、所属、職名、氏名、住所、電話番号等が記載)、マスコミ情報(氏名、顔など)などがある。また、実施機関の事務局職員は各大学などの採用試験説明会で講師として、職名、氏名を明らかにしている。これらの情報から顔と氏名等が一致し、その結果、面接官が特定され」と説明する。
      この時点の説明で、面接試験に関する評価、得点の結果が公開されなくても面接官が特定されることが確認でき、面接試験の評価、得点の公開と、面接官の特定は別問題であることをここで確認しておきたい。
    • イ アを踏まえた上で、次に実施機関は続いて「面接官の評価が識別され得ることから、面接官が心理的な圧迫を抱き、今後の面接試験において、適切な面接評価を行うことができなくなる(特に公務員としての適性が低い人に悪い評価をつけることができなくなり、求める優秀な人材確保が難しくなる)とともに今後の面接官の確保が困難になる」と説明するが、この説明は成り立たない。
      なぜなら面接試験の結果で採用が決まるのは、「試験を受けたその当該年度の受験者」に限られ、「今後の面接試験を受ける受験者」ではないからである。面接官の質問に対する受験者の受け答えや考え方で面接試験の評価は決まるものであって、過去の面接試験の結果の公開が影響する考え方自身が不当であって、それは面接官の資質に関わる重大な問題であり、そのような面接試験は不適切といえる。
      実施機関は続いて2次面接評価、3次面接評価の面接官の属性欄について触れ、「公開することにより、面接官がより容易に特定されるおそれがある。懸念される具体例として、受験者や関係者などに面接官が察知されることにより、面接官に対して受験者等から自己に有利な評価を行うように圧力や働きかけが行われるなどの可能性がある。よって、採用試験事務の公正かつ適切な実施に著しい支障をきたす」とするが、アで確認したように、実施機関の説明では、面接官は毎年ほぼ同じメンバーで実施していることなどから、面接試験の評価などの公開、非公開にかかわらず、面接官が容易に特定される。よって、面接試験結果の公開、非公開に関係なく、受験者などから自己に有利な評価を行うよう圧力や働きかけが行われる可能性は常にあり、試験結果の公開が実施機関が指摘するような面接官への圧力や働きかけの原因にはならない。
      そもそも、試験を受けた当該年度の面接結果で受験者は、適切な評価を受けるべきであり、過去の面接試験の結果の公開で面接官が今後、適切な面接評価ができないとする主張自体が不当である。面接試験結果の公開によって採用試験事務の公正かつ適切な実施が明らかになる。非公開となれば、その公正さや適切さを第三者の目で確認することができなくなり、仮に不適切な面接試験の評価などが行われても府民は追及することができない。これは大阪府情報公開条例の第1条「府民の府政への参加をより一層推進し、府政の公正な運営を確保し、府民の生活の保護及び利便の増進を図るとともに、個人の尊厳を確保し、もって府民の府政への信頼を深め、府民の福祉の増進に寄与することを目的とする」の趣旨に反することになる。
    以上のとおり、今回の実施機関の決定は、不当であって、2次専門得点から1次合格点までの公開を求めたい。
  • (2)実施機関は、「入庁確率、累積人数」について、「公開すると最終合格者を的確に決定するという府の採用試験事務の目的が達成できず著しい支障をきたす」と説明するが、この説明は不当である。
    入庁確率については合格した場合、入庁確率を受験者からの申告の数字を基礎に、受験者からの就職希望先、府以外の内定状況などの情報をもとに一定の判断を加えた独自の予想数値と説明する。この説明では、受験者が申告した数字があるにもかかわらず、就職希望先や府以外の内定状況などをもとに一定の判断を加え、独自の予想数値としているため、その判断基準がこの説明では曖昧である。合格者を増やそうと思えば、府の「一定の判断」で可能であり、恣意的な決定ができる恐れがある。そもそも、受験者から入庁する確率を聴いているならば、それを入庁確率とすべきだ。それにもかかわらず、府の「一定の判断」を加えるならば、この制度を受験者にきちんと説明しているのだろうか。弁明書による府の説明ではその点は不明であるが、採用試験の合否は単に試験結果だけではなく、受験者の就職希望先、府以外の内定状況など府の一定の判断が加わった試験結果以外の要因に大きく左右されることになる。府の一定の判断が公正に行われているか、その入庁確率の透明性を図る意味でも、入庁確率とそれに伴う累積人数について公開を求めたい。

第五 実施機関の主張要旨

実施機関の主張は概ね以下のとおりである。

1 大阪府職員採用試験について

職員採用試験は、受験者の年齢に応じて「大学卒程度」及び「高校卒程度」に区分し、大学卒程度では行政職(A・B)と技術職(土木、建築、機械、電気、環境、農学、農業工学(平成17年度は除く)、林学、造園)、高校卒程度では行政職(A・B)と技術職(土木)について実施している。

大学卒程度は第1次試験で教養(択一式)試験を、その合格者を対象に第2次試験で専門記述式試験、個別面接及び適性検査を、さらにその合格者を対象に第3次試験で記述式試験(行政職は見識と英語から選択、技術職は見識)、個別面接及び集団討論(行政職のみ)を行い、第1次試験、第2次試験及び第3次試験の結果を総合的に判定し、最終合格者を決定している。

また、高校卒程度は第1次試験で教養(択一式)試験、作文試験(行政職)及び専門試験(技術職)を、その合格者を対象に第2次試験で個別面接と適性検査を行い、第1次試験及び第2次試験の結果を総合的に判定し、最終合格者を決定している。

なお、試験の成績開示は、不合格者のうち希望していた人に対して各試験ごとに、試験結果通知に成績(総合得点(100点満点換算した得点)と総合順位)を記載して送付している。(合格者に対しては成績を記載していない。)

職員採用試験に関する情報は、先に述べた試験結果通知については平成9年度から、さらに平成14年度から記述式問題、平成15年度から教養(択一式)問題の例題、平成16年度から配点比率などの情報を公表している。

2 本件行政文書について

本件行政文書は、平成16年度及び平成17年度職員採用試験(大学卒程度、高校卒程度)の最終合格者を実施機関で決定するための検討資料として作成したものであり、「大学卒程度」及び「高校卒程度」には試験職種ごとに次のものが総合得点の高いものから順に記載されている。

「大学卒程度」

受験番号、氏名(漢字)、性別、年齢、最終学歴、学校名、学部名、国籍(日本国籍の有無を記載)、1次得点、1次序列(順位を記載)、2次専門科目(科目名を記載)、2次専門得点、2次面接評価(面接官の属性及び評価結果(記号)を記載)、2次面接得点、2次合計、2次序列(順位を記載)、3次記述科目(科目名を記載)、3次得点、3次面接評価(面接官の属性及び評価結果(記号)を記載)、3次面接得点、3次集団討論評価(行政職のみ)(面接官の属性及び評価結果(記号)を記載)、3次集団討論得点(行政職のみ)、SCT(適性評価結果を記号で記載)、総得点、最終序列(順位を記載)、入庁確率、累積人数、合否

「高校卒程度」

受験番号、氏名(漢字)、氏名(カナ)、性別、年齢、最終学歴、卒業年、卒業見込(卒業見込又は既卒を記載)、電子申請(電子申請で受験申込を行ったかを記載)、国籍(日本国籍の有無を記載)、成績開示(成績開示希望の有無を記載)、1次択一素点(正答数を記載)、1次択一得点、作文得点(行政職のみ)、専門得点(土木のみ)、1次合計点、1次序列(順位を記載)、2次面接得点、2次面接評価(面接官の属性及び評価結果(記号)を記載)、2次SCT(適性評価結果を記号で記載)、最終総得点、最終序列(順位を記載)、入庁確率、累積人数、合否

本件決定においては、上記のうち、2次専門得点、2次面接評価、2次面接得点、3次得点、3次面接評価、3次面接得点、3次集団討論評価、3次集団討論得点、入庁確率、累積人数、作文得点、専門得点、1次合計点を条例第8条第1項第4号に該当するものとして、受験番号、氏名(漢字)、氏名(カナ)、性別、年齢、最終学歴、卒業年、卒業見込、学校名、学部名、国籍(行政B除く)、1次得点(平成16年度の農業工学(不合格者)、平成17年度の機械(不合格者)及び林学(合格者)のみ、以下最終序列まで同じ)、1次序列、2次専門得点、2次面接評価、2次面接得点、2次合計、2次序列、3次得点、3次面接評価、3次面接得点、SCT、総得点、最終序列、3次記述科目(平成17年度行政Bのみ)を条例第9条第1号に該当するものとして、非公開とした。

3 本件係争部分を非公開としたことの適法性について

(1)条例第8条第1項第4号について

行政が行う事務事業に係る情報の中には、当該事務事業の性質、目的等からみて、執行前あるいは執行過程で公開することにより、当該事務事業の実施の目的を失い、又は、その公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼし、ひいては、府民全体の利益を損なうおそれのあるものがある。また、反復継続的な事務事業に関する情報の中には、当該事務事業実施後であっても、これを公開することにより同種の事務事業の目的が達成できなくなり、又は公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすものもある。このような支障を防止するため、これらの情報については、公開しないことができるとするのが、条例第8条第1項第4号の趣旨である。

(2)条例第8条第1項第4号に該当することについて

  • ア 2次専門得点、2次面接評価、2次面接得点、3次得点、3次面接評価、3次面接得点、3次集団討論評価、3次集団討論得点、作文得点、専門得点、1次合計点
    面接試験は受験者の人物評価をする上で最も重要な試験であり、短時間に受験者の公務員としての適性について評価を行うものである。
    第1に、面接試験に関する評価、得点(2次面接評価、2次面接得点、3次面接評価、3次面接得点)については、以下に述べる理由から、公開すれば採用試験事務の公正かつ適切な実施に著しい支障をきたすといえる。
    面接官には、面接に関して優れた技量を有する限られた範囲の府職員等が毎年ほぼ同じメンバーで就いている。特に、女性面接官の適任者は限られている。その一方、府職員に関する情報源として、市販されている職員録等(顔写真、所属、職名、氏名、住所、電話番号等が記載)、マスコミ情報(氏名、顔など)などがある。また、実施機関の事務局職員は各大学等の採用試験説明会で講師として、職名、氏名を明らかにして説明している。これらの情報から顔と氏名等が一致し、その結果、面接官が特定され、面接官の評価が識別され得ることから、面接官が心理的な圧迫を抱き、今後の面接試験において、適切な面接評価を行うことができなくなる(特に公務員としての適性が低い人に悪い評価をつけることができなくなり、求める優秀な人材確保が難しくなる)とともに今後の面接官の確保が困難になる。
    第2に、2次面接評価、3次面接評価の面接官の属性欄については、所属等が記載されているが、面接官は、第1に述べたように、毎年ほぼ同じメンバーで実施しており、職種によっては、さらに限定された面接官で実施していることから、公開することにより、面接官がより容易に特定されるおそれがある。懸念される具体例として、受験者や関係者等に面接官が察知されることにより、面接官に対して受験者等から自己に有利な評価を行うように圧力や働きかけが行われるなどの可能性がある。よって、採用試験事務の公正かつ適切な実施に著しい支障をきたす。
    第3に、2次面接評価、2次面接得点、3次面接評価、3次面接得点については、面接官の評価した結果をもとに得点を算出しており、公開することにより、評価方法や基準、面接得点算出方法が察知されることになる。これらが明らかになれば、受験者の大阪府職員としての適性が正しく判断できなくなるなど面接本来の目的が達成できなくなり、採用試験事務の公正かつ適切な実施に著しい支障をきたすことになる。
    また、3次集団討論評価、3次集団討論得点についても面接評価、得点と同様に第1、第2、第3の理由で採用試験事務の公正かつ適切な実施に著しい支障をきたすといえる。
    その他の得点(2次専門得点、3次得点、作文得点、専門得点、1次合計点)については、大学卒程度では、2次専門得点を公開すると、開示している1次得点及び2次合計と組み合わせれば2次面接得点が、3次得点を公開すると、開示している2次合計及び総得点と組み合わせれば3次面接得点と3次集団討論得点が識別されることになる。また、高校卒程度では、作文得点又は専門得点を公開すると、開示している1次択一得点と組み合わせれば1次合計点が識別され、開示している最終総得点から2次面接得点が識別される。また、1次合計点を公開すると、最終総得点と組み合わせれば2次面接得点が識別されることになる。
    したがって、採用試験事務の公正かつ適切な実施に著しい支障をきたすことから条例第8条第1項第4号に該当する。
  • イ 入庁確率、累積人数
    大阪府の最終合格者数については、辞退率を勘案して決定している。これらの情報は、合格した場合、大阪府に入庁する確率を受験者からの申告の数字を基礎に、受験者から申告された就職希望先、府以外の内定状況などの情報をもとに一定の判断を加えた独自の予想数値であるため、公開すると最終合格者数を的確に決定するという府の採用試験事務の目的が達成できず著しい支障をきたす。
    したがって、条例第8条第1項第4号に該当する。

(3)条例第9条第1号について

条例は、その前文で、府の保有する情報は公開を原則としつつ、併せて、個人のプライバシーに関する情報は最大限に保護する旨を宣言している。また、第5条において、個人のプライバシーに関する情報をみだりに公にすることのないように最大限の配慮をしなければならない旨規定している。このような趣旨を受けて、個人のプライバシーに関する情報の公開禁止を定めたのが、条例第9条第1号の趣旨である。

(4)条例第9条第1号に該当することについて

  • ア 平成16年度の農業工学(不合格者)、平成17年度の機械(不合格者)及び林学(合格者)の1次得点、1次序列、2次専門得点、2次面接評価、2次面接得点、2次合計、2次序列、3次得点、3次面接評価、3次面接得点、SCT、総得点、最終序列
    これらの情報は、当該個人の知識等を評価したもので、個人のプライバシーに関する情報であり、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められ、受験者個人を識別され得る場合には、条例第9条第1号に該当する。
    受験者数が少ない職種(平成16年度の農業工学、平成17年度の機械及び林学)の試験で、合格者や不合格者が2人以下の場合では、個人情報保護条例に基づく自己情報開示の結果を突合していくことなどで、受験者の意思にかかわらず、容易に個人の得点等が識別されることから、条例第9条第1号に該当する。
  • イ 3次記述科目(平成17年度の行政B)
    第3次試験の記述科目が記載されているが、行政職は見識及び英語の選択制となっている。どちらかの科目選択者が2人以下の場合は、当日試験会場で受験番号や氏名が把握されて、結果的に特定の個人の得点等が識別される。これらの情報は一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められる。
    したがって、条例第9条第1号に該当する。

4 結論

以上のとおり、本件決定は、条例の規定に基づき適正に行われたものであり、何ら違法、不当な点はなく、適法かつ妥当なものである。

第六 審査会の判断理由

1 条例の基本的な考え方について

行政文書公開についての条例の基本的な理念は、その前文及び第1条にあるように、府民の行政文書の公開を求める権利を明らかにすることにより「知る権利」を保障し、そのことによって府民の府政参加を推進するとともに府政の公正な運営を確保し、府民の生活の保護及び利便の増進を図るとともに、個人の尊厳を確保し、もって府民の府政への信頼を深め、府民福祉の増進に寄与しようとするものである。

このように「知る権利」を保障するという理念の下にあっても、一方では、公開することにより、個人や法人等の正当な権利・利益を害したり、府民全体の福祉の増進を目的とする行政の公正かつ適切な執行を妨げ、府民全体の利益を著しく害することのないよう配慮する必要がある。

このため、条例においては、府の保有する情報は公開を原則としつつ、条例第8条及び第9条に定める適用除外事項の規定を設けたものであり、実施機関は、請求された情報が条例第2条第1項に規定する行政文書に記録されている場合には、条例第8条及び第9条に定める適用除外事項に該当する場合を除いて、その情報が記録された行政文書を公開しなければならない。

2 大阪府職員採用試験について

大阪府職員採用試験は、受験者の年齢に応じて「大学卒程度」及び「高校卒程度」に区分され、大学卒程度では行政職(A・B)と技術職(土木、建築、機械、電気、環境、農学、農業工学、林学、造園)、高校卒程度では行政職(A・B)と技術職(土木等)について実施されている。

大学卒程度は、第1次試験で教養(択一式)試験を、その合格者を対象に第2次試験で専門記述式試験、個別面接及び適性検査を、さらにその合格者を対象に第3次試験で記述式試験(行政職は見識と英語から選択、技術職は見識)、個別面接及び集団討論(行政職のみ)を行い、第1次試験、第2次試験及び第3次試験の結果を総合的に判定し最終合格者を決定している。

高校卒程度は、第1次試験で教養(択一式)試験、作文試験(行政職)及び専門試験(技術職)を、その合格者を対象に第2次試験で個別面接と適性検査を行い、第1次試験及び第2次試験の結果を総合的に判定し最終合格者を決定している。

また、各試験の際には、合格者数を決定するため、入庁する可能性や就職希望先、府以外の内定状況等を受験者から聴取している。受験者が申告した数字を基礎に、就職希望先、府以外の内定状況などの情報をもとに、実施機関が一定の判断を加えた独自の予想数値を入庁確率及び累積人数として把握することにより、合格者人数の決定を行っている。

試験成績の本人への開示については、次年度以降の受験の参考のため、平成9年度から、不合格者のうち受験申し込みの際に開示を希望していた者に対し、試験結果通知に成績(総合得点(100点満点換算した得点)と総合順位)を記載することにより実施している。一方、合格者に対しては、成績の開示は行っていない。

3 本件決定に係る具体的な判断及びその理由について

(1)本件行政文書について

本件行政文書は、平成16年度及び平成17年度職員採用試験(大学卒程度、高校卒程度)の最終合格者を実施機関で決定するための検討資料として作成されたもので、「大学卒程度」及び「高校卒程度」の試験職種ごとに、総合得点の高いものから順に記載された一覧表である。それぞれの文書には、次の項目が記載されている。

ア「大学卒程度」

受験番号、氏名(漢字)、性別、年齢、最終学歴、学校名、学部名、国籍(日本国籍の有無を記載)、1次得点、1次序列(順位を記載)、2次専門科目(科目名を記載)、2次専門得点、2次面接評価(面接官の属性及び評価結果(記号)を記載)、2次面接得点(面接官3者の評価を点数化し集計した点数)、2次合計(1次得点、2次専門得点及び2次面接得点の合計)、2次序列(順位を記載)、3次記述科目(科目名を記載)、3次得点、3次面接評価(面接官の属性及び評価結果(記号)を記載)、3次面接得点(面接官3者の評価を点数化し集計した点数)、3次集団討論評価(行政職のみ)(面接官の属性及び評価結果(記号)を記載)、3次集団討論得点(行政職のみ)(面接官3者の評価を点数化し集計した点数)、SCT(適性評価結果を記号で記載)、総得点、最終序列(順位を記載)、入庁確率、累積人数、合否

イ「高校卒程度」

受験番号、氏名(漢字)、氏名(カナ)、性別、年齢、最終学歴、卒業年、卒業見込(卒業見込又は既卒を記載)、電子申請(電子申請で受験申込を行ったかを記載)、国籍(日本国籍の有無を記載)、成績開示(成績開示希望の有無を記載)、1次択一素点(正答数を記載)、1次択一得点、作文得点(行政職のみ)、専門得点(土木のみ)、1次合計点(1次択一得点と作文得点又は専門得点の合計)、1次序列(順位を記載)、2次面接得点(面接官3者の評価を点数化し集計した点数)、2次面接評価(面接官の属性及び評価結果(記号)を記載)、2次SCT(適性評価結果を記号で記載)、最終総得点(1次合計点と2次面接得点の合計)、最終序列(順位を記載)、入庁確率、累積人数、合否

(2)本件係争部分について

本件行政文書のうち、本件決定において公開しないことと決定された部分は次のとおりである。異議申立人は、本件異議申立てにおいて、イ、ウ、エ及びオに係る部分の公開を求めている。

ア 受験者個人の情報
全ての職種

受験番号、氏名(漢字)、性別、年齢、最終学歴、国籍(行政Bを除く)

大学卒程度のみ

学校名、学部名

高校卒程度のみ

氏名(カナ)、卒業年、卒業見込

イ 面接評価・面接得点に関する情報
大学卒程度

2次面接評価(面接官の属性及び評価結果)、2次面接得点、3次面接評価(面接官の属性及び評価結果)、3次面接得点

大学卒程度 行政A、Bのみ

3次集団討論評価(面接官の属性及び評価結果)、3次集団討論得点

高校卒程度

2次面接得点、2次面接評価(面接官の属性及び評価結果)

ウ 面接評価・面接得点が明らかになる情報
大学卒程度

2次専門得点、3次得点

高校卒程度

1次合計点

高校卒程度 行政A・B

作文得点

高校卒程度 土木

専門得点

エ 受験者数が少ない職種の得点等に関する情報
大学卒程度 17年度行政B

3次記述科目

大学卒程度 16年度の農業工学及び17年度の機械の不合格者、17年度の林学の合格者

1次得点、1次序列、2次合計、2次序列、SCT、総得点、最終序列

オ 入庁確率等の情報
全ての区分

入庁確率、累積人数

(3)条例第8条第1項第4号該当性について

ア 条例第8条第1項第4号について

行政が行う事務事業に関する情報の中には、当該事務事業の性質、目的等からみて、執行前あるいは執行過程で公開することにより、当該事務事業の実施の目的を失い、又はその公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼし、ひいては、府民全体の利益を損なうおそれのあるものがある。また、反復継続的な事務事業に関する情報の中には、当該事務事業の実施後であっても、公開することにより同種の事務事業の目的が達成できなくなり、又は公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれのあるものもある。

このような支障を防止するため、これらの情報は公開しないことができるとするのが本号の趣旨である。

同号は、

  • (ア)府の機関又は国等の機関が行う取締り、監督、立入検査、許可、認可、試験、入札、契約、交渉、渉外、争訟、調査研究、人事管理、企業経営等の事務に関する情報であって、
  • (イ)公にすることにより、当該若しくは同種の事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれのあるもの

が記録された行政文書を公開しないことができる旨定めている。

これらを本件係争部分に記録されている情報について検討したところ、以下のとおりである。

本件行政文書は、大阪府職員採用試験の最終合否決定に係る得点が記載された文書であることから、(ア)の要件に該当することは、明らかである。次に、それぞれの項目ごとに、非公開部分に記録されている情報が(イ)の要件に該当するか検討する。

イ(2)イ及びウについて

実施機関の説明によると、大阪府職員採用試験における2次面接、3次面接及び3次集団討論は、3人の面接官が担当している。面接官は、実施機関の事務局職員を含む特定の属性に該当する府職員で構成されており、面接に関して優れた技量を有する者の中から選任される。また、女性面接官や技術系の職種の面接官は、極めて限定されたメンバーである場合が多く、面接官全体についても同じ者が継続して就いていることが多い状況である。

面接を行う職員の中には、市販されている職員録、新聞・テレビ等のマスコミ情報等から、顔、職名、氏名が明らかになっている者があり、実施機関の事務局職員についても、大学等で行う採用試験説明会等から、顔、職名、氏名が明らかになっている。

このような事情の下で、面接官の属性欄を公開し、その所属等が明らかになると、受験者において、他の情報と組み合わせることにより、面接官を特定し得ることとなるおそれがあり、また、面接や集団討論における評価や得点を公開すると、個々の面接官がどのような評価を行ったかが、具体的に明らかとなるおそれがある。

これらのことから、(2)イの情報については、公開することにより、今後の試験の面接において、面接官が心理的な圧迫を抱き、面接の適正かつ厳格な実施に支障を来たすとともに、面接官の確保にも支障を生じる可能性も否定できないところであり、ア(イ)の要件に該当すると認められる。

また、(2)ウに掲げる2次専門得点を公開した場合は、1次得点と2次合計と組み合わせることにより2次面接得点が明らかとなり、3次得点を公開した場合は、2次合計と総得点を組み合わせることにより3次面接得点及び3次集団討論得点が明らかになる。また、作文得点又は専門得点を公開した場合、1次択一得点と組み合わせることにより、1次合計点が明らかになり、これと最終総得点を組み合わせることで、2次面接得点が明らかになる。さらに、1次合計点を公開した場合、最終総得点と組み合わせることで2次面接得点が明らかになる。

以上のことから、(2)ウの情報を明らかにした場合、既に明らかになっている他の得点等を組み合わせることにより、面接得点が明らかになるおそれがあり、(2)イと同様に(2)ウについてもア(イ)の要件に該当する。

ウ(2)オについて

本件行政文書の入庁確率や累積人数は、2に記載のとおり、入庁する可能性や就職希望先、府以外の内定状況等について受験者から聴取した内容をもとに、実施機関が一定の判断を加え独自の予想数値として決定するものである。これらの数値は、合格者数の確定とともに、最終的な採用人数につながる数値であることから、実施機関においては、受験者の状況を踏まえながら、必要とされる採用人数にできる限り近い人数を確保する必要がある。実施機関は、これまでの経験や実績等から適切な採用人数を確保する方法を確立しており、過去の試験では、概ね必要な人数が適切に確保されている状況である。

このような状況で、(2)オの数値を明らかにした場合、受験者の申告内容に影響を及ぼすなど、採用事務の公正かつ適切な実施に著しい支障を生じるおそれがあることから、ア(イ)の要件に該当すると認められる。

以上のことから、本件係争部分の(2)イ、ウ及びオについては、いずれも条例第8条第1項第4号に該当する。

(4)条例第9条1号該当性について

ア 条例第9条第1号について

条例は、その前文で、府の保有する情報は公開を原則としつつ、併せて、個人のプライバシーに関する情報は最大限に保護する旨を宣言している。また、第5条においては、個人のプライバシーに関する情報をみだりに公にすることのないよう最大限の配慮をしなければならない旨を規定している。

本号は、このような趣旨を受けて、個人のプライバシーに関する情報の公開禁止について定めたものである。

同号は、

  • (ア)個人の思想、宗教、身体的特徴、健康状態、家族構成、職業、学歴、出身、住所、所属団体、財産、所得等に関する情報であって、
  • (イ)特定の個人が識別され得るもののうち、
  • (ウ)一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められる

情報が記載されている行政文書を公開してはならない旨定めている。

イ(2)エについて

本件行政文書に含まれる情報については、試験に係る個人の結果であることから、ア(ア)の要件に該当することは明らかである。

次にア(イ)及び(ウ)の要件に該当するか否かについて、項目ごとに検討する。

(ア)3次記述科目(大学卒程度 17年度行政B)について

大学卒程度の17年度行政Bの試験の3次記述科目は、見識又は英語の選択制となっているが、当該年度の試験において、一方の科目については、選択者が1人であった。このような場合には、当該試験の他の受験者等により、個人が識別されるおそれがあることから、本件行政文書の3次記述科目が明らかになると、当該受験者の成績が明らかになるおそれがある。試験結果は、通常、他人に知られたくない情報であることから、本項目は、ア(イ)及び(ウ)の要件に該当する。

(イ)1次得点、1次序列、2次合計、2次序列、SCT、総得点、最終序列(大学卒程度

16年度の農業工学及び17年度の機械の不合格者、17年度の林学の合格者)

大学卒程度の16年度の農業工学及び17年度の機械の不合格者、17年度の林学の合格者については、それぞれ該当する受験者が2人であることから、一方の受験者が自己の情報の開示を受けることにより、他方の受験者の成績を知ることが可能である。試験結果は、通常、他人に知られたくない情報であることから、本項目は、ア(イ)及び(ウ)の要件に該当する。

以上のことから、本件係争部分の(2)エについては、条例第9条第1号に該当する。

4 結論

以上のとおりであるから、本件異議申立てには理由がなく、「第一 審査会の結論」のとおり答申するものである。

主に調査審議を行った委員の氏名

塚本美彌子、福井逸治、小松茂久、鈴木秀美

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