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更新日:2013年3月11日

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大阪府情報公開審査会答申(大公審答申第221号)

能勢町との協議資料公開決定異議申立事案

(答申日 平成25年3月11日)

第一 審査会の結論

実施機関の決定は妥当である。

第二 異議申立ての経過

  1. 異議申立人は、大阪府情報公開条例(以下「条例」という。)第6条の規定により平成23年4月27日、大阪府知事(以下「実施機関」という。)に対して、「廃止された大阪府立野外活動センターについて能勢町と協議した資料一式」の公開請求(以下「本件請求」という。)を行った。
  2. 実施機関は、平成23年5月11日、本件請求に対応する文書として、次に掲げる文書(以下「本件公開文書」という。)を特定の上、条例第13条第1項の規定により、その全部を公開する旨の公開決定(以下「本件決定」という。)を行い、異議申立人に通知した。
    (公開することと決定した行政文書の名称)
    • a 府立総合青少年野外活動センター跡地管理業務委託契約書
    • b 「府立総合青少年野外活動センター跡地の受け入れの検討について(依頼)」
  3. 異議申立人は、本件公開文書以外にも、第三記載のとおり対象となる文書があるはずであるとして、平成23年6月23日、行政不服審査法第6条の規定により、実施機関に異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を行った。
  4. 本件異議申立てのほか、異議申立人は、平成23年12月21日付けで行った「戦略本部会議に提出された資料(別紙)が行政改革課で作成されたプロセスが分かる資料・書類すべて」の公開請求に対する実施機関の全部を公開する旨の決定について、平成23年12月27日付けで、この決定により公開された文書以外にも文書が存在するはずであるとして行政不服審査法第6条の規定により、実施機関に対し異議申立てを行っていた。

第三 異議申立ての趣旨

戦略本部会議において提出された資料によれば、能勢町と確認した事項等は、

  • 府立総合青少年野外活動センター(以下「野外C」という。)跡地も現状有姿のままセットで引き受ける意向
  • 自然公園区域内にふさわしい跡地の公共的利活用

となっている。
しかし、開示された資料は23年度跡地管理業務委託契約書関連の文書と跡地受け入れ依頼文書1枚のみであった。依頼文書送付までに協議した資料があるはずである。

第四 異議申立人の主張要旨

異議申立人の主張は概ね以下のとおりである。

1 異議申立書における主張

野外Cの廃止理由は施設の老朽化であり、有姿のまま能勢町が引き受けるには、施設の管理費に年間約1300万円や老朽化した施設の解体費などがかかり、能勢町には大変な財政負担になる。敷地には法や条例での規制がかかっていて、民間企業が安易に活用できる場所でもない。双方(府と能勢町)で十分な協議がなされたはずだ。

※異議申立書には、証拠物件・添付書類等として「『大阪維新』プログラム(案) 財政再建プログラム(案)(平成20年6月)」(以下「財プロ(案)」という。)、「平成23年度第5回大阪府戦略本部会議 添付資料『府民牧場の廃止と無償譲渡について』」が添付されていた。

2 反論書における主張

  • (1)野外Cの廃止の方針を決定したのは、平成20年6月の財プロ(案)だが、野外Cは能勢町にとっても観光や教育の大変重要な施設であり、能勢町に対して事前に相談なく廃止の決定はないと考えられる。このことは、大阪府の弁明書でも示しているように、大阪府自然公園条例に基づく北摂自然公園剣尾山地区に指定され、環状自然歩道のルートが設定されているからである。その上施設内にある山村池には、地元農家の慣行水利権が設定され、大阪府は保全・治水を行う「山村池の利水に関する協定」を結んでいる。また山村池までの経路は敷地内の主要道路であり、大阪府が指定する林道でもある。このような状況からすれば、府庁内でも関連部署(担当課は政策企画部青少年・地域安全室だが、自然公園は環境農林水産部みどり・都市環境室など)との協議及び調整の上で、能勢町と協議をしているものと考えるのが妥当である。
  • (2)上記経過から文書は何もなく、協議事項がすべて口頭ですまされ、平成23年4月21日に、地元町において自然公園区域内にふさわしい公共的な利活用を図っていただくことが望ましいと「府立総合青少年野外活動センター跡地の受け入れの検討について(依頼)」(反論書には、当該文書を「別紙 1」として添付)を送付するとは考えづらい。弁明書では、「建物の老朽化が進行し耐震性の問題あること・・・。」を理由に廃止しているにも関わらず、能勢町は行政財産として活用すると大阪府に回答(反論書には「別紙2」として、平成23年4月27日付け能総第36号の能勢町長から大阪府政策企画部・地域安全室長あての「府立総合青少年野外活動センター跡地受け入れの検討について(回)」文書を添付)しているが、一般的には考えられない対応である。ちなみに大阪府は、平成22年度に野外Cの不動産鑑定を行っている。鑑定価格は土地(200ha)・建物(1,883平方メートル)・立木(市場価値 なし)の総額は67,200,000円だが、老朽化し耐震性に問題ある施設の公共的利用にも限界があり、68棟もの施設を解体・処理すれば億単位の費用は想定が付くはずである。
  • (3)野外Cの譲渡に関連し能勢町は、平成21年度に野外C敷地内の主要道路(約1,900m)の両脇に、サクラ1,500本の植樹を計画(約1,500万円の事業費)し大阪府に府有財産借受申入と行政財産貸付料減額・免除を申請(反論書には、平成21年9月18日付けの能勢町長から府知事あての野外C敷地の一部に係る府有財産借受申請書を「別紙3」とし、同日付けの能勢町長から大阪府知事あての行政財産貸付料減額・免除申請書を「別紙4」として添付)している。この経過についても大阪府の情報開示を受けている。申請を受け大阪府は府有財産使用貸借契約書を提示したが、第17条には「原状回復での返還」となっていた。サクラの植樹は恒久的な観光資源として計画していた能勢町からの要望もあり、第17条に但し書きが加筆(財産価値が損なわれなければ府の承認を受ければこの限りでない)され、平成21年11月1日からの貸付の決裁が済んでいた(反論書には、実施機関の決裁文書「青少年1795 行政財産の貸付について」を「別紙5」として添付)。平成22年度末で廃止が決まっていたため、契約期間は平成23年3月31日としたが、能勢町としては恒久的な観光資源とし、その後の維持管理も含め府と協議がなされていたはずである。
  • (4)平成22年2月8日に知事と能勢町議会との意見交換会が公開で開催され、廃止される野外Cの件では、知事からは野外Cと大阪府民牧場(以下「府民牧場」という。)はセットで考えると返答を得ているが、翌日の大阪府の部長会議(反論書には、ホームページ掲載の「平成22年2月9日開催 部長会議の審議・報告の概要」を「別紙6」として添付)で知事は「府民牧場は野外活動センターとあわせ、副知事をマネージャーとして一体で考えていく必要がある」と発言し、副知事は「府民牧場の件はセットで考えるようにしている」と返答していて、副知事直轄の協議事項でもあり、その報告に文書がないとは考えられない。
  • (5)まとめ
    一連の経緯をまとめてみたが、どう考えても文書でのやり取りなしに事が進むとは考えられない。再度担当部局に釈明を求めていただきたい。

第五 実施機関の主張要旨

実施機関の主張は概ね以下のとおりである。

1 野外Cの廃止について

野外Cは、建物の老朽化が進行し耐震性の問題があることに加え、府内に代替可能な野外活動施設が整備されてきたことから、財プロ(案)の方向性に基づき、平成23年3月31日をもって公の施設として廃止した。

2 野外C跡地管理業務委託契約について

廃止した野外Cの跡地(以下「野外C跡地」という。)については、その利活用方策について結論を出すまでの間、引き続き府有財産として管理する必要があった。
管理業務委託にあたっては、火災、建物への不法侵入や破壊、廃棄物の不法投棄などの未然防止・早期発見及びこれら事象への迅速かつ適正な対応が求められるが、野外C跡地は、次のような立地環境・条件を有している。

  • 大阪市内から約45キロメートル離れた能勢町宿野の山間地に位置し、2,005,210平方メートルの広大な敷地面積を有しており、建物も68棟現存している。
  • 施設内に環状自然歩道ルートが設定されており、施設廃止後も当該自然歩道が住民の利用に供される。
  • 施設の水源である山村池には、昭和41年に締結した「山村池の水利に関する協定」により、地元農家の慣行水利権が設定されており、

同協定に基づく山村池の保全・治水を引き続き行う必要がある。
これらの立地環境・条件を考慮すると、管理受託者として地元の能勢町が唯一対応可能であることから、平成22年10月、青少年課から能勢町に対し管理の受託について口頭で打診のうえ、業務契約書の案を提示し、平成23年4月1日付けで本件決定の「府立総合青少年野外活動センター跡地管理業務委託契約書」を能勢町と締結した。

3 野外C跡地の利活用の検討依頼について

野外C跡地の利活用については、大阪府において新たな活用策は見出せなかった。
一方で当地域は、優れた自然の風景地の保護及び利用の増進を図るため大阪府自然公園条例に基づく北摂自然公園剣尾山地区に指定されていることや、跡地内の山村池に地元農家の慣行水利権が設定されているなど地元との関係が深い状況にある。
これらのことを踏まえると、地元能勢町において自然公園地区内に相応しい公共的な利活用を図ることが望ましいことから、本件決定の平成23年4月21日付け「府立総合青少年野外活動センター跡地の受け入れの検討について(依頼)」により大阪府政策企画部青少年・地域安全室長から能勢町長に対し検討の依頼を行った。

4 結論

以上のとおり、本件公開文書以外の協議文書については存在せず、本件決定は条例の規定に基づき適正に行われており、何ら違法又は不当な点はなく、適法かつ妥当なものである。

第六 審査会の判断理由

1 条例の基本的な考え方について

行政文書公開についての条例の基本的な理念は、府民の行政文書の公開を求める権利を明らかにすることにより「知る権利」を保障し、そのことによって府民の府政参加を推進するとともに府政の公正な運営を確保し、府民の生活の保護及び利便の増進を図るとともに、個人の尊厳を確保し、もって府政への信頼を深め、府民福祉の増進に寄与しようとするものである。
このように「知る権利」を保障するという理念の下にあっても、一方では公開することにより、個人や法人等の正当な権利・利益を害したり、府民全体の福祉の増進を目的とする行政の公正かつ適切な執行を妨げ、府民全体の利益を著しく害することのないよう配慮する必要がある。
このため、条例においては、府の保有する情報は公開を原則としつつ、条例第8条及び第9条に定める適用除外事項の規定を設けたものであり、実施機関は、請求された情報が条例第2条第1項に規定する行政文書に記録されている場合には、条例第8条及び第9条に定める適用除外事項に該当する場合を除いて、その情報が記録された行政文書を公開しなければならない。

2 廃止された野外Cに係る協議・報告等に関する行政文書について

異議申立人は、能勢町との協議や府内部の報告が全て口頭でなされ文書が何もないままに行われたとは考えられず、本件公開文書以外にも文書が存在するはずであると主張するので、廃止された野外Cに係る協議・報告等に関し、野外Cの所管課である政策企画部青少年・地域安全室青少年課(以下「青少年課」という。)に確認したところ、以下のような補足説明があった。

  • (1)平成23年4月の青少年課と能勢町との野外C跡地受入れに関する協議について
    異議申立人は、野外C跡地の受入れに関する協議が文書ではなく全て口頭でなされ、突然、実施機関が能勢町に対し、文書で、野外Cの受入れ検討依頼を行うに至るとは考えられないと主張するが、この文書は、野外Cの利活用策を見いだせなかった大阪府が地元町である能勢町による公共的利活用が望ましいとの考えのもと、能勢町に受入れの検討を依頼したものであり、事前に協議等を行った事実はないため、事前協議等の文書は存在しない。
  • (2)知事と能勢町議会との意見交換会等について
    平成22年2月8日の知事と能勢町議会との意見交換会は、空港問題をテーマに開催されたものであり、府民牧場と野外Cをワンセットでという知事発言は、能勢町議会議員からなされたテーマ外の質問に対するものであり、青少年課からの事前説明に基づいてなされたものではないため、文書は存在しない。
    また、異議申立人は、翌9日の府部長会議において府民牧場と野外Cの処理が副知事の直轄事項とされたのに、文書での報告がないとは考えられないと主張するが、野外Cを廃止することは決定済みの事項であり、青少年課から知事や副知事に新たに追加して報告する事項がなかったため、報告等の文書を作成していないため、文書は存在しない。

よって、本件公開文書以外に、本件請求の対象となる文書は存在しない。

3 本件決定とその妥当性について

  • (1)異議申立人及び実施機関の主張等について
    本件請求に対して開示した文書以外に、廃止された野外Cに関して能勢町と協議等を行った文書はないとする実施機関の主張は一定理解することができるものの、野外Cの譲渡を受けることは能勢町にとって財政負担が大きいことなどから、能勢町と協議した文書が存在するはずであるとする、異議申立人の主張にも無理からぬ点があると考える。
    そこで、当審査会としては実施機関から野外Cに関連して保有している全ての文書の提出を求め、その内容を検分することとした(検分に際し、実施機関から提出された文書は、別紙中1記載のとおり)。
  • (2)文書の検分等について
    別紙中1記載の文書について、当審査会が検分したところでは、本件公開文書以外に本件請求(「廃止された大阪府立野外活動センターについて能勢町と協議した資料一式」)の対象となると考えられる行政文書は認められなかった。
    しかし、異議申立人は、野外Cや府民牧場の無償譲渡に関し、本件請求以外にも、数次にわたって情報公開請求を行うなど、野外Cと府民牧場の無償譲渡に係る一連の経過を知りたいという意向が認められることから、実施機関の同意を得た上で、異議申立人に対し、別紙中1記載の文書を閲覧する機会を設けることとした。(その際、実施機関が条例に基づき非公開とするのが相当であると考える部分については黒塗りする等の処理を施した。)
    文書を閲覧した結果、異議申立人は、別紙中2記載の4件の文書が本件請求の対象文書に該当すると主張したため、当審査会において、これらの文書が対象文書に該当するかについて検討を行った。これらの文書について、実施機関の説明を聴取した上で、その内容を検分したところ、いずれも平成20年度から同21年度頃に、実施機関内部で野外C廃止後の活用方法を検討するために使用された資料であり、能勢町との協議には用いられていないと認められる(4文書に記載された内容は別紙中2の内容欄記載のとおり)。
    野外Cの譲渡に関する経過を知りたいという意向の異議申立人にとっては、野外Cに関連する文書一切が本件請求の対象に含まれるとの認識であると解されるが、請求書には「能勢町と協議した資料」と記載されていることからすると、実際に協議に使用していない文書までも本件請求の対象文書に含めることはできない。
    したがって、異議申立人が対象文書と考える4文書は本件請求の対象文書には当たらず、実施機関保有の行政文書の中には、本件公開文書以外には本件請求の対象文書に当たるものは認められない。

4 結論

以上のとおりであるから、本件異議申立てには理由が無く、「第一 審査会の結論」のとおり、答申するものである。

主に調査審議を行った委員の氏名

鈴木秀美、山口孝司、松田聰子、細見三英子

【別紙】(エクセル:27KB)

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