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更新日:2013年2月4日

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大阪府情報公開審査会答申(大公審答申第218号)

大阪府公立学校教職員採用選考に係る合否判定資料等部分公開決定異議申立事案

(答申日平成25年2月4日)

第一 審査会の結論

実施機関は、本件異議申立ての対象となった部分公開決定において、公開しないことと決定した部分(表1、表2、表3の(2)欄に記載する部分)のうち、個人の得点等の個人情報が特定され又は他者に知られることとなる部分を除き公開すべきである。

第二 異議申立ての経過

  1. 異議申立人は、大阪府情報公開条例(以下「条例」という。)第6条の規定により平成23年11月28日、大阪府教育委員会(以下「実施機関」という。)に対して、「平成20年~23年度の大阪府公立学校教員採用選考における、合格者判定(判定会議)のための資料全部」の公開請求(以下「本件請求1」という。)を行った。
    また、平成23年12月12日、実施機関に対して、「平成18年~23年度の大阪府公立学校教員の一次選考、二次選考における配点割合」の公開請求(以下「本件請求2」)という。)を行った。
  2. 実施機関は、平成23年12月9日、本件請求1に対応する文書として、表1の(1)欄に記載する文書を特定した上、条例第13条第1項の規定により、表1の(2)欄に記載する部分を除いて公開する旨の部分公開決定(以下「本件処分1」という。)を行い、表1の(3)欄に記載するとおり公開しない理由を付して異議申立人に通知した。
    また、平成23年12月19日、本件請求2に対応する文書として、表2の(1)欄に記載する文書を特定した上、条例第13条第1項の規定により、表2の(2)欄に記載する部分を除いて公開する旨の部分公開決定(以下「本件処分2」という。)を行い、表2の(3)欄に記載するとおり公開しない理由を付して異議申立人に通知した。
    さらに、平成24年1月31日、本件処分1で特定した文書の内容を具体的に示すため、表3の(1)欄に記載する文書を特定した上、表3の(2)欄に記載する部分を除いて公開する旨の変更決定(以下「本件処分1-2」という。)を行い、表3の(3)欄に記載するとおり公開しない理由を付して異議申立人に通知した。
  3. 異議申立人は、平成24年3月29日、行政不服審査法第6条の規定に基づき、本件処分1及び本件処分1-2を不服とし「平成20年度~23年度の大阪府公立学校教職員採用選考における、合格者判定(判定会議)のための資料全部」の全面公開(個人情報を除いたもの)を求め、また、本件処分2(以下、本件処分1及び本件処分1-2並びに本件処分2をあわせて「本件各処分」という。)を不服とし「平成18年度から23年度の大阪府公立学校教員の一次選考、二次選考における配点割合」の全面公開を求める異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)を実施機関に対して行った。

第三 異議申立ての趣旨

本件各処分を取り消し、「平成20年度~23年度の大阪府公立学校教職員採用選考における、合格者判定(判定会議)のための資料全部」及び「平成18年度から23年度の大阪府公立学校教員の一次選考、二次選考における配点割合」の全面公開(「平成20年度~23年度の大阪府公立学校教職員採用選考における合格者判定(判定会議)のための資料全部」については、個人情報を除く)を求める。

第四 異議申立人の主張要旨

異議申立人の主張は概ね以下のとおりである。

1 異議申立てにいたる経過

  • (1)2011年11月28日、「平成20年度~23年度の大阪府公立学校教職員採用選考における、合格者判定(判定会議)のための資料全部」の公開を求める行政文書公開請求(本件請求1)を行う。
  • (2)2011年12月10日、部分公開決定通知書(教委職人第2708号、本件処分1)を受け取る。
  • (3)2011年12月12日、「平成18年度~23年度の大阪府公立学校教員の一次選考、二次選考における配点 割合」の公開を求める行政文書公開請求(本件請求2)を行う。
  • (4)2011年12月20日、部分公開決定通知書(教委職人第2768号、本件処分2)を受け取る。
  • (5)2011年12月26日、部分公開された行政文書を受け取る。
  • (6)2012年2月1日、「部分公開決定の変更について(通知)」(教委職人第3067号、本件処分1-2)を受け取る。
  • (7)2012年2月1日、差し替えられた行政文書を受け取る。

2 異議申立ての理由

  • (1)実施機関は、行政文書の情報公開についての対応が、杜撰かつ恣意的である。
    • 例1 2011年12月12日に行った「平成18年度~23年度の大阪府公立学校教員の一次選考、二次選考における配点割合」の公開を求める本件請求2では、平成23・24年度では1次合計・2次合計を公開していながら、平成22~19年のものについては、非公開であった。その理由を応対した教職員人事課職員に尋ねると、「平成22年までは公開していないから」というだけで「23年・24年で公開できるものが、なぜ22年以前は公開できないのか」の説明になっていない。また、「配点割合」を公開すると、「大阪府情報公開条例第8条第1項第4号に該当する。本件行政文書(非公開部分)に記録されている情報は、大阪府の教員採用選考の事務に関する情報であって、公にすることにより、受験者が試験の準備をする際に受験技術の先行を招き、受験者の資質・適性等についての適正な評価を困難にし、教員にふさわしい人物を採用することが難しくなる。このことにより大阪府が必要とする人材の確保に支障をきたすなど、今後の当該若しくは同種の事務の目的が達成できなくなり、又は、当該事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれがある。」(通知書の「公開しない理由」)ということになる理由がわからない。府政情報室の職員も、「23年・24年のものを公開するなら、それ以前のものも公開するのが、通常の判断である」と疑問を呈し、結局持ち帰って検討することになった。その結果公開されたものでは、平成22年から19年についても、1次合計・2次合計が公開された。以上の事実経過は、「部分公開決定通知で述べられた理由に正当性がない」ことを、実施機関が自ら認めたことを示している。
    • 例2 2011年12月26日に部分公開された行政文書には、1次選考の面接テストと筆答テスト(小論文を含む)の割合、2次選考の筆答テスト(小論文を含む)・実技テスト・面接テストの配点割合が、百分率で示されている文書が添付されていた。これは平成24年のもので、23年以前のものはない。「24年に百分率で公表しているのなら、同一年の配点一覧表における、1次の択一・面接・小論文、2次の記述・小論文・実技・面接の黒塗りは殆ど無意味であり、23年以前も含めて公表すべきである」と主張した。この点について教職員人事課職員に尋ねると、「確かに百分率からおよその点数は推測できる。しかし、これ以上は異議申立てで取り上げてもらいたい」とのことであった。非公開にする論理が例1と同じく破綻しているにもかかわらず、ここでは公開を拒否している。
    • 例3 2011年12月9日付部分公開決定通知書(教委職人第2708号、本件処分1)には、別紙「行政文書の名称及び公開しないと決定した部分について」が添付されていた。12月26日の文書受け取り当日、及びその後の電話でのやり取りで、私は教職員人事課職員に対し次のように主張した。
      • ア これだけでは「合格者判定(判定会議)のための資料」に具体的に何が含まれているのか分からないので、異議申立てのしようがない。
      • イ 非公開部分として『「H21~22 教員採用選考テスト配点一覧表」中の「校種教科又は選考区分」を除く部分』、『「H23~24 教員採用選考テスト配点一覧表」中の「校種教科又は選考区分」「1次合計」「2次合計」を除く部分』があげられているが、これを読む限り「その他の資料は全て公開する」と読み取れる。
      アに対して、教職員人事課職員は「その点も含めて異議申立てで取り上げてもらたい」とのことであったが、イの主張をしたところ、書類の不備に気付き改めて出されたのが、2012年1月31日付「部分公開決定の変更について(通知)」(教委職人第3067号、本件処分1-2)である。実施機関の公印がある文書が訂正されただけでなく、資料の個々の項目については公開しないという方針も撤回された。
      以上で明らかなことは、公開を拒否する理由が、全く理由になっていないことを実施機関自ら認めていること、実施機関の決定が、その矛盾を指摘されると簡単に覆るほど杜撰なものであること、例2のように、論理的破綻を認めながらも一旦行った決定に拘り続ける、という実施機関の「非論理性・一貫性のなさ」である。
  • (2)通知書に示されている「公開しない理由」の「大阪府情報公開条例第8条第1項第4号に該当する。本件行政文書(非公開部分)に記録されている情報は、大阪府の教員採用選考の事務に関する情報であって、公にすることにより、受験者が試験の準備をする際に受験技術の先行を招き、受験者の資質・適性等についての適正な評価を困難にし、教員にふさわしい人物を採用することが難しくなる。このことにより大阪府が必要とする人材の確保に支障をきたすなど、今後の当該若しくは同種の事務の目的が達成できなくなり、又は、当該事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれがある。」は、公開を拒否する理由にならない。
    • ア 実施機関は、筆答テスト問題の原則公表及び受験案内における「選考基準」の提示で、「受験者が試験の準備をする」ための便宜をはかっている。実施機関がいう「受験技術の先行」が何を指すか明らかではないが、問題文の公表以上に、また、実技テストの「主な評価の観点」以上に、「受験技術」に影響を与えるものは考えにくい。もしあるなら、具体的に説明してもらいたい。
    • イ 試験をする以上、その結果を統計的に公表するのは社会的常識である。たまたま手元にあるA大学のホームページ掲載の平成23年度入学者選抜実施状況「合格者成績表」には、各課程のそれぞれの試験における配点・最高点・最低点・平均点が記載されている。そのことが「受験技術の先行を招」く、という論は聞いたことがない。受験をクリアできるような「受験技術」があるとは思えないが、仮にあるなら出題された問題の方に問題がある。
    • ウ 実施機関は、公表は「教員にふさわしい人物を採用することが難しくなる。このことにより大阪府が必要とする人材の確保に支障をきたす」と危惧するが、採用選考テストに向けて対策をたて勉強するのは、受験生の正常な行動であり、推奨されることはあれ非難されることはない。
    「教員にふさわしい人物を採用することが難しくなる。このことにより大阪府が必要とする人材の確保に支障をきたす」という危惧は別のところにある。「人材の確保に支障をきたす」のではないかと巷間で危惧させている理由は、全国で最低ランクの給与、成果主義に基づく人事考課制度(民間では見直されつつある)の導入、「大阪維新の会」(=橋下前大阪府知事)による公教育バッシング(教育に対する政治の介入)である。採用試験の年度別推移をみると、採用予定者が増えているにもかかわらず受験者は、中学校・中学部では減少し、高校・高等部ではH17年以降横ばいで、倍率が半分以下に激減している。また、教職員人事課に確認したところ、2012年2月4日現在、12.4%もの採用試験合格者が、辞退を申し出ているという。私自身、高校で教えられるだけの学問的知識・素養があるとは到底思えない者が試験に合格し教員になった例を、直接見知っている。私が情報公開請求で明らかにしたかったことは、大阪府公立学校教職員採用選考の実態、合格者の成績の経年的変化である。今後の大阪府公立学校の教育を担う教員の質が低下していっているなら、「橋下流教育改革」も無視できないはずである。次々打ち上げられる「橋下流教育改革」に、多くの府民・市民が期待し・賛同している。しかし、それがどのように大阪府の教育現場に影響を及ぼしているのかについて、客観的な検証はない。「橋下維新旋風」に翻弄されるのではなく、その功罪を具体的・客観的・科学的に検証して、検証結果を公表し負の部分があれば是正するのが、(一部の「出来る子」だけでなく)全ての児童・生徒の教育に継続して責任を負う実施機関の責務である。

第五 実施機関の主張要旨

実施機関の主張は概ね以下のとおりである。

1 教員採用選考テストについて

教員の採用にあたっては、教育公務員特例法第11条により、選考によるものとし、その選考は、任命権者である教育委員会の教育長が行うと定められている。

採用選考テストの実施にあたっては、求める人物像にかなった教員としてふさわしい資質及び能力を備えた優れた人材を確保するため、実施機関において選考方法や選考基準、合否の判定方法などを定めている。

選考基準は、大阪府公立学校教員採用選考テスト受験案内に、第1次選考の各テスト(筆答テスト、面接テスト)及び第2次選考の各テスト(筆答テスト、面接テスト、実技テスト)について、主な評価の観点とともに明記しているところである。

第1次選考では、面接テスト(集団面接)と筆答テスト(一般教養・教職教養の択一式又は小論文)、第2次選考では、面接テスト(個人面接及び模擬授業)、筆答テスト(記述式の教科専門テスト又は、択一式の国語、算数、理科、社会についての専門テスト及び小論文)、実技テスト(実技テストを実施する校種教科は、中学校・中学部、高校・高等部の「英語」「音楽」「美術」「保健体育」、高校・高等部の「中国語」「書道」「工業実習」、小学校、小中いきいき連携、特別支援学校の幼稚部・小学部共通及び小学部)を実施している。

第1次選考及び第2次選考の合否の決定にあたっては、各テスト(面接、筆答、実技)の合計得点をもとに、選考区分ごとに決定している。ただし、各テストにおいて基準に達しない者がある場合は、不合格としているところである。

なお、教員採用選考テストにおける試験の透明性の確保の取り組みについては、条例の趣旨、規定とともに、教員採用選考テストの透明性の確保などを求める社会情勢も踏まえつつ、業務目的の適正な執行に支障が来さない範囲で、公表等を行うなど適切な取扱いを行っている。

これまで、教員採用選考テストにおける試験の透明性の確保について下記のとおり取り組んできているところである。

  • ア 平成21年度実施テストから、教員採用選考テスト受験案内に選考基準を公表し、不合格者のうち希望される方には、総合順位に加え総合得点も開示した。
  • イ 平成23年度実施のテストから、第1次選考及び第2次選考の配点比率を試験実施後にホームページで公開し、第1次選考及び第2次選考の不合格者のうち、希望者に対して各テスト区分毎(面接テスト、筆答テスト、実技テスト)の点数を口頭で開示した。
  • ウ 平成24年度実施のテストから、不合格者全員に総合得点、総合順位及び各テスト区分毎(面接テスト、筆答テスト、実技テスト)の得点を結果通知に記載し開示することとしている。

2 本件行政文書等について

(1)合否判定資料等

本件処分1-2で部分公開決定を行った、合否判定資料等の文書については、第1次選考及び第2次選考の合否の判定の基本となる資料である。これらの文書は、平成20年度実施のテストから平成23年度実施のテストまでのもので、各年度に共通した行政文書については、以下アからカのとおりとなっている。記載内容については、エ教員採用選考テスト配点一覧表の、校種教科又は選考区分、1次合計及び2次合計のみ部分公開を決定したものである。

  • ア 大阪府公立学校教員採用選考テスト第1次選考合否判定資料
    (以下「第五 実施機関の主張要旨」において、次のイとあわせ「合否判定資料」という。)
  • イ 大阪府公立学校教員採用選考テスト第2次選考合否判定資料
    (以下「第五 実施機関の主張要旨」において、アとあわせ「合否判定資料」という。)
  • ウ 第2次選考 筆答・実技試験 基準点等
  • エ 教員採用選考テスト配点一覧表
    (以下「第五 実施機関の主張要旨」において、「配点一覧表」という。)
  • オ 教員採用試験 一次受験者高得点順得点表
  • カ 教員採用試験 二次受験者高得点順得点表
(2)配点一覧表

本件処分2で部分公開を行った文書のうち、平成20年度から平成23年度実施のテストに係るものは、配点一覧表(上記(1)エ)と同一の文書である。また、平成18年度及び平成19年度実施のテストに係るものについても、記載内容については配点一覧表と同様の文書である。記載内容については、校種教科又は選考区分、1次合計及び2次合計のみ部分公開を決定したものである。

3 本件各処分の理由について

  • (1)本件各処分については、条例第8条第1項第4号に該当することから、部分公開としたことについて弁明することとする。
  • (2)本件処分1-2の経過については、異議申立人の趣旨を踏まえ、制度所管課へ確認した上で請求項目における非公開部分をより具体的に示すために、文書名を表示することについて、本件処分1の内容を変更決定し通知したものである。異議申立人が主張する、資料の個々の項目については公開しないという方針を撤回したものではない。
  • (3)本件処分2の経過については、平成23年度に実施した採用選考テストから、配点割合(百分率)を公表したが、それ以前については同様の資料を作成していないことによる対応であった。試験の透明性の確保についてはこれまでも取り組んできているが、教員採用選考の透明性の確保などを求める社会情勢を踏まえ、平成23年度以前の校種等毎の各テストの配点割合の公表等について、今後、検討する。「配点一覧表」については、上記で検討する配点割合以外にも非公開としている部分があるが、この部分についての条例第8条第1項第4号の該当性については、下記(4)イのとおりである。
  • (4)条例第8条第1項第4号の該当性について
    • ア 合否判定資料等(配点一覧表を除く)について
      (配点一覧表については、合否判定資料等に含まれるが、別途、(4)イで述べる)
      • 〔教員採用選考テストについて〕
        教員の採用にあたっては、選考によるものとし、その選考については、任命権者である教育委員会の教育長が行うと定められている。採用選考テストの実施にあたっては、求める人物像にかなった教員としてふさわしい資質及び能力を備えた優れた人材を確保するため、実施機関において選考方法や選考基準、合否の判定方法などを定めている。
        教員採用選考に関する選考基準などの情報の公開・公表については、条例の規定、趣旨とともに、教員採用選考の透明性などの社会情勢も踏まえつつ、業務目的(求める人物像に適う優秀な教員確保)の適正な執行に支障をきたすおそれがあるかどうかを基準としているところである。
        選考方法については、選考区分に応じ筆答テスト、面接テスト、実技テストを実施しており、実技テストは、検査員が受験者の実技能力を実証し、面接テストは、面接員が、限られた短時間で受験者の教員としての適性や求める人物像などに適うかなど選考基準に基づき評価を行っている。
        検査員や面接員は、実技検査、面接に関して優れた技量や専門的見地を有する限られた職員を中心に行われており、また、試験の運営にあたっては、実施機関のみならず、市町村教育委員会などの協力を得ながら行っているところである。
      • 〔合否判定資料について〕
        教員採用選考における、合否の判定については、受験者の各テスト(面接、筆答、実技)の合計得点をもとに、便宜上、高得点順に序列化し、選考区分ごとに決定している。
        ただし、合計得点を含む合否判定資料はあくまでも当該年度の受験者の合否判定に使用するもので、他年度の合格者或いは不合格者との能力水準を比較するものではない。
        こうした選考の制度、公表経過や業務実態のもと、求める人材の確保を図るなど事務の目的を遂行してきたところであるが、合否判定資料の情報が公になれば、具体的な合否の判定方法や評価内容までもが明らかになることにより、検査員や面接員が検査、評価する際に心理的な圧迫となり、検査・面接の厳格な実施に支障をきたすとともに、検査員・面接員の確保についても支障が生じるおそれがある。
        また、合否判定資料の情報が公になれば、試験の内容や、受験者が毎年変わる中で、当該年度の特定の校種・教科の合格者の成績があまり良くない、或いは他年度と比較しての優劣などの事実と異なる合格者全体の誤ったイメージが作り上げられ、個別教員への偏見等を助長するおそれがあるだけでなく、特定の校種・教科の成績が他の校種・教科と比較して極端に高ければ、求める人材の受験が敬遠されるおそれがあることなど、事業目的に影響を与えることは明らかであり、今後の教員採用事務の目的が達成できなくなり、採用事務の公正かつ適切な執行に支障が出るため非公開としているものである。
    • イ 配点一覧表について
      教員採用選考テストにおける配点については、求める人物像に適った、教員としてふさわしい資質及び能力を備えた優れた人材を確保するために、実施機関として定めたものであり、情報が公になれば、合否判定資料などの情報と合わせ、各テストの合格ライン等を憶測し、それに基づき受験者が偏ったテスト勉強をするなど、各テストの配点に応じた対策を可能にし、受験技術の先行を招き、受験者の資質・適性等についての適正な評価が困難になることから、教員にふさわしい人物を採用することが極めて困難になるおそれがある。
      また、受験者に配点や合否判定の妥当性、正当性を巡り、懐疑的な憶測を与えることになり、受験の敬遠などを生じさせ、いずれも必要とする人材の確保に支障をきたすなど、事務の目的が達成できなくなり、採用事務の公正かつ適切な執行に支障が出るため、非公開としているものである。

4 本件各処分の理由に係る追加主張

  • (1)配点一覧表について
    配点一覧表については、以下の理由により非開示とする。
    • 面接・小論文・実技に関しては、受験案内に掲載する選考基準(主な評価の観点)にもとづき、教員としての適性等について評価を行っている。
    • 評価の配点については、採用予定者数や受験者数、これまでの教員採用選考テストの実施状況等を踏まえ、求める人物像に適う優秀な人材を見極めるため、評価区分及び点数を設定している。
    • 配点一覧表が開示されれば、以下の理由により、教員採用選考テストの目的が達成できなくなる(なお、これらの理由については、「3 本件各処分の理由について」の(4)における主張と同趣旨である。)。
      • 受験者が配点を知ることで、偏った受験対策にはしり、本来有する受験者の資質や適性等の適正な評価が妨げられる。
      • 配点の妥当性や正当性につき懐疑的な憶測を与え、選考の公正性や客観性に疑念を抱かせ、受験の忌避につながりかねず、多様かつ優秀な人材の確保ができなくなる。
      • 選考にかかる具体的な評価内容が明らかになることで、検査員や面接員が、特に下位の評価をする際に心理的な圧迫となり、検査、面接の厳格かつ適正な評価が行われにくくなる。ひいては、検査員や面接員の協力(確保)を得られず、試験運営が困難となる。
  • (2)合否判定資料について
    合否判定資料については、以下の理由により非開示とする。
    • 合否判定資料には合格基準点(一次合格見込数又は最終合格予定数から設定した、選考区分、校種教科ごとの合格の基準となる点数)が記載されているが、これが開示されれば、受験者数が少ない校種教科においては、合格発表や採用後、個人の点数が推測される可能性があり、特定の個人が識別されるおそがある。試験の点数は一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められることから、条例第9条第1号に該当する。
    • 教員採用選考テストの選考区分のうち、身?障がい者対象の選考及び特別支援教育推進の選考については、障害者の雇用や、特別支援教育の充実の観点から一般選考区分と区分して実施している。合格基準を公表することで、円滑な人事の確保に支障をきたす。
  • (3)教採 第2次選考 筆答・実技試験 基準点等
    筆答・実技試験、基準点等については、以下の理由により非開示とする。
    • 教採 第2次選考 筆答・実技試験 基準点等には基準点が記載されている。総合得点では合格基準点を上回っている場合であっても、各テストの得点が基準点を下回っている場合は不合格となる。基準点が開示されれば、受験者が合否の程度を予測し、受験技術を先行させ、能力検証すべき本来有する受験者の資質や適性等について、その適正な評価が妨げられると考えるため、教員採用選考テストの目的が達成できなくなる。
  • (4)教員採用試験 一次受験者高得点順得点表及び二次受験者高得点順得点表
    • 高得点順得点表については、受験者の氏名や試験の点数など、特定の個人が識別され得るものが記載されており、これらの情報は、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められることから、条例第9条第1号に該当する。

5 結論

以上のとおり、本件各処分は、条例の規定に基づき適正に行われたものであり、何ら違法又は不当な点はなく、適法かつ妥当なものである。

第六 審査会の判断理由

1 条例の基本的な考え方について

行政文書公開についての条例の基本的な理念は、府民の行政文書の公開を求める権利を明らかにすることにより「知る権利」を保障し、そのことによって府民の府政参加を推進するとともに府政の公正な運営を確保し、府民の生活の保護及び利便の増進を図るとともに、個人の尊厳を確保し、もって府政への信頼を深め、府民福祉の増進に寄与しようとするものである。

このように「知る権利」を保障するという理念の下にあっても、一方では、公開することにより、個人や法人等の正当な権利・利益を害したり、府民全体の福祉の増進を目的とする行政の公正かつ適切な執行を妨げ、府民全体の利益を著しく害したりすることのないよう配慮する必要がある。

このため、条例においては、府の保有する情報は公開を原則としつつ、条例第8条及び第9条に定める適用除外事項の規定を設けたものであり、条例第8条及び第9条に定める事項に該当する場合を除いて、公開しなければならない。

2 異議申立ての対象とされている情報(以下「本件係争情報」という。)について

本件異議申立ての対象とされているのは、表2の(2)欄に記載される部分及び表3の(2)欄に記載される部分である(これらのうち、平成21年度から平成24年度採用分の教員採用テスト配点一覧表に係る部分については、表2及び表3で重複記載されている。)。

実施機関は、本件処分2で非公開とした表2の(2)欄の「1次合計」及び「2次合計」(H19教採~H22教採分)のうち、H21教採~H22教採分に関して、後日、本件処分1-2において公開している。また、実施機関は、H19~H20教採分に関して、後日、異議申立人に開示している。したがって、本件係争情報は、表2の(2)欄及び表3の(2)欄に記載された部分のうち、上記部分を除いた非公開部分である。

なお、本件係争情報が含まれる具体的な文書は以下のとおりである。

  • ア 教員採用選考テスト配点一覧表(表2の文書、表3の1エ、2エ、3エ、4エの文書。以下「配点一覧表」という。)
    (「第五 実施機関の主張要旨」の2(1)エと同じ)
  • イ 大阪府・堺市公立学校教員採用選考テスト第1次、第2次合否判定資料(表3の1アイ、2アイ、3アイ、4アイの文書。以下「合否判定資料」という。)
    (「第五 実施機関の主張要旨」の2(1)アイと同じ)
  • ウ 教採 第2次選考 筆答・実技試験基準点等(表3の1ウ、2ウ、3ウ、4ウの文書。以下「基準点等」という。)
    (「第五 実施機関の主張要旨」の2(1)ウと同じ)
  • エ 教員採用試験 一次・二次受験者高得点順得点表(表3の1オカ、2オカ、3オカ、4オカの文書。以下「得点表」という。)
    (「第五 実施機関の主張要旨」の2(1)オカと同じ)
ア 配点一覧表

配点一覧表には、その上段部分において、教員採用選考テスト(1次・2次)に係る各校種教科又は選考区分毎の配点等(1次試験については「択一」「面接」「小論文」の各テストの配点及びそれらの合計点、2次試験については「記述」「小論文」「実技」「面接」の各テストの配点及びそれらの合計点)が記載されている。なお、本件各処分では、1次試験・2次試験毎の合計点は公開されているが、「択一」等の各テストの配点は公開されていない。

また、その下段部分において、「面接」「小論文」「実技」について、受験者を段階に分類し、それぞれの段階毎に何点を与えるかなど、「面接」「小論文」「実技」における具体的な評価の内訳に関する情報が記載されており、こうした情報は公開されていない。

イ 合否判定資料

合否判定資料には、教員採用選考テストに係る各校種教科又は選考区分毎の合格予定(見込)数、合格基準点等が記載されている。なお、合否判定資料については、本件各処分では、文書名のみが公開とされ、文書の具体的な内容については公開されていない。

ウ 基準点等

基準点等には、教員採用選考テストに係る各校種教科毎の満点、受験者平均点等が記載されている。なお、基準点等については、本件各処分では、文書名のみが公開とされ、文書の具体的な内容については公開されていない。

エ 得点表

得点表には、教員採用選考テストに係る受験者の受験番号、氏名、性別、生年月日、合計得点等が記載されている。なお、この得点表については、本件各処分では、文書名のみが公開とされ、文書の具体的な内容については公開されていない。

3 本件各処分に係る具体的な判断及びその理由について

(1)条例第8条第1項第4号について

行政が行う事務事業に関する情報の中には、当該事務事業の性質、目的等からみて、執行前あるいは執行過程で公開することにより、当該事務事業の実施の目的を失い、又はその公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼし、ひいては、府民全体の利益を損なうおそれがあるものがある。また、反復継続的な事務事業に関する情報の中には、当該事務事業実施後であっても、これを公開することにより同種の事務事業の目的が達成できなくなり、又は公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれのあるものもある。

このような支障を防止するため、これらの情報は公開しないことができるとするのが条例第8条第1項第4号の趣旨である。同号は、

  • a)府の機関又は国等の機関が行う各種の事務に関する情報であって、
  • b)公にすることにより、当該若しくは同種の事務の目的が達成できなくなり、又はこれらの事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれのあるもの

は、公開しないことができる旨を定めている。

(2)条例第8条第1項第4号該当性について

本件係争情報が上記(1)のa)及びb)の要件に該当するか否かについて検討したところ、以下のとおりである。

本件係争情報は、表2(1)及び表3(1)欄に記載する文書に含まれる情報であり、これらの文書はいずれも教員採用選考テストに関する文書であることから、「府の機関又は国等の機関が行う試験等の事務に関する情報」として、(1)のa)の要件に該当する。

次に、本件係争情報が(1)のb)の要件に該当するか否かについて検討する。

ア 本件係争情報を公開しないことについての実施機関の主張について

本件係争情報を公にすることによって生じるおそれのある支障の内容について、実施機関は次のように主張している。

  1. 合否判定資料などの情報と合わせ、各テストの合格ライン等を憶測し、それに基づき受験者が偏ったテスト勉強をするなど、各テストの配点に応じた対策を可能にし、受験技術の先行を招き、受験者の資質・適性等についての適正な評価が困難になることから、教員にふさわしい人物を採用することが難しくなる。
  2. 受験者に配点や合否判定の妥当性、正当性を巡り、懐疑的な憶測を与えることになり、受験の敬遠などを生じさせ、いずれも必要とする人材の確保に支障をきたす。
  3. 具体的な合否の判定方法や評価内容までもが明らかになることにより、検査員や面接員が検査、評価する際に心理的な圧迫となり、検査・面接の厳格な実施に支障をきたすとともに、検査員・面接員の確保についても支障が生じるおそれがある。
  4. 試験の内容や、受験者が毎年変わる中で、当該年度の特定の校種・教科の合格者の成績があまり良くない、或いは他年度と比較しての優劣などの事実と異なる合格者全体の誤ったイメージが作り上げられ、個別教員への偏見等を助長するおそれがあるだけでなく、特定の校種・教科の成績が他の校種・教科と比較して極端に高ければ、求める人材の受験が敬遠されるおそれがある。
  5. 教員採用選考テストの選考区分のうち、身体障がい者対象の選考及び特別支援教育推進の選考については、障害者の雇用や、特別支援教育の充実の観点から一般選考区分と区分して実施している。合格基準を公表することで、円滑な人事の確保に支障をきたす。
イ 要件(1)のb)の該当性について

〔主張1関係〕

各テストにおける配点や具体的な評価方法等は、実施機関自らが、優秀な教員にふさわしい人物として受験者にどのような資質、能力等を求めるかということについて数値等により示したものであると考えられる。

したがって、受験者がその配点等を参考として対策を行うことは当然であり、実施機関が主張するように、これを偏ったテスト勉強であるとして、受験者の適正な評価が困難となり、教員にふさわしい人物の採用が困難になるものであるとの主張は認めることはできない。

〔主張2関係〕

実施機関は、配点や具体的な評価方法を公開すると、その妥当性、正当性に係る憶測が生じ、結果、受験の敬遠等、人材の確保が困難となる旨主張している。

しかしながら、選考過程の透明化を通じて採用選考方法の公平性を確保するという観点からは、むしろその内容を明らかにすべきものであると考えられ、実施機関が主張するような支障が生じるものと認めることはできない。

〔主張3関係〕

実施機関では、平成23年度実施のテストから、「面接」「実技」「筆答」に関する得点を口頭により受験者に開示するなど、個々の受験者に対する実施機関の評価内容を得点という形で開示する制度がすでに運用されている状況においては、実施機関が主張するような支障が生じているような事実は認められないことから、合否の判定方法や評価内容を公開したとしても、検査・面接の厳格な実施や検査員等の確保について新たな支障が生じるとまでは認められない。

〔主張4関係〕

合格基準点等の合否判定資料の内容を公にすると、一部の受験者等が、実施機関が危惧するような偏見、受験忌避の行動を示す可能性が皆無であるとは言えないが、実施機関の主張にもあるように、合否判定資料は、「あくまでも当該年度の受験者の合否判定に使用するもので、他年度の合格者或いは不合格者との能力水準を比較するものではない」ものであり、各年度間の合格基準点の差異が受験者の能力の差異を表すものではない以上、これを公にすることにより、事務事業の目的が達成できなくなり、又は公正かつ適切な執行に著しい支障が生じるおそれがあるとまでは認められない。

〔主張5関係〕

実施機関は、「身体障がい者」枠や「特別支援教育推進」枠に係る選考の具体的な合格基準を公にすると、円滑な人事の確保に支障をきたす旨主張している。

しかしながら、これらの選考枠について、合格基準点を一般選考枠と区分して選考を実施しているという事実がある以上、採用選考基準の公正性の確保という観点からは、むしろ、合格基準点を明らかにすることが求められるのであり、これが公になることにより、事務事業の目的が達成できなくなり、又は公正かつ適切な執行に著しい支障が生じるおそれがあるとまでは認められない。

以上のように、実施機関の主張は、そのいずれについても、公にすることで、同種の事務事業の目的が達成できなくなり、又は公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれがあるものとは認められないから、(1)のb)の要件に該当するとは認められない。

(3)条例第9条第1号該当性について
ア 実施機関が提出した補足資料の審査について

実施機関は、本件各処分に際し、条例第8条第1項第4号に該当することを公開しない理由としてきたが、当審査会における審査の途中段階で、合否判定資料及び得点表には個人識別情報が含まれているとの補足資料を提出し、非公開理由として条例第9条第1号を追加する旨の主張をした。

(上記「第五 実施機関の主張要旨」の「4 本件各処分の理由に係る追加主張」を参照)

この実施機関の主張は、本件各処分の段階では示されていなかった事項を非公開理由として追加するものであるが、当審査会は、異議申立人に対し、実施機関が提出してきた補足資料を提供し反論の機会を与えていること、もし当審査会が実施機関の追加主張について判断を示さなかった場合、実施機関が答申後の決定の際に、合否判定資料及び得点表につき、条例第9条第1号を理由として、今回の不開示部分と同じ部分を改めて非公開とすることも想定されるため、当審査会としては、審査の途中で追加主張のあった条例第9条第1号該当性についても、審査を行うこととした。

イ 条例第9条第1号について

条例は、その前文で、府の保有する情報は公開を原則としつつ、併せて個人のプライバシーに関する情報は最大限に保護する旨を宣言している。また、第5条において、個人のプライバシーに関する情報をみだりに公にすることのないよう最大限の配慮をしなければならない旨規定している。条例第9条第1号は、このような趣旨を受けて、個人のプライバシーに関する情報の公開禁止について定めたものであって、

  • a)個人の思想、宗教、身体的特徴、健康状態、家族構成、職業、学歴、出身、住所、所属団体、財産、所得等に関する情報であって、
  • b)特定の個人が識別されるもののうち、
  • c)一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められる

情報が記載された行政文書については公開してはならない旨定めている。

ウ 実施機関の主張について

条例第9条第1号該当性について、実施機関は、次のとおり主張する。

〔合否判定資料について〕

合否判定資料には合格基準点(一次合格見込数又は最終合格予定数から設定した、選考区分、校種教科ごとの合格の基準となる点数)が記載されているが、これが開示されれば、受験者数が少ない校種教科においては、合格発表や採用後、個人の点数が推測される可能性があり、特定の個人が識別されるおそれがある。試験の点数は一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められることから、条例第9条第1号に該当する。

〔得点表について〕

高得点順得点表については、受験者の氏名や試験の点数など、特定の個人が識別され得るものが記載されており、これらの情報は、一般に他人に知られたくないと望むことが正当であると認められることから、条例第9条第1号に該当する。

エ 実施機関の主張に対する検討

当審査会が、実施機関に対して、具体的な追加主張の内容を確認したところ、つぎのような説明があった。

教員採用選考に係る校種教科の中には、受験者数や合格者数が少ない校種教科が存在し、そのような校種教科の一部の選考区分(「一般」「社会」等)については、当該校種教科及び選考区分における最下位合格者の得点を、「合否判定資料」上の「合格基準点」とする運用が行われている。

このため、例えば、「高校・書道」のように、当該校種教科及び選考区分において合格者数が1人である場合には、「合否判定資料」上は、当該合格者は最下位合格者として位置付けられ、その者の得点が「合格基準点」と一致することとなる。

一方、各校種教科及び選考区分の最終合格者数は、実施機関が別途公開している情報であることから、これらの情報を突合すると、合格者が1人である校種教科及び選考区分については、当該合格者の得点を特定することが可能となる。

また、合格者数が2人である場合には、最下位合格者の得点が特定されることはないが、最下位合格者でない他の合格者にとっては、自己の得点の開示を受けることにより他の合格者(最下位合格者)の得点を特定することも可能となるため、特定の合格者の得点が他者に知られてしまうこととなる。

オ 条例第9条第1号該当性について

当審査会において、以上を基に判断すると、個々の受験者の試験における得点は、上記(3)イのa)b)c)の要件に該当する情報であることは明らかであるから、「合否判定資料」に記載される「合格基準点」等の情報から合格者個人の得点が特定され、又は、他者に知られることとなる場合には、条例第9条第1号に該当する個人情報として、該当部分に限って非公開とすることは妥当であると認められる。

次に、「得点表」についても、受験番号、氏名、生年月日等、個人を識別する可能性がある情報が記載されていることから、このような情報について非公開とすることは妥当である。また、受験者数や合格者数が少ない校種教科においては、「合否判定資料」の場合と同様に、個々の受験者の得点が特定され、又は、他者に知られることとなる場合には、条例第9条第1号に該当する個人情報として、該当部分について非公開とすることは妥当である。

実施機関から説明のなかった他の文書(基準点等)についても、上記と同様、個人の得点等の個人情報が特定され、又は、他者に知られることとなる場合は、該当部分を条例第9条第1号に該当するとして非公開とすることが妥当であり、こうした事情がない場合には、対象文書はすべて公開とすべきである。

4 結論

実施機関においては、原決定を取り消した上で、当審査会の見解を考慮して、改めて本件申立てに対する決定を行わなければならない。その際、条例第9条第1号に該当することを理由として非公開とする部分の特定にあたっては、上記の趣旨を踏まえ、個人の得点等の個人情報が特定され、又は、他者に知られることとなる部分に限らなければならない。

以上のとおりであるから、本件申立てには理由があると認め、「第一 審査会の結論」のとおり答申するものである。

主に調査審議を行った委員の氏名

大和正史、岩本洋子、野呂充、松本哲治

表1(本件処分1関係)

 

(1)公開対象文書

(2)公開しないことと決定した部分

(3)該当条項及び非公開理由

1

平成20年度実施 大阪府公立学校教員採用選考テストにおける合格者判定資料に係る請求項目

 

大阪府情報公開条例第8条第1項第4号に該当する。

本件行政文書(非公開部分)に記録された情報は、大阪府の教員採用選考の事務に関する情報であって、公にすることにより、受験者が試験の準備をする際に受験技術の先行を招き、受験者の資質・適性等についての適正な評価を困難にし、教員にふさわしい人物を採用することが難しくなる。

このことにより大阪府が必要とする人材の確保に支障をきたすなど、今後の当該若しくは同種の事務の目的が達成できなくなり、又は、当該事務の公正かつ適切な執行に著しい支障を及ぼすおそれがある。

 

 

平成21年度大阪府・堺市公立学校教員採用選考テスト第1次選考合否判定資料

「H21教員採用選考テスト配点一覧表」中の「校種教科又は選考区分」を除く部分

平成21年度大阪府・堺市公立学校教員採用選考テスト第2次選考合否判定資料

2

平成21年度実施 大阪府公立学校教員採用選考テストにおける合格者判定資料に係る請求項目

 

 

平成22年度大阪府公立学校教員採用選考テスト第1次選考合否判定資料

「H22教員採用選考テスト配点一覧表」中の「校種教科又は選考区分」を除く部分

平成22年度大阪府公立学校教員採用選考テスト第2次選考合否判定資料

3

平成22年度実施 大阪府公立学校教員採用選考テストにおける合格者判定資料に係る請求項目

 

 

平成23年度大阪府公立学校教員採用選考テスト第1次選考合否判定資料

「H23教員採用選考テスト配点一覧表」中の「校種教科又は選考区分」「1次合計」「2次合計」を除く部分

平成23年度大阪府公立学校教員採用選考テスト第2次選考合否判定資料

4

平成23年度実施 大阪府公立学校教員採用選考テストにおける合格者判定資料に係る請求項目

 

 

平成24年度大阪府公立学校教員採用選考テスト第1次選考合否判定資料

「H24教員採用選考テスト配点一覧表」中の「校種教科又は選考区分」「1次合計」「2次合計」を除く部分

平成24年度大阪府公立学校教員採用選考テスト第2次選考否判定資料

表2(本件処分2関係)

(1)公開対象文書

(2)公開しないことと決定した部分

(3)該当条項及び非公開理由

教員採用選考テスト配点一覧表(H19教採~H24教採)

  • 「校種教科又は選考区分」を除く部分(H19教採~H22教採)
  • 「校種教科又は選考区分」「1次合計」「2次合計」を除く部分(H23教採~H24教採)

表1(3)非公開理由と同内容

表3(本件処分1-2関係)

 

(1)公開対象文書

(2)公開しないことと 決定した部分

(3)該当条項及び非公開理由

1

平成20年度実施 大阪府公立学校教員採用選考テストにおける合格者判定資料に係る請求項目

 

表1(3)非公開理由と同内容

 

平成21年度大阪府・堺市公立学校教員採用選考テスト第1次選考合否判定資料

全部

平成21年度大阪府・堺市公立学校教員採用選考テスト第2次選考合否判定資料

全部

21教採 第2次選考 筆答・実技試験基準点等

全部

H21教員採用選考テスト配点一覧表

「校種教科又は選考区分」「1次合計」「2次合計」を除く部分

平成21年度 教員採用試験 一次受験者 高得点順得点表

全部

平成21年度 教員採用試験 二次受験者 高得点順得点表

全部

2

平成21年度実施 大阪府公立学校教員採用選考テストにおける合格者判定資料に係る請求項目

 

 

平成22年度大阪府公立学校教員採用選考テスト第1次選考合否判定資料

全部

平成22年度大阪府公立学校教員採用選考テスト第2次選考合否判定資料

全部

22教採 第2次選考 筆答・実技試験基準点等

全部

H22教員採用選考テスト配点一覧表

「校種教科又は選考区分」「1次合計」「2次合計」を除く部分

平成22年度 教員採用試験 一次受験者 高得点順得点表

全部

平成22年度 教員採用試験 二次受験者 高得点順得点表

全部

3

平成22年度実施 大阪府公立学校教員採用選考テストにおける合格者判定資料に係る請求項目

 

 

平成23年度大阪府公立学校教員採用選考テスト第1次選考合否判定資料

全部

平成23年度大阪府公立学校教員採用選考テスト第2次選考合否判定資料

全部

23教採 第2次選考 筆答・実技試験基準点等

全部

H23員採用選考テスト配点一覧表

「校種教科又は選考区分」「1次合計」「2次合計」を除く部分

平成23年度 教員採用試験 一次受験者 高得点順得点表

全部

平成23年度 教員採用試験 二次受験者 高得点順得点表

全部

4

平成23年度実施 大阪府公立学校教員採用選考テストにおける合格者判定資料に係る請求項目

 

 

平成24年度大阪府公立学校教員採用選考テスト第1次選考合否判定資料

全部

平成24年度大阪府公立学校教員採用選考テスト第2次選考合否判定資料

全部

24教採 第2次選考 筆答・実技試験基準点等

全部

H24員採用選考テスト配点一覧表

「校種教科又は選考区分」「1次合計」「2次合計」を除く部分

平成24年度 教員採用試験 一次受験者 高得点順得点表

全部

平成24年度 教員採用試験 二次受験者 高得点順得点表

全部

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