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大阪府情報公開審査会答申(大公審答申第83号)
第一 審査会の結論
本件異議申立てに係る実施機関の各決定は妥当である。
第二 異議申立ての経過
- 平成14年9月17日、異議申立人は、大阪府情報公開条例(以下「条例」という。)第6条の規定により、大阪府教育委員会(以下「実施機関」という。)に対し、下記(1)~(9)の行政文書について公開請求(以下「本件各請求」という。)を行った。
- (1)2学区における府立高校再編整備計画を検討・立案する際に、決定に至る客観的な基礎となった教育・施設・設備・国費償費等の全ての指標・条件を比較、もしくは記載した(個別毎でも可)ところの全ての資料。(高校教育課、教育振興室高校改革担当課ないし府教委の関係部署の公文書、資料等)
- (2)府立高校再編整備計画(検討用)-平成11年6月5日作成のもの-(高校教育課文書)
- (3)府立高校再編整備計画-平成11年12月7日作成のもの-(高校教育課文書)
- (4)府立高校再編整備第1期実施計画第3年次対象校(高槻地域新高校)決定に至る(の基礎となった)、平成12年12月から平成13年8月にかけて対象校の校長より行ったヒアリングの結果をまとめたもの。※平成13年11月3日に、高槻南高校PTAの質問への回答4で記している事実のまとめたもの。(教育振興室)
- (5)再編整備第1期実施計画第3年次対象校決定(高槻地域新校)における府教委事務局による平成13年1月から8月30日までのすべての2学区関係者と関係団体・機関に対して行った事前折衝・打診・説明の結果をまとめた一切の文書。なお関係者とは、対象校地域府議会議員、高槻市当局、高槻市教委関係、府・市の職員団体、全ての学校関係者、該当地域進路保障協議会関係者、関係地域団体をいう。(教育振興室関係文書)
- (6)再編整備第1期第3年次対象校決定(高槻地域新校)の決定に際し、平成13年1月から11月15日までの大阪府議会議員への事前折衝・打診・説明及び関係府議一同と府教委幹部の会議などの結果について、まとめた文書、メモ一切(教育振興室)
- (7)平成13年度、教育振興室参事-Aが平成13年4月2日から8月9日の間に高校改革及び学校視察名目で行った管内出張について、具体的な目的と訪問先(個人、団体名、役職含む)を明示し、その訪問結果をまとめ報告した文書、資料、メモ一切。
- (8)平成13年度、教育振興室参事-Bが平成13年4月2日から9月28日の間に高校改革及び学校視察名目で行った管内出張について、具体的な目的と訪問先(個人、団体名、役職を含む)を明示し、その訪問結果をまとめ報告した文書、資料、メモ一切。
- (9)平成13年度、教育振興室参事-Cが平成13年4月3日から9月28日の間に高校改革及び学校視察名目で行った管内出張について、具体的な目的と訪問先(個人、団体名、役職含む)を明示し、その訪問結果をまとめ報告した文書、資料、メモ一切。
- 同年9月30日、実施機関は、本件各請求の全てについて、不存在による非公開決定(以下「本件各決定」という。)を行い、それぞれ「公開請求に係る行政文書は作成していないため、管理していない。」との公開請求に係る行政文書を管理していない理由を付して異議申立人に通知した。
- 同年11月12日、異議申立人は、本件各決定を不服として、行政不服審査法第6条の規定により、実施機関に異議申立てを行った。
第三 異議申立ての趣旨
本件各決定を取り消し、請求に係る全ての文書を開示するとの決定を求める。
第四 異議申立人の主張要旨
異議申立人の主張を総合すると概ね次のとおりである。
1 異議申立人が情報公開を求める背景と論拠
(1)異議申立人が公開請求に至った経過に見る実施機関の姿勢
実施機関が、平成13年11月16日に行った高槻南高校の「廃校決定」にかかわっては、一連の行政文書の公開を経て現在に至るもその決定経過と理由・根拠が何ら明確に示されず、実施機関の閉鎖的で不誠実な姿勢は、学校関係者及び多くの高槻市民と府民の間に、ぬぐいきれない疑念と行政不信を呼び、異議申立人を中心に今なおねばりづよい廃校反対運動が続けられている。多くの府民・市民、教育関係者が、「この決定は明らかにおかしい」と批判をしている。高槻市を中心に、わずか2ヵ月半で結集された16万人の反対署名は、いかにこの廃校計画が乱暴なものであり、地域住民の理解と支持を得ていないかということを如実に示すものである。
異議申立人による「事実経過と廃校理由・根拠」の究明への隠蔽が徹底して続けられる中で、実施機関のアカウンタビリティーを追及して、異議申立人は2回にわたり行政文書公開請求を行い高槻南高校の廃校決定経過と理由・根拠の究明を期した。しかしながら、実施機関は廃校決定経過を府民に対して明らかにすべき行政文書を「作成していない」「取得していない」「管理していない」として、肝心な文書を「不存在」として「非公開」にしている。これらは「開かれた教育行政」の基本をゆがめ、公正な行政施策の遂行と展開を著しくそこねるものである。これまで公開された行政文書では、「何故に高槻南高校が、廃校にされなければならなかったのか」という疑問に答える理由と根拠は一切明らかにされていない。府民の貴重な教育財産を行政権力によって処分する実施機関のアカウンタビリティーは全く果たされていない。
(2)異議申立人が行政文書公開を求める基本的論拠と背景
教育行政のあり方について、府民及び行政が依拠すべきは、日本国憲法であり、地方自治法であり、教育基本法である。法律による行政の原理とは、行政が法律に基づき、法律に従うことを要するという原理であり、これは行政の恣意専断を防ぎ国民の権利と自由を保障しようとするものである。同時に、行政行為は、行政庁が恣意的に行うのではなく、法に基づいて行うことを要するのみならず、内容的に法に適合することを要するものである。また、行政の運営は何よりも公正になされなければならないという「公正の原理」に根ざすものである。行政行為が、法の具体化であり、法の執行であるとするならば、行政行為が有効に成立するためには、その主体、内容、手続、形式等のすべてについて法の定める要件に適合することが要請される。これら成立要件のいずれかを欠く行政行為は、瑕疵ある行政行為として無効又は取り消しうるべきものとなり、完全な効力を生じることはない。手続や形式が整っていればいかなる決定でもできるということではない。今日、政治家の介入や政治的な口利き疑惑などが、行政行為の立案・決定にかかわってひろく指摘される中で、外部の影響と結びついた裁量行政による行政の恣意専断を防ぎ国民の権利と自由を保障するシステム構築はきわめて重要である。
事実、平成14年6月1日から、鳥取県は、県議会以外の非公式な席で、県議から職員に要請や意見、提言などがあった場合、内容を実名入りで公文書として残し、情報公開請求の対象にする方針を実施している。府議会議員と府職員の汚職による逮捕が相次いでいる大阪府にあっても、行政行為の公正さと透明度を高め、腐敗防止を徹底するためにこのような行政姿勢と努力が求められる。
地方自治法で地方公共団体の役割について「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。」と定められている。
これによれば、行政行為は、本来的に私益のためではなく、公益を実現するために自主的な判断と計画によって実施することによってすべての住民福祉に貢献するものでなければならない。
したがって、いかなる行政行為(処分)も、a 事実の認定・評価の過誤、b 目的違背、c 恣意又は不正な動機、d 適正考慮義務違反、e 平等原則・比例原則・信義則への違背、等々の行政裁量権の逸脱があってはならない。
行政機関が、法令の規定によっては明確にされていない部分があることを恣意的に活用して、行政の個別具体的な決定・活動に際して、その自己の判断によりかかる曖昧な部分を補充することにより、個別具体の決定や活動を為しうるとみなして、いわゆる行政裁量権を行使する場合がある。しかし、こうした行政の自由な判断の余地は、法令の規定に曖昧さがある場合に常に承認されるわけではない。なぜなら、法令の規定に一見曖昧さがある場合でも、法令の趣旨目的にそった合理的な法解釈あるいは憲法や法の一般原則に従った法解釈により、法令上の不明確な部分の意味補充を為しうる場合があるからである。現代の行政作用の中に、政策的・政治的決断を要するものや高度の専門技術的判断の要請から行政裁量の余地が認められる必要があるとしても、かかる裁量権は、公益目的のよりよき実現をめざし、可能な限り好ましい方向に行使されるために法律上の規定と趣旨によって認められた権限でなければならず、これは可能な限り合目的な結果をもたらす方向へ行使されるべきものと行政法理及び判例研究の立場からは指摘されている。
廃校反対署名16万人筆と言う、学校関係者、地域住民挙げての反対意思と疑問を引き起こしたこの非常識な廃校決定という行政処分にいかなる公益性と合目的性があるのかを上述の行政行為の基準を踏まえて、決定経過を含め、その理由・根拠を、関係資料を添えて明らかにするのは、実施機関の当然の責任と義務である。
2 実施機関に反論し、あくまで文書開示を求める理由
(1)総括的主張
本件計画策定(決定)のプロセスで、当然準備され、検討されなければならない基礎的資料や検討経過(職務上、作成されなければならない行政文書)が、「不存在」として一切明らかにされないのは、行政施策の決定自体の正当性・客観性・公益性の判断を不能にするものである。存在して当然の文書等が「作成されていない」「取得していない」「管理されていない」という口実で、非公開とされる決定は、実施機関の職務の実態に照らして、著しく合理性を欠き不当であり、かつ信じがたい。
実施機関の府立高校再編整備計画を計画立案・実施する上で、実施機関関係者が、職務上、作成した一切の文書・メモ等は、公文書である。条例では、「行政文書」の定義として、「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画、写真及びスライド並びに電磁的記録であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして当該実施機関が管理しているものをいう。」としている。府立高校再編整備計画は、現在、いまだ第1期第3年次にとどまり、その途上にある。実施機関の職員が、「職務上作成し、又は取得した文書等」で、かつ今後の計画実施の上で、「実施機関の職員が組織的に用いるもの」として位置付けられるべき文書の適切な管理は同計画実施にとって不可欠なものである。その計画立案上の基礎的調査(聴取を含む)や論議・討議内容をまとめた行政文書・比較検討関係文書等を、当該実施機関が「作成していない」ということは、本来、結果として府有財産処分にかかわる施策決定関係の行政文書として適正に管理されていなければならない公文書をあえて「作成、ないし取得せず」、かつ「管理していない」ことの職務上の怠慢を自認するものである。これらは、大阪府と府民に甚大な損害を与えるおそれのつよい行為と判断せざるを得ない。これによって、行政による政策決定過程を不透明なものとし、条例の趣旨を著しく阻害し、これまでの統合再編整備計画及び今後の同計画決定にかかわる行政行為の正当性・客観性・公益性を疑わしめていると言っても過言ではない。
実際に、異議申立人が行った公開請求において、「不存在」とされたいくつかの行政文書を、議会及び教育団体関係者より、当時、極秘裏に見せられたという関係者もおり、「その行政文書は実施機関の府立高校再編整備計画策定にとって欠かせないものである」と証言している。さらにまた、実施機関自身が、高槻南高校PTAの公開質問状への回答(2001年11月)の中で、その存在を認めている事実にかかわる文書まで、「作成していない」としているのは、余りに不自然で信用できない。
(2)第二-1-(1)、(2)、(3)の請求について
実施機関は、「対象校の決定に至るまでの間には、担当者の作成した案を幾度となく検討しているが、成案に至らなかった場合には、業務上必要がないことから、実施機関の組織において保存するに至らなかったものである。」と主張するが、これは正確ではない。対象校の決定は、担当者個人、もしくは担当者複数のデスクワークや調査・検討だけで成案を得ることができるという生易しい作業ではない。平成11年には、実施機関は各学区の府立高校の状況を十分把握し、再編整備計画案を検討するために、専門チームをつくって調査・研究してきた。この専門チームの絞り込んだ計画素案として、「府立高校再編整備計画(検討用)(平成11年6月5日作成のもの、高校教育課文書)が作成された事実がある。これを基本として、第1期計画第1年次実施対象校が発表されている。
その後も、第1期計画第1年次の実施計画推進と平行して、さらに集中的な検討を進めて、実施機関は「府立高校再編整備計画(平成11年12月7日作成のもの、高校教育課文書)」の成案を得ている。これらは、再編整備計画実施という行政計画が「本来的に私益のためではなく、公益を実現するために自主的な判断と計画によって実施することによってすべての住民福祉に貢献するもの」であることをある程度可能にするための教育行政の立場から見たいわゆる「専門的・総合的な計画」であった。
この「府立高校再編整備計画(平成11年12月7日作成)」には、第1期計画第3年次実施対象校の校名も含めた計画が示されている。これはまた、教育行政の立場から見た「専門的・総合的な計画」においても、「高槻南高校は、高槻地域における再編整備=統廃合の対象とはなっていない」ということを証明する重要な行政文書である。自らが計画した府立高校再編整備計画を恣意的、政治的にゆがめて2学区住民から考えられないような統廃合案に仕立てながら、「成案に至らなかった場合には、業務上必要がないことから、実施機関の組織において保存するに至らなかったものである。」などと抗弁、事実上隠蔽するのは、府民に対する重大な背信行為である。
さらに、公表された再編整備計画案の正当性をつよく抗弁しながらも一方では、「検討に際しては、既存の資料を有効に活用するなどによって対応して」いるなどと、一般的・便宜的・暫時的対応で再編整備計画の成案を得ているかのような実施機関の主張は、情報公開請求による行政文書の開示姿勢の消極性を示すものであり、総額710億円を見込んでいるといわれる府立高校廃校計画の重大さに比して、あまりに杜撰で信用が置けないものである。既存の資料だけで、このような廃校決定の計画が立案できるとは到底信じがたく、公表された再編整備計画を根拠付ける基本的、かつ詳細な行政文書が、管理・保持されていないことはあり得ない。例えば、府立高校建設の際に投入された再編整備対象校の「国費償還状況」さえ把握する資料がなく「開示できない」と言うのであるからその主張はあまりにいい加減である。
7月17日に、異議申立人が公開請求を行った府立高校再編整備計画検討用資料「各年度・各学校の施設・設備の状況一覧表」、「対象校選定のための検討指標等についての一覧表」(いずれも高校教育課文書)についても、「不存在で非公開」という結果であった。このように、再編整備計画を裏付ける資料が一切ないというのが、実施機関の情報公開請求への決定なのである。
このように「不用意(かつ無責任)な言動(弁明)をすることによって、噂や憶測を呼び、無用な混乱が生じ」させるが如き対応を重ねているのは、当の実施機関自身だと言わざるを得ない。実施機関は、さらに「成案が得られた場合には、広く府民への周知、説明に努めている。」と主張しているが、ここで重要なことは、行政計画の方針と計画案を周知、説明することにとどまるものではない。「周知、説明」を重ねた上で府民の意見を十分汲み取り、自分たちの方針や計画案をいかに府民意思に沿うものになるよう努力したのかが、教育行政機関として最も重要な行政課題であったはずである。だからこそ廃校計画案の公表と決定の間に、2ヵ月半の期間をおいていたはずである。
実施機関は、「特色づくり・再編整備の対象校の選定に当たっては、組織としての決定を行う以前に、未整理で、不確かな情報が流れることによって、卒業生や在校生、中学生やその保護者、地域など、府民の不安をあおり、いたずらに混乱が生じることのないよう、実施機関において細心の注意を払っているところである。」と弁明している。確かに、再編整備と称して府立高校統廃合を学校関係者や府民の反対を押して断行することには、実施機関は「細心の注意を払って」計画を練り、決定に至っているが、実施機関がやっていることは、「未整理で、不確かな情報が流れることによって、・・・不安をあおり、いたずらに混乱が生じることのないよう」に、などというものではない。異議申立人が見聞した高校教育課文書によると再編整備案の決定の10ヶ月近く前から「サウンド」と称して、意図的に再編整備にかかわる情報を流布させ、対象校関係者の反応を探り校長から詳細にヒアリングするという分析・確認作業を行いながら対象校と再編整備案を絞り上げていく手法を取っていることが明らかになっている。これらの文書についても、異議申立人は、今回、公開請求したが、「作成していないため、管理していない」と、非公開が通知されている。これらの文書は、高校教育課の課名入りで間違いなく存在していた。実施機関が「これらの意見や大阪府議会での議論を踏まえ、会議に諮り、11月に最終決定しているもの」であるとするなら、それを裏付けるすべての意見や議論を公開すべきである。
「計画案を策定され公表されるまでの間に地元市に対して、一度の事前協議もなかった」と、高槻市当局からも厳しく批判されている。
このように府民の意見をまったく踏まえなかったところに、今回の実施機関の行政行為の特徴があったのである。
実施機関が、こういった府民の意見の存在を示す行政文書を公開できないのは、府民意思とまったく正反対のことをしている行政姿勢を隠蔽している証明であるといわれても仕方がない。
実施機関は、「対象校については、これらの意見や大阪府議会での議論を踏まえ、会議に諮り、11月に最終決定しているものである。」と弁明しているが、事実の経過は、実施機関が高槻南高校の廃校案を決定するにあたって「当該学校関係者や保護者、地域社会の意見を反映」させるといった努力を全く怠り、肝心な府民意思を棚上げにして、全く一方的な方針と計画案の押し付けに終始したことを物語っている。
平成12年9月から11月17日までのわずか3ヶ月足らずで、「高槻南高校の廃校」に反対意思を表明した府民は16万人に上った。高槻南高校PTAや生徒会、教職員が挙げて反対した。高槻市も市長を先頭に同校の廃校には明確に反対した。高槻市議会からは都合2度にわたり「市民の意見をよく聴くべきだ」とする超党派の意見書も出されている。高槻選出大阪府議から党派を超えて再考の申し入れもあった。しかし、高槻南高校廃校の理由と根拠、背景の説明を求める学校関係者の要求に対して、実施機関と担当者は、府民向け公開資料と全く同じ説明を、何度も何度も繰り返し行うだけの発展性のない、不誠実な説明の繰り返しであった。
このように、何があろうと、まったく自らの方針や計画案を変えようとしない官僚的手法に終始したのが、実施機関が言う「周知、説明」の事実の経過であった。
(3)第二-1-(4)、(5)、(6)の請求について
実施機関は、「第2学区の関係者、関係団体、大阪府議会議員等に対しては、それぞれの公表・決定時に、必要の都度説明を行ったところである。本件についての説明は、関係者等との協議といった性格のものではなく、あくまで計画の趣旨や内容について周知を図るための説明であることから、担当者は上司に対して特に報告書といった文書は作成せず、必要の都度、口頭で報告して処理したところである。」と述べて、非公開の決定を正当化している。しかし、実施機関は、廃校案の作成・決定に際しても「第2学区の関係者、関係団体と十分協議をしてきた」とその正当性を繰り返し異議申立人ら学校関係者に対して述べてきた経過から推して、「本件についての説明は、関係者等との協議といった性格のものではなく、あくまで計画の趣旨や内容について周知を図るための説明であることから、担当者は上司に対して特に報告書といった文書は作成せず」云々という弁明は、行政文書公開を回避する虚偽ではないかと推断される。平成13年4月以降、高槻南高校と島上高校の統廃合案を立案する過程で、実施機関高校改革担当の職員は高槻地域の関係者・団体等に頻繁に管内出張を行って接触していることが、異議申立人の行った情報公開請求の結果で明らかになっている。これらの協議及び調整の結果取得された情報は、8月30日の府教育委員会会議における高槻地域統廃合案決定に直接的に反映しているものであることは論を待たない。
学校関係者からのヒアリングについても、これまで高槻南高校PTAや同窓会、生徒・教職員からの事前のヒアリング等を行っていないことを認めたが、「校長ヒアリングを平成13年5月30日から平成13年6月8日にかけて当該担当課が実施した。その際、特色づくり・再編整備計画を担当する職員も同席し、各学校の取組状況を聞き、対象校選定の参考としたところである。この内容は、『高槻市内7校の状況』の資料で『学校の取り組み状況、改革に向けた組織体制』及び『地域との交流・連携等』の欄に記載しており、ヒアリングの結果をまとめたものは、本資料しか存在しない。」としている。
しかし、これらの資料の内容は、一般的な教育課程調査、施設設備調査、生徒動静調査の域をでないもので、廃校決定資料がこれにとどまるなら、一般原則は別として、他校と差別化して個別高槻南高校を廃校とするための評価基準や根拠がまったく存在しないということになる。
実施機関は、「平成13年度府立高等学校特色づくりの推進に関する事業を実施のためのヒアリング」と「再編整備計画で高槻南高校を廃校対象とするために特別に行った校長ヒアリング」とをまったく同じものであるかのように主張しているが、当初、実施機関は、「統廃合計画案の発表まで、学校関係者に意向打診や相談・協議がなかった」という批判に対して、「校長から学校の状況について(統廃合問題に関連して)ヒアリングしていた。」と抗弁していたのである。今回の弁明は、再編整備計画で高槻南高校を廃校対象とするためのヒアリングは格別に行っていないということを言っているに等しいが、これまでの経過から見て、「再編整備計画で高槻南高校を廃校対象とするために特別に行った校長ヒアリング」の内容を事実上隠蔽するために、すりかえて弁明しているのではないかと思わざるを得ない詐術的な弁明である。
(4)第二-1-(7)、(8)、(9)の請求について
平成13年4月以降、高槻南高校と島上高校の統廃合案を立案する過程で、高校改革担当の職員が高槻地域の関係者・団体等に頻繁に管内出張を行った接触・折衝・協議・調整結果が実施機関の高槻地域再編統合案に濃密に反映していることが推定できる。こういった取得情報は、政策決定にとってきわめて重要な要素・背景・根拠を構成し、補足的・周辺的情報では決してない。これらは政策決定における内部検討に欠かせない重要な資料であり「公文書」である。
実施機関は、「今回の本3件の請求はいずれも管内出張に関するものであり、かつ、その目的が学校視察、計画の趣旨や内容の説明といった軽易な事項であったため、特に報告書といった文書は作成せず、出張者3名はその都度、口頭で復命を行ったところである。よって、・・・行政文書は作成していない」と弁明しているが、実施機関が「府立高校は、少子化した現在でも、毎年、4万人を超える卒業生を送り出しており、生徒や卒業生の一人ひとりにとって、かけがえのない母校である。そのそれぞれの高校が、それぞれの歴史や伝統を有しており地域との深いつながりもある。この府立高校のあり方については、生徒や教職員などの学校関係者だけでなく、広く各界から強い関心が払われているところである。」と述べているように、これだけ重要な府立高校を、それも「いろんな課題を抱えた府立高校の中で貴重な存在」といわれた高槻南高校を廃校にする再編整備計画案をまとめ上げるための管内出張を、「軽易な事項であったため、特に報告書といった文書は作成せず」としているのは、到底納得できるものではない。
活力に満ち、よりよき伝統とすぐれた教育実績をもった府立高校を廃校にする行政行為が「軽易な事項」であるとする実施機関の姿勢は、教育行政の枢要な機関としての使命を喪失したものとして、府民の厳しい批判を受けるものである。「これら以外には請求に対する行政文書を管理している事実はない」とする実施機関の姿勢と対応は、1校あたり数十億円にも相当する貴重な府有の教育財産を処分する当該機関として怠慢のそしりを免れ得ないと思う。
情報公開制度は、行政に対してその保有する情報の公開を義務づける制度であり、公開・非公開の判断が恣意的に為された場合には制度が形骸化するばかりでなく、逆に「情報かくし」を正当化するための制度になってしまう。非公開とする情報の範囲は合理的かつ必要最小限のものでなければならず、これは情報公開制度の根幹にかかわる基本原則である。ところが、実施機関は、異議申立人が先に行った情報公開請求(7月17日付け)に対しても、例えば、府教育長の動静表(スケジュール表)すら「公文書としては作成・保存していない、秘書個人の私的作成と管理に属するものである」と、公言してはばからないのである。「行政にとって都合の悪い情報は一切公開(作成)しない」という行政不信を増幅させる実施機関の情報公開姿勢は一貫しており、決して容認できない。このように「非公開とする情報の範囲を不必要最大限に作為する」行為かのごときは、情報公開制度の理念を著しくゆがめるものであり全く不当である。
高槻地域の府立高校再編統合案策定過程において、担当職員が行い取得した結果情報は、政策決定にとってきわめて重要な要素・背景・根拠を構成する重要な「公文書」として、政策決定の内部検討に供せられたことは明らかである。こういった職員の取得した情報のメモや報告資料等は、個人的管理に任されるものではなく職務上の必要(指示・命令)によって取得されたものであり、政策決定を裏付ける重要な文書として公的支配に属するものと考えられる。したがって、府民に公開できる有形化をもって、これらの取得情報を公文書として公開に供し、正々堂々と「高槻南高校廃校」の正当性を証明すべき責任と義務が実施機関にはある。
第五 実施機関の主張要旨
1 「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備計画」について
(1)「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備計画」策定の意義
実施機関では、教育をめぐる諸課題に対応していくため、学校教育の再構築と学校・家庭・地域社会の連携による総合的な教育力の再構築等を柱とした「教育改革プログラム」を平成11年4月に策定した。
実施機関は、この教育改革プログラムにおいて、「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備計画」(以下「整備計画」という。)を位置づけ、中学校卒業者のほとんどが高等学校に進学する中で、府立高校が生徒の多様な学習ニーズに応え、地域に根ざして次代を担う人材を育成していくため、府立高校の改革を計画的に進めることとした。
その主な目的は、a 生徒の多様な学習ニーズに応えて、「入れる学校」から「入りたい学校」へと、特色ある府立高校づくりを進めること、b 活力ある学校を実現していくため、生徒減少に合わせて府立高校の統合による再編を進めることの二つであり、これによって、本計画では、平成10年度の全日制課程の府立高校155校(普通科117校、専門学科併置普通科19校、総合学科3校、専門高校16校)を、平成20年度には135校(普通科76校、専門学科併置普通科・普通科総合選択制29校、総合学科9校、全日制単位制4校、専門高校17校)とするものである。
(2)「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備第1期実施計画」(以下「第1期計画」という。)について
実施機関では、「整備計画」を着実に推進するため、平成11年度から平成20年度までの10年間を3期に区分し、各期ごとの具体的な実施計画を策定することとした。
「第1期計画」は、平成11年度から平成14年度までを計画期間とし、この計画期間内に対象となる学校の特色づくり・再編整備にかかる具体的内容を確定し、改編や統合整備によってできる新校の募集開始と母体校の募集停止を決定するものである。
「第1期計画」では、a 各通学区域間のバランスのとれた特色ある学校づくりを進める、b 特色ある学校づくりを計画的に進めるため、既存の学校の改編による特色づくりを推進する、c 学校数に比して生徒減少が著しく学校の小規模化が予想される通学区域においては、特色づくりとあわせた統合整備を推進する、との考え方に基づき、府立高校の特色づくりとあわせて適正な配置を推進する観点から再編整備を行うこととした。特色づくりの対象校の選定にあたっては、「特色ある学校の地域バランス」「志願状況」「地域的な近接性」「交通の利便性」「施設状況」「学校の取組み実績」等の客観的条件を総合的に勘案して決定を行うものであり、第1期における統合整備による特色づくりについては、対象となる通学区域及び統合時期の選定を行った後、対象となる学校の所在市町村の選定を行うこととした。
対象となる通学区域及び統合時期の選定については、学区内の府立高校全体で設定可能な学級数を示す基準学級数と当該通学区域内の公立中学校卒業者数からその受入れに必要な学級数として算出されている募集学級数を比較して、募集学級数が基準学級数を下回る割合の大きい通学区域から統合整備に着手することとした(ただし、中学校の進路指導における環境の激変を避けるため、同一年度内に同一通学区域において2組以上の統合整備は実施しない。)。
また、対象となる学校の所在市町村の選定については、a 同一市町村内の学校を組み合わせる、b 普通科の府立高校の設置数が1ないし2の市町村内の学校は統合整備の対象としない、c 生徒減少の進行により普通科1校当たりの平均募集学級数の少ない市町村内の学校を対象とする、d 市町村ごとに、公立中学校卒業者数に対する府立高校の募集人員の割合を比較し、その割合の大きい市町村内の学校を対象とする、e 生徒のニーズや交通の利便性を勘案して、当該通学区域の広範囲な地域から生徒が入学している市町村内の学校は後順位とすることとした。
なお、第1期計画においては、生徒減少の状況を踏まえつつ、計画的に特色ある学校づくりを進め、第2学区では、改編1校と統合整備1組による普通科総合選択制、単位制高校の設置について検討することとした。
(3)第1期計画の策定及び第1期計画第1年次・第2年次実施対象校の決定について
府立高校の特色づくり・再編整備については、その内容について広く府民に周知し、広範な議論を踏まえて計画を決定し、推進していくことが必要である。
このため、実施機関においては、まず、6月に計画の前提となる基本的な考え方を示し、それに基づいて8月に計画の案を公表し、府議会などでの議論を踏まえて11月に計画を決定するという手続をとっているところである。
第1期計画の策定にあたっても、計画策定の基本的な考え方をとりまとめた「『全日制府立高等学校特色づくり・再編整備実施計画(第1期)』策定の中間報告」(以下「第1期計画中間報告」という。)を平成11年6月25日の委員会会議に諮り、その了承を得て公表した。また、平成11年8月25日には「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備第1期実施計画(案)」(以下「第1期計画(案)」という。)及びこれに基づく「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備第1期実施計画第1年次実施対象校(案)」(以下「第1年次対象校(案)」という。)を委員会会議でとりまとめ、公表した。その後、対象校校長との連携の下に生徒や保護者、地元関係者、中学校進路指導担当者などに説明を行い、府民の意見や府議会での審議を踏まえて、平成11年11月24日の委員会会議において案を一部修正のうえ「第1期計画」を決定し、併せて「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備第1期実施計画第1年次実施対象校」(以下「第1年次対象校」という。)を決定した。
第1期計画第2年次の実施対象校についても、「第1期計画」で明らかにした基準、手続に基づき、対象校選定の基本的な考え方となる「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備第1期実施計画の推進について(平成12年度)」(以下「計画の推進(平成12年度)」という。)を平成12年6月27日に委員会会議に諮り、その了承を得て公表した。また、平成12年8月23日の委員会会議で「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備第1期実施計画第2年次実施対象校(案)」(以下「第2年次対象校(案)」という。)を取りまとめて公表し、平成12年11月30日の委員会会議で「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備第1期実施計画第2年次実施対象校」(以下「第2年次対象校」という。)を決定したところである。
(4)第1期計画第3年次実施対象校の決定について
第1期計画第3年次実施対象校の決定については、平成13年6月25日に第1期計画第1年次及び第2年次の実施対象校と同様に対象校選定の基本的な考え方となる「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備第1期実施計画の推進について(平成13年度)」(以下「計画の推進(平成13年度)」という。)を委員会会議に諮り、その了承を得て公表した。また、平成13年8月30日の委員会会議で「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備第1期実施計画第3年次実施対象校(案)」(以下「第3年次対象校(案)」という。)を取りまとめて公表した。その後、府民の意見や府議会での審議を踏まえて、平成13年11月16日に委員会会議において「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備第1期実施計画第3年次実施対象校」(以下「第3年次対象校」という。)を決定した。
この中で、第2学区の高槻市においては、島上高校と高槻南高校を統合し、全日制単位制高校(現「槻の木高校」)を平成15年4月に開校することとした。また、校地校舎については、島上高校の校地校舎を使用することとした。
なお、第2学区で普通科高校が3校以上ある市町村は茨木市、吹田市、高槻市の3市で、平成13年度平均募集学級数がそれぞれ8、8、7、新校開校予定の平成15年度の平均募集学級数がそれぞれ7.6、7.0、6.4といずれも高槻市において最も生徒減少が進んでいることから、高槻市において統合を実施することとした。
(5)本施策推進に当たっての留意事項について
府立高校は、少子化した現在でも、毎年、4万人を超える卒業生を送?出しており、生徒や卒業生の一人ひとりにとって、かけがえのない母校である。そのそれぞれの高校が、それぞれの歴史や伝統を有しており地域との深いつながりもある。この府立高校のあり方については、生徒や教職員などの学校関係者だけでなく、広く各界から強い関心が払われているところである。
このような中、特色づくり・再編整備の対象校の選定に当たっては、組織としての決定を行う以前に、未整理で、不確かな情報が流れることによって、卒業生や在校生、中学生やその保護者、地域など、府民の不安をあおり、いたずらに混乱が生じることのないよう、実施機関において細心の注意を払っているところである。
対象校の決定に至るまでの間には、担当者の作成した案を幾度となく検討しているが、成案に至らなかった場合には、業務上必要がないことから、実施機関の組織において保存するに至らなかったものである。また、上述の情報管理の必要から、成案に至らなかった場合は、職員個人として保持することもないところである。また、検討に際しては、既存の資料を有効に活用するなどによって対応しており、実施機関としての成案が得られるまでの間は、特定校名が推定されるような不用意な言動をすることによって、噂や憶測を呼び、無用な混乱が生じることのないよう努めているところである。
一方、成案が得られた場合には、広く府民への周知、説明に努めているところである。具体的には、対象校を決定する以前に、計画の当初から毎年6月に当該年度の推進方針を、8月に対象校の案をそれぞれ委員会会議に諮り、その了承を得て公表しており、その公表の方法についても、報道機関への情報の提供のほか、全戸配布の「府政だより」やホームページなど様々な手段で情報の公開に努めている。また、これらについて府民の意見を直接の応接や電話、電子メールなど様々な方法で聞くことに努め、回答できるものには逐一回答しており、対象校については、これらの意見や府議会での議論を踏まえ、委員会会議に諮り、11月に最終決定しているものである。
2 本件各請求に係る行政文書を作成、管理していない理由
(1)第二-1-(1)の請求について
第1期計画第3年次実施対象校については、上述のとおり、第2学区では高槻市において統合整備することとし、これに基づいて高槻市内の府立高校7校の中から対象校1組の選定を行ったところである。
この7校を比較検討する資料として、実施機関は、「高槻市内7校の状況」という資料を作成して対象校の検討を行い、平成13年8月30日の委員会会議においても本資料を用いて説明した。
本資料には、高槻市内の府立高校7校について、開校年度、校長・教頭・事務長名、志願倍率・合格者状況、地域的近接性、交通の利便性、施設状況(普通教室等の施設規模・学校規模、校地面積、校舎状況、施設設備整備状況)、学校の取組状況・改革に向けた組織体制、地域との交流・連携等、収容定員、生徒数、進路状況についてとりまとめている。なお、本資料は、担当職員が関係課担当職員等にその基となる数値、状況等を必要の都度、照会や確認を行うなどして作成している。
第二-1-(1)の請求に対応し得る行政文書としては、「第1期計画」、「第3年次対象校(案)」及び「高槻市内7校の状況」が存在するところであるが、これら文書については、異議申立人が平成14年7月16日に実施機関に対して行った行政文書公開請求について同年8月6日に行った公開決定に基づき、同年8月8日に異議申立人に写しを既に交付していることから、重ねて同一文書を特定して交付することは本請求の趣旨に合致しないと判断し、また、これら以外には請求に対する行政文書を管理している事実はないことから、不存在による非公開決定を行ったものである。
(2)第二-1-(2)の請求について
「第1期計画」の策定にあたっては、「第1期計画中間報告」を平成11年6月25日の委員会会議に諮り、その了承を得て公表したところである。
この委員会会議においては、「第1期計画中間報告」に基づき、説明を行った。異議申立人は平成11年6月5日作成のものを請求しているが、平成11年6月5日に作成したという事実は確認できない。また、会議に諮る前の検討過程で作成したもので、検討の結果、成案に至らなかったものについては、業務上必要がないことから、実施機関の組織において保存するに至らず、現に管理されている行政文書は委員会会議の資料以外には存在しない。このことから、不存在による非公開決定を行ったものである。
なお、「第1期計画中間報告」は、異議申立人が平成14年7月16日に実施機関に対して行った行政文書公開請求について同年8月6日に行った公開決定に基づき、同年8月8日に異議申立人に写しを既に交付している。
(3)第二-1-(3)の請求について
「第1期計画」及び「第1年次対象校」は、平成11年11月24日に決定した。
第1期計画第2年次の実施対象校については、対象校選定の基本的な考え方となる「計画の推進(平成12年度)」を平成12年6月27日に委員会会議に諮り、その了承を得て公表した。また、平成12年8月23日の委員会会議で「第2年次対象校(案)」をとりまとめて公表し、平成12年11月30日の委員会会議で「第2年次対象校」を決定した。
異議申立人は平成11年12月7日作成のものを請求しているが、平成11年12月7日に作成したという事実は確認できない。また、第1期計画第2年次実施対象校について、委員会会議に諮る前の検討過程で作成したもので、検討の結果、成案に至らなかったものについては、業務上必要がないことから、実施機関の組織において保存するに至らず、現に管理されている行政文書は委員会会議の資料以外には存在しない。よって、不存在による非公開決定を行ったものである。
(4)第二-1-(4)の請求について
平成13年11月2日付けで高槻南高校PTAから実施機関に対して、「高校再編整備第1期-第3年次対象校選定に関わっての質問」がなされ、これについて平成13年11月3日、実施機関の担当職員が高槻南高校に行き、質問に関する説明を行うとともに、書面での回答を行った。その際の質問4「『統合整備』案の公表前に、『府教委の責任で(高槻南高校)校長より状況を聞き』と府教育委員会議(10月25日)でも説明されています。校長より状況を聞かれた日時と方法、場所、府教委担当者、学校長の状況説明の概要についてご回答願います。」という問いに対して、「学校の状況については、府教育委員会各課が随時校長から報告を受けて把握している。その上で、全府立高校長を対象に「特色づくり」等について平成13年についても5月30日から6月8日にかけ、特色づくりに向けた校内体制、取り組み状況、今後の方針等について、ヒアリングを実施しています。」と回答したところである。
このヒアリングは、高校教育の充実を図る施策の一環として、特色づくり・再編整備計画とは別に実施機関が各学校の進める特色づくりを支援するため、平成13年度府立高等学校特色づくりの推進に関する事業を実施するにあたり、各学校から「府立高等学校の特色づくりの推進に関する事業計画書」等を提出させ、校長ヒアリングを平成13年5月30日から同年6月8日にかけて当該担当課が実施した。その際、特色づくり・再編整備計画を担当する職員も同席し、各学校の取組状況を聞き、対象校選定の参考としたところである。この内容は、前記「高槻市内7校の状況」の資料の「学校の取り組み状況、改革に向けた組織体制」及び「地域との交流・連携等」の欄に記載しており、ヒアリングの結果をまとめたものは、この資料しかない。
本請求に対応しうる行政文書としては、「高槻市内7校の状況」が存在するが、本資料は、上述のとおり、異議申立人に写しを既に交付しており、これ以外に請求に対応する行政文書を管理している事実はないことから、不存在による非公開決定を行ったものである。
(5)第二-1-(5)、(6)の請求について
第1期計画第3年次実施対象校については、平成13年6月25日に対象校選定の基本的な考え方となる「計画の推進(平成13年度)」を委員会会議に諮り、その了承を得て公表した。
これについては、大阪府内各市町村教育委員会、大阪府公立中学校長会、大阪市立中学校長会、大阪府PTA協議会、大阪府立高等学校PTA協議会、私立中学校高等学校連合会、大阪府議会議員等に対して、必要の都度、説明を行った。その際に用いた資料は、「第1期計画」、「計画の推進(平成13年度)」、「可能性にチャレンジ!(リーフレット)」である。
また、平成13年8月30日に「第3年次対象校(案)」を委員会会議でとりまとめ、公表した。
これについては、大阪府内各市町村教育委員会、大阪府公立中学校長会、大阪市立中学校長会、大阪府PTA協議会、大阪府立高等学校PTA協議会、私立中学校高等学校連合会、大阪府内公立中学校進路指導担当者、大阪府議会議員、高槻市議会議員、高槻市内中学校長会、高槻南高等学校保護者、高槻南高等学校PTA、高槻南高等学校同窓会、高槻南高等学校生徒会代表等に対して、必要の都度、説明を行った。その際に用いた説明資料は、平成13年6月25日の公表に関連しての説明資料に「第3年次対象校(案)」、「高槻市内7校の状況」「平成15年度に島上高校と高槻南高校を統合整備して高槻市に『全日制単位制』高校が生まれます。」「第1期計画(案)について府民の皆様のご質問にお答えします。」などを追加したものである。
その後、府民の意見や府議会での審議を踏まえて、平成13年11月16日の委員会会議で「第3年次対象校」を決定した。
これについては、大阪府内各市町村教育委員会、大阪府公立中学校長会、大阪市立中学校長会、大阪府PTA協議会、大阪府立高等学校PTA協議会、私立中学校高等学校連合会、大阪府議会議員等に対して、必要の都度、説明を行った。その際に用いた資料は、8月30日の「第3年次対象校(案)」の公表に関連しての説明資料に、「第3年次対象校」を追加したものである。
このように、第2学区の関係者、関係団体、府議会議員等に対しては、それぞれの公表・決定時に、必要の都度、説明を行ったところである。
本件についての説明は、関係者等との協議といった性格のものではなく、あくまで計画の趣旨や内容について周知を図るための説明であることから、担当者は上司に対して特に報告者といった文書は作成せず、必要の都度、口頭で報告して処理したところである。
よって、第二-1-(5)、(6)の請求に対応する行政文書は作成していないため、不存在による非公開決定を行ったものである。
なお、説明に用いた上記各資料については、異議申立人が平成14年7月16日に行った行政文書公開請求について実施機関が行った同年8月6日の公開決定に基づき、同年8月8日に異議申立人に写しを既に交付している。
(6)第二-1-(7)、(8)、(9)の請求について
出張後の報告、いわゆる復命については、大阪府教育委員会事務局処務規程第30条に「出張した職員は、その用務が終わったときは、速やかに、帰庁し、復命書を提出しなければならない。ただし、軽易な事項については口頭で復命することができる。」と規定している。また、この復命の取扱いについては、会計事務適正化のための取組の一環として、平成10年4月1日から管外出張等については、「職員が府外へ出張した場合又は府内で宿泊を伴って出張した場合には、大阪府教育委員会事務局処務規程第30条ただし書に規定する軽易な事項には当たらず、復命書を提出しなければならないこととする。」とした。なお、宿泊を伴わないで府内へ出張した場合、いわゆる、管内出張については、特段の事情がない限り、軽易な事項として口頭で復命することが認められている。
第二-1-(7)、(8)、(9)の請求はいずれも管内出張に関するものであり、かつ、その目的が学校視察、計画の趣旨や内容の説明といった軽易な事項であったため、特に報告書といった文書は作成せず、出張者3名はその都度、口頭で復命を行ったところである。
よって、第二-1-(7)、(8)、(9)の請求に対応する行政文書は作成していないため、不存在による非公開決定を行ったものである。
第六 審査会の判断理由
1 条例の基本的な考え方について
行政文書公開についての条例の基本的な理念は、その前文及び第1条にあるように、府民の行政文書の公開を求める権利を明らかにすることにより、「知る権利」を保障し、そのことによって府民の府政参加を推進するとともに、府政の公正な運営を確保し、府民の生活の保護及び利便の増進を図るとともに、個人の尊厳を確保し、もって府民の府政への信頼を深め、府民福祉の増進に寄与しようとするものである。
このような理念の下に実施されている行政文書公開制度の対象となる「行政文書」の範囲については、条例第2条第1項において、a「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画、写真及びスライド(これらを撮影したマイクロフィルムを含む。)並びに電磁的記録」であって、b「当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が管理しているもの」をいうと規定されており、実施機関は、請求に係る情報が上記の各要件を満たす「行政文書」に記録されている場合には、当該情報が条例第8条及び第9条に定める適用除外事項に該当する場合を除き、その行政文書を公開しなければならないのである。
なお、条例第2条第1項にいう「組織的に用いるもの」とは、作成又は取得した文書等が職員個人の段階のものにとどまらず、業務上必要なものとして当該職員個人において自由に廃棄等の処分ができないものをいうと解すべきであり、ファイルされている正式文書(原本)とは別に職員が自己の執務の便宜のために保有する複写物や個人的な検討段階のメモで未だ組織的な検討に付されていないものなどは、これに該当しないが、庁内会議において提出された資料や部長、課長等への説明、検討に用いられた文書等で共用化されたものなどは、これに該当するものである。
2 高槻南高校を巡る府立高校再編整備に関する事務について
実施機関の説明等を総合すると、概ね次のとおり認められる。
(1)全日制府立高校再編整備に係る取組のあらまし
実施機関が現在進めている全日制府立高校の再編整備は、平成11年4月に策定された「教育改革プログラム」の中で示された「整備計画」に基づくものである。
「整備計画」は、既存の学校の改編や複数の学校それぞれの良さを発展的に継承する形で統合すること等により、平成10年度の全日制課程の府立高校155校(普通科117校、専門学科併置普通科19校、総合学科3校、専門高校16校)を、平成20年度には135校(普通科76校、専門学科併置普通科・普通科総合選択制29校、総合学科9校、全日制単位制4校、専門高校17校)に再編整備しようとするものであり、その推進に当たっては、計画期間を平成11年度から平成14年度、平成15年度から平成17年度、平成18年度から平成20年度の3期に区分し、各期ごとに具体的な実施計画を策定することとしている。
高槻南高校を含む高槻市内全日制府立高校の再編整備は、このうち平成11年度から平成14年度の4年間を対象とする「第1期計画」に基づくものであるが、「第1期計画」自体には、計画期間内に各学区において実施する特色づくり・再編整備の計画数とその結果生まれる特色校の校種、校数が府内9の通学区域ごとに記載されているものの、対象となる学校名は明示されていない。対象となる学校名は、各年度ごとに、対象校の募集停止及び新校の募集開始の約1年半前頃に、別途、実施機関が決定し、公表されているところである。
「第1期計画」においては、特色ある学校づくりの対象校の選定は、「特色ある学校の地域バランス」「志願状況」「地域的な近接性」「交通の利便性」「施設状況」「学校の取り組み実績」等の客観的条件を総合的に勘案して行うとされている。このうち、統合整備による特色づくりについては、学区内の府立高校全体で設定可能な学級数を示す基準学級数と当該通学区域内の公立中学校卒業者数からその受入れに必要な学級数として算出されている募集学級数を比較して、募集学級数が基準学級数を下回る割合の大きい通学区域から統合整備に着手することとされている(ただし、中学校の進路指導における環境の激変を避けるため、同一年度内に同一通学区域において2組以上の統合整備は実施しない。)。当該通学区域内において、a 同一市町村内の学校を組み合わせる、b 普通科の府立高校の設置数が1ないし2の市町村内の学校は統合整備の対象としない、c 生徒減少の進行により普通科1校当たりの平均募集学級数の少ない市町村内の学校を対象とする、d 市町村ごとに、公立中学校卒業者数に対する府立高校の募集人員の割合を比較し、その割合の大きい市町村内の学校を対象とする、e 生徒のニーズや交通の利便性を勘案して、当該通学区域の広範囲な地域から生徒が入学している市町村内の学校は後順位とする、との考え方に基づいて選定した市町村内に所在する府立高校の中から対象校を選定することとされているところである。
なお、府立高校の特色づくり・再編整備に係る各計画の策定や対象校の選定については、実施機関において、例年6月に計画策定や対象校選定の前提となる基本的な考え方を公表した後、8月に計画や対象校の案を公表し、府民の意見や府議会での審議を踏まえて11月に計画や対象校を決定するという手順がとられているが、一方で、実施機関は、組織としての決定を行う以前に、未整理で、不確かな情報が流れることによって、卒業生や在校生、中学生やその保護者、地域など、府民の不安をあおり、いたずらに混乱が生じることのないよう、情報の取扱いには細心の配慮を払っており、文書の作成・保存に関しては、検討の過程で担当者が作成した案について、成案に至らなかった場合は、職員個人として保持することもないようにするとともに、検討に当たっては既存の資料を活用していることが認められる。
審査会においては、本件各決定の妥当性を検討する前提として、このうち特に、本件各請求に係る文書が作成又は収受された可能性のある「第1期計画」の決定過程(平成11年度)及び「第3年次対象校」の決定過程(平成13年度)の事務の処理経過について調査確認することとした。その結果は以下のとおりである。
(2)「第1期計画」決定過程(平成11年度)の事務の処理経過について
「第1期計画」の決定に係る具体的な事務は、平成11年5月、教育委員会事務局高校教育課内に高校改革室が発足した時点から本格化している。学区ごとの生徒減少状況と統合整備実施時期のシミュレーションのほか、特色ある学校の教育課程等の大枠、統合と改編による学区間バランス、特色づくり対象校の公表方法、統合方式や母体校募集停止時期、統合校、改編校選定の考え方、新校づくりの方法等についての検討が行われ、その結果は、「第1期計画中間報告」にとりまとめられて、平成11年6月25日に開催された委員会会議で了承の上公表されている。
引き続き第1期計画策定の検討が進められ、平成11年8月25日には「第1期計画(案)」が、これに基づく「第1年次対象校(案)」とともに委員会会議で了承され、公表されている。その後、対象校校長との連携の下に生徒や保護者、地元関係者、中学校進路指導担当者などに説明が行われ、府議会での審議を経て、平成11年11月24日の委員会会議において、案を一部修正のうえ「第1期計画」が「第1年次対象校」とともに決定されている。
(3)「第3年次対象校」決定過程(平成13年度)の事務の処理経過について
第1期計画第3年次実施対象校の決定に係る事務作業は、平成13年2月議会が終了し、第2年次実施分の新校についてのプロジェクトチームによる検討も一段落した平成13年4月頃から本格化した。各学校が作成している「学校要覧」、「学校教育計画」、実施機関が作成している「公立高等学校入学状況概要」、「大阪府公立高等学校分布図」、「大阪府公立小・中学校児童生徒数行政区別卒業者数推計」、「大阪府公立高等学校募集人員・大阪府立工業高等専門学校募集人員」、「大阪府立高等学校ガイド(学区別)」といった既存の資料のほか、全校の校長を対象に同年5月に行われた特色づくり等についてのヒアリングの結果を参照して検討が進められた。その結果はまず、対象校選定の基本的な考え方となる「計画の推進(平成13年度)」にとりまとめられ、同年6月25日に開催された委員会会議の了承を得て公表されている。「計画の推進(平成13年度)」では、第1期第3年次における施策として、高槻市を含む第2学区において、統合による再編整備を1組行うことが示されたが、対象となる学校名は明示されず、同年9月議会までに公表し、同議会終了後速やかに決定することとされた。
引き続き、第2学区に関連しては、上記の資料等をもとに、「高槻市内の高校への入学状況(12年度入学者選抜及び13年度入学者選抜)」、「高槻市内7校入学者選抜志願状況」、「全日制府立高等学校の特色づくり・再編整備」、「高槻市内7校の状況」などを作成しながら、さらに検討が進められた。その結果は、「第3年次対象校(案)」にとりまとめられ、同年8月30日に開催された委員会会議の了承を得て公表された。同案では、第2学区について高槻市内に設置されている島上高校と高槻南高校を統合整備し、島上高校の校地を使用して、全日制単位制(普通科)の高校を設置する案が、その選定理由とともに初めて公にされている。
その後、前記案のほか、「高槻用Q&A」、「平成15年度に島上高校と高槻南高校を統合整備して高槻市に『全日制単位制』高校が生まれます」、「高槻市内高校の統合整備対象校の選定について(手持ち資料)」等を使用しながら、関係者への周知・説明を行いつつ、検討を進め、同年9月府議会での審議を経て、同年11月16日の委員会会議において「第3年次対象校」が決定された。この委員会会議では、高槻市内府立高校の統合整備に関して寄せられた府民からの意見も参考資料とされたところである。
なお、高槻市内全日制府立高校の統合整備に必要な条例改正は、平成14年12月府議会で行われ、平成15年4月には、高槻南高校と島上高校の統合整備によって新たに設置された槻の木高校が開校している。
3 前回の行政文書公開請求によって異議申立人に公開が実施された行政文書について
異議申立人は、本件各請求に先立ち、平成14年7月16日に、28件の行政文書公開請求を行っており、以下に掲げる行政文書の全部又は一部について公開の実施を受けている。
- (1)「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備実施計画(第1期)」策定の中間報告
- (2)「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備第1期実施計画(案)」
- (3)「高槻市内の高校への入学状況(12年度及び13年度入学者選抜)」
- (4)「全日制府立高等学校の特色づくり・再編整備」
- (5)「高槻市内7校入学者選抜志願状況」
- (6)「高槻市内高校の統合整備対象校の選定について【手持ち資料】」
- (7)「高槻用Q&A」
- (8)「高槻南高校PTAからの質問に対する回答(平成13年11月3日)」
質問回答の記録に、「特色づくりを踏まえた基準学級数と生徒受入れに必要な募集学級数の推移(第1期実施計画第2年次実施後)」、「高槻市内7校の状況」、高槻市内7校の「教育課程表(全日制・普通科)」が添付されたものであり、全部公開されている。 - (9)「新高校整備推進プロジェクトチーム」任命式及び第1回会議
- (10)「『高槻地域新高校整備推進プロジェクトチーム』教育課程ワーキング(第1~12回)」
- (11)「『高槻地域新高校整備推進プロジェクトチーム』教育課程ワーキンググループの開催について(通知・第1~12回分)」
- (12)「平成15年度に島上高校と高槻南高校を統合整備して高槻市に『全日制単位制』高校が生まれます」
- (13)「『全日制府立高等学校特色づくり・再編整備第1期実施計画』(案)について府民の皆様のご質問にお答えします。」
- (14)「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備第1期実施計画の推進について(平成13年度)」
- (15)「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備第1期実施計画第3年次実施対象校(案)」
- (16)「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備第1期実施計画第3年次実施対象校」
- (17)「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備第1期実施計画」
- (18)「可能性にチャレンジ!(リーフレット)」
- (19)「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備第1期実施計画第2年次実施対象校新高校整備推進プロジェクトチーム報告書」
- (20)「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備第1期実施計画の推進について」(平成13年6月25日大阪府教育委員会会議報告事項)
- (21)「府立住之江高等学校の改革(案)について」(平成13年8月30日大阪府教育委員会会議第2号議案)
- (22)「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備第1期実施計画第3年次実施対象校(案)について」(平成13年8月30日大阪府教育委員会会議3号議案)
- (23)「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備第1期実施計画第3年次実施対象校(案)公表後の状況について」(平成13年10月25日大阪府教育委員会会議報告事項)
- (24)「府立住之江高等学校の改革について」(平成13年11月16日大阪府教育委員会会議1号議案)
- (25)「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備第1期実施計画第3年次実施対象校について」(平成13年11月16日大阪府教育委員会会議第2号議案)
- (26)「今後の府立高等学校の特色づくり・再編整備に係る基本的考え方について」(平成14年6月28日大阪府教育委員会会議3号議案)
- (27)「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備の14年度の進め方について」(平成14年6月28日大阪府教育委員会会議4号議案)
- (28)「全日制府立高等学校特色づくり・再編整備第1期実施計画第3年次実施対象校の策定及び教育委員会会議への付議について(伺い)」
- (29)「教育委員会委員略歴」(熊谷信昭、松永俊一、井村雅代、宮永佳代子、津田和明、竹内脩)
- (30)「大阪府教育委員会会議会議録」(平成4年6月12日~平成14年5月16日分)
- (31)「昭和63年度から平成12年度の学校別中退者数」
- (32)大阪府教育委員会事務局幹部職員延べ15名(平成11年度1名、平成12年度4名、平成13年度10名)に係る「旅行命令簿」「旅行命令簿兼精算旅費内訳書」「旅費内訳書」
4 本件各処分に係る具体的な判断及びその理由について
(1)第二-1-(1)の請求に係る不存在決定の妥当性について
本請求は、「2学区における府立高校再編整備計画を検討・立案する際に決定に至る客観的な基礎となった教育・施設・設備・国費償費等の全ての指標・条件を比較、もしくは記載した(個別毎でも可)ところの全ての資料。(高校教育課、教育振興室高校改革担当課ないし府教委の関係部署の公文書、資料等)」についての公開請求である。本請求は、「第2学区において府立高校の統合整備を実施することを明記した『計画の推進(平成13年度)』の決定から、高槻南高校と島上高校を統合整備する旨の第3年次の方針を明記した『第3年次対象校』の決定に至る過程で検討対象となった学校の教育・施設・設備・国費償費(建設に当たって受けた国庫補助金等について償還を要する費用を指すものと理解される。)等の各種指標を比較若しくは記載した資料」を個別の指標・条件ごとのものを含めて公開請求したものと理解される。
これに対して、本請求に対応する行政文書が存在しないことについての実施機関の説明は、概ね、
- ア 第1期計画第3年次実施対象校については、「第1期計画」に示された考え方にしたがって検討を進め、平成13年6月25日に公表した「計画の推進(平成13年度)」において、第2学区で統合整備1組を行うとの考え方を示した。続いて同年8月30日に公表した「第3年次対象校(案)」においては、第2学区では高槻市において統合整備することとした上で、高槻市内の府立高校7校の中から対象校1組(高槻南高校、島上高校)の選定を行い、最終的に、同年11月16日の委員会会議において、決定に至ったところである。
- イ 本請求で求められている学校の教育・施設・設備等の各種指標を比較若しくは記載した行政文書としては、「第1期計画」、「第3年次対象校(案)」のほか、「高槻市内7校の状況」という資料がある。実施機関は、この「高槻市内7校の状況」を作成して対象校の検討を行い、「第3年次対象校(案)」が決定された平成13年8月30日の委員会会議においてもこの資料を用いて説明した。
この資料は、実施機関の担当職員が関係課の職員等にその基となる数値、状況等を必要の都度、照会や確認を行うなどして作成したが、国費償費については、検討の対象としなかったため、特に関係の情報や資料の収集・作成はしていない。 - ウ 「第1期計画」、「第3年次対象校(案)」、「高槻市内7校の状況」は、いずれも、前回請求の際に異議申立人に公開していることから、重ねて同一文書を公開することは本請求の趣旨に合致しないと判断し、不存在決定に至ったものである。
というものであり、これらの説明には、特段不自然な点は認められなかった。
なお、上述したとおり、審査会において調査したところによれば、第2学区における統合整備が検討・決定された平成13年度における第1期計画の推進に係る事務においては、各学校の「学校要覧」及び「学校教育計画」のほか、「公立高等学校入学状況概要」、「大阪府公立高等学校分布図」、「大阪府公立小・中学校児童生徒数行政区別卒業者数推計」、「大阪府公立高等学校募集人員・大阪府立工業高等専門学校募集人員」、「大阪府立高等学校ガイド(学区別)」といった既存の公表資料が参照されている。しかしながら、これらの資料に記載されている情報のうち、統合整備実施対象校の検討・決定に際して参考とされた情報は、いずれも前回請求時に異議申立人に公開されている上記「高槻市内7校の状況」(3-(8)参照)や「高槻市内の高校への入学状況(12年度入学者選抜及び13年度入学者選抜)」、「高槻市内7校入学者選抜志願状況」に含まれていること、また、これら資料は「2学区における府立高校再編整備計画を検討・立案する際に・・・指標・条件を比較、もしくは記載したもの」ではないことからすると、これらの参照された既存の公表資料自体は、本請求の対象行政文書には該当しないと考えられる。
また、平成13年度における第1期計画の推進に係る事務においては、府立学校全校の校長を対象に同年5月に実施された特色づくりヒアリングの結果も利用されているが、このヒアリングの結果に係る情報は、「高槻市内7校の状況」の「学校の取り組み状況、改革に向けた組織体制」及び「地域との交流・連携等」の欄に記載されて比較、検討されたものである。
なお、異議申立人は、「高槻市内7校の状況」に類するものとして、「統合整備対象校の状況」と題された資料の写し(記載項目名以外はマスキングされたもの)を、出所を明らかにすることなく当審査会に提出したが、この資料についての実施機関の説明は、概ね「平成11年当時の担当職員に聞き取り調査したところ、同年8月公表の「第1年次対象校(案)」の選定資料『門真市内3校の状況』を委員会会議の資料として作成する途上で、当時の担当職員が様式の原案を整理する段階で作成した文書とのことである。「第1期計画(案)」の項目検討の進捗に合わせて順次改定を重ねていったため、組織共用することなく順次廃棄していったとのことであり、現在は存在しない。第3年次実施対象校の選定資料として作成した『高槻市内7校の状況』については、第1年次実施対象校の選定の際の『門真市内3校の状況』の様式を基に一部項目を修正して作成したものであり、異議申立人が提出した様式で高槻市内の高校について文書を作成した事実はない。」というものであり、この説明には、特段不自然な点は認められなかった。
以上のことから、第二-1-(1)の請求に係る不存在決定は妥当であると認められる。
(2)第二-1-(2)及び(3)の請求に係る不存在決定の妥当性について
これら請求は、「府立高校再編整備計画(検討用)-平成11年6月5日作成のもの-(高校教育課文書)」及び「府立高校再編整備計画-平成11年12月7日作成のもの-(高校教育課文書)」についての公開請求である。これら請求は、「整備計画」ないし「第1期計画」に関連して、指定された日に作成された「計画」(検討用のものを含む。)又はこれに類するものを公開請求したものと理解される。
これに対して、これら請求に係る行政文書が存在しないことについての実施機関の説明は、概ね「府立高校再編整備計画については、検討用のものを含めて、指定された日に作成されたものは、確認できなかった。検討過程で作成したものはあったかもしれないが、検討の結果、成案に至らなかったものについては、業務上必要がないことから、実施機関の組織において保存するに至らず、現に管理されている行政文書は委員会会議の資料以外には存在しない。」というものであり、検討過程で作成したものの保存のあり方としての是非は別として、上述の対象校選定に係る情報の取扱いに関する実施機関の考え方からすると、この説明自体には、特段不自然な点は認められなかった。
なお、異議申立人は、「平成11年12月現在のものといわれる」として「府立高等学校再編整備計画」と題された資料の写し(一部がマスキングされたもの)を、出所を明らかにすることなく当審査会に提出したが、この資料についての実施機関の説明は、概ね「当時高校教育課に在籍していた職員に、聞き取り調査を行ったところ、「第1期計画中間報告」に記載の『通学区域別の第1期計画の方向』の案をとりまとめるにあたり、当時の担当者が考えを整理し、その妥当性を検討するため作成したものとのことである。特色づくり・再編整備は、生徒減少の進む学区における高校の統合と、生徒減少がさほど進んでいない学区における単独改編の組合せにより、各学区のバランス、府域全体におけるバランス、年度ごとのバランスをとりつつ進める必要がある。このため、担当者は、各学区における特色校の配置を、統合・改編の別、特色校の種類、設置年度等について、対象校名を仮置きする形で検討を行っていった。本資料は、統合、改編、特色校の種類、実施時期等を絞り込むための担当者の作業メモであり、順次、作成し直していった過程のいずれかの段階のものと思われるが、具体的な対象校選定とリンクしない性格の文書であることから、組織共用することなく、担当者が第1期計画中間報告公表前後に廃棄したとのことであり、現在は存在しない。」というものであり、上述の対象校選定に係る情報の取扱いに関する実施機関の考え方からすると、この説明にも、特段不自然な点は認められなかった。
以上のとおりであり、実施機関がこれら請求に係る文書を作成した可能性があると自認していることからすると、これら請求に係る不存在決定に実施機関が付した「公開請求に係る行政文書は作成していないため、管理していない。」との理由については、明らかに不正確と言わざるを得ないが、これら請求に係る行政文書が請求時において存在しないとの不存在決定自体は妥当であると認められる。
(3)第二-1-(4)の請求に係る不存在決定の妥当性について
本請求は、「府立高校再編整備第1期実施計画第3年次対象校(高槻地域新高校)決定に至る(の基礎となった)、平成12年12月から平成13年8月にかけて対象校の校長より行ったヒアリングの結果をまとめたもの。※平成13年11月3日に、高槻南高校PTAの質問への回答4で記している事実のまとめたもの。(教育振興室)」についての公開請求である。本請求は、第1期計画第3年次実施対象校(高槻地域新高校)の決定に至る過程で、指定の期間内に、対象校(高槻南高校、島上高校)の校長から行ったヒアリングの結果をまとめた資料について、その形式を問わず、公開請求したものと理解される。
これに対して、本請求に対応する行政文書が存在しないことについての実施機関の説明は、概ね、
- ア 第1期計画第3年次実施対象校(高槻地域新高校)の決定に至る過程で、指定の期間内に、対象校(高槻南高校、島上高校)の校長から行ったヒアリングは、平成13年11月3日に実施機関の担当職員が高槻南高校に行き回答したとおり、全府立高校の校長を対象に平成13年5月30日から6月8日にかけて、特色づくりに向けた校内体制、取組状況、今後の方針等について行ったものである。
- イ このヒアリングは、高校教育の充実を図る施策の一環として、高校改革課が所管する特色づくり・再編整備計画とは別に実施機関が各学校の進める特色づくりを支援する、「平成13年度府立高等学校特色づくりの推進に関する事業」を実施するにあたり、当該事業の担当課である教務課が、各学校から「府立高等学校の特色づくりの推進に関する事業計画書」等を提出させた上で、校長ヒアリングを平成13年5月30日から平成13年6月8日にかけて実施したものである。その際、特色づくり・再編整備計画の担当課である高校改革課の職員も同席し、各学校の取組状況を聞き、対象校選定の参考としたところである。この内容は、前記「高槻市内7校の状況」の「学校の取り組み状況、改革に向けた組織体制」及び「地域との交流・連携等」の欄に記載しており、ヒアリングの結果をまとめたものは、この資料しかない。
- ウ したがって、本請求に対応しうる行政文書としては、「高槻市内7校の状況」が存在するが、本資料は、異議申立人に既に公開しており、これ以外に請求に対応する行政文書を管理している事実はないことから、不存在による非公開決定を行ったものである。
というものであり、これらの説明には、特段不自然な点は認められなかった。
以上のことから、第二-1-(4)の請求に係る不存在決定は妥当であると認められる。
(4)第二-1-(5)及び(6)の請求に係る不存在決定の妥当性について
これら請求は、「再編整備第1期実施計画第3年次対象校決定(高槻地域新校)における府教委事務局による平成13年1月から8月30日までのすべての2学区関係者と関係団体・機関に対して行った事前折衝・打診・説明の結果をまとめた一切の文書。なお関係者とは、対象校地域府議会議員、高槻市当局、高槻市教委関係、府・市の職員団体、全ての学校関係者、該当地域進路保障協議会関係者、関係地域団体をいう。(教育振興室関係文書)」及び「再編整備第1期第3年次対象校決定(高槻地域新校)の決定に際し、平成13年1月から11月15日までの大阪府議会議員への事前折衝・打診・説明及び関係府議一同と府教委幹部の会議などの結果について、まとめた文書、メモ一切(教育振興室)」についての公開請求である。これら請求は、第3年次対象校(高槻地域新高校)の決定過程で、それぞれ指定の期間内に、実施機関の職員が第2学区関係者(対象校地域府議会議員、高槻市当局、高槻市教委関係、府・市の職員団体、全ての学校関係者、該当地域進路保障協議会関係者、関係地域団体)と関係団体・機関に対して行った事前折衝・打診・説明の結果並びに大阪府議会議員に対して行った事前折衝・打診・説明の結果及び関係府議一同と府教委幹部の会議などの結果をまとめた行政文書について、その形式等を問わずに、公開請求したものと理解される。
これに対して、これら請求に対応する行政文書が存在しないことについての実施機関の説明は、概ね「第3年次対象校に関しては、平成13年6月25日に対象校選定の基本的な考え方となる『計画の推進(平成13年度)』、平成13年8月30日に『第3年次対象校(案)』、平成13年11月16日に『第3年次対象校』を、それぞれ委員会会議に諮った上で、公表し、又は、決定したところである。第2学区の関係者、関係団体、大阪府議会議員等に対しては、それぞれの公表・決定時に、必要の都度、説明を行ったところであるが、本件についての説明は、関係者等との協議といった性格のものではなく、あくまで計画の趣旨や内容について周知を図るための説明であることから、担当者は上司に対して特に報告書といった文書は作成せず、必要の都度、口頭で報告して処理したところである。」というものであり、全てを口頭による報告としていることの是非は別として、この説明自体には、特段不自然な点は認められなかった。
なお、異議申立人は、第二-1-(5)の請求に関連する資料として、「再編整備(■期)議員対応状況」と題された資料の写し(表題と記載項目名以外はマスキングされたもの)と「議員等対応状況(行政区レベル)」と題された資料の写し(具体の氏名、日時、意見等は、黒塗り又はマスキングされたもの)を、出所を明らかにすることなく、審査会に提出したが、これら資料についての実施機関の説明は、概ね「平成11年当時の担当職員に確認したところ、第1期実施計画の案を同年8月に公表するに当たり、議員等への説明状況を点検するために、当時の担当者が作成したチェックリストであり、説明完了時に役割が終了する性格のメモであることから、組織共用することなく廃棄したとのことで、現在は存在しない。」というものであり、上述の対象校選定に係る情報の取扱いに関する実施機関の考え方からすると、この説明には、特段不自然な点は認められなかった。
以上のことから、第二-1-(5)及び(6)の請求に係る不存在決定は妥当であると認められる。
(5)第二-1-(7)、(8)及び(9)の請求に係る不存在決定の妥当性について
これら請求は、「平成13年度、教育振興室参事-Aが平成13年4月2日から8月9日の間に高校改革及び学校視察名目で行った管内出張について、具体的な目的と訪問先(個人、団体名、役職含む)を明示し、その訪問結果をまとめ報告した文書、資料、メモ一切。」、「平成13年度、教育振興室参事-Bが平成13年4月2日から9月28日の間に高校改革及び学校視察名目で行った管内出張について、具体的な目的と訪問先(個人、団体名、役職含む)を明示し、その訪問結果をまとめ報告した文書、資料、メモ一切。」及び「平成13年度、教育振興室参事-Cが平成13年4月2日から9月28日の間に高校改革及び学校視察名目で行った管内出張について、具体的な目的と訪問先(個人、団体名、役職含む)を明示し、その訪問結果をまとめ報告した文書、資料、メモ一切。」についての公開請求である。これら請求は、いずれも、実施機関の特定の職員が指定の期間内に高校改革及び学校視察名目で行った管内出張について、具体的な目的と訪問先(個人、団体名、役職含む)を明示し、その訪問結果をまとめ報告した行政文書について、その形式等を問わず公開請求したものと理解される。
これに対して、これら請求に対応する行政文書が存在しないことについての実施機関の説明は、概ね「出張後の報告、いわゆる復命については、大阪府教育委員会事務局処務規程第30条に『出張した職員は、その用務が終わったときは、速やかに、帰庁し、復命書を提出しなければならない。ただし、軽易な事項については口頭で復命することができる。』と規定しており、宿泊を伴わないで府内へ出張した場合、いわゆる、管内出張については、軽易な事項であれば、口頭で復命することが認められている。これら請求はいずれも管内出張に関するものであり、かつ、その目的が学校視察、計画の趣旨や内容の説明といった軽易な事項であったため、特に報告書といった文書は作成せず、出張者3名はその都度、口頭で復命を行ったところである。」というものであった。本件に関わる全ての管内出張について軽易な事項として処理されていることの是非は別として、この説明自体には、特段不自然な点は認められなかった。
以上のことから、第二-1-(7)~(9)の請求に係る不存在決定は妥当であると認められる。
5 府立高校再編整備に関する行政文書の作成・保存について
本件の審査において、実施機関は、「特色づくり・再編整備の対象校の選定に当たっては、組織としての決定を行う以前に、未整理で、不確かな情報が流れることによって、卒業生や在校生、中学生やその保護者、地域など、府民の不安をあおり、いたずらに混乱が生じることのないよう、実施機関において細心の注意を払っている」として、「対象校の決定に至るまでの間には、担当者の作成した案を幾度となく検討しているが、成案に至らなかった場合には、業務上必要がないことから、実施機関の組織において保存するに至らなかった」、「成案に至らなかった場合は、職員個人として保持することもないところである」、「本件についての説明は、あくまで計画の趣旨や内容について周知を図るための説明であることから、担当者は上司に対して特に報告書といった文書は作成せず、必要の都度、口頭で報告して処理したところである」等々と情報管理の観点を重視した文書管理を行っていることを主張した。
確かに、府立高校の再編整備における対象校の選定という関係者が多く微妙な問題に係る意思形成の初期の段階において、行政内部で十分、検討・協議がなされていない情報や精度の点検がなされていない情報等を公にすると、外部からの圧力や干渉等の影響を受けることなどにより、行政内部の自由率直な意見交換が妨げられたり、府民に無用の誤解を与えて混乱を生じさせることがあり得ないではない。このような支障を避けるため、実施機関が情報の取扱いに細心の配慮を払われることについて、審査会としても、必ずしも否定するものではないが、そのような情報の取扱いは、意思形成過程の情報を記録した文書を作成、保存し、公開請求の対象とすることと何ら矛盾するものではない。むしろ、府立高校の再編整備のような社会的影響の大きな重要施策の推進に際しては、そこに広く府民の意見を反映していくためにも、意思形成過程の情報を記録した文書を適切に作成、保存するとともに、これを可能な限り広く公開することが求められているものと考えられる。
今後の再編整備の推進に当たっては、府として府民に説明する責務(条例前文)を全うし、府民の府政への参加を推進(条例第1条)していく上で必要となる文書の作成・保存についても、十分配慮されるよう望むものである。
6 結論
以上のとおりであるから、本件異議申立てには理由がなく、「第一 審査会の結論」のとおり答申するものである。ただし、実施機関が、本件各決定のうち、第二-1-(2)及び(3)の請求に係る決定の通知書に付した理由は、明らかに不正確な部分があるので、本件異議申立てに対する決定書の理由中で、訂正すべきであることを付け加えておく。