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おおさかの環境2010 大阪府環境白書 「巻頭特集 大阪エコライフ(生物多様性と私たちのくらし編)」
4.私たちができること※10、11
これまで見てきたように、近年、生物多様性が失われつつあり、今まさに生物多様性の保全を進めるべく日本としても積極的に取り組んでいこうとしています。
そこで、私たちが日常の生活の中で気軽にできる取組みをご紹介します。
その1 食料や衣服がどこでどのようにして出来ているかを考えてみよう!
今回は、お好み焼きを例に説明しましたが、食材や衣服など、これはどこで、どうやって生産されているのかなど考え、現在のようにたくさん“モノ”を消費する生活を見直していきましょう。
コラム6 大阪府の食料自給率※12
食料自給率とは、国内の食糧消費が、国内の農業生産でどの程度賄えているかを示す指標です。
日本全体のカロリーベースの食料自給率は、昭和40年度の73%から大きく低下し、平成21年度で40%です。
大阪府のカロリーベースの食料自給率は、平成20年度概算値で2%と低い数値となっています。
私たちの食生活は、周辺地域や外国からの輸入に大きく依存しています。
その2 地元で取れた旬の食材を食べよう!
旬の食材は、自然本来の季節の中で、その時期にだけ得られる恵みです。特に、地元でとれた食材を食べること、すなわち地産地消は、地域の自然に関心を持てるようになりますし、地域の生産者の支援にもつながります。
水なす(左)と泉だこ(右)
写真7 大阪でとれた食材
その3 生物多様性に配慮した製品を応援しよう!
現在、生物多様性への配慮を消費者に伝える様々な取組みが広がってきています。
消費者として、食材や商品を購入するとき、このような取組みに理解を深め、生物多様性の保全を応援しましょう。
コラム7 生物多様性に配慮した認証ラベル
MSCマークは持続的に魚を食べ続けることができるように、海洋の自然環境や水産資源を守って獲られた水産物に与えられる認証エコラベルです。※13
写真8 MSCマーク認証製品
FSCマークは、木材・木材製品が環境・社会・経済のすべての側面に配慮したFSCの厳しい基準に従い、適切に管理された森林から出されたものであることを示します。※14
写真9 FSCマーク認証製品
このような認証制度が民間主導によって取り組まれており、エコラベルを貼った水産物や林産物の流通が始まりつつあります。
コラム8 国産木材の利用
木材自給率が20%強の日本は、需要の大半を海外の森林で伐採された木材に依存していますが、国産の木材を住宅の柱や土台、梁などに用いるなど、積極的に利用する企業も現れています。国産木材の利用は、森林の適切な管理・間伐がもたらす豊かな植生と環境調節サービスの向上につながるほか、海外の貴重な自然林を守ることも期待できます。
写真10 放置され過密となった人工林での間伐(左)と持続可能な管理をされた森林(右)
大阪府内産の木材で作った製品
全国の都道府県の中で最も森林面積が少ない大阪ですが、府内産の木材を利用した製品があります。
写真11 大阪府内産のイスとプランター
その4 近所で自然を発見しよう!
都市部にも、公園、庭、森、街路、川など変化に富んだ環境があり、身近なところに多様な自然が息づいています。
歩いたり、自転車に乗って季節の変化を楽しみましょう。ひょっとしたら、歩道の片隅に見たこともないようなきれいな花や珍しい昆虫が見つかるかも知れません。
シジュウカラ(左)とトノサマガエル(右)
写真12 大阪でよく見かける生きもの
コラム9 チリメンモンスター※15、16
みなさんは、チリメンジャコに変わった形の生きものが混じっているのを見たことはありませんか?その生きものは一見怪獣のようにも見え、チリメンモンスター、略してチリモンと呼ばれています。
スーパーで売られているチリメンジャコに混じっていることもありますし、きしわだ自然資料館やきしわだ自然友の会などチリモンを体験するイベントを行っているところもあります。こうしたイベントに参加することによって、生物の多様性に触れることができます。
写真13 チリメンモンスター
その5 イベントに参加してみよう!
自然観察会や野鳥の探鳥会、里山の保全活動など楽しく参加できるイベントがたくさんありますので、ぜひ参加してみましょう。参加、体験し、そして、参加者同士の交流を通して生物多様性の大切さの理解も深まるでしょう。
写真14 自然観察会
その6 身近なみどりを増やそう!
家庭菜園や、プランターで草花を育ててみてはどうでしょうか。チョウやとんぼや野鳥が四季に応じて訪れるはずです。どんな小さなみどりでもさまざまな生きものの生息・生育地になります。あなたも生きもののアドプト(里親)になってみませんか。
写真15 植栽活動
ペットを飼っている人へ
ペットを飼えなくなったからといって安易に捨てないで下さい。捨てられたペットが野生化して地域固有の生態系に影響を与え、生物多様性を大きく傷つけることがあります。大阪府ではアライグマやミドリガメ等の外来種が増加しており、特にアライグマは、農作物等への影響が大きいことから問題となっています。ペットは最後まで責任を持って飼いましょう。
写真16 外来種
私たちができることをまとめたよ。
- 私たちができること 6か条
- その1 食料や衣服がどこでどのようにして出来ているかを考えてみよう!
- その2 地元で取れた旬の食材を食べよう!
- その3 生物多様性に配慮した製品を応援しよう!
- その4 近所で自然を発見しよう!
- その5 イベントに参加してみよう!
- その6 身近なみどりを増やそう!
コラム10 市街地と生物多様性
街の中の緑は生きものにすみかや移動経路を提供するとともに、私たち人間にも安らぎや落ち着きをもたらしています。ここでは2つの事例を紹介します。
都会の真ん中に里山を再現
大阪市北区の新梅田シティには、日本の原風景である里山を手本とした「新・里山」が整備されています。敷地面積は約8,000平方メートルで、コナラやクヌギなど在来種を中心とした樹木が97種も植えられ、草花や野菜畑も配置されています。剪定した枝や除草した草などは堆肥化し敷地内で利用され、またできるだけ農薬を使わないなど環境に配慮されています。
2010年に「新・里山」の調査で確認された野鳥は20種、昆虫は25種で、近くの公園より多く、オオルリやウグイスなどが飛来するなど、都心部でも豊かな生態系が育まれています。
「新・里山」の整備に関わっている積水ハウス株式会社の担当の方にお話をうかがうと「最初の整備には人は関わりますが、後はできるだけ自然界にまかせています。ホンモノの自然はそれ自体に力を持っています。地元の子どもたちや近所の人々が自然を観察しによく訪れるようになりました。」ということでした。
写真17 新・里山
万博の森の復元
1970年に開催された大阪万博から40年が経ち、その跡地である万博公園は緑豊かな森に生まれ変わりました。今では里山の生態系の頂点に君臨するオオタカが営巣し、都会には珍しくニイニイゼミが多く見られるなど豊かな生態系が形成されています。(オオタカの営巣環境保全のため、営巣期間中は立入禁止区域が設定されています。)
写真18 万博公園(吹田市)